第21話「吸血の館 美人女子寮の恐怖!!」(1973年10月6日)
冒頭、夜の街角に、シルクハットにマント、仮面をつけた、中年のタキシード仮面みたいなおっさんが獲物を探しているような目で立っていると、

ピンク色の派手なワンピースを着た、若い水商売風の女性が歩いてくる。

女性「キャーッ!! 放して!!」
と、いきなり横からシャドウマンたちが飛び掛かり、問答無用でその服を引っ剥がし、下着姿にする。
まあ、男性としては大変喜ばしい幕開けではあるが、前回とほとんど同じなのは芸がないし、こういうシーンはもっと明るいところでやってもらわないと……

女性「う、う……」
女性はその場で、携帯用の医療器具のようなもので血を採取されて調べられる。
まあ、下着姿と言っても、これはどう見てもビキニ水着のトップスなので、そんなにコーフンするようなシーンでもないのだが、ちびっ子向け特撮でこういうレイプまがいのシーンが出てくると、ギョッとするものです。
変態タキシード仮面「どうだ?」
戦闘員「ダメだ、不合格」
変態タキシード仮面「殺せ!!」
しかも、その血が適合しないと見るや、あっさり殺してしまうという非道ぶり。

続いて、青い、これまたビキニだろうなぁと思われる女性が捕まり、やっぱり殺される。
さらに、三人目、四人目と、下着姿にされた挙句、無残に殺されて行く女性たち。
いい迷惑である。

続いて、セーラー服姿の女の子……と言うより、そう言うお店で働いている人にしか見えないが、お下げ髪の女の子が通り掛かり、

ユカ「助けてーっ、いやーっ、いやーっ!!」
無論、彼女も変態たちの餌食になる。
変態タキシード仮面「血液型は?」
戦闘員「合格だ!!」
幸か不幸か、彼女は初めて合格したようで、殺されずに済み、さっきのメカから何かを注入されたようであった。
ちなみに彼らは人間の血液からより強い怪人を作り出そうとしているのだが、血液型はあんまり関係ないような気がする……
と、ここで漸くイチローがあらわれ、変態たちと激しいバトルを繰り広げる。
一人目から助けに来てやれよ……
ちなみに変態タキシード仮面の正体はシャドウナイトであったが、途中でハカイダーに威嚇射撃され、

ハカイダー「シャドウナイト、今度だけは助けてやるが、この計画は俺の仕事だ。これからは身の程をわきまえて、出過ぎた動きはしないことだな」
と、上から目線で釘を刺す。
シャドウナイト、ハカイダーが担当している作戦に、何故かボランティアを買って出てやっていたらしい。
まあ、そうしたくなった気持ち、股間が痛くなるほど分かる。
だが、内輪揉めしている間に、肝心のユカはイチローに奪われてしまう。

イチロー「おい、しっかりしろ、しっかりするんだ。怪我は? 奴らにナニをされたんだ?」
ユカ「私、なんだか良く分からない」
イチロー「あの光る機械は、アレは一体なんだったんだ?」
次のシーンではもう翌日になっているのだが、

そのユカが、学校から寮に帰ってくる。
そう、タイトルから分かるように、今回の舞台は女子高の寮なのである!!
冒頭のハードなお色気シーンと言い、この舞台設定と言い、めちゃくちゃ期待したのだが……

ユカ「ううっ、ああ……」
と、ユカ、門の前まで来たところで急に苦しみ出し、その場にしゃがんで吐き気を抑えるように自分の口に手をやる。

しかし、さすがにこのメイクの濃さで女子高生は説得力がないよなぁ。
まあ、美人ではあるが、普通に女子大生にしといたほうが良かったと思う。
で、どっかで見たことあるなぁと思ったら、そう、この一ヶ月後くらいに放送された「V3」42話に出ていた佐々木順子さんだった。
それはともかく、学園ドラマ(じゃないけど……)で、女子高生が吐き気を覚えているとくれば、結論はアレしかないのだが、そこに偶然通り掛かったのがリエコとアキラであった。
リエコ「どうしたの?」
ユカ「なんだか気持ちが悪くて」
アキラ「僕、救急車呼んでくる!!」 それくらいで救急車呼ぶなよぉ~!!by消防署
もっとも、リエコたちの過剰な対応は、そこにあらわれた寮長に止められる。

寮長「待ちなさい、我が純心女子学園は校風を重んじる一流の女子高校です、余計なことはおやめください」
リエコ「でも、そんなことを言ってる場合じゃないでしょう」
寮長「うちの女子寮には専属の女医さんがおられます。部外者はお引き取りください」
寮長はにべもなくそう言ってリエコたちを追い払うと、他の女子生徒たちにユカの体を運ばせる。
しかし、寮なのに、全員セーラー服姿と言うのも変だよなぁ。
あと、「校風を重んじる」って、どういう意味?
で、この寮長も、どっかで見たことあるなぁと思ったら、そう、他でもない、「スケバン刑事3」のヤエばあさん、そして、「バトルフィーバーJ」20話でも、おっかない寮長を演じていた谷本小夜子さんなのだった!!
なお、「バトルフィーバーJ」のオファーを受けた時の谷本さん、「私って、つくづく寮長顔なのねえ……」と、溜息交じりに鏡を見たことであろう。
寮の医務室で診察を受けているユカ。

寮長「寮の女子が妙な騒ぎを起こしたとなりますと学園としましても問題ですし、私の立場も……ですから秋山先生」
秋山「わかりました寮長、秘密に診察しましょう。中へは誰も入れないでください」
寮長が事なかれ主義全開の発言をすると、秋山女医も言外の意を悟って快く領諾する。
さすがにそのものずばりの言葉は出てこないが、生徒が妊娠したのでないかと心配しているのだろう。
まあ、ほんとは妊娠でもなんでもないのだが、ちびっ子向け特撮ドラマで、こういうシチュエーションが出てくると、なんかドキドキするよね。
秋山女医、寮長たちを追い出して患者と二人きりになるが、突然戦闘員たちがあらわれ、取り囲まれる。
一方、リエコたちはまだ寮の前にいたが、

アキラ「だけど、イチロー兄ちゃん、ここで待ってろって言ったじゃないか」
リエコ「分かっているわ、でも、もしあの中で何かが起こっていたらどうするの? 私、ひとりでも行くわ」
アキラ「僕も行くよ」
やはりユカのことが気になるのか、二人はイチローの指示に背いて寮の中に忍び込む。
ちなみに、彼らの背後に見えるプレートの文字が、由緒正しい名門女子高にしては、妙にポップな字体なのがちょっと笑える。
まあ、名門かどうかは定かではないのだが……
で、ここから、ワクワクドキドキ女子寮ライフを覗き見できるのかと期待したのだが、この後も出てくるのは医務室ばっかりで、これじゃあ女子寮を舞台にした意味がない。
それはさておき、医務室の窓から入り込んだリエコたちは、すぐに縛られて床に座らされている秋山女医を発見する。

秋山「大変です、変な化け物が手術室に……」
リエコ「シッ!! 後は私たちに任せて、早く安全なところへ」
これも考えたら変なのだが、秋山女医、見ず知らずのリエコの言葉に何の迷いもなく寮から逃げ出すのだった。
うーん、仮にも女医ともあろうものが、生徒たちを残して自分だけさっさと逃げるかなぁ?
せめて警察に連絡するのが普通だと思うのだが、この後もそう言う形跡は一切見られない。
第一、血液が適合しないと言うだけで女性たちが殺されているのに、なんでこの女医は同じ目に遭ってないんだ?
つーか、彼女だって十分若い女性なんだから、彼女の血液も調べるのが普通ではないか?
あ、まあ、今はとにかくユカの血液から怪物を作り出すことを優先させたと見るべきか……それにしても、わざわざ生かしておいたのはやっぱり解せんなぁ。
それはともかく、リエコとアキラが、医務室に隣接する手術室の中を覗くと、

ベッドのひとつにユカが寝かされ、その隣のベッドには大きな蒲鉾型のカプセルが置かれ、その周りで戦闘員たちが忙しく立ち働いていた。
どうやら、ユカの血をチューブでカプセルの中にいる何者かに輸血しているらしいが……
ところで、女子高の寮に手術室まで備え付けてあるって、さすがに無理がないか?
で、結局、女性の血をエネルギー源にした怪人でも作るのかと思いきや、そこはさすが長坂さん、手術の後、カプセルから赤ん坊の泣き声がしたかと思うと、

黒いフードを被った、子供の人形が起き上がると言う、ホラー映画みたいな展開となる。
それを本部のモニターで見ていたビッグシャドウは、愉快そうな笑い声を立て、

ビッグシャドウ「はは、成功だ、大成功だ、優秀な血液型を持った人間の女の体を利用した、さいえい(精鋭?)ロボット製造計画は大成功だーっ!!」
と、作戦の順調な進行をことほぐ。
でも、単に血を抜いてるだけなのに、「女の体を利用した」と言うのはオーバーだよね。
ま、長坂さんも、ほんとは女性の子宮を利用して、生体ロボットを文字通り産ませたかったのかもしれないが、ちびっ子向け特撮ドラマでそんな過激な表現が許される筈もなく、こういう婉曲な表現にするしかなかったのだろう。
と言うか、大人向けドラマでもちょっと無理だろうなぁ、そう言うのは……
あと、さすがに女性の血から、ロボットは作れないんじゃないかなぁ?
それはそれとして、なんとなく水木一郎アニキに似ている人形は、リエコたちの気配を感じたのか、ひとりで診察室に入ってくる。

なんか、「チャイルドプレイ」のチャッキーみたいだなぁ。
あるいは、「怪奇大作戦」っぽいと言うべきか。
ところが、これだけ怪奇ムードを盛り上げていながら、

吸血コウモリ「ふっはははははっ、背番号16、シャドウロボット吸血コウモリ」
人形は、一瞬でいつもの戦闘ロボットと大差のない吸血コウモリと言う怪人になってしまう。
うーむ、脱力するなぁ。
吸血コウモリ「血を頂く。俺は人間の血で生まれ、人間の血で生きる吸血コウモリなのだ」
と、自己PRするのだが、人間の血とロボットとでは、どうしてもイメージとしての結びつきが弱く、無理にロボットにする必要はなかったと思う。
そこへイチローが飛び込んできて、
イチロー「人間の生き血を吸うロボットめ、生かしておくわけに行かん」
吸血コウモリ「01か、いい度胸だ。俺は人間の血で育ったロボットだ、そいつら(戦闘員)のように弱くはないぞ」
外へ出た吸血コウモリを追って、イチローも診察室から飛び出す。

寮長「先生、秋山先生、今赤ちゃんの泣き声みたいなものが聞こえましたが、まさか秋山先生!!」
と、寮長が診察室の前まで来て、ドアを叩いて大声で呼びかける。
いや、ユカの体はどう見ても臨月ではなかったのだから、この場で子供が生まれたなどと勘繰るのは、さすがにおっちょこちょいも度が過ぎている。

ちなみに、こちらが「バトルフィーバーJ」20話で、女子大生たちの動向を気にしている谷本さんです。
「やってること、昔とあんまり変わんないわね……」(谷本女史談)
リエコ、咄嗟に変装用のゴムマスクを被ると、ロッカーの中にあった白衣とウィッグをつけて、たちどころに秋山女医になりすます。
なんでロッカーにウィッグなんてあったの? なんて野暮な突っ込みはなしにしようぜっ!!

リエコ「手当てが終わるまでお静かにと言った筈です」
寮長「はぁ、でも、今赤ちゃんの……」
リエコ「ユカさんには当分安静が必要です」
リエコ、それだけ言って再び診察室に引っ込む。
しかし、声までそっくりになると言うのは、さすがにアレだが、リエコがアンドロイドだったとすれば、声帯を自由にコントロールできたとしても不思議はない。
その後、01と吸血コウモリとのバトルとなるが、口ほどにもなく、吸血コウモリはあえなくブラストエンドで粉砕される。
はっきり言って、いつもの戦闘ロボットより全然弱く、あんなに手間隙かけて作り出す意味がない。

01「吸血コウモリ背番号16は倒した、だがシャドウは必ず第二、第三の吸血コウモリを送り出してくるだろう」
勝っても油断せず、そう断言する01。
と、今度はハカイダーが現れ、性懲りもなく01に戦いを挑んでくるが、バイクで01を遠方まで引っ張りまわした挙句にドロンする。
どうやら、01を女子寮から引き離すのが目的だったらしい。
今回無駄にアクションシーンが長く、その分だけドラマの面白さが削がれているのが残念だ。
CM後、再び診察室。

ユカ「私の血からロボットの赤ちゃんが生まれたなんてデタラメなこと言わないでください」
リエコ「ユカさん、信じたくなければそれでも構いません、でもあなたの血はまだ狙われています。外出しないほうが……」
ユカ「先生、この男の子はなんですか? たとえ子供でもこの女子寮へ男性を入れちゃいけないことは先生もご存知の筈じゃありませんか」
リエコ「ユカさん……」
漸く目を覚ましたユカに、リエコはありのままを告げて自重を促すが、ユカはアキラのことを指摘して逆にリエコに食って掛かる。
窓の外には寮長や他の生徒たちが集まっていたが、ユカはリエコが止めるのも聞かずドアを開けてしまう。

寮長「秋山先生、いえ、偽の秋山先生、あなたは一体何者ですか」
リエコ「まあ、何を仰いますの?」
いきなり正体を看破されて、笑って誤魔化そうとするリエコに対し、寮長は厳然と、
寮長「よろしい、どうしてもシラを切る気なら、ごらんなさい」
寮長の言葉に応じ、生徒たちの間から出て来たのは、なんと秋山女医ではないか。
リエコ「……」
秋山「偽の秋山先生、何か言ったらどうですか」
寮長「ずうずうしいったらありゃしない、早くそのお面をお取りなさい」
こうなってはもう観念するしかなく、リエコは手早く変装を解いていつものスタイルに戻る。
寮長「秋山先生、どうしましょう? このままでは私の立場と言うものが……ひいては純心女子学園の名誉にも……」
横柄で口やかましい割りに、いざとなるとからっきし決断力のない寮長、突発的事態を前にしておろおろするだけだったが、

秋山「わかりました、寮長、私に考えがあります。まずこの二人を私たちの手で罰してやります」
リエコ「……」
悠然とそんなことを言ってリエコたちの肝を冷やしてから、意味ありげな目付きで、その場にいた女子高生たちを眺め回しつつ、
秋山「それからあなたたち、一流の女子高校だけあってあなたたちの血はとても優秀です」
ユカ「血?」
リエコ「ハカイダー!!」
寮長「は、お墓が、どうかしました?」 思わず叫んだリエコに、愉快なボケを放り込んでくる寮長。
ぶっちゃけ、今回笑えたのはこの台詞だけだなぁ。
リエコ「ハカイダーね、そんな姿に化けたって、私の目は騙せないわ」
女医「よく見破ったリエコ、そのとおりだ」
リエコに指摘されると、秋山女医の声がハカイダーの野太いものに変わり、一瞬でハカイダーの姿になる。
善と悪、それぞれのキャラが、同じ人物に化けると言うのはなかなか面白いパターンだが、本物の秋山先生、何処行っちゃったんでしょう? ネイルサロンかな?

ハカイダー「逃げられはせん、喚くな、お前たちの血と体をほんの僅かの間借りるまでだ。生きたロボット製造機としてな!!」
たくさんの女の子たちを前に、テンション爆上げで迫るハカイダー。
しかし、「生きたロボット製造機」って、なんかインビな言葉だよね。
まあ、実際にやることは、その言葉からイメージされるようなコトとは懸け離れているのだが……単に血ぃ抜くだけだからね。

吸血コウモリ「ふぇっへへへへへっ、俺は新たな人間の女によって生を受けた吸血コウモリ背番号17、これから第三、第四の吸血コウモリを、いや、お前たちの人数分の吸血コウモリを大量生産する」
と、突然、診察室の隅に二体目の吸血コウモリがあらわれる。
でも、肝心のその製造シーンが省かれているのは、なんか釈然としないなぁ……
つーか、誰が、何処で作ったのよ?
無論、これは同じスーツの背中の文字を16から17に書き換えただけの使いまわしで、いくら本人がでかいことを言っても、画面には常に一体しか登場できないのが吸血コウモリズのとてもつらい弱点なのだった。
この後、色々とどうでも良いシーンがあって、いつものようにラス殺陣となるが、01が背番号17を倒し、ハカイダーを撃退すると、今度は18号があらわれる。
なお、18号は、こともあろうに寮長の血によって生まれた怪人である。
……じゃあ、もう、女なら誰でも良かったのでは?
なんか、この辺、自分で自分の作った設定をぶち壊しているような感じだなぁ。
この一連のバトルシーン、面白くも何ともないので、

管理人のすべきことは、再びシャドウに捕まって猿轡をかまされたユカたんの画像を貼ることぐらいであった。
いやぁ、なんだかんだで、猿轡されてる女の子って良いよね!!
んで、18号もあっさり倒されるのだが、一応、それぞれの個体によって攻撃パターンが違っているのは面白い。
面白いが、何故か知らんけど常に一体しか出て来ず、そもそもベース戦闘力が弱いので間違っても01には勝てず、終わってみれば単にハカイダーが女子に狼藉を働きたいがために考え出したのではないかと邪推したくなるほど無意味な作戦であった。
戦いのあと、

ユカ「私が世間知らずでした、ワガママいっぱいに育った自分が恥ずかしい……失礼なこと言ってすいませんでした」
リエコ「いいのよ、そんなこと」
別に改心するようなきっかけも、そもそもそんな必要すらないと思うのだが、何故か、ユカがこれまでの自分の言動をしおらしく反省して、リエコたちに謝ってる図となる。
しかし、「悪の組織」に狙われてロボット製造機にされる……なんてコト、「世間」を知ってるかとか知ってないとかのレベルで処理できるような案件じゃないのだから、なんか変な角度からの反省の仕方に聞こえてしょうがないのである。
以上、最初の掴みだけは120点満点なのだが、舞台が女子寮(の診察室)に移ってから、途端にテンポが悪くなり、生彩を欠いたストーリーになってしまったのが非常に勿体無い惜しい作品であった。
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