第13話「少年殺し屋のバラード」(1977年4月27日)
中学校から、JCたちがぺちゃくちゃお喋りしながら出てくるという、およそ「ズバット」らしからぬ幕開け。

今回のヒロイン美枝子が、友達と二人、公園の中を突っ切っている。
いいよねえ、この、いかにも育ち盛りと言う体つき。

美枝子、ハッとして立ち止まる。
演じるのは、「スターウルフ」でヒロインを演じ、その爆乳で男たちの視線を釘付けにしていた谷川みゆきさん。
当時、15才くらいか。
こう見えて、脱ぎOKなのが嬉しい。

それはともかく、彼らの前にあらわれたのは、老けた不良高校生たちだった。
不良「おい、俺たち、愛が欲しいんだがなぁ」
美枝子「知るか」
じゃなくて、
不良「おい、俺たち、金が欲しいんだがなぁ」
不良「一人頭3000円、痛い目に遭いたくなかったら出しな」
美枝子「いやです!!」
不良「なんだとぉ」
いきり立つ不良たちであったが、美枝子の背後に、ウクレレを持った制服姿の少年の姿を見て、おののく。
不良「山浦京介……」
京介「そうさ、山浦京介さ、それがどうしたよっ!!」
不良「やばい」
京介がヤケクソになったように叫ぶと、よほど恐ろしい相手なのか、不良たちは尻尾を巻いて逃げ出す。
美枝子の友人もそそくさと立ち去るが、美枝子ははち切れんばかりの笑顔で駆け寄り、

美枝子「ありがとう、京介くん」
京介「なにが?」
美枝子「なにがって……私ずっと心配してたのよ、京介くん、あれっきり学校に出て来ないんだもん」
二人は旧知の間柄らしく、美枝子は恐れる色もなく話し掛けるが、京介は醒めた目をして何かを要求するように左手を突き出す。
京介「俺が助けてやったんだぜ、3000円出せよ」
美枝子「京介くん!! それじゃ今の不良高校生たちとちっとも変わらないじゃないの!!」
美枝子が声を震わせて非難するが、京介は悪びれる色も見せず、
京介「そうさ、俺は不良よりもっと悪い人殺しなんだからな!!」
美枝子「京介くん!!」
そこへ近所の住人がやってきて、口々に京介を叱り付けるが、京介はまとわりつく美枝子を乱暴に突き倒し、
京介「俺に指図する奴は誰だろうと容赦しねえぞっ!!」
と、何処からかいつもの戦闘員があらわれ、京介の代わりに住民をボコボコにする。
戦闘員「おぼえときな、さそり組の京介に逆らう奴はこうなるんだぜ」
と、美枝子が京介を庇うようにその前に立つと、

美枝子「京介くんはさそり組なんかじゃないわ!!」
無限の可能性を秘めた巨乳を震わせて真っ向から反論する。
美枝子「帰ってください、もう帰ってください」
さらに、無限の可能性を秘めた巨乳を震わせて悪党たちの前に立ち、悲鳴のような叫び声を上げる。
と、ここでやっと早川が登場、戦闘員たちをあっという間にぶちのめす。
そして朗らかな表情で二人に近付き、
早川「京介くんって言ったね、あはは、もうだいじょぶだ」
京介の肩に手を置くが、京介は野獣のような目でそれを振り払う。
早川が戸惑っていると、

住民「およしなさい、そいつはそう言う奴なんですよ」
住民「私ら、誰も相手にしてないんですよ」
住民「今だってこの美枝子ちゃんたちに……」
住民たちが親切ごかしに外野から口を挟む。
早川「まあ、事情は良く知りませんが、誤解ってものはよくあるものですよ……京介くん、俺と帰ろう」
早川、あくまで穏やかに応じると、京介を誘って歩き出す。
だが、次の瞬間、
早川「危ない!!」
美枝子「きゃっ!!」
危険を察した早川が、二人の体を突き飛ばして飛んできた矢から守る。
早川「出てきたな、三郎太」
早川、幹に刺さった矢を抜くと、相手の方を見ずに矢を投げ返す。

そこにいたのは、尺八を吹いている虚無僧であった。
早川「時代をお間違えじゃござんせんか、ええ、三郎太」
三郎太「ワシの名前を知っているとは見上げた心がけだ」
考えたら、めちゃくちゃ傲慢な台詞だよね、これ……
早川「ああ、なんでも知ってるさ、さそり組のボス・毒さそりの用心棒、ただし、尺八ボウガンの腕前は日本じゃ二番目だ」
三郎太「えっ、ワシ以外に尺八ボウガンやってる人いるの? 是非会わせてっ!!」 挑発するつもりが、逆に相手を喜ばせてしまう早川だったが、嘘である。
しかし、実際、そんなニッチな種目で一番だの二番だの言ってるの、空しくなりません?
それはともかく、場所を児童公園に移して、いつもの珍芸対決となる。
で、問題の尺八ボウガンだが、

尺八に、ボウガンの弓を取り付けたものであった。
つまり、ボウガンの持ち手が、尺八に変わってるだけである。
……
これ、普通のボウガンと同じだねーっ!!by小峠
せめて、吹き矢なら、尺八である意味もあったのだが……
それはそれとして、先攻のサブちゃん、矢を放ち、背後の幹に一度当ててから、ブランコに乗っていた男児の服に突き刺し、

別の木の幹に縫い付ける。
この間、子役がずーっと「無の表情」なのがツボである。
SEで、子供の悲鳴が入ってるので、余計に……

京介「坊や、だいじょぶか、坊や」
と、ここで、京介が飛んできて、泣いている子供を気遣うのだが、京介がほんとは心根の優しい少年だということを明かすのが早過ぎて、あまり感心できない。
それはともかく、用心棒としてはかなりレベルの高い技を披露した三郎太、誇らしげに、
三郎太「これでもワシが日本一ではないと言うのか」
早川「あんな小さな子供にひどいことをする点じゃ、日本一かな」
三郎太、尺八ボウガンと矢を早川に投げ渡し、
三郎太「何を狙ってもいいというわけではないぞ、後ろを見ろ」

美枝子「やめてーっ、助けてーっ」
振り向けば、いつの間に捕まったのか、猿轡をハメられた美枝子が回転遊具の中に縛り付けられていた。

美枝子「あああーっ!!」
さらに、その頭に風船をつけ、戦闘員たちが勢い良く遊具を回転させる。
早川「ようし」

それをハラハラしながら見守っている京介。
表面的にはニヒルな男を演じつつ、実は美枝子のことが好きな気のいいアンちゃんだと言うことがバレてしまい、これではドラマの骨組みをスタッフが自ら崩してしまうことにならないか。
何故なら、京介が本当に父親を殺したのかどうか(後述)が物語の焦点の筈なのだが、これでは、最初から京介が人殺しなどではないことが丸分かりなので、この後の展開から、意外性と言うものが失われてしまうからである。
一応、最後に早川に説得されて京介が立ち直るシーンがあるのだが、視聴者には最初から京介の非行が、見せ掛けだけのものであることが分かっているので、あくまで、いじけてむくれている駄々っ子が、感情を爆発させて保護者(早川)と和解する……程度の盛り上がりにしかなっていないのだ。
話が先走ってしまった。
それと、この、一見難易度の高そうな仕掛けだが、実はそんなに難しくないんだよね。
何故なら、遊具がいくら回転しても風船の高さは変わらないので、誤って美枝子を射てしまうおそれが少ないからである。
サブちゃんも同じことを考えたのか、狙いを定めている早川を制し、

三郎太「ちょっと待て、ワシは後ろ向きのままブランコで動く子供を狙った、お前も同じように後ろ向きのまま、あの娘の頭の風船を割ってもらう」
早川「……」
自分の場合と引き比べて、さらなるオプションを要求する。
ただ、ブランコで動く子供って言うけど、子供はほとんど静止状態だったので、若干話を盛ってる感じがする。
あと、三郎太に言われて早川がより厳しい顔になるのだが、今まで早川がやってきた物理法則を無視した滅茶苦茶な技のことを思えば、むしろ簡単な部類のミッションではあるまいか?
三郎太「日本一だと名乗ったからには出来ぬとは言わさんぞ」
早川、言われたとおり後ろに向かって撃ち、木の幹に当てて、ジャングルジムの中を通してから風船を割り、

余裕ぶっこいてる三郎太の編み笠に突き刺すという、神技を披露する。
しかし、矢って、そんなにポンポン跳ね返るもんですかねえ……
野暮なツッコミであることは重々承知だが、珍芸対決にも、最低限の説得力がないと駄目だと思うのよ。
住民「山浦京介よ」
住民「そうよ、人殺しよ」
その後、商店街の真ん中をのし歩く京介であったが、住民は目引き袖引き露骨に彼を敬遠し、係わり合いになるのを恐れて店の中に引っ込んでしまうものもいた。
そんな商店主の一人をウクレレでぶちのめしていると、

早川「京介くんっ、子供を助けてくれて、ありがとう」
一点の曇りもない笑顔を湛えた早川があらわれ、改めてさっきの礼を言う。
しかし、ここ、店主に暴力を振るった直後だけに、早川の満面の笑みに若干の違和感あり。
無言で立ち去ろうとする京介の腕を取り、
早川「おい、京介くん……」
と、背後で覆面パトカーが停まり、東条が飛び出してくる。

東条「早川、三郎太とやりあったそうだな」
早川「もう終わっちまった、心配ない」
東条「バカ、俺は巻き添えにされた子供のことを言ってるんだ」
早川「ふふ、そいつも心配ないよ、この京介くんがちゃんと助けてくれた」
東条「……」
京介「ジロジロ見んなよ、見世物じゃねえよ!!」
東条の視線に敏感に反応し、京介は怒鳴り散らしてその場を立ち去る。
早川「はっはっはっはっ」
京介の素顔を知っている早川は反抗期の子供を見るように笑っていたが、

東条「山浦京介……お前、あんな奴知ってるのか」
早川「あんな奴? おい、彼が一体何やったんだ」
東条「山浦京介は、たった一人の父親を殺したと見られている」
早川「まあ、父親はたいてい一人だがな……」
東条「おだまりっ!!」 嘘はさておき、東条によると、去年、京介の自宅で銃声がして、東条たちが踏み込むと、父親の死体の前に銃を手にした京介が茫然と立っていたと言う。
東条「状況証拠はすべて京介の犯行であることを物語っていたが、物的証拠がないために事件は有耶無耶のうちに終わってしまった」
……と言うことらしいのだが、犯行に使われた拳銃という、これ以上ない物的証拠があるので、東条の台詞に首をひねってしまう。
東条「それから京介はあの通り、父親の遺産でぶらぶら学校へも行かず遊んでいる」
早川「ふーん、本人はなんと言ってるんだ」
東条「勿論、殺したのは自分ではないと主張した。しかし警察の追及が厳しく、世間から白い目で見られるようになると、もうどっちでもいいなどと言い出した。噂では最近京介はさそり組とも付き合いだしたそうだ」

その京介が寺の境内でぼんやりしていると、美枝子がやってきてあれこれと話し掛けるが、京介は彼女の顔を引っ叩いて走り去る。
取り残された美枝子が泣いていると、早川がその肩を叩く。

美枝子「お願いです、京介くんを助けて下さい、京介くんはこのうちに独りで住んでいて、町の人に白い目で見られて、このままでは京介くん、きっとさそり組に入ってしまいます……出来るだけのお礼はします、ですから……」
管理人のような人間のクズだったら、お礼として、その無限の可能性を秘めた乳を精査させてもらうところだが、

早川「引き受けよう……お礼は、君のその涙で良い」
早川は皆まで聞かずに応諾すると、自分の白いスカーフを外して差し出し、宮内さんだからこそ許される臭い台詞を放つのだった。
その京介、手下を引き連れて歩いていた毒さそりに、喧嘩腰で声を掛ける。

京介「毒さそり!!」
毒さそり「京介、お前のカタキはとってやったぞ」
「ズバット」のボスの中でも、一、ニを争うブサイクの毒さそりであったが、この名前も、さそりと言うのは、元々毒を持ってる(と言うイメージの)生き物なので、なんか二度手間のようなネーミングである。
赤さそりのほうが良かったかな?
あと、「カタキをとってやった」と言うのは、冒頭、京介を誹謗中傷した住民を痛めつけたことをさしているのだろうが、間隔が空き過ぎていて分かりにくい。
それとも、予告編に、銀行のような建物の前で、早川が戦闘員にピストルを突きつけられて取り囲まれているシーンがあるが、実際は、この前に、早川がさそり組に襲われて負傷するなんていうくだりがあったのだろうか?
京介「俺はお前たちさそり組には関係ない、どうして俺の味方ばかりするんだ」
毒さそり「ふふ、お前が気に入ったからよ、京介、第一、お前は自分の父親を殺すほど勇気のある男だ」
京介「俺はお父さんなんか殺しちゃいない」
父親殺しを否定する京介だったが、不良なのに「お父さん」はいくらなんでもNGだろう。
毒さそりたちに「ぷーっ、お父さんだってーっ!!」とからかわれても文句の言えないところである。
無論、正解(?)は「おやじ」である。
毒さそり「町の人たちも、みんなそう思っているかな」
京介「あんな奴ら……」
毒さそり「京介、さそり組に入れば思う存分みんなに仕返しが出来るぞ」
京介「……」
京介「ばかやろーっ、ちくしょうーっ!!」
その後、誰も自分の潔白を信じてくれず、まともに相手にしてくれるのは暴力団だけと言う状況にほとほと嫌気がさしたのか、ヤケクソに喚き散らしながら雑木林の中を走っている京介。
後編に続く。
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