第11話「爆発!ウーラー街道!」(1989年5月6日)
冒頭、ウーラーたちの祈りによって、ウーラー一族の族長ウーラーボーマが復活する。
それを踏まえて、

雅也「母ちゃん、何してるの?」
母親「うん、お弁当作ってあげようと思ってね」
場面は、とある家庭の日常のヒトコマに切り替わる。

雅也「弁当?」
母親「悪いと思っていたのよ、いつも何もして上げられなくて」
……
お母さん、綺麗過ぎですっ!! これだけ若くて綺麗で細身で色っぽい母親は、戦隊シリーズ通しても、ちょっと他では思い当たらない。
演じるのは、2時間サスペンスなどで活躍していた吉佐美聖子さん。
当時29歳くらいなので、これくらいの男の子を持つ母親としては最年少記録かもしれない。

母親「でもね、今日はちゃんと持たせてあげるからね……ああ……」
雅也「母ちゃん!!」
話しているうちに、母親は急に苦しみ出してその場に座り込む。
普段から病気勝ちで、食事の支度もままならない様子である。
ただでさえ魅力の塊なのに、これに病弱属性までついたら手のつけようがないなぁ。
雅也は慌てて駆け寄り、
雅也「母ちゃん、よしなよ、まだ無理だよぉ」
母親「だいじょうぶ、ちょっと立ちくらみしただけだから」

雅也「いんだってば、母ちゃん、イマドキはさぁ、誰も弁当なんて作ってもらわないんだ」
母親「嘘おっしゃい」
雅也「本当だってば、何処へ行っても弁当は売ってるしさ。だからみんなそれを買ってくるんだ」
母親「……」
雅也「だからさ、余計な心配しないで寝てろよ、いいね、母ちゃん」
雅也、母親に心配かけまいとして、さも平気なように振舞って見せる。
無論、母親にもそんな息子の気持ちは痛いほど分かっていた。

母親「待ってえ、雅也、もうちょっとなんだから!!」
雅也、弁当が出来上がるのを待たずにさっさと出掛けてしまう。
しかし、さすがにこれじゃあ若過ぎるかもしれないよなぁ。
病身と言うことで(身繕いをする余裕がなく)髪をまとめずに垂らしているので、余計若く見えると言うのもあるんだけどね。

子供「雅也、遅いぞ」
雅也「ごめん、ごめん」
雅也、家の前に停まっていたライトバンに乗り込むが、中には、雅也と同じようにリュックを背負った子供が三人いた。
子供「父さん、もう出発して良いよ」
子供の一人が、運転席の父親に声を掛けるのだが、

功「ようし、出発!!」
そんなこったろうと思ったよ!! そう、一説には、東映作品に出てくる車の9割がたを運転しているのではないかといわれている、名バイプレイヤー&名ドライバーの鎌田功さんであった。
ちなみに、これは、学校行事ではなく、友人同士が、父親の運転する車で遠足に行く私的なイベントらしい。

母親「雅也ーっ、待ってーっ!!」
車が走り出すと同時に、雅也の母親が追いかけてくるが、車は気付かず行ってしまう。
少し走っただけで息が切れ、金網を掴んでつらそうにしゃがみこむ母親。
母親のことを気遣ったつもりの雅也であったが、かえって母親を苦しめる結果になってしまった。
これを専門用語で「このバカチンがぁ!!」と言う。
と、反対側から走ってきたのが、パトロール中の力であった。

力「どうしたんですか」
母親「すいません、このお弁当、息子に届けて頂けないでしょうか」
力「お弁当?」
母親「ええ、私、長い間病気で寝ているものですから、雅也には親らしいことを何一つしてやれなくて……」

母親「だから、せめてお弁当くらいはって思ったんですけど」
力「分かりました、すぐに届けてあげますよ、なんたってお母さんの作ったお弁当が一番ですからね。雅也君、
きっと楽しいピクニックになりますよ!!」
無論、そんな色っぽいお母さんの頼みを断れる筈がなく、力は快く引き受けてバイクをユーターンさせるのだった。
ただ、この力の最後の台詞、「古畑任三郎」や「コロンボ」だったら、刑事に怪しまれるきっかけになりそうな失言である。
何故なら、子供に弁当を届けてくれと言われただけで、子供たちがピクニックに行こうとしているなどと、超能力者でもない力に分かる筈がないからである!!
一方、ウーラーボーマが陸橋の上から行き交う車の流れを見下ろしていたが、たまたまその標的にされたのが、ライトバンwith鎌田功であった。

子供「どうだ、うまそうだろー」
子供「僕のだってほらー」
そうとも知らず、子供たちは、メシ時でもないのに自分たちの弁当を取り出して自慢し合うと言う、不毛な競争をしていた。
脚本家には悪いが、
そんな奴おらへんやろ。 あと、自慢する割りに、あんまり旨そうじゃないです。
右の子のは、ウィンナーに冷凍食品のフライがメインと言う、いかにも手の空いてるスタッフが用意しました的なテキトーさだし、左の子のは、一体なんの食材なのかもわからないカオス状態を呈している。
弁当のない雅也はひとり肩身の狭い思いをしていたが、

子供「おい、雅也、今日は焼肉弁当買うのか」
子供「ばか、そんな高いもん買うモンか」
子供「そうそう、ノリ弁かシャケ弁さ、いつだってなぁ、雅也」
子供たち「ははははっ」
そんな雅也を子供たちが全力でバカにして笑いものにする。
管理人だったら、
「のり弁とシャケ弁をなめんじゃねえっ!!」と叫びながら飛び蹴りを食らわしているところだが、大人しい雅也は無言で耐えている。
しかし、彼らの口調では、しょっちゅうこんな催しをしているみたいなのだが、さすがに不自然だよね。鎌田さんだって忙しいだろうし。
もっと変なのは、こんなムカつく連中と、なんで雅也が自分から進んでピクニックに行こうとしているか、である。
ほんとに仲の良い友達なら、逆に雅也のことを気遣うべきで、これじゃあ、ただのいじめっ子である。
あと、運転している父親が、子供たちを叱らないのも変と言えば変である。
車が国道44号線に入ったところで、力のバイクが追いつき、お弁当を雅也に渡そうとするが、そこにウーラーボーマに率いられたウーラーたちが襲ってくる。
力は車を逃がし、レッドターボに変身してウーラーたちと戦うが、なにしろその数が異様に多く、しかも倒しても倒しても地下から湧いてくるのできりがない。
そこへ太宰博士から通信が入る。
太宰「今の国道44号線が昔のウーラー街道、この道沿いにはたくさんのウーラーが封じ込められている」
シーロン「それをウーラー一族の族長ウーラーボーマが甦らせようとしているのです」
大地「どんどん出現してるぞ」
レッド「いや、してるぞ、じゃなくて、
はよ来んかいっ!!」
途中から嘘だが、レッドがピンチだと言うのに、大地たちが本部から動こうとしないのは事実である。
ウーラー街道の上にはビルや民家もあり、ウーラーボーマは地下に眠るウーラーを手当たり次第に復活させ、一帯を大混乱に陥れる。

クローゼットの中からウーラーたちが出て来て腰を抜かす住民。
これはかなりウザい、いや、怖い。

ウーラーボーマ「蘇れ、ウーラー一族、この地上を埋め尽くせ」
無数のウーラーを率いて、44号線の上に君臨するウーラーボーマ。
うーん、さすがにこんなひどい国道はないと思うが……

そこへ雅也たちのライトバンが走ってきて、ウーラーたちの格好の餌食となる。
まるっきりゾンビ映画の1シーンのようであったが、雅也以外の子供たちは、是非ウーラーたちに引き摺り出されてボッコンボッコンにされて欲しかった。
そこへ再び力が駆けつけ、雅也たちを助ける。
遅ればせながら他の4人もあらわれ、追いかけようとするウーラーたちを食い止める。
ターボレンジャーを散々苦しめた後、ウーラーボーマは一旦暴魔城に帰還する。
レーダ「ウーラー一族の力、いかがでございますか」
今回の作戦の指揮を取るレーダが、誇らしげにラゴーンに言うが、

ジャーミン「ふっ、数に者を言わせただけではないか、いかにも最下級の兵隊一族のやりそうなことだわ」
ウーラーボーマ「我らをただの兵隊よばわりはやめていただこう」
高貴な生まれのジャーミンは、露骨にウーラー一族を見下し、ウーラーボーマも色を成して反発する。
実際、その兵隊一族に毎回やられ役を押し付けている身でありながら、ジャーミンの発言は上に立つものとしてあまりに配慮に欠けたものだった。
こんなクソみたいな幹部がいる組織は、だいたい長続きしない。
ウーラーボーマ「我らは死を恐れぬ勇気とラゴーン様への忠誠心でこの世を地獄と化すのだ」
ラゴーン「うむ、死をも恐れぬ勇気と私への忠誠心、早く見せてみよ」
CM後、ウーラーボーマは再び地上に降り、「ウーラー人柱」と言う、ウーラー兵が自らの体を回転ドリルのように高速スピンさせて地中に潜り、爆発することで、地割れや地震を引き起こすと言う、文字通り「死をも恐れぬ」恐ろしい作戦を開始する。
その周辺一帯が地獄絵図と化す中、子供たちはライトバンを捨てて逃げるが、雅也ひとりだけ別方向に行き、それを助けようとした力もろとも、洞窟の中に閉じ込められてしまう。
雅也「こんな(鎌田功の運転するライトバンで行く)ピクニックなんか来なきゃ良かったんだーっ!!」
絶望のあまり、盛大に泣き喚く雅也。
力、懐に入れていた弁当が落ちていたのを拾い上げ、

力「雅也君、これ」
雅也「……」
力「お母さんが作ってくれた弁当さ」
雅也「えーっ」
力「俺はね、君のお母さんに頼まれてこれを君に届けるために追いかけていたんだ」
雅也「そうだったの?」
力「さあ、これを食べて落ち着くんだ、こんな時はね、焦ったり泣いたりするのが一番いけない、気持ちを落ち着けるんだ、さ、開いてご覧」
これで弁当を開けたら、力の懐の中で存分にシェイクされたせいでぐっちゃんぐっちゃんになっていたら笑えたと思うが、さいわい、おにぎりをアルミホイルで包んだものだったので、ほぼ原形をとどめていた。
雅也「美味しい~」
力「……」
雅也「俺、本当は母ちゃんの弁当食べたかったんだぁ」
力「ああ」
雅也「ねえ、お兄ちゃんも食べて、俺の母ちゃんの作った弁当」
力「ようし」
力もお握りを食べると、
力「なんだかパワーが出てきたような気がするぞーっ」
雅也「俺もーっ!!」
二人は入り口をふさいでいる岩を力を合わせて動かすのだった。
こうなればもう書くことはない。
洞窟から出た力は、他の4人と共にウーラーボーマと戦い、これを倒す。
ラスト、功の運転するライトバンで自宅前に戻って来た雅也を、短時間で元気になった母親が出迎える。

いやぁ、ほんと可愛いお母さんだなぁ。
弁当比べでは不戦敗の雅也だったが、お母さん選手権ではぶっちぎりの優勝であろう。

母親「雅也、怪我はなかった?」
雅也「母ちゃん!!」
母親「お帰り」
しかし、母親もテレビで例の騒動のことを知っていただろうに、劇中、息子のことを心配するシーンがあっても良かったような気がする。

雅也「母ちゃん、ありがとう、お弁当最高に美味しかったよ」
母親「……」
息子からの最高の褒め言葉に胸が詰まり、無言で幸せを噛み締める母親であった。
二人仲良く歩いていくのを見届けた力たちが、満足そうに去っていく。
以上、ストーリー自体は取るに足らないが、最高に色っぽくて可愛いお母さんの存在がきらりと光る佳作であった。
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