第8話「無敵!砂漠の魔王」(1973年8月22日)
冒頭、鉄面党のベドウィンGと言うロボットが前触れもなく市街地に出現し、コンクリートのビルを飴のように溶かしてしまう赤いガスを噴射して暴れ回る。
真理「ベドウィンGだわ、アラビアの」
大作「ニックネームは砂漠の魔王だ」
ボス「よし、攻撃だ、真理、ベドウィンGの弱点を調べろ」
SSIが話している間にも、ベドウィンGは両手からミサイルを撃ち、周辺の家屋を焼き払う。
真理がベドウィンGの資料を取り寄せる間、哲也たちはダメモトでバズーカ砲を発射するが、無論、そんな攻撃で倒せる筈がなく、猛然と反撃されて後退を余儀なくされる。
やがてレッドバロンが到着し、ロボバトルとなる。
赤い腐食ガスを避けて、垂直上昇するレッドバロンだったが、ベドウィンGもすかさず空を飛んで追撃する。
空中を舞いながら、激突する両雄。
と、真理が資料を手に仲間のところにやってくる。
真理「ボス、出ました」
ボスは資料に目を通すと、腕時計型通信機のアンテナを伸ばし、
ボス「健、ベドウィンGの弱点は腹部のビームランプだ」
健「了解、地上戦に持ち込みます」
二機は地上に降下し、レッドバロンがバロンパンチを繰り出すが、なんと、アームがベドウィンGの手前で反転して戻ってきて、自分で自分の顔を殴る羽目になる。
ボス「健、敵は磁力反射ミラーを装備している、迂闊に攻撃するとひどい目に遭うぞ」
健(聞いてない)「よーし、これならどうだ、エレクトリッガー!!」
ボスの忠告も空しく、健は何も考えずに必殺エレクトリッガーを放つが、

よりによって、両肩の磁力反射ミラー目掛けて撃ったので、思いっきり跳ね返される。
ボス、「お前はアホか!!」と怒鳴りつけたいのを必死でおさえ、

ボス「このままではやられるぞ、一時退却しろ」
健「しかし!!」
ボス「いかん、一切の武器は封じられてる、退却するんだ」
健「はい、わかりました」
心配そうにレッドバロンを見ている真理が可愛いのである!!
ただ、磁力反射ミラーから離れたところを攻撃すれば通用するような気もする。
それとも、ベドウィンGの体の周り全体に磁力線を張り巡らせているのだろうか?
ともあれ、ボスに命じられてやむなく退却する健であった。
その後、SSI本部で、しけた顔を並べて考え込んでいるメンバー。
ボス「磁力反射ミラー、三年前に藤堂博士が発明に成功したが、何者かに奪われてしまった」
真理「はい、ボス」
真理、ボスにコーヒーを手渡し、

真理「それが鉄面党の仕業だったのね」
そのままレースクイーンが務まりそうなほどの美しさ!!
大きなカラーが特徴の、夏らしい白いノースリーブのシャツジャケットが、キリッとした容貌とショートカットに良くマッチして、真理の私服の中でもベスト3に入る神コーディネートなのである。
大作「そうだ、藤堂博士に頼んだらどうだろう」
大作が、妙案を思いついたように叫ぶが、真理はそのもじゃもじゃ頭を軽く叩くと、

真理「大ちゃんって全然新聞読んでないのね。博士は殺されたのよ、盗まれた時に」
大作「なんてこったい」
部屋は再び重苦しい沈黙に支配されるが、
熊野「藤堂博士は生きておるぞ」
そこに、哲也と一緒に熊野警部が入ってきて、意外な言葉を口にする。
大作「あーら、警部の癖に新聞も読んでないのね、嘘つき」
大作、真理の口調を真似て熊野警部をバカにするが、熊野はニコリともせず、
熊野「嘘じゃない、三年前のあの事件はワシが担当したんだ、あの時、博士は重傷を負ったが奇跡的に命を取り留めたんだ。だが、博士のたっての希望で死亡と言うことにしたんだ」

真理「ボス、ベドウィンGです!!」
と、ピアノ型コンピューターの前に座っていた真理が叫ぶ。
見れば、譜面台のモニターに再びベドウィンGが街中で暴れている様子が映し出されていた。
血気盛んな健は勝ち目もないのにレッドバロンで出撃しようとするが、ボスに止められ、哲也と大作を除くみんなで、山奥に隠棲している藤堂博士に協力を求めに行くことになる。
なお、さっきから真理の画像ばっかり貼ってるような気がしますが、わざとです。
熊野「こぶな釣りし、かの川~♪」
ところが、一分一秒を争う事態だと言うのに、道案内役の熊野警部は、路傍の花に目を奪われたり、小さな池のそばで歌を歌ったり、まるっきり緊迫感が感じられない。
健「警部ぅ」
熊野「急いてはことをなんとやら……」
イライラして健がせっつくが、

熊野「それーっ!!」
熊野警部、いきなり手にしたアイテムから白いガスを噴射して、物陰に潜んでいたハイカー風の男に浴びせる。
熊野が手にした扇子を投げつけると、健も同時にナイフを投げつけ、男の心臓に突き立てる。
で、この男性が、物陰でウ○コしていた、ただの登山客だったら、SSIが「わや」になるところだったが、さいわい、彼らを見張っていたメカロボであった。

熊野「さぁすがはSSIだ」
熊野、扇子と一緒にナイフを拾い上げると、感心しながら健に投げ返す。
扇子にちゃんと熊の絵が描いてあるのが芸が細かい。
ほどなく一行は、山の中腹に建つロッジ風の建物に辿り着く。
だが、建物に近付いた途端、テラスから何者かがショットガンの銃口を向けてくる。

熊野「危ないっ」
咄嗟に熊野警部が防弾傘を広げ、みんなはその背後に固まって銃撃をやりすごす。
ちなみに射撃音は、明らかにサブマシンガンである。
熊野「こりゃまたご丁寧な歓迎だな」
真理「鉄面党かしら」
と、中年男性が熊野の前に両手を広げて立ち、銃撃手に向かって叫ぶ。

藤堂「ツトム、やめなさい、撃ってはいけない」
その男性こそ藤堂博士であった。
藤堂「いやぁ、どうも、とんだ失礼致しました」
熊野「いやぁ、博士、お元気のようで何よりです」
熊野は健たちを博士に紹介すると、

熊野「いやぁ、ツトム君、大きくなったね~」
ツトム「……」
階段を上がったところに座っている、車椅子の少年に声を掛ける。
そう、さっきの銃撃は彼の仕業だったのである。
しかし、熊野警部が防弾傘を持っていたからいいようなものの、下手すりゃ皆殺しにされて番組が終わっていたところである。
鉄面党の襲撃を警戒してのことだろうが、こんな子供に実弾入りの銃を持たせるなど、正気の沙汰ではない。
それはともかく、熊野警部の言葉に無言で笑って見せるツトムを演じるのは、次回作「マッハバロン」でレギュラーを務めることになる名子役・内海敏彦さんである。
ボス「実は博士、磁力反射ミラーの……」
藤堂「科学の話でしたら、お断り致します。私はもはや科学者ではないのですから」
ボスが用件を切り出すが、藤堂博士は皆まで聞かずに断り、ブスッとした顔で階段を上がっていく。
健「待ってください、博士」
ボス「藤堂博士!!」
藤堂博士によると、三年前、鉄面党に襲われた際、父親が銃撃を浴び、母親が惨殺されるところを目撃したショックで、ツトムは口が利けなくなったと言う。
藤堂「歩くことさえ出来ないんです、私がこの子にしてやれるのはこうしてそばについていてやることだけです。お願いします、私たち親子をどうかそっとしておいてください」
しかし、失語症になると言うのは分かるのだが、ショックで歩けなくなると言うのは、なんか納得がいかない話である。
ともあれ、藤堂にそう言われては、熊野たちも沈黙せざるを得ない。
重苦しい表情で二人を見遣るメンバーの顔がアップになるが、

無論、管理人が貼るのは真理だけでした。
文句あっか?
ツトムは、スケッチブックにサインペンで何か書いていたが、それを父親に見せる。

そこには、平仮名だけの拙い文字で、こんなことが書いてあった。
激しいショックを受けたような面持ちでそれを凝視していた藤堂は、
藤堂「マパパ、うの、やって、つけめんが食いたい?」 ボス「普通に読めよ、普通に」 ……と言うようなしょうもないギャグを堂々と書けるような人間に、私はなりたいby賢治
あ、もう、なってるか。
話を戻して、
藤堂「ツトム……」
ツトム「……」
熊野「どうですか、博士、もう一度科学者としての正義を貫いては」
藤堂の心は揺れ動くが、ふと見れば、いつの間にかツトムがメカロボたちに捕まり、頭に銃を突きつけられているではないか。
熊野「つけていたのはひとりじゃなかったのか」
メカロボ「死んだはずの藤堂博士と一緒とは都合が良い、この場で全員を銃殺刑にする」

健「
元気ですかーっ!! なにっ!!」
文字通り、「この場で」彼らを銃殺していれば、鉄面党の大勝利だったと思われるが、「悪の組織」と言うのはほんとにどうしようもないもので、

わざわざ彼らを縛り、目隠しをして立たせ、正式の銃殺刑のようなどうでもいい形式を整えてから殺そうとする。
これ、要するに「逃げてくれ」って言ってるようなもんだよね。
ただ、殺される側と殺す側が、互い違いに並んだこのビジュアルだけはなかなか面白い。

そして勿論、忘れてはいけない、
真理の縛り貧乳!! CM後、案の定、間一髪で哲也と大作が駆けつけ、全員を救出する。
しかし、哲也たちが今まで何をしていたのか、その辺が良く分からない。
二人は、ベドウィンGを食い止める為に東京に残っていたのかと思ったが、それにしては熊野警部しか知らないこの場所に駆けつけているのが変だし、バックアップとして密かに彼らのガードをしていたにしては、ボスがぼやいたように、駆けつけるが遅いように思う。
ともあれ、絶体絶命のピンチを脱したSSIは、無駄に長いアクションシーンを演じてメカロボを全滅させる。
そして、息子の願いに心を動かされたのか、藤堂博士も協力を申し出て、一緒に磁力反射ミラーの対抗策を練ることになる。
と言っても、なにしろ磁力反射ミラーを開発した本人なので、それを打ち破るスクリュービームなる武器をあっさり完成させてしまう。

藤堂「磁力反射ミラーは直進してくるものをすべて跳ね返す性質を持っています。そこで開発したのがこのスクリュービームです」
藤堂博士はメカを操作して、渦巻き型のビームで、小型の磁力反射ミラーを撃ち砕いてみせる。
しかし、直進しながら飛ぼうが、渦を巻きながら飛ぼうが、おんなじコトじゃねえの? と言う気がしなくもない。
それに、だったらスクリュービームなんて使わずとも、レッドバロン自身がスピンしながら突っ込めば勝てるのでは?
優秀過ぎる鉄面党の情報網は、早くもその事実をキャッチし、報告したメカロボが憂慮するが、
デビラー「うろたえることはない、磁力反射ミラーにスクリュービームを組み合わせてみろ、まさに無敵の武器が出来上がるぞ」 デビラーは余裕たっぷりに言ってのけるが、アホが全国の視聴者にバレてしまう。
何故なら、ベドウィンGの戦う相手(レッドバロン)は別に磁力反射ミラーを装備している訳ではないのだから、スクリュービームは敵にとってはただの渦巻き型ビームに過ぎないからである。
なので、ここはスクリュービーム対策をきっちり立てるべきだったろうが、デビラーはスクリュービーム装置を敵から奪うというピントの外れた作戦を採用する。
ま、それはそれで有益なのだが、スクリュービーム装置を奪われても、また作れば済む話だからなぁ。
さて、気晴らしに外の空気を吸わせようと、健たちが車椅子のツトムを遊園地に連れて行く。
しかし、気晴らしは、ベドウィンGを倒してからで良いんじゃない?
ちょうどティーカップで、レギュラー子役たちが楽しそうに遊んでいたので、

真理「ツトム君、乗りたい?」
真理が覗き込んで尋ねると、
※下書きでは、ここに下品なギャグを書いていましたが、公開時に削除しました。 ツトム「……」
ツトムは、あえて首を横に振って笑って見せる。
熊野「遊びたい盛りなのになぁ」
大作「鉄面党が悪いんだ、ちくしょう」
などとやってると、急にティーカップが物凄い勢いで回転を始め、それを止めようと騒いでいる隙に、またしてもツトムを攫われてしまう。
これも、SSIにしてはあまりに迂闊であろう。
そもそも、ツトムが狙われる可能性は十分あるのに、こんなところに連れて来るのがおかしいのだ。
その後、デビラーは、ツトムの身柄と引き換えに、スクリュービーム装置の引き渡しを要求してくる。
藤堂博士自身は反対するが、SSIが、みすみす子供が殺されるのを看過できるはずがなく、すでにレッドバロンに装着していた装置を外し、博士と共に取引場所に向かう。
どうでもいいが、あれからベドウィンGがどんな腕白をしでかしたのか、何の説明もないのは物足りない。

そこは、廃墟となった大きな倉庫であったが、これが実に雰囲気のあるロケーションで、バックに流れる美しいピアノの旋律と相俟って、まるで大作マフィア映画のクライマックスシーンのような荘厳さを醸し出している。
メカロボたちも、律儀にツトム少年を連れてきていた。

メカロボ「そこからひとりで来い」
スクリュービーム装置の入った金属ケースを手に、ひとりで敵に近付く藤堂。
何度も言うが、白のミニスカに白のロングブーツの組み合わせが、なんとも堪りません!!
残念ながら、今回はチラはないけどね。
……あ、お客さん、待って、帰らないで!! せっかくだから最後まで読んでって!!
それはともかく、ふと思ったのだが、このシーン、銃を持っているのはメカロボだけなので、わざわざ人質交換なんかしないで、その場で博士も健たちも銃殺すれば良いのでは?
スクリュービーム装置などより、健たちの命を奪うことの方が遥かに鉄面党の利益になっただろう。

ツトム「パパ、それを渡しちゃダメだーっ!!」
ここでお約束の展開となる。
父親を思う気持ちが、ツトムの心を閉ざしていた扉を遂に開き、喋れない筈のツトムが大声で叫んだのだ。
藤堂「ツトム……」

真理「口を利いたわ!!」
それを聞いて、我がことのように喜ぶ真理タン。
藤堂も、何かに突き動かされるように走り出すが、
ツトム「それを渡したら、鉄面党をやっつけることができないじゃないかーっ!!」
ツトム、銃で頬をぐりぐりされながら、涙ながらに叫び続ける。
で、何故かメカロボは藤堂の腕を撃つのだが、

ツトム「パパーッ!!」
それを見たツトム、歩けない筈なのに、車椅子から飛び出して父親に向かって走り出す。
いや、何かをきっかけに口が利けるようになると言うのは、感覚的に納得しやすいのだが、同時に足まで治っちゃうというのは、なんか釈然としないんだよね。
しかも、三年間、一歩も歩いてないとは思えないほど力強い足取りだし……
さて、ここまでくればもう詳述の必要はあるまい。
スクリュービーム装置を改めてレッドバロンに取り付け、それによってベドウィンGを倒し、事件は解決する。
ラスト、暮れなずむ夕陽の中、藤堂博士とSSIが川のそばをゆっくり歩きながら話している。

藤堂「磁力反射ミラーは太陽熱を電気に変えるために開発したものなんですよ」
ボス「はあ」(どうでもいい)
藤堂「とんだ御迷惑をおかけしました」
ボス「いえ、博士のお陰で鉄面党に一矢報いることが出来ました、感謝してます」
藤堂「いや、今度こそ平和利用に役立てて見せます」
ボス「期待してます」(どうでもいい)
要するに、ソーラーパネルのようなものなのだろうが、それがあらゆるものを跳ね返す作用をするというのは、素人が考えてもなんか変だよなぁ。
あらゆるものをひきつける……と言うのならまだしも。
真理「あ、来た来た、自転車部隊」
真理が指差す方を見ると、土手の上を、熊野警部を先頭に、レギュラー子役たちが颯爽と自転車で走り抜けて行く。
真理「あら、ツトム君だわ」
藤堂「うん?」
さらに、彼らの後方から、いささか危なっかしい様子で、ツトムが自転車を漕いでやってくる。
藤堂「ツトム!!」
ツトム「パパーッ!!」
藤堂「ツトム、お前、いつから自転車が乗れるようになったんだ?」
ツトム「自転車警部がコーチしてくれたのさ、じゃあね!!」

元気に熊野たちを追いかけるツトム少年の背中を、満ち足りた笑顔で見送るSSIメンバーを映しつつ、終わりです。
以上、ハイテクを駆使する強敵ロボットとの戦いに、心に傷を負った少年とその父親のドラマを絡めて描いた、文句なしの力作であった。
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