第2話「大好き!ナオトお兄ちゃん」(1989年2月5日)
冒頭、バイオロンのアジト。
ギバ「ジバンめ、この私に楯突くとは良い度胸だ。マーシャ、カーシャ、奴の手がかりは掴めたのか?」
マーシャ「それが、全然なの」
カーシャ「情報が足りないのよ、ね?」
ギバの問い掛けに、タメ口で答える二人が、いかにも当時のギャルっぽくて可愛いのである!!

ギバ「むぅううう……」
ギバ、トイレで踏ん張っているような顔になり、手にしたワイングラスを握り潰すと、
ギバ「良いか、私の辞書に全然とか、足りないとか、そんな文字はないのだ、奴が刑事なら警視庁の何処かに基地があるかも知れんぞ」
バイオロン、世界征服の野望はおいといて(註・おいといてのポーズをしながら読むこと)、まずは目障りなジバン抹殺作戦を始動する。
タイトル表示後、洋子先輩が直人を乗せて、愛車のRX-7をぶっ飛ばしている。

直人「あいたっ、洋子先輩、安全運転、安全運転、どぅわーっ!!」
クラーク・ケントのごとく、洋子の前ではことさらに情けない後輩を演じて見せるジバンこと田村直人。

直人「あ、危ない、先輩ーっ!!」
洋子「意気地なし!!」 怯えまくる直人を、ピシャリと叱り付ける洋子先輩。
……
ああ、自分も洋子先輩に罵られたい!! 洋子「そんなことしたらホシに逃げられちゃう」
彼らは銀行強盗発生の知らせを受けて、現場に急行しているところなのである。

で、その銀行強盗と言うのが、老骨に鞭打って頑張っているカジケンなのである!!
二人の姿を見て、強盗は反対側に逃げ出す。
二人は走って追いかけるが、強盗が銃で反撃してくる。
洋子、地面を転がってかわすと、機敏に立ち上がり、

タイトスカートの裾を少し持ち上げてから、

お股を広げて腰を落とし、愛用のコルトガバメントを構える。
洋子先輩を代表するポージングであったが、どうせなら、スカートはもっと豪快に引っ張り上げた方が良かった。
別にスケベ心で言っているのではなく、手の動きが控え目なので、いまひとつ何をしているのか分かりづらいからである。

それはそれとして、銃を構える、凛とした洋子先輩のお顔。
もうこのショットだけで、一生先輩についていきます!! と叫びたくなる。
洋子の撃った弾は見事にカジケンの銃を弾き飛ばす。
直人「さっすが洋子先輩」
洋子「ぼやっとしてないで早く捕まえて」
なおも逃げる強盗、歩道橋を降りたところで出会いがしらにトラックに激突して宙を舞い、近くにあったドラム缶にぶつかって路上に落ち、動かなくなる。
直人「おい、しっかりしろ」
駆け寄って抱き起こす直人であったが、男は不意に目を見開くと、直人の体を凄まじい力で投げ飛ばす。
直人「なんだこいつは……」
と、反対側から別の刑事が駆けつけ、

池田「銀行強盗の現行犯で逮捕する」
お、誰かと思えば、栗原敏さんではないか。
「悪魔元帥」対「ガイラー将軍」と言う、夢の対決が実現かと思いきや、何故か強盗は、それ以上の抵抗をやめて、あっさり池田刑事に逮捕される。
池田「警視庁の池田だ、手伝いご苦労」
直人「何するんですか」
洋子「その男は私たちが捕まえたのよ」
直人「横取りなんてひどいですよ」
池田「先に手錠を打った方が勝ちなんだよ」
直人「なんだぁ……」
当然、洋子たちが抗議するが、相手は聞く耳を持たず、強盗を車に乗せてさっさと走り去ってしまう。
ショカツの刑事が命の危険を冒してまで確保しようとした犯人を、本庁の刑事に掻っ攫われてしまうという、リアル系刑事ドラマにありがちな展開である。
そして、手ブラ、いや、手ぶらでセントラルシティ署に戻って来た洋子たちを待っていたのは、鬼より怖い坂東課長の怒声であった。

坂東「馬鹿、本庁に手柄を横取りされやがって!!」
直人「でも、課長、ボクと戦ってるときは凄い力だったのに、警視庁の連中が来たら急に大人しくなっちゃったんですよ」
坂東「あのな、言い訳するんならもっと上手に言い訳しろ」
宮本信子と吉田日出子と初井言榮を足して三で割ったような顔と声の坂東課長を演じるのは、歌手が本業の渡辺マリさん。
個人的には嫌いなキャラじゃないが、やはり子供たちにはウケが悪かったのか、たったの4話で降板してしまう。
バットを振り上げる坂東を、眼鏡をかけた、いかにもエリート風の刑事がなだめるように割って入り、
村松「課長、直人に何言っても無駄ですよ、こいつ、ほんとに図体がでかいだけなんですから」

直人「洋子先輩、何とか言ってくださいよ」
直人、恥も外聞もなく洋子の小さな背中に隠れて、その袖に縋ろうとするが、

洋子「知らない、直人がグズグズしてるからいけないんでしょ!!」
洋子は、ポニーテールの頭をぶんぶん回して拒絶する。
坂東「ああ、私は頭が痛い、なんと言って署長に報告したらいいんだ、私の立場はどうなるんだ、くのやろ、どけっ!!」
坂東、バットを振り上げたままぐるぐる直人を追いかけていたが、さすがにほんとに殴るわけにも行かず、散々喚き散らして部屋を出て行く。
村松「我がセントラルシティ署きっての拳銃の名手・洋子さんも、こんなのと組んでちゃ形無しですね」
直人「こんっ……」
村松「やっぱり、洋子ちゃんにはボクみたいな腕利きじゃないと」
洋子たちの同僚で、一見クールだが実は三枚目キャラである村松清志郎が、洋子の相棒役に立候補するが、
洋子「ふんっ、清志郎さんとコンビを組むくらいなら、
死んだ方がマシよ」
洋子、グズの直人以上にインテリの清志郎を嫌っているのか、最大級の嫌悪感を示して断る。

直人「ぐしっ」
村松「厳しいお言葉……どけっ」
凹んだ村松が、直人の体を突き飛ばしてその場を離れるが、
直人「洋子先輩!!」

洋子「……」

洋子はニコッと笑って見せると、素早く体を翻し、直人を置いて何処かへ行ってしまう。
……
いやぁ、このポニーテール、最高だね!!
洋子を追いかけようとした直人の目の前に、お盆に載ったお茶が突き出される。

直人「ありがと」
美智代「直人さん、元気出して」
松本美智代と言う、刑事ドラマにしか出て来ないお茶汲みの女の子に励まされる直人。
演じるのは岡崎ゆきえさんだが、榎田さんに負けないくらいの美少女である。
直人、なおも、強盗が急に大人しくなったことに拘っていたが、本庁では、池田たちがその強盗の取調べを行っていた。
だが、男は完全黙秘を貫き、池田たちも手を焼く。
と、池田と二人きりになると、まるでそれを待っていたかのように、男が不気味な笑い声を立て始める。
顔の割りに小心の池田、ギョッとして思わず立ち上がると、強盗も立ち上がり、

中川「ふっはっはっはっはっ……」
池田「貴様ぁっ!!」
池田、カッとなってその襟首を掴むが、逆に投げ飛ばされる。
ちなみに、画像が小さいので分かりにくいが、強盗の中川が目玉を引ん剥いてへらへら笑いながら、口の中で舌をぺろぺろ動かしているのが、ガチで狂った人みたいでかなりの怖さがあり、さすがカジケンと言う感じの怪演であった。
中川は両手を叩きつけてデスクの足をへし折ると、その上に池田を乗せてのしかかり、馬鹿でかい顔を近付けて呻いていたが、その姿がネコノイドの姿に変わる。
そう、予想されてしかるべきだったが、強盗はバイオノイドの化けたものだったのである。
と、今度はその姿が、押さえている池田刑事そっくりになり、代わりに、池田刑事の体が強盗の姿に変わる。

ニセ池田「はっはっはっはっ」
攻守逆転して、今度は池田(ネコノイド)が中川(池田)の襟首を掴み、ポイと投げ捨てる。
簡単に言えば、外見はそのままで、二人の人格が入れ替わってしまった訳である。
しかし、このシーン、ちょっと納得が行かない。
バイオノイドが自らの体を自由に変えられるのは分かる。でも、その能力と、相手の体を別人に変えてしまうのとは、全然違う話ではないかと思うからだ。
ニセ池田「ドクター・ギバ、計画通り警視庁に潜入しました」
それに、ニセ池田の台詞でその目的が警視庁に入り込むことだと分かるが、そんな能力があるのなら、こんな七面倒臭い計略を行わずとも、最初から池田刑事に狙いをつけて拉致し、その顔と体をコピーしてしまえば済む話ではないか。
一方、直人は下宿先の五十嵐医院に戻ってくる。
庭では、五十嵐夫婦が仲良くテニスの練習をしていた。

母親「お帰りなさい」
父親「日曜日なのに仕事? 大変だねえ」
直人「どうも」
母親「今日は何か事件あった? 強盗とか、殺人とか」
父親「おいおい、物騒なこと言うなよ」
屈託なく直人と世間話を交わす、いかにも人の良さそうな五十嵐夫妻。
美人の奥さんを演じるのは、バイオロンのマスコット・ムクの声も演じている太地琴絵さんである。
なお、彼らは、直人の正体がジバンであることも、自宅の地下にジバン基地があることも知らないのだ。
……いや、家からVTOLのスパイラスが出撃したらさすがに気付くだろ。
と、建物の陰からまゆみが顔を出し、慌てた様子で直人を呼ぶ。
直人がジバン基地に行くと、都内で爆弾事件があったとのことで、

アナ「爆破される直前、警視庁や各テレビ局に犯人から予告電話があり、その中でジバンに爆破したことを伝えろという謎の言葉があり現在警察で言葉の意味の解明を急いでおります……」
女性アナウンサーの説明と共に、記者会見している警察幹部の姿が映し出されるが、
幹部「ところで、このテーブル、狭くね?」 会見の途中、重大な事実に気付く警察幹部であったが、嘘である。
狭いのはほんとだけど。
まゆみ「どういうこと、お兄ちゃんに伝えろって」
直人「恐らくバイオロンの仕業に違いない、しかし、なんのためにこんなことを?」
と、たまたまテレビに映っていたニセ池田刑事が、頬についたハチをむしゃむしゃ食べるという、それこそ、前回の岩城さんではないが、カマキリ奇械人みたいなことをして、図らずもその正体を暴露してしまう。
しかし、カエルやカメレオンとかならともかく、猫の怪人であるネコノイドがそんなもん食べるだろうか?
気になった直人は、直ちに警視庁に行き、留置されている中川の姿をした池田に会うが、

池田「君、来てくれたか、聞いてくれ、俺は犯人じゃない、刑事の池田だ、池田なんだ。中川は怪物で、俺と入れ替わったんだ。信じてくれ!!」
必死で訴える池田であったが、さすがのジバンにも、見ただけではそれが池田なのか、中川なのかは分からなかった。
その後、直人とまゆみが喫茶店でケーキを食べていると、洋子がやってきて、

洋子「何よ、直人、こんなところに呼び出して」
直人「あ、紹介します。僕が下宿してる大家さんのお嬢さんで、まゆみちゃん」
まゆみ「よろしく」
洋子「よろしく」

洋子「可愛いわね」
まゆみ「ありがとう」
……
いいえ、あなたのほうがずっと可愛いです!! 洋子「ところで、大事な話ってなんなの」
直人「それそれ」
直人、洋子のそばに移動して、池田のことを耳打ちする。

洋子「えっ、怪物と人間が入れ替わった?」
直人「今の刑事はバイオロンの怪物で、捕まってる強盗が本物の池田刑事だと思うんですよ」
洋子「ちょっと待って、バイオロンの怪物って一体何のこと?」
直人「もぉ覚えてないんですか、この間洋子先輩を捕まえた悪い奴らですよ」
洋子「でも、池田刑事がバイオロンの怪物だとして、警視庁に潜入して何をするつもりかしら」
まゆみ「警視庁の爆破じゃないかしら」
洋子「そんなことしたら世の中混乱するじゃない」
直人「それが狙いだと思うんです。そうすればバイオロンはますますやりやすくなる……でも、それだけかな?」
直人が考え込んでいると、店内のテレビで喋っていた女性アナウンサーが急に苦しみ出したかと思うと、

アナ「見ているか、ジバン、今日の午後三時ちょうど、警視庁を爆破する!!」
ただいま27連勤!! みたいなメイクになり、声もドクター・ギバの声になってジバンに対する挑戦状を叩き付ける。
まゆみ「大変、三時までにあと20分しかないわ」
洋子「グズグズ出来ないわ、直人」
即座に警視庁に向かおうとする洋子を呼び止め、
直人「おかしいと思いませんか、いくら爆弾を仕掛けても、警視庁の力をもってすれば、必ず発見すると思うんです、先輩、ニセモノの池田刑事を調べてください」
洋子「オッケイ」
いささか物分かりが良過ぎる気もするが、洋子は直人の指示に笑顔で応えると、爆弾の発見ではなく、池田刑事をマークするために警視庁へ行く。
CM後、爆弾の捜索をしている警官たちを尻目に、洋子は地下の機械室に降りて、挙動不審の池田刑事を発見する。
洋子「やっぱりあなた、バイオロンだったのね」
池田「はっはっ、何を言う、俺は警視庁の池田だ」
洋子「それじゃあ、ちょっと痛いけど、試させて頂くわ」

洋子、コルトガバメントを抜くと、銃口を池田に向ける。
で、いきなり相手の体に何発も弾丸をぶち込むのだが、さすがに無茶過ぎるのでは?
もし池田が本物の人間だったら、殺人罪になるではないか。
せめて、手とか足とか、当たっても死なない場所にして欲しかった。
ま、それ以前に、池田がニセモノと言うのは、直人の証言だけで具体的な証拠があるわけでもないのに、この状況で洋子が池田をバイオロンだと決め付けるのは、明らかに変である。
ドラマとしても盛り上がらないので、ここは、直人の話を信じずに洋子が池田と一緒に爆弾の捜索をするが、その途中で池田自ら正体をあらわす……みたいな感じのほうが良かったと思う。
それはともかく、ニセ池田は銃を撃たれても平然としており、洋子先輩の綺麗な顔に掌底を食らわして逃げ出す。
床に倒れた洋子であったが、その視線の先に問題の爆弾があるのに気付く。
無論、これは、ニセ池田がわざと爆弾が見つかるよう仕向けたのだろう。
洋子「誰か来てーっ、爆弾を発見したわーっ!!」
洋子の叫びに、爆発物処理班が駆けつけ、爆弾の解除に取り掛かる。
ギバの狙いは、爆弾騒ぎでジバンを警視庁におびき出し、そこに長距離ミサイルをぶちこんで建物ごと撃破するというものだったが、いつまで立ってもジバンが現れないので痺れを切らし、予定より早くミサイルを発射させる。
レーダーでミサイルの接近を知った警官たちは、刑事ドラマではまずありえないことに、爆弾を放置してさっさと逃げ出してしまう。
無論、責任感の塊のような洋子先輩がその尻馬に乗る筈もなく、ひとり現場に踏み止まる。

洋子「待って、この爆弾はどうするのよ、もうーっ、どうなっても知らないからっ!!」
洋子、やむなく自分の手で爆弾を解除しようとする。
ジバンはスパイラルを発進させてミサイルを追跡、安全な場所に誘導した上で撃ち落とす。
洋子も、残り一秒で見事に時限装置を止め、警視庁を救う。
この後、「あぶない刑事」にも良く出てきた廃墟に場所を移し、ラス殺陣となる。
ジバンがネコノイドを倒すと同時に、留置場の池田刑事が、本来の姿に戻ったことは言うまでもない。
言うまでもないが、よくよく考えたらこれも変だよね。
ネコノイドの力で中川の姿に変えられたとしても、ネコノイドが死んだからって元に戻る訳がないからである。
毒蛇に噛まれた人が、その毒蛇を殺したからって助からないのと一緒である。
ラスト、お手柄の洋子を直人がねぎらい、洋子が「ああーん、怖かったよ、直人ーっ!!」と、前回のようにツンデレモードに入って直人に抱きついてくれると嬉しかったのだが、何故か洋子先輩ではなく、まゆみと踊りながら勝利を喜んでいる直人の姿が映し出されて終わりです。
「ジバン」、まゆみ役がもっと可愛い子役だったら、言うことなかったんだけどなぁ。
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