第36話「激突! 友情のタックル」(1988年11月5日)
冒頭、なんでそんなことになったのか不明だが、勇介たち5人が、純一の高校のグラウンドの端っこに立ち、ラグビー部の練習を見学している。
勇介「へー、ラグビーの練習っつうのも結構厳しいもんなんだな」
純一「うん、特にうちの高校のラグビー部は厳しいんで有名なんだ」
勇介が感心したように言うが、ラグビーの練習が厳しいのは、だいたい予想できることで、そんなに感心することでもないと思うんだけどね。
これが、
勇介「へー、華道部の練習っつうのも結構厳しいもんなんだな」
純一「うん、毎年剣山を頭に食らって何人も死んでるんだ」
とかなら、勇介が唸るのも分かるんだけどね。

めぐみ「ねえ、純一もまた高校に戻ってラグビーがしたいんじゃない?」
めぐみが囁くように聞くと、
純一「そりゃね、姉ちゃんの仇をとったら、思いっきりボールを蹴ってやる」
そう、純一は現役の高校生だったが、目下、戦隊活動のために休学しているようなのである。
一応高校生で戦隊ヒーローとは、当時としては、これは初のケースではあるまいか。
「マスクマン」のアキラも同じくらいの年齢だが、高校に通うという描写はなかったからね。
戦隊シリーズもこのあたりからどんどん低年齢化が進んで、次回作「ターボレンジャー」では、遂に5人とも高校生と言う設定になってしまうのだが、代役とは言え、30代の伴さんが演じていた「バトルフィーバーJ」などと比べると、まさに隔世の感がある。
個人的には、高校生が混じっててもいいが(特に、田山真美子さんみたいな美少女なら大歓迎)、リーダーは一応大人に演じて欲しいと言うのが管理人の個人的願望である。
純一が、昔の仲間たちと旧交を温めていると、

突然、耕運機(?)に乗った、純一と同じくらいの少年があらわれる。
一体ここまでどうやって来たんだ? などと言う野暮なツッコミは願い下げだぜっ!!
純一「稔!!」
稔「親愛なる我が友たちよ、練習ごくろう、ほら、差し入れだ!!」
そう言うと、用意してきたバヤリースの瓶を火炎瓶のように投げつける。
さらに、グラウンドに踏み込んで耕運機で掘り起こすと言うむちゃくちゃなことをする。
純一「何故あんなことを?」
選手「知らなかったか? ほら、何時だったか練習中に足を折ったろ、あれ以来ずっとあんな調子なんだよ」
しばらく部から遠ざかっていた純一に、他の選手が説明してくれる。
その後、稔が松葉杖を担いで歩いて帰っていると(註1)、純一が追いかけてくる。
註1……耕運機はどうしたんだよっ? なんていう野暮なツッコミはなしにしようぜっ!!
稔、慌てて松葉杖を下ろし、怪我人のふりをして歩き出す。
純一はすぐ追いつき、

純一「稔、お前、その足……」
稔「ふん、よくも俺の前に顔を出せたもんだな、純一」
純一「……」
稔「お前のせいで俺は……」
恨みがましい目で純一を睨みつける稔の脳裏に、かつて練習試合の最中、純一のタッケルを受けて足首を骨折してしまった時の情景がありありと浮かび上がる。
稔「お前のせいだ、お前のせいで、俺は二度とラ
クビーが出来ない体になったんだ」
純一「そんな……もうとっくに治っているものと思っていたのに……」
純一がそのことをすっかり忘れていたことから、実際、稔の怪我は大したことはなかったのだろう。
稔「お前なんかに俺の気持ちは分かるまい!! 勝手にクラブをやめ、ぷいっとどっかに行っちまうような奴にはな!! どけ、裏切り者」
稔、鬼の形相で罵ると、松葉杖で純一の体を押しのけて帰っていく。
もっとも、稔の怒りは純一への恨みと言うより、不甲斐ない自分自身に向けられたものであることが、後に分かる。
……
え、もうオチが分かっちゃったって?
奇遇ですね、僕もなんです。
一方、練習を終えた部員たちが部室に戻ると、何の説明もなく、真新しいユニフォームの入った紙袋が置かれていた。
なにしろ脳筋の彼らは、1ミリたりとも怪しまずにそのユニフォームを着てみる。
せめて、汗を流してからにしろよ……
と、部室の壁を壊してヨロイヅノーと言う頭脳獣が飛び込んできて巨大な一つ目から不思議な光を放ち、一瞬でユニフォームを青銅色のプロテクターに変える。
苦しそうに床に倒れた部員たちの顔が徐々に怪人っぽくなっていき、遂には理性を失った野獣のようになってしまう。

マゼンダ「ふっ、私の可愛い坊やたち……」
続いてマゼンダがあらわれるが、まさに狼の群れに羊を放つようなもので、たちまち、肉欲の塊と化した汗臭い部員たちに襲われ、よってたかってあんなことやこんなことをされて、お嫁さんに行けない体にされてしまったそうです。
……と言うような妄想をせっせと育てている管理人にハゲ増しのお便りを送ろう!!

翌朝、まだ朝靄の立ち込めている時間帯に、散らばった瓶の破片を集めたり、土を均したり、ひとりで黙々とグラウンドの整備をしているものがいた。
他ならぬ稔であった。
なんだかんだで気が咎めたのだろう。
しかし、部員たちの反応からして、あんなことをしたのは昨日が初めてではないようだったが、いちいち悪戯をするたびに自分で後片付けをしているのだとしたら、ただのアホである。
ふと目に付いたラグビーボールに、我慢できなくなったように駆け寄ると、ほとんど頬擦りせんばかりに、息を吐いて服の袖で拭き始める稔。
だが、親友の純一は、そんな稔の行動をすっかりお見通しで、
純一「やっぱり治ってたんだな、お前の足」
にこやかに笑いながら、その背後にあらわれる。

稔「純一……」
純一「覚えてるか、俺たちの最後の試合? 俺の8トライにお前が9トライ、だったな」
稔「お前が8トライ、俺が10トライだ!!」
純一「教えてくれ、どうしてそんなお前が怪我の芝居なんかしていたんだ?」
しかし、二人とも部の中ではトッププレーヤーと言うことなのだが、その体つきがどう見てもそんな風に見えないのは、ドラマとは言えちょっと悲しい。どっちかって言うと、短足だし……
温和な純一は、怒りも見せずにまた一緒にプレーしたいと申し出るが、

稔「やめてくれ、もうダメなんだよ、俺は……怖いんだ、ラ
クビーが……あの日、怪我をしてからボールを握るのが怖いんだ」
稔はネットに掴まりながら、自分のほんとの気持ちを打ち明ける。
などとやってると、早朝からごくろうさんです!! のヨロイヅノーがあらわれ、純一の体を土管置き場に連れ去る。
純一はグリーンサイに変身して戦うが、物陰からそれを見ていた稔は、初めて純一が戦隊活動をしていることを知るのだった。
と、あの鎧をまとい、ヨロイヅノーの操り人形と化した筋骨逞しい部員たちが戦場に雪崩れ込んでくる。

純一「佐山、遠山!!」
細かいことだが、昨日から行方不明だったのなら、父兄たちが騒いでるよね。
マゼンダ「今の彼らに名前はない、貴様を地獄に送る使者なのだ」
殺到するかつてのチームメイトの前に、抵抗できずに後退するだけのサイであったが、そこへ何も知らないファルコンたちが飛び込んできて、容赦なく蹴散らす。
ファルコン「行くぞ」
サイ「やめてくれ、奴らは俺のクラブメイト、友達なんだ」
ファルコン「なにっ」
なおも攻撃しようとするファルコンたちを、サイが懸命に止める。
サイ、後方で文字通り目を光らせているヨロイヅノーに気付いて、
サイ「そうか、あの触角、あれでみんなを操ってるのか」
と言うのだが、
これの何処が「触角」なんだぁ~~~っ!! 普通に「目玉」で良かったと思うが。
サイがすぐにライブラスターをぶち込み、ドルフィンも矢を射込むが、すべて跳ね返される。

どうでもいいが、マゼンダの衣装って、良く見たらかなりのハイレグで、下にタイツさえ履いてなければかなりのエロさなんだよね。
もったいないなぁ。スタイル良いのに……

マゼンダ「ヨロイヅノーは、どんな衝撃も弾き返す、貴様たちの攻撃など花びらがふりかかるようなもの、はっはっはっはっ……」
あと、マゼンダ、最初の頃より綺麗になったような気がする……
……はうっ!! ひょっとして、俺様、マゼンダに惚れてるのか?
ともあれ、ラグビー部員たちのスクラムチャージを受け、ボールのように吹っ飛ばされる5人。
しかも、純一は、土管に叩きつけられた時の衝撃で、右足を負傷してしまう。
ひとまずグラントータスに引き揚げ、純一の傷の手当をするめぐみたち。

鉄也「ボルトめ、きたねえ手使いやがって」
純一「一体どうすれば……」
どうでもいいが、この画像、手前の金属製の手摺の上に、ちっちゃな丈が立ってるように見える……
勇介はコロンに指示してモニターに戦いの記録映像を表示させる。
勇介「あの触角、あの触角さえ破壊することが出来れば……」
と、キーボードを叩いてなにやら分析していたコロンが打開策を提示する。

コロン「全く不可能ではないコロン、確かにヨロイヅノーの耐久レベルはとても高い、でもより凝縮されたエネルギーを一点に集中させることができれば可能性はあるコロン」
丈「できるのかよ、そんな武器が」
純一「やってみてくれ、コロン」
いや、バイモーションバスターで撃てば良いのでは?
ここは、後述するように、ヨロイヅノーにはビーム技が効かず、ラグビーボールのような物体を直接ぶつけないと勝てないと言うような、「チェンジマン」の「走れ!ペガサス!」同様、視聴者も納得できる状況を作り出して欲しかったところだ。
一方、ヅノーベースでは、ビアス様がマゼンダにお褒めの言葉を掛けていた。
ビアス「ふふ、見事に人間どもを戦士に変えたようだな、マゼンダ」
もっとも、それくらいのことは別に誰でも出来ることなので、むしろ、ライブマンの攻撃をことごとく跳ね返すヨロイヅノーの堅牢さこそ褒め称えるべきではあるまいか。

マゼンダ「はっ、彼らに与えたユニフォームはヨロイヅノーの皮膚で出来ております、あれを身に付けたものはヨロイヅノーの操り人形、その上、彼らは昔、グリーンサイの友人たち」
ケンプ(すげー目付きだな) じゃなくて、
ケンプ「友情が故、ライブマンたちは手が出せん」
ケンプも、マゼンダの作戦を褒めそやすようにつぶやく。
ただ、仮にそれが見ず知らずの人間であっても、結果は同じことじゃないかと……

めぐみ「陽性子爆弾?」
コロン「ええ、そう、グラントータス総エネルギーの1/3を凝縮して作るコロン」
さて、グラントータスでは、コロンが研究室に移動して、なんとなく物騒な兵器の開発に取り掛かっていた。
その影響か、電力供給が不安定になって照明が明滅しだす。
勇介「コロン、これ以上エネルギーを消耗すればグラントータスの機能は麻痺してしまうぞ」
コロン「だからこの爆弾は一発しか作れない」
丈「一発? この一発を奴の触角に命中させなきゃならねえって訳か」
純一「失敗は許されない一発勝負……」
めぐみ「ありがちよね~」 純一「……」
……と言うのは嘘だが、ほんと、ありがちである。
純一は、かつてのラグビーの試合のことを思い出し、
純一「残り時間なし、同点決勝のゴールキックと……」

純一「勇介さん、みんな、この役目、俺にやらせてくれ!!」
勇介「しかし、お前、その足じゃ」
純一「これぐらい大したことないよ、俺は、俺のこの手でみんなを助けてやりたいんだ。俺にやらせてくれ!! 頼む!!」
要するにただのワガママなのだが、勇介たちはその願いを聞き入れてやる。
何故なら、コロンの作っている陽性子爆弾の形がどう見てもラグビーボールだったので、そう言う話だと察したからである!!
じゃなくて、自分の手で仲間を救ってやりたいと言う純一の気持ちをむげには出来なかったからである!!
しかし、実際のところ、こんな重要な任務を、怪我している人間にやらせようと言うのは、無謀を通り越してアホのすることである。

CM後、まるで「仮面ライダー」や「V3」のごとく、純一目掛けて、勇介たちが崖の上からたくさんの岩を落とすという、めちゃくちゃな、しかもあまり意味のなさそうな特訓が行われている。
……
いや、変身しろよ。
なんで生身の体でトライしなきゃいかんのだ。

で、このシーン、絶好のチラスポットだと思われたのに、めぐみタンは警戒しているのか、あまり前に出てきてくれず、可能性すらないまま終わる。
ちくしょう。
めぐみの衣装が初期のミニスカタイプに戻ったのは喜ばしいのだが、代わりにチラ頻度が落ちているようなのが残念である。
まあ、別に森さんがチラを嫌がっているということではなく、単純にメンバーが二人増えた分、めぐみの出番も減り、同時にチラも減ったということなのだろう。
それはともかく、岩が体に当たって苦痛に呻く純一だったが、不屈の闘志で立ち上がり、
純一「みんなのタックルをかわし、出来るだけヨロイヅノーに近づかなきゃならないんだ。みんな、頼む、もう一度だ!!」
いや、部員たちは勇介たちが排除すれば良いのでは?
なんでなにもかもひとりでやらにゃいかんのだ。
つーか、そもそも人力で爆弾を投げる必要があるだろうか?
バイモーションバスターみたいなバズーカ砲で射出したほうが、絶対正確だし、確実だと思うんだけどね。
などとやってると、ラグビーボールを小脇に抱えて稔が駆けつける。

純一「稔!!」
稔「純一、お前、あんな奴らと戦って本当に勝てると思ってるのか」
純一「俺は、みんなを助けたいんだ」
稔「無理に決まってんだろ、そんな足で」
純一「……」
稔「お前、怖くはないのか」
純一「怖いさ、出来ることなら逃げ出したい、でも、だからこそそんな自分に打ち勝ちたいんだ。怖いからと言って逃げ出したくはない」
稔「……」
純一「俺はみんなを助けなければならないんだ」
稔「……」
純一の言葉に、我が身を省みるかのように沈鬱な表情で黙り込む稔。
と、そこへ、早くもマゼンダたちが再攻撃を仕掛けてくる。
勇介「マゼンダ!!」
マゼンダ「私は今日と言う日を忘れないだろう、貴様たちの命日をな!!」
ボルトの激しい攻撃にきりきり舞いする勇介たち。

めぐみの映像からズームアウトして、

5人の前後で凄まじい爆発が起き、その体がポップコーンのように弾け飛ぶ迫力のショット。
今に始まったことではないので驚きは薄いが、やっぱりアイドルクラスの女優さんがこんな激しいエクスプロージョンショットに挑んでいる姿は素晴らしい。
ただ、地面に投げ出されても、めぐみの股間はカメラの方を向いてくれず、チラは発生せず。
ちくしょう。
稔「だから、だから言ったんだ、しらねえぞ、しらねえぞ、俺は!!」
勇介たちのピンチを岩陰から見ながら、声を震わせて叫ぶ稔。
マゼンダ「やれ、ヨロイヅノー、トドメを刺すのだ」
と、そこへ、やっと陽性子爆弾を完成させたコロンがライブクーガーで駆けつけ、純一に投げ渡す。
純一、爆弾を小脇に抱えると、
変身もせずにヨロイヅノーに向かって走り出し、ビームで吹っ飛ばされる。
お願いだから変身してっ!! これと比べると、前記した「走れ!ペガサス!」の設定の実に素晴らしいことよ(詠嘆)

稔「俺はぁ、俺は何をやってんだ!!」
ともあれ、そんな純一の戦う姿に心を揺すぶられ、やっと眠っていた稔の闘志が目を覚ます。
突進してくるチームメイトを前に、茫然と立ち尽くしている純一の後ろから、稔が雄叫びを上げながら猛スピードで走ってくる。
純一「稔!!」
稔「俺に回せ、純一!! パスだ」

こうして、予定調和的に、純一と稔のゴールデンコンビが復活し、爆弾をボールに見立てて、華麗なパス回しでチームメイトたちの猛攻をかいくぐり、ヨロイヅノーへのタッチを決めるべく奮戦することとなる。
その映像に合わせて、かつての試合の様子、そして、

声援を送る女子高生たちの姿が映し出される。
……
いやぁ、それにしても、揃いも揃ってよくこんな微妙なルックスのエキストラばかり集めたものだと、スタッフの絶妙な匙加減に感服しきりの管理人であった。
ちくしょう。
色々あって、稔からパスされた爆弾を、

豪快な空中キックで蹴り飛ばす純一。
……
いや、これ、ラグビーと言うよりサッカーなのでわ?
そりゃまあ、ラグビーだってキックは大事だけどさぁ。
ともあれ、作戦は見事図に当たり、ヨロイヅノーの触角を壊したことで部員たちも元の体に戻る。
この後、ルーティン戦闘をこなして事件解決。
ちなみにバイモーションバスターで普通に倒しているのだが、さっきも言ったように、だったら最初からバイモーションバスター撃てば良かったのでは? あるいはバイモーションバスターが撃てるように、部員たちを排除する方法を考えればよかったのでは?
マゼンダの台詞からも、別に触角だけが頑丈に出来ていた訳ではないようだし……
エピローグ、再びグラウンドを訪れている勇介たち。
稔が部に復帰して、元気にプレーしているのは言うまでもない。

勇介「でも、凄かったな、爆弾をキックしたときの純一」
めぐみ「うぅん、うふっ」
文字では伝わらないが、勇介の言葉に相槌を打つめぐみの声がめっちゃ可愛いのである!!
以上、サブタイトルとお膳立てから大体オチが分かってしまうのが難点だが、スポーツと友情の素晴らしさを朗々と謳い上げた、純一のキャラにふさわしい、なかなか爽やかな後味の力作であった。
……が、とにかく出てくるのが男、男、男ばっかりなので、書いててちっとも楽しくないんである!!
せめて、ラグビー部の美人マネージャー(演・田山真美子)なんてのがいたらなぁ……
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