第7話「怪物がひそむ花びらに少女は口づけした」(1982年4月30日)
と言う訳で久しぶりの「ギャバン」のお時間です。
夜、花井フラワーセンターと言う生花店(農園?)の温室に、マクーのサムライアリモンスターが侵入する。
そこへ、パジャマ姿の小学3年生くらいの女の子がスキップを踏みながら入ってきたので、サムライアリモンスターは「セブン」のダリーのように小さくなって、手に持っていた鉢植えの薔薇の花弁の中に隠れる。
当然、鉢植えは地面に落ちる。

久美「あら、こんなところでひとりでいちゃダメでしょ、薔薇さん、おやすみなさい」
久美は鉢植えを拾い上げ、人間にするように薔薇に語りかけると、花弁に優しくキスをするのだった。
演じているのは、上原さんのお気に入り……かどうかは知らないが、「シャリバン」にもゲスト出演して、電を骨抜きにしていた片岡みえさん。
……
どうやら管理人がこのエピソードを選んだのは、これが理由だったようである。
いやね、こないだ読者の方からコメントもらって、迂闊にもこの女の子が片岡みえさんだと言うことを初めて知った次第で、改めて彼女に焦点を当ててレビューしようと思った訳なのよ。
それにしても、今まで何度となく見てきたのに、彼女だと気付かなかったとは……我ながら節穴も良いところである。
それにしても、オンエアからほぼ40年経ってるんだよなぁ。
うーむ、このロリロリ美少女も、今ではアラフィフの美熟女(希望)か……
しかし、薔薇に語り掛けるまでは分かるけど、口付けまでさせるか、フツー?
この辺は、さすが上原さんである。
何が「さすが」なのかは聞かないように。

翌朝、銀行の前に停めた車の中で、ハヤタこと黒部進さん扮するダブルマンの人間態とダブルガールの人間態が様子をうかがっていると、あの久美と言う女の子が、スカートがめくれるくらい勢い良くスキップを踏みながら、銀行の通用門までやってくる。

久美「おじさん、花井フラワーセンターですけど」
男「毎日ありがとうね、お利口さんだね」
久美、学校に行きがてら、毎日得意先の銀行に花を届けているらしい。
それにしても、赤いランドセル、赤い吊りスカート、白いハイソックスと、真性ロリコン戦士的には100点満点のスタイルである。
男はその花束を女子行員に渡し、彼女はそれを花瓶に生けるが、

その後、何故か、現金輸送の任に当たる警備会社の人間の胸に、その薔薇を一輪挿してやるのだった。
どうやら二人は恋仲らしいのだが、いくら恋仲でも、お堅い銀行でそんなことをするだろうかと言う気がしなくはない。
そして、その薔薇の中にサムライアリモンスターが紛れ込んでいたのだが、前夜のうちに、銀行に届けられるのがどの花なのかサムライアリモンスターに分かる筈がなく、どうにも釈然としないのである。
まぁ、朝になってから、銀行に届けられるものに乗り移ったとも考えられるが、その場合、一旦巨大化しなければならないだろうから、めちゃくちゃ目立つような気がする。
それに、銀行の中に入り込めたのなら、わざわざそんな七面倒臭いことをせずとも、人のいない時間帯に巨大化して、金庫の中の金を盗めば良いのでは?
それはともかく、現金輸送用のワゴンが銀行から出発すると、ダブルマンたちの乗る車も待ってましたとばかりにその後を追って走り出す。
と、ここで一旦カメラは、アバロン乗馬クラブ内のわかばたちの家に飛ぶ。
わかば「おじいちゃん、ただいまー」
陽一「おじいちゃん、今帰ったぞい」
学校から帰るなり、二人はランドセルを放り出してダイニングテーブルにつく。

陽一「おじいちゃん、腹ペコだ、早くなんか作ってくれよー」
わかば「早くぅ」
口々に祖父の豪介に催促するわかばと陽一。
こうして見ると、わかばもなかなか可愛いのだが、なんとなく、電の好みじゃないような気がする。
育ち過ぎてるからだろうか?
……
なんでここに電の名前が出てくるのだろう?
豪介「よし、美味しいハムエッグ作ってやるからな、わかば、ハム出してくれ」
わかば「はい……あれ、ないわよ、おじいちゃん」
わかばに言われて豪介も冷蔵庫の中を覗き込み、
豪介「そんな筈ないぞ……あっ、牛肉もなくなってる!! あいつだ」
わかば「あいつ?」
陽一「あいつだーっ!!」
以心伝心、陽一には豪介の言う「あいつ」が誰だか分かったようで、すぐそいつのところへ飛んで行く。

陽一「こらーっ!!」
当山「……!!」
そして、不当にも盗み食いの疑いを掛けられて陽一に頭を殴られたのが、サンドイッチを食っていた当山なのだった。
陽一「お前だな、犯人は」
豪介「このぉっ!!」
豪介もやってきて、その背中を思いっきりどやしつける。
当山「なんですか、一体もう!!」
豪介「胸に聞け、自分の胸に……食ってばかりいやがって」
こういう場合、大抵真犯人と言うのは決まっていて、

烈「腹減ったろう、ご馳走を持って来てやったぞ、うーんと食え」
案の定、食材を持ち出したのは烈で、解体中のバラックのような廃墟の中に隠れ住んでいる4匹の子犬にエサとして与える為だった。
んで、かなり不自然だが、そこを通り掛かったのが学校帰りの久美なのだった。

久美「……」
烈「よお」
烈もその存在に気付いて気さくに声を掛けるが、烈がやると全然いかがわしさがないのは、やっぱり烈の人徳と言うものだろうか。
久美はトコトコと駆け寄り、

久美「捨て犬なの?」
烈「そうなんだ、そこの河原で鳴いていたんだよ」
久美「かわいそうに……かわぁいい~っ!!」
烈に抱かれた子犬の頭を撫でて、思わず声を弾ませる久美。
それを見ていた烈は、至極あっさりと、
烈「上げるよ、好きなら」
久美「ええっ、ほんとにーっ?」

久美「わーい、わーい!!」
嬉しさのあまり、子犬を抱いてピョンピョン飛び跳ねる久美。
ああ、かわええ……
あ、勿論、犬のことですよ。
で、視聴者もすっかり忘れていた現金輸送車だが、途中であの薔薇から白いガスが噴射され、それをまともに浴びた警備員はハンドル操作を誤って、人気のない荒地に車を突っ込ませる。
すかさず、尾行していたダブルマンたちがガスマスクを被って車に駆け寄り、易々と現金の入ったケースを運び出す。
つまり、今回の作戦は、お金が欲しかったので現金輸送車を襲いましたが何か? と言う、80年代の「悪の組織」にしてはかなりプラグマティズムな作戦だったのである。
ただ、正直、護衛もついていない現金輸送車から金を奪うだけなら、何もこんな手の込んだ方法を取らずとも、ダブルマンなり、クラッシャーなりが普通に襲っても十分事足りたのではないかと思う。
体を小さく出来るサムライアリモンスターの手を煩わすのなら、前述したように、銀行の金庫とかを襲って欲しかったところだ。

久美「お兄ちゃん、私の家、この近くの薔薇園なの、遊びに来てね」
烈「そう、そのうち遊びに行くよ」
久美「約束よ」
烈「オッケイ」
烈は久美と指切りして別れるが、ジープに乗ろうとしたところ、数十メートル先で現金輸送車が擱座して、ガスマスクを付けた怪しい二人組が荷台から金属製のケースを運び出そうとしているのを目撃する。
烈が駆けつけると、クラッシャー、及びサムライアリモンスターが襲ってくる。
烈はギャバンに変身して彼らを蹴散らすが、その間にダブルマンたちは車で逃げ出す。
烈はなおもサイバリアンでしつこく追いかけるが、結局逃げられてしまう。
ただし、その際、車を自爆させているので、彼らが首尾よく現金を入手出来たのかどうかは不明である。
烈は現場に残されていた薔薇の花を手掛かりに、都内の薔薇園を虱潰しに探して回る。
ま、口で言うのは簡単だが、たったひとりでそんなことしてたら、時間がいくらあっても足りないだろう。

烈(ここの花と同じ種類だ……)
で、割と簡単に同じ種類の薔薇が栽培されている温室を発見するのだが、あまり手掛かりにはならないような気がする。
その薔薇が日本では極めて珍しい種類だった……とかなら分かるんだけどね。
無論、その薔薇園は、久美の両親が経営しているものだった。
そこに三人があらわれ、

久美「このお兄ちゃんいにもらったの、コロ」
母親「それはどうも、もう大喜びで」
烈「いやぁ、可愛がってもらえば僕も嬉しいですよ」
これが電だったら通報されていただろうが(註・そんなことありませんっ!!)、烈の朗らかな笑顔に、両親はにこやかに挨拶する。
後のストーリーを思えば、久美がどんなに花を愛しているのか、ここでそれを描くべきだったと思うが、とにかくせわしない番組で、物陰からハヤタたちが覗いているのに気付いた烈は、挨拶もそこそこにその車(自爆したものとは別)をジープで追いかけるのだった。
うーん、正直、ダブルマンたちがあそこにいる意味が分からない。
それに、短い時間でカーチェイスが繰り返されるのも感心しない。
あと、廃倉庫の隠れ家(註・奪った金が集めてある)に戻って来たダブルマンが、
「おい、ギャバンはきっとここにやってくる」と部下に言うのが、めちゃくちゃアホらしく聞こえるのは管理人だけではあるまい。
「きっと」も何もお前が連れて来たんだろーが。
ともあれ、ほどなく駆けつけた烈は、廃倉庫でひとしきりバトルするが、またしてもダブルマンに逃げられてしまう。
どちらのシーンも、奪われた金の行方について言及されないのが歯痒いが、
ドン・ホラー「しぶといギャバンめ……おたおたするな、現金強奪作戦を貫徹せよ。そしてギャバンに罠をかけ、血祭りに上げろ」
魔空城に戻って来た二人が悔しがっているところから、金は持ち帰れなかったようである。
CM後、ドン・ホラーの命令どおり、手当たり次第と言う感じで現金輸送車を襲うマクー。
一方、烈はドルギランでパトロール飛行をしていたが、

ミミー「ねえ、ギャバン、たまには踊りに行かない?」
相変わらず暢気なミミーがお尻をふりふりさせながらギャバンをディスコに誘う。
考えたら、ミミーの衣装って、当時としては貴重なミニスカなんだけど、ぜんっぜんいやらしくないんだよね。
さやか同様、立ってるだけでパンツが見える仕様なのだが、やっぱり、見せパンの色が白じゃなくてピンク色と言うのがダメなのだろう。
それ以前に、見せパンと言っても、ミミーの場合はレオタードか何かだろうしね。
烈「いいねー」
ミミー「ほんとーっ?」
烈「おう」
ミミー「うわーっ、出発!!」
と、真面目な烈が珍しくOKしたので、ミミーは思わず素っ頓狂な声を出して、烈の背中に抱きつく。
だが、好事魔多し、襲撃事件の発生を知らせる警察無線が入り、烈はディスコ行きを断念して出動する。
今度はダブルマンたちの乗る幌付きトラックをジープで追いかける烈。
さすがにチェイスシーン三連打はきつい。

それでも、ジープからトラックに飛び移り、トラックから振り落とされそうになると言う豪快なアクションを見せる。
無論、命綱はつけているのだろうが、大ちゃんには逆立ちしても出来ない芸当である。
……
なんでここに大ちゃんの名前が出て来るのだろう?

色々あって、トラックを捨てたダブルマンたちは、偶然、あの親子に会う。
今までは、てっきりあの薔薇園かと思っていたのだが、今回仔細にチェックして、ここが公園で、どうやら久美の両親は、そこの花壇に花を植える仕事をしているらしいことが分かった。
にしても、偶然の度が過ぎるよなぁ。
父親「なんです、あなたがたは?」
彼らが何をされたのかは説明されず、烈が敵を追って公園にやってくる。

烈「久美ちゃん?」
烈が走り回っていると、花壇の向こうに久美がひとりで立っているのが見えた。
烈「久美ちゃん、どうしたんだ」
久美「……」
久美は無言で、赤い薔薇の花を烈に差し出す。
烈には見えないところで、久美の両親がマクーに捕まって剣を突きつけられていることから、久美がマクーに脅されて仕方なくそうしていることがうかがえるが、正直、分かりにくい。
烈、久美に近付こうとするが、久美は怯えたようにあとずさり、

久美「来ないで!!」
烈「久美ちゃん?」
久美「来ないでーっ!!」
薔薇を差し出しながら烈を拒むという、アンビバレントな行動に出る久美タン。
いやぁ、相変わらず片岡さんは演技がうまい。
無論、これは、久美が、両親を人質に取られていても烈を助けようという、天使のようにピュアな心の持ち主であることを示しているのである。
ここまでは理解可能なのだが、続いて、誰も何もしてないのに久美が気を失ってゆらりと倒れるシーンとなると、何度見ても「?」となってしまう。
ま、あまりの恐怖に気が遠くなったのか、急にでかい声を出したので酸欠になったのだろう。

烈「久美ちゃーんっ!!」
烈はその場からダッシュして久美に駆け寄る。
杭ぃ……
烈「しっかり、久美ちゃん!!」
烈は久美の体を抱き起こして揺さぶるが、彼女が落とした薔薇を何気なく手に取ると、

烈「おわーっ!!」
花びらがひとりでに開いて、白いガスが猛烈な勢いで噴射される。
そう、花びらの中にはサムライアリモンスターが隠れていたのである。
これがドン・ホラーの言う「罠」だったのだろうが、どうにも確実性に欠ける策である。
そう言えば、烈、薔薇の花を手掛かりにして捜査していたが、結局、薔薇の花と現金輸送車襲撃事件との関連については触れずじまいで、烈がそれについて考察するシーンもなく、刑事ドラマとして見た場合、実に物足りない。
せめてミミーとの間で、

烈「この薔薇が現場に落ちていたんだ」
ミミー「ただの偶然じゃない?」
烈「いや、薔薇は毎日久美ちゃんが銀行に届けに行ってたらしい」
ミミー「すると、マクーがそれを利用して、何か仕掛けを?」
烈「ありうることだ」
みたいなやりとりがあると、「らしく」なるんだけどね。
つーか、あの警備員に話を聞けば分かることだよね。
しかるに、警備員がどうなったのか、生死さえわからないお粗末さ。
久美が薔薇を我が子のように慈しんで世話していたことも、ストーリーには関係ないまま終わってしまうし……
烈、一時的に目が見えなくなって苦戦するが、それも「蒸着」するまでのこと。
ここから長い長い、気が遠くなるほど長いラス殺陣となり、事件解決。

久美「助けてくれてどうもありがとう」
烈「あ、どうもありがとう。ああ、いい匂いだ」
去り際、久美から渡された薔薇の花束の香りを鼻腔一杯に吸い込む烈。

久美「好き? 薔薇」
烈「大好きだよ、今にここも薔薇の花で一杯になるな」
久美「ありがとう」
烈「良く似合うよ」
久美「うふふ」
烈に薔薇の花を髪に挿してもらい、嬉しそうに笑う久美。
しかし、不思議なもので、これが電だったらどんどんロリコンギャグが湧いて出るのに、烈だとそう言う気にならないんだよね。
以上、滑り出しは期待できるが、それ以降のドラマが希薄で、ほとんどの時間をアクションに埋め尽くされた退屈なエピソードであった。
以前も書いたと思うが、「ギャバン」って、いくらなんでもアクションが長過ぎる。
今回の話など、ドラマパートだけなら7、8分くらいで済むのではあるまいか。
これじゃあ25分枠の番組と変わらない。
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