第11話「13ジャックポット!! 燃えよ!友情の炎」(1977年6月25日)
冒頭、現金輸送中のバンを、歩道橋の上からデビルギャングと言うクライムの怪人が狙撃させるが、それはただの銃ではなく、注射器のような弾頭が警備員二人の体に突き刺さると、二人の体は服だけ残して煙のように蒸発してしまう。
ドライバーを失ったバンは蛇行運転をしながら暴走し、次々と対向車とぶつかって多重衝突事故を引き起こした挙句、土砂山に突っ込んで停止する。
戦闘員は手早く現金の入ったケースを水色のワーゲンに移し変えて逃走する。
たまたま現場には五郎とカレンがいたが、間に合わなかった。
なお、注射器型の弾丸は、バンのフロントウィンドウを突き破ってターゲットに命中しているのだが、ガラスにぶつかった時点で針が折れるのでは?
あと、普通の銃で撃ち殺したとしても、結果は同じだったような……
鯨井「焼け焦げたガードマンの制服から、強い酸性反応が出た」
カレン「やはりガードマンは消されたんですね」
鯨井「硫酸や塩酸の何百倍かの強力な酸で、瞬時に酸化蒸発したと思われる」
文太「そんなに強い酸があるんですか」
鯨井「まだそのような薬が発明されたとは聞いていないんだ」
五郎「物質を蒸発させる薬のことを若宮と言う友人から聞いたことがあります。会って聞いてきます」
五郎はカレンと一緒に、若宮なる人物が勤めているフジタ公害研究所へ向かう。
だが、

五郎「辞めた? 若宮は辞めたんですか?」
藤田「うん、自分でね」
五郎「それでいま、若宮は何処にいるか分かりますか」
藤田「わからん」
五郎「彼の研究はどの程度進んでいたんですか」
藤田「何故そんなことを聞くんだ?」
五郎「現金輸送車のガードマンが蒸発しました。もしかすると、彼の研究に関係があるのではと……」
藤田「知らん、ワシは研究を途中で放り出して辞めるようなやつは大嫌いなんだ」
五郎は何とか情報を聞き出そうとするが、藤田所長にけんもほろろに追い返される。
五郎「若宮はここで公害問題を研究していたんだ」
カレン「公害問題?」
五郎「ああ、彼はゴミを蒸発させる研究に打ち込んでいたんだ。都市から出る大量のゴミを処理するには蒸発させるしか方法はないといってね」
その後、今度は同じ武器で宝石店が襲われるのだが、

デビルギャング「やれっ!!」
さっきも言ったように、こんなやり方では、普通の銃で襲撃するのとなんら違いがないではないか。
たとえば、警備の厳重な施設に、換気口からガス化した蒸発剤を流し込んで警備員を皆殺しにするとか、それを使わないと実行できないような犯罪を行うべきだろう。
それはともかく、五郎たちが現場を調べていると、

店の外から中の様子を窺っている若い男がいた。
五郎「若宮!!」
それこそ、五郎が探していた若宮と言う男だった。
演じるのは、次作「バトルフィーバーJ」でバトルジャパンを演じることになる谷岡弘規さん。
五郎は若宮を追いかけ、公園の噴水の前で話す。

五郎「やめた? 蒸発剤の研究をやめたと言うのか」
若宮「そうだ」
五郎「しかし、研究所をやめることはなかったろう。それで今、何をやってるんだ?」
若宮「……」
五郎「何か困ったことがあったら言ってくれ、相談に乗る」
五郎は笑顔でそう言うが、
若宮「ない」
五郎「……」
若宮「気持ちはありがたいがな」
若宮はにべもなく五郎の申し出を断ると、さっさとその場を立ち去る。
そこへカレンが来て、

カレン「あの人が探していた若宮さんと言う人ね」
五郎「ああ、奴は変わったな……」
五郎は遠い目をして、若宮と過ごした青春時代を思い出す。
五郎「俺と若宮は学生時代、近代五種競技のライバルだった。ほとんど技術、体力共に互角……二人ともオリンピック候補選手になり毎日ハードトレーニングを続けたものだった」
五郎の台詞に合わせて、フェンシングや、

走り込みをしている二人の姿が映し出されるが、「バトルフィーバーJ」で、谷岡さんの洗濯板みたいなガリガリの胸板を見ている我々としては、そんなハードな運動して大丈夫かしら? と、心配になるのだった。
さらに、川の堤防に腰を下ろして、ギターを掻き鳴らしながら一緒に歌を歌っている二人の姿が描かれる。
要するに二人は、心を分かち合った、刎頚の友だったのである。
カレン「結局オリンピックには桜井さんが行ったのね」
五郎「ああ、だがそれは若宮が俺より劣っていたからじゃない、彼はスポーツマンとしてより学者として優れていたからさ」
カレン「研究生活に入ったの?」
五郎「理想に燃えて、公害対策の研究を選んだ」
カレン「でも今度の事件と無関係とは思えないわ」
五郎「俺もそれが気になる……」
カレンの指摘に難しい顔で頷いたあと、

五郎「カレン、尾行してくれ!!」
カレン「それ、回想シーンの前に言ってくれます?」 五郎「……」
と言うのは嘘だが、指示のタイミングがおかしいのは事実である。
もうとっくにどっか行ってるっちゅうねん!!
一方、クライムのアジトでは、

デビルギャング「マネー作戦は大成功です、東京じゅうの銀行員とガードマンはパニック状態です、いつ蒸発させられるかと」
アイアンクロー「蒸発剤をどんどん作らせ、マネー作戦を拡大せよ」
要するに今回の彼らの目的はひたすら金、金、金であった。
繰り返すが、これでは普通の強盗と変わりなく、ガードマンにとっては銃殺されるのも蒸発させられるのも同じことなので、わざわざ蒸発剤を使う必要が感じられないのが今回のシナリオの最大の欠点である。
再びジャッカー本部。

鯨井「若宮はシロじゃないのかね。彼の研究が成功したという証拠はないんだ」
五郎「私も若宮を信じたいです」
竜「だが、彼は蒸発剤の研究を打ち切って研究所を辞めた、研究成果を土産にクライムに走ったとも考えられるぜ」
五郎「そのとおりだ。しかし俺には昔の若宮がそこまで堕ちたとはどうしても思えないんだ……」
友情と任務の板挟みで苦悩する五郎であった。
一方、竜と文太は、最初の事件の現場に残された手掛かりから、現金の運搬に使われたのが水色のワーゲンだと突き止め、一台一台調べるなどと気の遠くなるようなことを言うが、個人の犯罪ならともかく、クライムと言う大組織の仕業と言うことはほぼ確定しているのだから、正直、そこまでする必要があるだろうかと言う気がする。
元々盗難車だったのかもしれないし、すでにスクラップにされたり、乗り捨てられている可能性だってある……と言うより、そう考えるのが自然だからね。
さて、どう考えても手遅れだと思われた若宮の尾行だが、
余裕で成功してましたーっ!! さすがジャッカー電撃隊!! と褒めてやりたいところだが、いかにも嘘っぽい。
それはともかく、若宮は、繁華街の一画にある、中からしょうもない歌が流れてくるキャバレー風のレストランの入り口をうかがっていたが、やがて裏手に回ってその建物に侵入しようとしているのが見えた。
カレンと合流した五郎が、その現場を押さえる。
五郎「若宮、何をしてるんだ」
若宮「……」
五郎「食事なら表から入ったらどうだ」
若宮「ボーイに雇ってもらおうと思って裏に回ったんだ」

五郎「若宮、お前、何か隠しているな」
若宮「何のことか分からん」
五郎「じゃあはっきり言おう、お前は蒸発剤の研究に成功した、違うか?」
若宮「……」
五郎「その研究結果がいま、クライムの手で恐ろしい犯罪に使われてるんだ!! 本当のことを言ってくれ!!」
埒が明かないので五郎は正面から問い質すが、若宮はさも心外そうに、
若宮「俺をそんな目で見ていたのか?」
五郎「……」
若宮「変わったのは桜井の方らしいな。昔は俺を疑ったりはしなかった」

気分を害したように憤然とその場を離れようとする若宮だったが、それを向かいのビルの上から戦闘員が狙っているに気付いて、五郎は慌てて若宮の体に飛びつき、間一髪で助ける。
……
いや、なんで肝心な時に蒸発剤使わないの?
しかも、ジャッカーの目の前で戦闘員のカッコして若宮を撃つなど、今度の一件にクライムが関与していることを自らバラすような、親切極まりない愚行ではないか。
つーか、前回も似たような突っ込み入れた記憶があるぞ。
若宮を(文字通り)消すつもりなら、もっと成功の確率の高い方法がいくらでもあると思うのだが……

CM後、三人は若宮のアパートに行き、カレンがフトモモを丸出しにして若宮の傷の手当てをしてやっている。
若宮「すまなかったな」
五郎「学生時代にも同じようなことがあったな」
五郎の言葉に、初めて若宮が笑顔を覗かせる。
それは、近代五種競技の射撃部門の控え室で、他の選手の銃が暴発して若宮に当たりそうになったのを五郎が助けたと言う、およそありそうにもない逸話だった。
若宮「反射神経じゃお前の方が上だった、だからオリンピックは桜井に任せたんだ」
五郎「研究生活に入ったお前は、念願のゴミ処理法を解決した、蒸発剤を完成してな」
若宮「……」
五郎「何処へ行けばクライムと接触できるんだ、教えてくれ」
若宮「……」
五郎「奴らはお前を殺そうとしたんだぞ」
五郎は熱意を込めて尋ねるが、若宮は相変わらず牡蠣のように口を閉ざしたまま、肩を掴んだ五郎の手を冷たく振り解く。
五郎は拳を握り締め、
五郎「わかった……もう聞かん!!」
憤然と立ち上がり、部屋を出て行く。
が、

管理人の目は、五郎のあとについていくカレンのホットパンツからはみ出る尻肉に釘付けとなるのだった。
安アパートから出て来た五郎とカレンは話しながら目の前の坂道を上がる。

カレン「怪しいのは若宮さんよ、ほっとくの?」
五郎「真実は逆だと思うな」
カレン「逆? どういうこと」
五郎「若宮は蒸発剤の研究に成功した、だがそれをクライムに流したのは彼じゃない。彼は研究所をやめさせられたんだ。蒸発剤を取り上げられてな」
二人は申し合わせたように、坂道の陰にしゃがみこむ。
ここから若宮のアパートを見張るつもりなのだ。
ちなみにここ、「魔女先生」第8話で、ひかるが生徒の家に家庭訪問しに来たときに降りてきた道だよね。
カレン「すると、藤田所長が?」
五郎「そう考えれば狙撃された理由も分かる」
しかし、この段階で一足飛びに藤田所長に目串を刺すというのは、いささか飛躍し過ぎているような気がする。
仮に若宮の研究が盗まれたとしても、同僚に盗まれた可能性だってあるわけで……
あるいは、竜が言っていたように、若宮が金欲しさに蒸発剤をクライムに売ったが、悪用されているのを知って止めようとしている可能性だってありうるだろう。
さて、待つまでもなく、若宮がアパートから出て来て何処かへ向かう。
若宮が向かった先はまたしてもあのしょうもない歌が流れてくるレストランだった。
やがて、藤田所長が店に入っていくのを見届けると、若宮は再び裏手に回る。

五郎「読めたぞ、若宮はこのレストランに藤田所長が出入りしていることを知ってたんだ」
カレン「じゃ、ここはクライムのアジト?」
若宮、裏口の前に置いてあった薦被りの酒を路上に流して捨てると、代わりに自分がその中に入り、従業員の手で首尾よく店内に運ばれる。
五郎たちは地下駐車場に侵入するが、その入った目の前に、あの水色のワーゲン(ビートル)が駐車してあったと言うのは、あまりに話が出来過ぎている。

デビルギャング「グズグズしないで地下室へ行け、蒸発剤が増産されないのでマネー作戦がはかどっていないぞ」
藤田「コーヒーを飲んでからだ」
デビルギャング「ふざけるな、ワシがアイアンクロー様に蒸発剤を売り込み、お前をクライムボスに昇格させたことを忘れるな」
ここに来て、漸く藤田がクライムボスだったことが分かる。
まあ、演じているのが外山高士さんだから、見りゃ分かるんだけどね。
だが、クライムボスと言っても成り上がり者と言うことで、むしろ怪人に扱き使われる立場であった。
デビルギャングはテーブルの下から銃を突きつけてせかすが、

藤田「文句があるならお前が蒸発剤を作ればよい。ふふ、作れはしまい」
藤田は勝ち誇った顔で言い返し、悠然とコーヒーとタバコを楽しむ。
※
その後、藤田は重い腰を上げて、秘密の通路から地下の蒸発剤製造工場へ降りていく。
それを薦被りの中から見ていた若宮の脳裏に苦い記憶が蘇る。

若宮「研究は打ち切れというんですか」
藤田「この蒸発剤はあまりにも危険過ぎる」
若宮「しかし、改良していけば……」
藤田「えらそうに言うなっ、打ち切れといわれたら打ち切るんだ」
若宮「打ち切ってどうするんですか」
藤田「それはワシが決める」
それでも若宮は引き続き研究所に在籍していたが、何度も命を狙われたので身の危険を感じ、自ら職を辞すと、蒸発剤が悪用されるのではないかと危惧し、藤田所長の動きをマークしていたのだった。
若宮は薦被りから出ると、向こう見ずにも、棒切れひとつ持って敵だらけの製造工場の中に飛び込む。

若宮「おもったとおり、ここが蒸発剤の秘密工場だったんだな」
藤田「やかましい!!」
若宮「俺に研究を打ち切らせておきながら……」
藤田「クライムに歯向かい、よくも今まで生きてこられたな、小僧、死ね!!」
棒を振り回して暴れる若宮に、白衣の戦闘員たちが飛び掛かる。
ちなみにこのセット、第9話のドリームフラワーの製造工場をほとんどそのまま流用してある。
と、そこへ、五郎とカレンが駆けつけ、

五郎「若宮、それまでだ、あとは俺達に任せろ」
五郎の頼もしい言葉に対し、
若宮「その前に助けてっ!!」 じゃなくて、
若宮「俺にこの事件の責任を取らせてくれ!!」
ただ、この台詞、どう見ても自分で責任の取れそうにない人に言われてもねえ……と言う感じで、これだけでも十分笑える。
ま、自分の命で責任を取ろうとしているのではないかと言う、穿った見方も出来るが……

二人は若宮を助けて戦闘員と戦うのだが、相変わらずくっきりはっきりと見えるカレンのブラ紐が素晴らしい。
もう、ここまで見せてくれるのなら、いっそのこと下着姿で演じてくれれば良いのに……と思うことがある。
なお、藤田はひとりだけ逃げようとしたところをデビルギャングに射殺され、あえなく殉職する。
藤田がいなくては蒸発剤が作れないと言うのに、短気なお方だ。
さて、ここまで来ればもう詳述の必要はない。
管理人に残された仕事は、

具がはみ出るんじゃないかと心配になるカレンの豪快な蹴りや、

具がはみ出るんじゃないかと心配になるカレンの豪快なアクションや、

割れ目が見えるんじゃないかと心配になるカレンの豪快な後方回転の画像を貼ることくらいである。
註・この記事の下書きを書いているとき(2021/11/7)、このあたりで停電になり、※マークからここまでのデータが飛んでしまい、書き直す羽目となる。 ちくしょう。
この後、長いだけで面白くも何ともないラス殺陣をこなし、事件は解決する。
ラスト、沈み行く夕陽をバックに、五郎と若宮がビルの屋上で再会する。

五郎「お前を疑って済まなかった」
若宮「俺は一度くらいお前に勝ちたかった、だからひとりで解決したかったんだ」
五郎「ああ」
若宮「今度こそ、安全なゴミ処理法を研究するよ」
五郎「お前なら必ず出来る」
こうして二人の麗しい友情は再び固く結ばれるのであった。
以上、色々と突っ込みどころはあるが、五郎と若宮の友情を軸にした、なかなかの力作であった。
これでもう少し意外性があるとなお良かったのだが……
なにしろ藤田所長の憎々しげな態度から、コイツが黒幕なのは見え見えで、視聴者を騙す為にも、最初に五郎たちが会った時には、もっと愛想よく振舞うべきだったろう。
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