第2話「闘いの時来たり!技は赤心少林拳」(1980年10月24日)
前回のラスト、自分でもなんだか分からないうちにスーパー1に変身して、九死に一生を得た一也であったが、谷のところにも顔を出さず、それっきり消息を絶ってしまう。
舞台変わって、小鳥のさえずりがのどかに耳をくすぐる、緑豊かな秩父連山に聳え立つ、赤心寺と言う謎の寺院があり、中国拳法を学ぶ若者たちが集まっては、修行僧たちと共に激しい鍛錬を行っていた。

それを、仏堂の端から見下ろしていた住持の玄海と、その腹心である弁慶は、
玄海「あの人たち、誰なの?」 弁慶「さあ?」
前々から気味が悪くてしょうがないのだが、怖いので注意も出来ないのだった。
嘘はさておき、そんな若者たちに混じって、

いつ日本に戻って来たのか、修行に明け暮れている沖一也の姿があった。
しかし、ナレーターが「(赤心寺)の目的とありかは誰も知らず、謎とされていた」と言ってるのだが、修行僧はともかく、若者たちは一体どうやってこの場所を知ったのだろう?
一也が、みんなと一緒に過酷な訓練を行っているシーンとなるのだが、

こんなの見せられてもちっとも嬉しくない!!
これがテニスギャルの強化合宿とかだったら最高だったのだが……
タイトル表示後、都心に店を構える谷モーターショップ、すなわち、レギュラーメンバーの拠点となる施設にカメラが飛ぶ。

谷「おい、チョロ、起きろ起きろ」
早朝、タンクトップに短パン、口髭を生やした、フレディ・マーキュリーのバッタモンみたいな格好をした谷源次郎が店から出てきて、準備体操をしながらチョロを急かす。
チョロ「もう少し眠らせてて下さいよ~」
谷「バカモン、何言ってるか、早起きをして初めて朝が来てることが分かるんだ」
チョロ「ふぁぁああ、ああ、
朝なんて来なければいいのになーっ!!」
と、いかにも眠たそうに同じような格好をしたチョロがよたよたと出て来て、人としてサイテーの台詞を天に向かって叫ぶ。
従業員のチョロ、本名は小塚政夫だが、劇中でそう呼ばれることはほとんどない、「スカイライダー」の沼さんがより自堕落になったような、愛すべきクズキャラなのである。
そう言えば、この前「シルバー仮面」見てたら、チョロが出てたけど、約10年前の作品なのに顔が同じなのが怖かった。

ハルミ「マスター」
良「おはよう」
谷「ああ、おはよう。ようし、みんな揃ったな。じゃあ出掛けるぞ」
やがて同じく従業員のハルミとその弟の良が、これまたタンクトップに短パンスタイルでやってくる。
全員タンクトップと言うのはちょっと恥ずかしいが、ハルミに関しては大歓迎である。
谷(あいつめ、あの悪戯っ子がどんな青年に成長したんだ? これは会うのが楽しみだ)
4人で池のそばを走りながら、まだ見ぬ一也の姿に思いを馳せる谷。
後に分かるが、谷だけは、おそらく玄海から連絡を受けて、一也が赤心寺に滞在していることを知っていたのだろう。
4人は石橋の前で、同じくランニングをしている顔なじみの柏木道場の門下生たちと挨拶してすれ違う。
早くもチョロがへばって休もうというのを、
良「チョロさんも、柏木道場で空手を習えばいいのに」
谷「はっはっはっはっ」
優等生の良がバカにしたようにアドバイスする。
と、その柏木道場の猛者たちが、黒い道着を来た中年の男にぶちのめされているのが見えた。
他ならぬ、ヘンリー博士を殺害し、研究所を爆破したファイヤーコングの人間態、猿渡剛介であった。
ここで猿渡がサングラスを外し、遠くから見ている谷に素顔を見せると、またすぐ掛け直すのだが、物凄く不自然である。
ここは、戦ってる最中に、サングラスが外れる……の方が良かったかな。
谷「確かあの男は……」
それはともかく、谷にはその顔に見覚えがあった。
ひとりで店に戻ると、事務所の机からファイルを取り出し、

谷「やっぱりあの男だ……ヘンリー博士を殺した猿渡だ」
挟んであった写真を見て確信する。
そう、猿渡が研究所に忍び込んだとき、監視カメラが映したものであった。
なんでアメリカで撮られた写真を、谷が持っているのかは謎だが……
また、猿渡がヘンリー博士を殺したことを知ってるのも変なのだが、電話か手紙で一也or玄海に教えてもらったのだろうか。

一方、猿渡は、道場破りをして柏木道場を乗っ取ってしまう。
怪人の人間態にしては、やることが実に人間臭い……と言うか、高度に社会的であるが、ドグマはこの地上にユートピアを建設しようと考えている「悪の組織」なので、このように、人間社会に自分たちの勢力を扶植して、じわじわとシンパを増やしていくような作戦を立てることが多いのである。
ついで、冷たい滝に打たれて精神統一している一也の苦闘の様子が映し出されるが、事情により、画像は割愛させて頂きます。
一也「おいっっっっっ!!」 でも実際、「スカイライダー」の野川愛さんならともかく、むさ苦しい男が滝に打たれているシーンなんて誰も見たくないと思うんだ。
玄海は、早く変身できるようにならねばと焦る一也を穏やかに教え諭す。

玄海「一也、焦るでない。焦っても赤心流少林拳の極意は身につかんぞ」
一也「わかっています」
玄海は、アリゾナで一也がスーパー1に変身した時の様子をその眼力で一也の心に思い起こさせると、
玄海「一也、お前がその時変身できたのは、無念無想の境地に達したからじゃ、お前は己をむなしゅうして自らの体を大気と化した、赤心少林拳の極意は気に転ずるということなり。大気を体の隅々までしみこませ、自らの肉体を大気と化することなり!! 一也、お前がこの極意を身につけたとき、何時何処ででも自らの意思で改造人間に変身できるであろう」
一也「はいっ」
玄海のありがたーい教えの途中、
一也「あっ、良く見たら変身スイッチがありました!!」
玄海「そりゃよござんした……」
と言うようなギャグを書こうとしたが、ボツにしました。
でも、実際、コンピューターで制御されていた改造人間の変身メカニズムと、赤心少林拳の極意とに何の関係があるのか、いまひとつ分からないのである。
もし改造されたのが武道とは何の関係もない人間だったとしたら、彼は永久に変身できなかったのであろうか?
また、スーパー1は元々未知の惑星での活動用に作られた実用本位の改造人間なのだから、むしろ、それこそ変身スイッチのような、コンピューターに頼らずスタンドアロンで誰でも簡便に起動できるようなシステムがあらかじめ組み込まれてしかるべきではないか。
それはともかく、一也が森の中で鍛錬しているところへ、ハルミとチョロがはるばる東京からやってくる。
無論、両者は全くの初対面である。

チョロ「あの男はマスターが言っていた沖一也じゃねえか」
ハルミ「えっ」
チョロ「何でも俺の兄貴分になる男だと言ってたぜ」(註1)
ハルミ「なるほど、なかなかイカす男じゃないの!!」
註1……そう言うことは、他人じゃなくて本人同士が決めることだと思うのだが。
物陰からその様子を見て、目を輝かせて歓声を上げるハルミに、
チョロ「ようし、俺が腕を試してやる」
対抗意識を燃やしたのか、チョロが手頃な棒を持って進み出て、背後から殴りかかろうとするが、達人の一也はほとんど無意識のうちに反撃し、

一也「えいっ、やあーっ!!」
チョロ「うう……」
強烈な一撃を食らったチョロは、あえなく目を回して木の根元に崩れ落ちる。
それを見たハルミが、

ハルミ「ひええ~」
分かりやすく寄り目になって、思わず腰を抜かしそうになるのが可愛いのである!!
ただ、正直、そんなに驚くようなことでもないと思うんだけどね。
その後、仏堂の縁側で一也に稽古をつけている玄海(そんなところで稽古するなよ……)、縁の下に隠れていたハルミたちに気付き、
玄海「出てきなさい」

チョロ「へへーっ!! へへへへ」
ハルミ「こんにちは」
弁慶「こら、ネズミども、どっから入った?」
チョロ「待ってくれ、おいらたちは怪しいもんじゃねえ」
ハルミ「そうよ、玄海和尚様に手紙を頼まれて来てるのよ」
玄海は手紙を受け取ると、素早く目を通し、

玄海「一也よ、中国拳法の名手・猿渡剛介が東京に現れた」
一也「猿渡剛介? ヘンリー博士を殺したあの男か」
言い忘れていたが、玄海役は幸田宗丸さん。
そう、つまり今回は、ドクターマンとカー将軍の夢の共演だったのである!!
もっとも、二人が絡むシーンはないけどね。
玄海「弁慶、これより一也に地獄稽古をつける」
弁慶「待ってください、老師、一也はこの山寺に来てまだ半年、地獄稽古をつけるには早過ぎます!!」
……え、半年?
そんなに経ってたのーっ?
……
よくよく聞いたら、冒頭のナレーターがちゃんと「半年後」って言ってた……
いや、ドグマはその半年もの間、何もしなかったの?
そりゃ、まあ、作戦の下準備とか、資金集めとか、アジトの建設とか、色々やることはあるだろうけど、邪魔者がいない今こそ、一挙に攻勢を仕掛ける絶好のチャンスだったのではないか。
あるいは、「悪の組織」の悲しいサガとして、かまってくれる相手が出てくるまで鳴りを潜めていたと言う可能性も考えられる。
後にテラーマクロ自身、スーパー1が生きていたことを喜んでたくらいだからね。
話を戻して、
玄海「まだやらねばならん、百人の猛者を相手に打ち倒し、赤心少林拳の極意を身につけるか、それとも破れて荒野の露となるのを恐れて逃げ出すか」
弁慶は危ぶむが、
一也「老師、地獄稽古、受けさせていただきます」
こうして、一也は、赤心少林寺名物の地獄稽古に挑むことになる。
要するに、修行僧や武道家たち、100人を相手にひとりで戦うというものである。
それはそれは恐ろしい荒稽古であったが、都合により、画像は割愛させて頂きます。
一也「おいっっっっっ!!」 で、一也はザコを片付け、弁慶をも倒し、最後は玄海との闘いとなるが、玄海は、全力疾走してからの突きを繰り出した一也の足を払い、宙に投げ飛ばす。
空中に放り出された一也は無意識のうちに変身ポーズを取り、

見事スーパー1に変身し、「お客様、お待たせしました!! スパゲティーナポリタンでございます!!」の構え(註・嘘)を取りながら着地する。
ライダー「出来た」
玄海「それだ、その呼吸だ、その呼吸を忘れるな!!」
ライダー「はい、老師、ありがとうございました」
スーパー1はすぐ一也の姿に戻ると、老師やお世話になった皆さんに丁寧に礼を言って山を降りるのだった。
どうでもいいけど、スーパー1から人間の姿に戻る場合は、どうやって解除してるんだろう?
CM後、一也はVマシーンを駆って、谷モーターショップの近くに作られた秘密の研究室、要するにアジトに直行する。
これも、一体何時そんなものを作ったのか、いささか謎である。
日本に戻ってからこっち、スーパー1になるための修行に明け暮れていたと思われるので、そんなものを作る時間的余裕があっただろうか?
まあ、作っちゃったものは仕方がないので話を進めよう。

ナレ「内部には超近代的なメカを内蔵したチェックマシンとコンピューターがあり、一也はここで改造人間としてメカを常時チェックすることになるのである」
一也、早速チェックボックスの中に入り、メカに異常がないかコンピューターに調べさせる。
しかし、半年も山に篭っておきながら、「常時チェック」もないもんだ。
それとも、修行中も、ちょくちょく寺を抜け出してはここに通っていたのだろうか?
ちなみに、ライダーが自分のメンテナンス用の施設を持っているという設定、「仮面ライダーX」の神ステーションを連想させるが、スーパー1が元々宇宙開発のために作られた改造人間だと言うのも、深海開発のために作られたカイゾーグと言うXライダーの設定に通じるものがある。
一方、谷モーターショップでは、

谷「なぁにぃ、この店を寄付しろだとぉ? バカなこと言うんじゃないよ、何言ってるんだい」
門下生「猿渡師範がここに本部道場を建てることに決定したんだ」
猿渡道場の人間が押し掛け、土地を寄付しろとめちゃくちゃな要求を突きつける。
しかし、この時点ではまだドグマは一也と谷の関係までは知ってない筈だし、そもそも彼らはスーパー1は死んだものと思っているのだから、なおさら谷を狙う理由はない訳で、それにしてはピンポイントでこの店に目をつけたのは、いささか妙である。
あるいは、単に、建設予定地の中に、たまたま谷の店が含まれていたということなのだろうか。
ともあれ、谷やハルミたちは無理やり道場に連れて行かれる。
門下生「この男がどうしても我々の命令に従いません」
谷「当たり前だ、冗談じゃないよ、全く」
男の口ぶりでは、他の地主は全て恐れをなして土地を明け渡したようにも聞こえるが、少々脅されたくらいで、そんなことをするだろうか?
普通は警察沙汰になってるよね。
谷「今繁盛してる店を寄付しろとはどういうこったい?」
猿渡「どうしても我々に従わんのか」
谷「あったりまえだい」
谷が断固拒否を貫くと、
猿渡「そおれいっ!!」 とでも言ってるような、ちょっと可愛らしいポーズで谷の顔面を蹴り上げる猿渡さん(38歳・自営業)でした。
猿渡は良を捕まえ、力尽くで承知させようとするが、そこへ颯爽と現れたのが一也であった。

一也「待てい」
チョロ「一也くん」
一也「猿渡、その子を放せ」
猿渡「沖一也、貴様、生きてたのか」
谷「一也、お前、一也なのか」
一也「一也です、ここは俺に任せてください」(棒読み)
久しぶりに見る一也の立派に成長した姿に目を見張る谷であったが、それに対する一也の反応があまりにあっさりし過ぎていて、ちょっと醒める。
ともあれ、一也、群がり寄せる門下生たちをぶちのめすと、猿渡とのリベンジマッチに挑む。
一也「来い、猿渡、赤心少林拳・沖一也が相手になる!!」
で、一也は大して盛り上がりもないまま猿渡を倒し、猿渡はファイヤーコングとなって場所を近くの原っぱに移してなおも戦う。

一也「変身!!」
頃合を見て、一也は両手を広げて前に突き出す、「かめはめ波」のようなポーズを取り、初めて自らの意思で変身する。
変身シークエンス自体は過去のライダーと大差なく、

腰のベルトのシャッターが開き、タービンが露出し、

それが猛スピードで回転して神秘的な光を放ち、

スーパー1の姿となる。

いかん、何度見てもお盆を運んでいるようにしか見えん。
カッコイイんだけどね。
ファイヤーコング「貴様は?」
ライダー「相手になるぞ、ファイヤーコング!!」
ちなみに谷たち4人が物陰からその様子を見ていたのだが、途中でチョロたちは逃げ出し、谷ひとりがその場に残る。
で、
谷「一也は仮面ライダーだったのか」
と、驚くのだが、これってなんか変だよね。
谷一人になってから一也が変身したのなら分かるのだが、それまで4人一緒にいたのだから、谷が気付いたのなら、ハルミたちだって気付かないとおかしい。
それに、実際はどう見ても、
一也変身→4人が来る→谷ひとりになる→一也がライダーだと知る
と言う流れなのだが、戦いを見ただけで、谷にライダー=一也だと分かる筈がない。
なので、谷が、あらかじめヘンリーからの電話で一也が改造人間になったことを知っていたと言うことにしておいた方が良かったかもしれない。

エレキハンド(ブルーハンド)で、戦闘員たちをまとめて片付けるスーパー1。
戦闘員が倒れるたびに、剝き出しになった機械がクローズアップされ、ことさらに彼らがロボットであることを強調している。

ついで、冷熱ハンド(グリーンハンド)から冷凍ガスを噴射してファイヤーコングの火炎放射を押し戻すと、相手のお株を奪う長高(温)火炎で反撃する。
もっとも、元々火炎放射を得意とする怪人なので、その体が耐火性に優れていることは十分考えられるので、ここはそのまま冷凍ガスで攻撃したほうが良かったかも……

ライダー「いまだ、旋風スーパーキィィィック!!」
かつてないほど高機能でバラエティーに富むギミックを有するスーパー1だが、それに頼りきりではなく、最後はきっちり伝統のキック技で決めるのがえらい。
こうして、初戦を勝利で飾ると共に、ヘンリー博士のカタキを見事に取った一也であった。
一方、スーパー1生存の知らせは、直ちにメガール将軍の下に届けられる。
メガール「なにっ、スーパー1が生きていた?」
戦闘員「ははっ」
と、不気味な鐘の音が鳴り響き、背後にテラーマクロの影があらわれる。

テラーマクロ「メガール将軍、スーパー1が生きていたと言うのはまことか?」
メガール「申し訳ありません」
テラーマクロ「はっはっはっ、良いではないか、手強い敵があってこそ我らの計画にも弾みがつくというものだ。流れ星が蘇ったとは面白いのう」
テラーマクロ、まだ序盤なので余裕のヨッチャンをぶちかますが、さすがに「弾み」はつかないと思うんですけどねえ。
なお、その台詞で、前回のラストで言及されていた「流れ星」が、ヘンリー博士ではなく一也のことを示していたことがわかる。
戦いを終えたスーパー1のもとに谷が駆け寄り、
谷「仮面ライダー!! 一也、お前は仮面ライダーだ」
ライダー「仮面ライダー?」
谷「ああ、そうとも、お前こそ子供たちが愛した仮面ライダーの生まれ変わりだ。俺は今日から仮面ライダースーパー1と呼ぶぞ」
ライダー「仮面ライダースーパー1?」
谷「ああ、仮面ライダースーパー1、仮面ライダーの誕生だ!!」
こうして「スカイライダー」同様、谷は唯一、仮面ライダーの正体を知る男として、そのよき相談役になると共に、一也やチョロたちと一緒にドグマと戦うことになったのである。
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