第4話「すてきなバラのプレゼント」(1989年2月19日)
早くもこのエピソードを紹介する時がやって参りました。
管理人が「ジバン」のレビューをしようと思った動機のひとつ、日本を代表するロリロリ特撮ヒロイン、湯原弘美ちゃんが活躍するお話である。
冒頭、篠原と言う表札の掛かった立派なお屋敷。
だが、屋敷の中はひっそりと静まり返っており、

敷地の中に作られた温室で、白衣を着た女の子が、ひとり黙々と何かの実験をしている姿があるだけであった。
湯原さん演じる篠原ユキである。
誰しも思うことだろうが、まゆみ役は、是非彼女に演じて欲しかった。
ユキは、父親の残した研究ノートを手掛かりに、赤いバラの茎から滲み出た液体を調合し、遂に目的のバラを作り出す。

ユキ「できた!! お父さん、やっと出来たわ。私、このバラで、絶対にお父さんのカタキを討ってあげる」
可愛い顔で、父親の遺影に向かって物騒なことを口走るユキ。
しかし、このシーン、バラの茎からビーカーに落ちた液体から、また別のバラが生えているのだが、感覚的にどうにも納得しにくい。
単に、液体から白い煙を上がるだけにしたほうが分かりやすかったと思う。

それはともかく、ユキは赤いバラの鉢植えを透明なガラスケースに入れて、とある場所に持って行く。
そこは、MIKS薬学研究所と言う民間の研究施設であった。
ユキは、まっすぐ稲垣と言う研究者の部屋を訪ね、
ユキ「こんにちは、おじさま」
満面の笑みを浮かべて挨拶する。
稲垣「君は?」
ユキは深々と一礼すると、
ユキ「篠原功一の娘、ユキです」
それを聞いて、稲垣はたちまち表情を和らげ、ソファをすすめる。

稲垣「ユキちゃんか、5年ぶりかなぁ」
ユキ「ええ、お父さんのお葬式以来ですから」
うう、それにしてもなんちゅう可愛らしさじゃ……
こんな虫も殺さぬ可愛い顔して、その実体が父親の復讐を企む暗殺者と言う、ギャップが堪らんのですばい!!

稲垣「で、今日は?」
ユキ「お父さんが死ぬ前まで研究していた新種のバラの研究資料が見付かったので、私、頑張って作ってみたの」
稲垣「じゃあ、このバラが?」
ユキ「新種のバラ」
ユキ、ガラスケースを外すと、
ユキ「そしたら、花から、こんなものが出来ちゃった」
と言って、ポケットから、白い粉末の入った小さな瓶を取り出して見せる。
それにしても、こんなお嬢様系美少女の口から「頑張って作った」とか、「出来ちゃった」とか言う台詞を聞くと、なんかドキッとするなぁって、管理人の部屋に住み着いている霊が言ってました。

稲垣(これは……まさに5年前、我々が篠原を中心に研究したが、完成させることのできなかった、ケシの花の麻薬より何百倍も強烈で、人間を救うことも滅ぼすこともできる超麻薬……)
瓶を手に稲垣が愕然と立ち尽くしていると、

ユキ「どう、おじさま?」
無邪気な、それこそ天使のような笑顔でユキが話し掛ける。
稲垣「で、どうやってこのバラから?」
ユキ「教えても良いけど、条件があるの」
稲垣「条件?」
ユキ「うん、5年前にお父さんと一緒にこのバラの開発研究をしていたの、おじさまの他に誰がいたか教えてくれない?」
稲垣「私のほかの人間?」
ユキ「そう、教えてくれたら、私も教えてあげるし、このバラ、あげてもいいわ」
稲垣「……」
脛に傷持つ稲垣、ユキの出した条件を聞いて警戒するような目をするが、まさかこんな可憐な少女が、自分に殺意を抱いているとは夢にも思わず、
稲垣「そうか、東都薬科大学の村井教授と薬田と言う人だ」
あっさり二人の名前を教えてやる。
それにしても、父親の残したノートを参考にしたとは言え、中学生に、バラから麻薬を精製するなんて芸当が出来るだろうか?
逆に言えば、5年かかっても成功しなかった稲垣たちが無能の集まりに見えてしまう。

ユキ「東都薬科大学の村井教授と薬田さん?」
稲垣「さ、私は教えた、君も早く教えてくれ」
ユキ「……」
稲垣の要求に対し、ユキはにっこり笑うと剪定ばさみで持参したバラを一輪切り、それを稲垣の前に差し出す。
稲垣が反射的に手を出すと、茎から、赤い液体が垂れて掌に落ちるが、その途端、
稲垣「ああああああーっ!!」 稲垣は、まるで小指をタンスの角にぶつけた時のような物凄い絶叫を迸らせる。
そのままソファの上に腰を落とすと、

全身が白い結晶体で覆われ、さらに、あたかも死者に捧げられた花のように、顔の周りに赤いバラが毒々しく咲き誇る。
その後、直人たちが捜査に駆けつけるが、
直人「心臓は正常に動いていて、命に心配がないってのは良かったですね」
直人の説明的な台詞で、稲垣が死んでないどころか、ピンピンしていることが分かり、いささか拍子抜けしてしまう。
これでは、最後に稲垣たちが治り、ユキが罪に問われないことが簡単に予想出来てしまい、ドラマの楽しさを自分から摘んでしまっているように見える。
つーか、全身の皮膚が結晶化したのに命に別状はないって、物凄く不自然である。
ドラマ的にも、せめて、まだ生きているが、放っておけば確実に死ぬ……くらいの深刻度にはしておくべきだったと思う。

洋子「でも、どうしてあんなになっちゃったのかしら」
村松「それを調べるのが俺たちの仕事、グズグズしてる暇はないぞ、必ず目撃者がいる筈だ」
そして今回もうひとつのお楽しみは、洋子先輩の刑事らしからぬセクシィーな胸元である。
直人「バラの花か……」
直人、現場に赤いバラの花びらが落ちているのに気付く。
続いて、東都薬科大学の村井教授の研究室から赤いバラのケースを抱えたユキが出て行き、

村井も、稲垣と同じくバケモノのような姿に変えられている様子が映し出される。
ちなみに村井を演じているのは名優の大木正司さんだが、これとか、回想シーンや最後に連行されるシーンにちらっと出るだけで、台詞もろくにないひどい扱いで、これではわざわざ大木さんをキャスティングした意味がない。
普通は、薬田、つまりバラノイドの人間態の役を大木さんに割り振ると思うんだけどね。
ともあれ、今度は東都大学に急行して情報収集に当たる刑事たち。

村松「すいません、村井教授について何か不審な点は?」
……
洋子先輩にもテニスギャルの格好して欲しいと思った人、手ぇ挙げて!!
おお、見渡す限り、手、手、手の海ぢゃ……

直人「またバラの花びらか……」
村井教授の部屋でも、直人はバラの花びらを発見し、こっそり持ち帰るのだが、二人の体にはバラがいくつも生えていたのだから、現場に花びらが落ちていてるのは当たり前のことなので、いまひとつピンと来ないシーンである。
二人の変わり果てた姿の写真を見て、ドクター・ギバも驚きを隠せない。
ギバ「まさに、超麻薬結晶体だ。一体誰がバラを?」
と、そこへ白いスーツの男が入ってきて、

薬田「おそらく、篠原の一人娘、ユキでございます」
ギバ「薬田、篠原の娘が作ったと言うのか?」
薬田「はい、おそらく篠原が密かに隠した研究資料を発見して作り、父親を死に追いやった稲垣と村井に復讐をしたのです」
ギバ「なるほど、次に狙われるのはお前か……バラノイド、篠原の娘から特殊バラを奪い取れ」
ギバの命を受けた薬田は、その場で、バラをモチーフにしたおぞましいバラノイドの姿に変貌する。
そう、薬田はバイオロンの一味だったのである。
ギバと薬田のやりとりの感じでは、5年前に篠原たちが共同研究していた頃から、ギバはそのことを知っていたようにも思えるので、薬田は最初からギバが送り込んだスパイだった可能性が高い。
だとすれば、バラノイドは少なくもと5年以上生きている訳で、人造怪人にしては、異例の長寿である。
しかし、ギバが、この5年間、篠原が研究資料を隠している可能性に思い当たらず、篠原家やユキを放置して来たのは、ギバにしてはあまりに迂闊だったように思える。
一方、直人は、ジバン基地に持ち帰った花びらをボーイに分析させる。
ボーイ「この花が分泌する液体は、ケシの花から出来る麻薬の数百倍もの威力を持つ超麻薬というものです」
まゆみ「おじいちゃんはこの超麻薬のコト、知っていたの?」
ボーイ「勿論です、五十嵐博士は恐れていました、遺伝子の組み換えで超麻薬を分泌するバラが作られることを……そしてギバが悪用することを」
五十嵐博士と言うのは、まゆみの祖父で、ジバンの生みの親なのだが、この時点では視聴者には何の説明もされない。
直人、ボーイから、篠原功一と言う超麻薬の研究者が5年前に謎の死を遂げていること、その篠原にユキと言う14才の娘がいることを知らされる。
直人「14才……」
こいつは調教し甲斐があるぜぇえええーっ!! と、ド変態の管理人ならコーフンするところだが、直人はロボットなのでコーフンしない。

ユキ「お父さん、お父さんが命懸けで守ったバラで、お父さんを騙し、裏切り、死に追い込んだ稲垣と村井をやっつけたわ、あとひとり薬田って奴も絶対に見つけてカタキを討つわ……」
自宅の温室で、父親の遺影に向かって語りかけているユキ。
と、玄関のチャイムが鳴り、来客を告げる。

その音に振り向くユキ。
ああ、かわええ……
だが、あらわれたのは直人ではなく、

マーシャ「篠原ユキちゃん?」
ユキ「はい」
人間の恰好をしたマーシャとカーシャであった。
カーシャ「あなた、薬田って人、探してるんでしょ?」
ユキ「……」
カーシャ「会いたいのなら、いる所に連れて行ってあげるわよ」
ユキ「あなたたちは?」
マーシャ「うふっ、誰だっていいじゃない、行くのなら、バラを持ってくるのね」
賢いようでも所詮、子供、ユキは二人に言われるがまま、ケースに入ったバラをしっかり抱えて、マーシャたちの車に乗り込む。
車が出るところを、ちょうどやってきた直人が目撃する。
直人「あのバラは……あの子がユキ……それにしてもあの女たちはなんだ? まさかギバの?」
直人、モンスター態のマーシャたちと会ったことはあるが、人間態の二人の顔はまだ知らないのである。
直人、植え込みに一旦引っ込むと、一瞬でジバンに変身して飛び出し、レゾンを呼んでその車を追跡する。
そう言えば、ジバンって、いわゆる変身ポーズや変身システムがないヒーローなんだよね。
何気に、かなりレアなのではあるまいか。
さて、ユキを乗せた車はとある施設の地下駐車場に降り、そこから機械室のような薄暗い場所に案内される。

ユキ「何処、薬田は何処にいるの?」
薬田「ここだ」
ユキの問い掛けに、機械の陰からスーツ姿の薬田があらわれる。

薬田「それが超麻薬を分泌するバラか」
ユキ「あんたが、あんたが、稲垣や村井と一緒にお父さんを殺したのね」
薬田「ふっ、篠原も、稲垣や村井のように超麻薬を愚かな人間に売って金儲けをするのに賛成すれば良かったんだ。篠原は超麻薬は正しく使うなどとほざきやがって、研究資料を隠して俺たちから逃げやがった」
薬田の台詞にあわせて、歩道橋の上で追い詰められた篠原が、薬田に首を掴まれて投げ落とされる様子が回想される。
その様子から見て、やはり、その時点で薬田はバラノイドだったようである。
恐らく、元々は普通の人間だったが、バイオロンに魂を売って、自ら進んでバイオノイドに改造されたのだろう。
しかし、だとすると、薬田が、研究資料のありかを聞き出す前に篠原を殺したのはおかしいし、前記したように、それから5年もの間、その存在を知りながら、バイオロンが研究資料を見付けることが出来なかったのは、ますますもって不自然である。
出来ないと言うより、見つけようと努力した形跡すら見当たらないんだよね。

ユキ「殺したのね、あんたたちがお父さんを殺したのね!!」
悲痛な叫び声を上げて、特殊バラを薬田にぶつけようとするユキだったが、カーシャたちに取り押さえられる。
湯原さん、激烈に可愛い上に、演技もめっちゃ上手いのである。
演技力では、まゆみは勿論、マーシャやカーシャより上なのではないかと思う。
と、そこへジバンがあらわれ、ユキを救出する。
薬田たちは、ろくに戦わずに退散するが、下手にドンパチして特殊バラを損ねることを恐れたのだろう。
……
と思ったけど、戦闘員、ユキめがけて思いっきりマシンガン撃ってるなぁ。
ジバンが体で防いだから良かったものの、もしユキが死んでバラも駄目になっていたら、特殊バラの製造法が分からなくなっていたかもしれないではないか。
ついでに言うと、無理にユキからバラを奪わずとも、稲垣と村井の体に咲いているバラを採取して分析すれば、それで済んだのではあるまいか。
ジバン「大丈夫か、ユキちゃん?」
ユキ「……」
ユキ、立ち上がって笑おうとするが、緊張の糸が切れたのか、その場で気を失う。
後編に続く。
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