第26話「南紀の死斗!! ザダム超能力発揮」(1973年11月10日)
観光地として名高い南紀白浜を舞台にした連続エピソードの前編である。
冒頭、大海原を行く「さんふらわあ」のデッキに佇むスキニーなミニスカ美女の姿を映しながら、ザダムがハカイダーたちに命令を下している。
ザダム「先月死んだ内山博士の一人娘かつらが乗っている」

ザダム「お前たちはあの女を殺せ、そしてあの女の持っている小型機械を奪ってくるのだ」
ハカイダー「ふっふっふっふっ、はっはっはっはっ」
ザダム「何がおかしいハカイダー?」
ハカイダー「役不足だ、たかが、小娘一人をどーのこーの、このハカイダー様のやることではない」
シャドウナイト「俺も降りる」
まだザダムのことを指揮官として認めていない二人は、なんと、命令を拒否してさっさとその場から出て行こうとする。
無論、ザダムがそんな勝手を許す筈がなく、
ハカイダー「うおっ!!」
左右の手に持ったトライデントをクロスさせて電撃を放ち、去りかけた二人にお仕置きする。
ザダム「ははははは、俺の念力を使えば今のように必ず01を倒すことが出来る。だが、死んだ内山博士はこの念力を遮断する念力遮断回路を発明していたのだ」
ハカイダー「なに、念力遮断回路?」
ザダム「そうだ、01の体に新しく組み込まれたらどうなる? この女は念力遮断回路を持って勝浦の学会へ向かうところなのだ」
結局ザダムの顔を立てて、命令に従う二人であった。

で、そのかつらとたまたま同じ船に乗り合わせたのが、金もないのになんでそんなもんに乗ってるんだという、ヒロシとアキラの兄弟であった。
かつらのマッチ棒みたいな体の回りをぐるぐる回って追いかけっこをする二人。

かつら「ふふっ」
そんな二人の様子を、嫌がる素振りも見せず笑顔で眺めるかつらタン。
ゲストの中ではかなりの美形&美スタイルである。

ミサオ「こらっ!! すいません、こいつらどうしようもない腕白で……」
そこへ一応保護者のミサオがやってきて二人を叱るが、かつらはニコニコと笑みを絶やさず、
かつら「あら、あたしなら平気よ、こんな素敵な船の旅ですもの、たまには子供心に帰って遊ぶのもいいわ。ね、あたしも入れて」
ヒロシ「オッケー、どうだ、姉貴、世の中にはこういう話せる人もいるんだぜー、誰かさんとは大違いだよなー」
アキラ「うん、だからお嫁さんの貰い手がないんだよ」
かつらをダシに、二人に示し合わせたように馬鹿にされて、
ミサオ「なにぃ、ようし、もう、こうなったら鬼ごっこでも何でもやってやらぁ」
ヤケクソになったように宣言し、彼らの遊びに加わる。
で、今度は鬼ごっこをやろうということになり、かつらは両手に子供たちの手を取り、鬼になったミサオから逃げて船内をあちこち走り回る。
だが、その途中、不意に天狗の面をつけた数人の男たちがあらわれ、ミサオたちに猛然と迫ってくる。

デッキの上を思いっきり笑いながら逃走中のかつらタン。
ま、この時点ではただの乗客のいたずらと言う可能性もあるとは言え、さすがにこの笑顔はどうかと思う。
にしても、スレンダーを通り越して、ガリガリに細いかつらタンの足、綺麗だと見惚れる以前に、丘野かおりさん同様、拒食症じゃないかと心配になってしまう。

男「俺はシャドウロボット背番号307、テングムササビ!!」
白いスーツのリーダー格の天狗は、そう名乗ると、天狗の面をつけたまま山伏の格好に変わる。

相手がタダモノではないと知って怯えるかつらであったが、ミニスカでそんなに活発に動くものだから、ちょっと前屈みになっただけでパンツが見えそうになるのが素晴らしいのである。

実際、逃げようとしたところを錫杖で防がれた際、一瞬だけスカートが大きくめくれ上がり、その奥に、微かに、ほんの微かに白いものが見えているのだが、これをパンチラにカウントするのは無理だろうなぁ。
男「内山かつら、お前の持っている新発明の小型機械を頂く。イヤだといえばこの三人は殺す」
ミサオ「逃げて、どうせこいつら私たち殺す気なのよ!!」
ミサオが舌っ足らずな喋り方でかつらに言うが、ここで高らかにトランペットが鳴り響き、イチローの登場を知らせる。
イチロー、ミサオたちを助けて彼らと戦うが、イチローが01になるや、天狗たちはパッと姿を消す。
その後は特に何事なく、フェリーは目的地の勝浦に到着する。
ミサオ「南紀勝浦、さすが素晴らしい景色だわ」 眼前に見えてきた海から聳える奇岩を見て、感嘆の声を上げるミサオ。
ヒッピーのように気ままでマイペースなミサオでさえ、タイアップの前にはただの善良な観光客になってしまうのである!!
タイアップの魔力、恐るべし!!
かつら「イチローさん、ほんとに危ないところ、ありがとうございました」
イチロー「いやぁ、あれくらいで諦めるような奴じゃありませんよ。むしろこれからが危険でしょう」
どうでもいいが、そもそもミサオたち、なんのために勝浦にやってきたのか、その説明が全くないのが、いくらタイアップロケとは言え、物足りない。
シャドウに狙われている身で、暢気に観光に来たとも思えないし……
こういう時、「V3」のように、ライダー少年隊と言う全国組織があると便利だよね。
その土地の隊員から主人公たちに「シャドウが何か企んでいる模様です」みたいな報告をさせれば、どこだろうと大手を振ってロケに行けるからね。
5人はともかく、超能力学会研究発表会の会場になっている「ホテルながやま」にチェックインするが、無論、彼らの動きはテングムササビたちにマークされていた。
ひとまず部屋に落ち着いたイチローたちであったが、

続いて子供たちの手を引いてホテルから出て来たかつらが、ミニスカからパンツスタイルに衣替えしてしまっているのが、大変悲しいお知らせとなります。
彼らが出て行った直後、テングムササビたちは彼らの部屋に入り込んで荷物を引っ掻き回すのだが、当然、何も出て来ない。
男「くそう、あの女め!!」
と、テングムササビはかつらの移り香が残っているミニスカワンピを握り締めて叫ぶのだが、念力遮断回路を狙われていると知りながら、そんなものを部屋に残して出て行く筈がなく、それがなかったからってかつらを罵るのは見当違いと言うものだろう。

一方、三人は、南紀ロケといえば絶対に欠かせない観光スポット「那智の滝」を教科書どおり訪れて、歓声を上げていた。
アキラ「でっけえなあ、那智の滝は」
かつら「この滝はね、高さ133メートルもあるのよ」
タイアップの鉄則に則り、観光名所の豆知識を口にするかつら。

かつら「昔の人はこの滝を神様に見立ててそいで信仰したんですって」
ヒロシ「チェッ、知ったかぶりすんなよ、今のバスのガイドさんに聞いてきたんだろう」
ヒロシ、まるでミサオに対するように乱暴な口の利き方をするが、
アキラ「兄ちゃん!!」
ヒロシ「あ、いっけねえ、つい、いつもの口癖で」
かつら「……」
ヒロシ「いってえ」
アキラに注意されて謝るが、かつらに拳骨で頭を叩かれる。
そう、かつらがわざと目立つように行動していたことからも察しがついていたが、そのかつらはミサオが化けたニセモノだったのである。
そこへ再びテングムササビたちがあらわれ、偽かつらから念力遮断回路を奪おうとする。

男「ハンドバックの中か?」
ミサオ「へんっ、冗談言わないでよ、そんなモン知るかってんだ」
偽かつら、さっきとは別人のように乱暴な口調で応じるが、テングムササビは全く気付かない。
この半田さん、どう見ても本職はモデルだと思うのだが、演技もなかなか上手いのである。

ならばと、ここで漸く怪人の姿になるテングムササビ。
と、今度はトランペットならぬギターの音が聞こえてきて、ジローの出現を予告する。
もっとも、伴さんはロケには参加しておらず、ジローのカットは全てバンク映像で、すぐにキカイダーに変身してテングムササビたちと戦う。
CM後、

その施設の名前を大写しにしてから、

ミサオたちがその中から走り出てくる様子が描かれる。
視聴者が、もし同じ場所に行こうと思った場合にも迷わないで済むようにと言う、タイアップのお手本のようなカット割である。
それに、レビュアーとしても、そこが何処なのか一目で分かるので大助かりである。
ちなみに「仮面ライダー」72話にも出て来た、この、那智山瀧見寺(那智山奥の院)だが、現在では廃寺になっているそうである。合掌。
いささか混乱してしまうが、

那智の滝の前から逃げて来た三人がやってきたのが、またしても那智の滝の前なのだった。
ひょっとして、延々と観光名所を巡り歩かねばならない、恐怖のタイアップ無限ルートに突入したのだろうか?
まあ、最初と全く同じ場所ではなく、頭上にあった赤い露台の上なんだけど、基本、同じ場所であることに違いはない。

ここで、偽かつらが精巧に出来た仮面とカツラ(紛らわしいっ!!)を脱ぎ、ミサオの姿に戻る。
ヒロシ「よせったらぁ、奴らに見られたらどうすんだよ?」
ミサオ「だって私、覚えたてだからね、リエコさんみたいに上手く行かないんだよ」
ヒロシ「ばかぁ、早く元通りに化けろよ」
ミサオは謙遜しているが、技術的には変装名人だったリエコに引けは取っていないと思う。

ミサオ「でもさ、素人にしちゃ、私の変装も大したモンだろう?」
ヒロシ「声も変えろよー」
ミサオ「う、うん、これならシャドウの方だって騙されますわ、おほほほほ」
ヒロシに言われて、ミサオは声までかつらそっくりに変え、お嬢様っぽい喋り方をしてみせる。
いや、それの何処が素人やねん。
ほとんど「ミッションインポッシブル」レベルの超絶変装ではないか。
まあ、特殊メイクなんて気の利いたものがないので、この番組における変装は、どうしてもまるで本人が演じているように完璧なものにならざるを得ないんだけどね。
一方、本物のかつらは暢気な顔でホテルの中を歩き回っていたが、それではミサオが囮になっている意味がないのでは?
せめて、イチローと行動を共にしてないと。
案の定、ロビーでたちまちテングムササビの部下たちに取り囲まれ、

咄嗟に、岩戸風呂と言う、建物から直接行けるようになっている露天風呂へ逃げ込む。

それは、細長い洞窟の先が、海に面した岩風呂になっているのだが、かつらはパンツスタイルのままその中へ入る。
ここは是非、ミニスカor全裸で演じて欲しかったなぁ。
この後、例によってイチローが助けにあらわれ、01に変身してテングムササビたちを撃退するが、

代わりにあらわれたのがザダムであった。
01「ザダム、貴様がザダムか?」
ザダム「よく知っているな、01」
ほんと、なんで知ってるんだろう?
ハカイダーも、ザダムの名はまだ01には告げていない筈だが……
ザダム、自在に姿を隠顕させて01を撹乱すると、念力で01の左腕をもいで、

その腕に01の首を絞めさせるという、エグい攻撃を仕掛けてくる。
ザダム「苦しめ、存分に苦しんで、自分の左手に殺されるが良い」
ヒーローとの初めての戦いとしては、100点満点のザダムであったが、
ザダム「お前さえ死ねばあとはテングムササビでたくさんだ。もう俺様の出る幕じゃないわ。はぁーっはははははっ」
早くも勝利を確信すると、

ザダム「イヤーッ!!」
左右の槍を天に突き上げ、
ほんとに帰りやがるのである!! ……
もう、なんと言ったらいいか……
いくら自信過剰とは言え、相手が死ぬのを見届けずに帰るなんて考えられない怠慢である。
タイタンと言い、どうしてこう悪の幹部には、
「途中で帰りたがる人」が多いのか?
果たして、ザダムが消えるやキカイダーが駆けつけ、左腕を01の首から外して元通りくっつけてやる。
その後、かつらがやってきて、
かつら「屋上から見ていました。ザダムが使ったのは念力です」
イチロー「念力を使う超能力ロボットか……ザダムとは想像以上に恐ろしい敵だ」
かつら「でも心配要りません。私は父が発明した念力遮断回路の小型機械を持っています。これさえ取り付ければイチローさんがザダムの念力にやられることはもうなくなります」
かつら、腕時計の中に隠していた機械を取り出し、惜しげもなくイチローに差し出す。
イチロー「しかし、そんなことをしたらお父さんの残した発明を学会で発表できなくなってしまう」
かつら「いいんです、どうせ頭のおかしい人たちの集まりですから……」 イチロー「なるほど」
じゃなくて、
かつら「いいんです、学会なんかで発表するよりあなたのような方に使っていただいたほうが父も喜ぶでしょう」

しかし、01だけイチローの姿になって、キカイダーはそのままと言うのは、いかにも不自然だよなぁ。
この後、タイアップの鉄則に従い、なおも暢気に観光名所めぐりをしているミサオたち。
今度はこれも「仮面ライダー」に出て来た「くじらの博物館」と言う施設へ行き、隣接するプールでイルカショーを見物していたが、そこへ本物のかつらがやってくる。

ミサオ「ダメじゃないの、こんなとこ来ちゃあ」
かつら「色々ありがとう、でももうだいじょぶなの、私もう狙われる理由なくなったんですもの」
ミサオ「じゃあ、あの新発明の機械は?」
かつら「イチローさんの体の中」
ミサオ「イチローさんは?」
かつら「安静が必要だから寝てもらったの、あと1時間もしたら前よりずっと元気になるわ」
ミサオ「そう、なるほど、じゃあもうシャドウはあなたを狙っても意味ないってわけか。よし、一緒に楽しみましょう」
すっかり安心したミサオ、その場で仮面を剥いで本来の顔になる。
だが、視聴者から見ても、彼らの考えはこしあんのように甘く、今度はハカイダーたちに追い掛け回され、海辺の岩場の上で取り囲まれる。
かつら「やめてください、私はもう念力遮断回路を持っていません」
かつらが必死にアピールするが、
ハカイダー「ふふふふふふ、俺たちにはそんなことはどうでも良い」
シャドウナイト「ザダムの遣わした背番号307テングムササビがしくじったことさえ分かればよい」
ハカイダー「それをザダムに思い知らせてやるために、お前たちを皆殺しにする!!」
組織のためではなく、ザダムに対する面当てと言う、純粋に個人的な感情で動いているハカイダーたちには無意味であった。
さっきのトンチキな行動といい、ハカイダーたちを信服させられない器の小ささといい、登場二回目にして、戦闘能力はともかく、指揮官としての鼎の軽重を問われているザダムであった。
などとやってると、まだ1時間経ってないのに颯爽とイチローが駆けつけ、間一髪でミサオたちを助け、01に変身する。
だが、かつらたちが勝手にその場から離れたため、戻って来たザダムにかつらが捕まってしまう。

ザダム「馬鹿め、この仕事はテングムササビに任せろといったはずだ、01、かつらは預かった」
てっきり、かつらを人質にして01に抵抗をやめろというのかと思いきや、
ザダム「やれ、背番号307テングムササビ、お前の力で01を倒すのだ!!」
何故か、フツーにテングムササビを01と戦わせるのだった。
よほどテングムササビの実力に自信を持っているのだと思われたが、テングムササビ、怪人として特に何か秀でていることもなく、実にあっけなく01に倒され、思わず膝カックンとなる管理人であった。
ああ、ザダム、ザダムよ……
おまけに、戦いのあと、
ザダム「ハカイダー、シャドウナイト、大法螺を吹くバカモノよ!!」
反省の弁はひとつもなく、逆にハカイダーたちを全力で罵り倒すのだった。
ある意味、鉄のメンタルではある。
で、そろそろ退場が近いシャドウナイトを01と徹底的に戦わせようとするが、
ザダム「ひとりでは心もとない、地獄河童をつけてやる!!」
と、新たな怪人を呼び寄せるのだった。
……
「そう言うのはもっと早く呼んでーっ!!」byテングムササビ
以上、南紀を舞台にしたタイアップ色の濃いエピソードであったが、那智の滝の荘厳さや、かつらの可憐さより管理人の印象に残ったのは、ザダムの頓珍漢な指揮官ぶりであった。
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