第19話「私の星の王子さま」(1980年6月7日)
冒頭、ワールド太陽熱研究所と言う研究施設の前まで、ケラーが自ら車を運転してやってくる。
そこはなかなか警戒厳重な施設で、門の所には常に警備員が立ち、訪問者のチェックを入念に行っていた。
ケラーは一計を案じ、警備員に見せ付けるようにボンネットを開けてエンジンを覗き込み、いかにも困っている素振りをする。
相手が若くて綺麗な女性だったので、警備員は自分からケラーに近付き、話し掛ける。
警備員「どうしました」
ケラー「急にエンジンが」
警備員「うん、どれどれ?」
警備員が身を乗り出して覗き込むと、ケラーはすかさずボンネットを下ろし、警備員の顔をサンドイッチの具にしてやる。
その隙に、後方に控えていたベーダーのトラックが敷地内に乗り込むという、アクション映画に出てくるテロリストグループのような手際の良さだった。
その研究所では、石油の代わりに太陽熱で動くモーターの開発が進められていた。
白井「おい、マツ、可愛い恋人が来たぞ」
松本「……」
と、チーフの白井が窓越しに何かを見つけ、からかうような口調で松本直也と言う研究員に教えてやる。

それは白い犬を連れた、赤いミニスカワンピが良く似合う小学6年生くらいの女の子だった。
80年代においては、この短さは貴重である。

所員「おい、マツ、今日もだな」
松本「あいつ、もういいって言ったのに」
白井「可愛いじゃないか、おい、行ってやれよ」
決まり悪そうにぼやく松本を、羨ましそうな目で見る二人。
そう、ここは、ロリコン大歓迎&アットホームな、真性ロリコン戦士にとってはまさに夢のような職場だったのである!!
……みたいなことを、以前のレビューでも書いたような気がすっごくする管理人であった。
ともあれ、松本は上司の勧めに従い、いそいそと建物の外に彼女を迎えに行く。
それと入れ違いにケラーたちが研究室に向かう。
なるみ「お兄ちゃん!!」
松本「おう、オスッ、ポロ、よしよしよし」
なお、恋人と言ってもほんとに付き合っているわけではなく、それは松本の妹なるみであった。
その間に、ケラーたちは研究室に乱入し、書類を引っ掻き回すと同時に、抵抗する所員をボコボコにする。

なるみ「はい」
松本「サンキュー、ひとりで寂しいか」
なるみ「ううん、ぜんぜん」
松本「今夜も遅くなる、戸締りしっかりな」
なるみ「うん」
そうとも知らず、松本は妹との「デート」を楽しんでいた。
なるみは、兄にお弁当を持ってきたのだ。
なるみを演じるのは、色んな作品に出ている名子役の谷田川知恵さん。
なお、彼らのやりとりから、二人の両親は死んだのではなく、海外旅行にでも行ってるのだと思われる。
なるみ「あ、お兄ちゃん!!」
松本「あっ」
見れば、研究室の窓からもくもくと煙が出ているではないか。
松本が慌てて戻ると、すでにケラーたちの姿はなく、あちこちで火の手が上がって書類が燃え、負傷した所員たちが倒れていたが、さいわい、命に別状はなかった。
ケラーたちは書類の一部を持ち帰るが、それはその発明を自分たちのものにする為ではなく、
ヘドラー「思った通りです、このモーターを自動車のエンジンに利用すればオキシダント、二酸化硫黄、ニ酸化窒素などの汚染物質が悉くカットされてしまいます」
ヘドリアン「バカな、私は大気が汚れた毒々しい東京の空気が好きじゃ、それをクリーンにされて溜まるか。トドメを刺してまいれ」
その逆で、自分たちにとって邪魔な発明を潰す為であった。
命令を受けたケラーたちは、松本邸に襲撃をかける。
ちなみに松本の住んでる家は、とてもヒラの研究員の給料で住めるような屋敷ではないので、親が金持ちなのだと思われる。
それはともかく、相手を見くびって攻撃を仕掛けた戦闘員たちは、庭に隠れていたブルーとイエローにあえなく撃退される。
ケラー「ちっ、デンジマンめ」
二人は人間の姿に戻ると、騒ぎに気付いて出て来た松本に話し掛ける。

黄山「どうだ、俺の言ったとおりだろ」
松本「しかし、どうして俺達を……」
青梅「ベーダーにとって邪魔なのさ。君の安全は俺たち電子戦隊が必ず守って見せる」
黄山の口調から、松本と黄山は以前からの知り合いらしい。
どちらも科学者なので、かつて同じ大学で学んだことがあるのかも知れない。
青梅が請け負ったとおり、デンジマンは昼も夜も切れ目なく松本邸の周囲を警護し、ベーダーも近付けずにいた。
と、庭に繋いであるポロと言う犬がキャンキャン鳴き出したので、

なるみ「ポロ、どうしたの?」
なるみが玄関から出て来て駆け寄る。
門のところにいたブルーは、青梅の姿に戻ると、

青梅「なるみちゃん、ポロのことは俺が面倒を見る。君は家の中にじっとしていなさい」

なるみ「えっ」
青梅「さあ」
……
いちいち、見えそで見えない(何が?)絶妙のアングルが溜まりません!!
さて、地下の研究室では、松本がひとりで太陽熱モーターの開発に励んでいたが、部屋には常に黄山が詰めているという警戒ぶりであった。
一方、簡単には屋敷内に潜り込めないと見たヘドリアンは、ベーダー怪物ガマラーを誕生させ、美少年に変身させて、なるみを篭絡させようと企む。
さて、今回の事件とは関係ないが、ここでちょっとしたエピソードが挿入される。

源一「お、みんな来てくれたのか。ありがとう」
見送りに来てくれた三太たちに礼を言う源一。
ナレ「源一が北海道に転校にすることになった。おじいちゃんの牧場を継ぐためである」
そう、突然だが、レギュラー子役のリーダー格だった源一が番組から降りることになったのである。
おそらく、学業を優先させたいということなのだろう。
ま、祖父の牧場を継ぐというのがいまひとつ分からないのだが、ライダーガールのように何の説明もなくいなくなっても問題ないのに、こうやってちゃんと理由付けがされるのは、昔の特撮としてはかなり良心的な作りである。
赤城「北海度へ行っても空手の精神を忘れるな、気合だ」
源一「うん、俺、日本一の牧場主になって見せるよ」
緑川「その意気だ」
あきら「男らしい生き方だわ、源一君にピッタリよ」
しかも、警護をしている青梅と黄山以外の三人も見送りに来て、源一を励まし、

千恵子「駅まで送ってあげるわ、未来の牧場主に敬意を表して」
源一「ありがたい、俺一度で良いからパトカーに乗ってみたかったんだ」
おまけに千恵子と同僚の知子まで顔を出し、ミニパトで駅まで送ってやるというVIP待遇であった。
三太「元気でなーっ!!」
緑川「源一、頑張れよーっ!!」
さすがに寂しそうな三太たちは、自転車でミニパトについていくのだった。
源一と言うより、演じている安藤聖一さんへの番組からのエールのようなシーンで、見ていてなんとなく温かい気持ちになる管理人であった。
さて、再び研究室。
人が降りてくる気配に、黄山がドアの覗き窓から通路を見ると、

お盆を持ったなるみが、踊り場に立って警報装置がオフになるのを待っていた。
黄山がドアの脇のレバーを降ろすと、赤外線センサーが消え、なるみが部屋に入ってくる。

なるみ「はい、お茶……完成できそう?」
松本「完成させて見せるさ、白井チーフたちを喜ばせてやるんだ」
なるみ「そう」
なるみは妹と言うより、むしろ松本の姉か母親のような態度で接し、すぐに部屋を出て行く。
翌朝、青梅が庭でヌンチャクの練習をしていると、ポロが急に鳴き出す。
青梅がポロに駆け寄り、近くの植え込みの中を覗き込むと、大きなガマガエルが踏ん反り返っていた。

青梅「あいやー、でっかいガマだなや」
それがベーダー怪物とは知らず、訛りながら驚く青梅。
なんとなく、後の「ギャバン」の小次郎さんの喋り方を先取りしたような台詞である。
と、玄関からなるみが出て来て、ポロを抱き上げる。
なるみ「ポロ、ごめんね、今お散歩に連れてってあげるからね」
と、なるみの手からリードが外れ、ポロはそのまま家から飛び出してしまう。
なるみがそれを追いかけて屋敷の外へ出るのだが、青梅が近くにいる筈なのに、彼女を止めようとしないのは不自然だ。
まあ、そうしないとストーリーが成立しないからね。
なるみが公園の中を探していると、顔見知りの男の子たちが見知らぬ少年をよってたかってフクロにしているのが見えた。

なるみ「黒木くん、いじめちゃ駄目よ」
黒木「だってこいつ、変な服着てんだぜー」
なるみ「……」
なるみに注意されて、謎理論で自分たちの行為を正当化しようとする黒木であったが、その少年がほんとに変な服を着ていたので、一瞬、「じゃあ仕方ないわねえ」と言いそうになるなるみであったが、嘘である。
なんつーか、バレエのタイツみたいな奴で、その上に王子様のような服と、ザビエルがつけてるような扇形のカラーを巻いているという、子役が気の毒になるような珍妙な恰好であった。
しかし、少女が夢見る「王子様」と言うのは、憧れの男性の比喩であって、ほんとに王子様の格好してる奴連れて来たらあかんと思う。
黒木「わけのわからない言葉喋りやがって」
なるみ「でもいじめちゃだめよ」
子供たちが去った後、なんとなく見詰めあう二人。

なるみ「何処から来たの」
なつき「……」
なるみ「アメリカ? それともヨーロッパ?」
その後、色とりどりの花が咲き乱れる公園内を歩く二人であったが、なるみが何を聞いても答えず、代わりに空を指差して見せる。
なるみ「えっ、宇宙から来たの?」
なつき(うなずく)
なるみ「あなた、宇宙人なの? うふふ」
なるみは冗談だと受け取って笑うが、なつきの差し出した手を握ると、頭の中になつきの声が聞こえてくる。
なつき「僕の名はなつき、聞こえるかい」
なるみ「聞こえるわ。でもどうして?」
なつき「テレパシーさ……心が通じていれば離れていても話し合うことができるんだ」
なるみ「するとあなたは本当に宇宙人なのね」
なつきは自分がとある別の星からやってきたと告げ、

なつき「僕はひとりぼっちだ、友達になって欲しい」
なるみ「友達に?」
なるみが頷くのを見て、
なつき「なってくれるんだね、良かった」
それにしても、当時の特撮にしては、二人ともなかなかモダンなネーミングである。
なつき「僕は超能力を持っている」
なるみ「えっ」
なつきはそう言うと、指先からビームを放って近くにあった細い木をへし折って見せる。
しかし、別に相手を脅すのが目的ではないのだから、余計なデモンストレーションのように見える。
なつきがなるみの指に綺麗な宝石のついた指輪を嵌めてやると、その宝石から虹が出て、二人がその虹の橋を渡るというファンタジックな世界に突入する。

さらに、大きな作り物の星の上に腰掛けて、一緒に美しい星空を眺めるという、夢のような時間を過ごしたなるみは、すっかりなつきの虜になってしまう。
青梅「なるみちゃーん!!」
黄山「どうしたのーっ?」
と、背後で自分を呼ぶ青梅たちの声でハッと我に返ると、自分がさっきの公園にひとりで立っていることに気付く。
青梅「心配したよ、出掛けるなら断ってくれなきゃ」
なるみは夢だったのかと思うが、指にはちゃんとあの指輪がついていた。
その後、なるみがいつものように兄にお茶を持って行くが、
松本「どうしたんだ、その指輪?」
なるみ「えっ……あ、これ、お友達に貰ったの、おまけよ、景品」
兄に見咎められると、なるみは適当に誤魔化し、逃げるように部屋を出て行く。
だが、その宝石は黄山にしっかり見られていた。
黄山(オパールでもない、ルビーでもない、無論、景品のガラス玉でもない)

自分の部屋に戻ったなるみは、不思議な光を放つ宝石を幸せそうに眺めていた。
と、再び頭の中になつきの声が聞こえてくる。
なつき「なるみちゃん、聞こえるかい」
なるみ「ええ、聞こえるわ」
なつき「心が通じ合っているから聞こえるんだよ、500メートルも離れているんだよ」
さっきの場所まで来てほしいと言われると、なるみは、表で見張っている青梅の目を避け、裏口から家を出て少年のもとへ急ぐ。
なつきは、さりげなくあの指輪をなるみから借りると、なるみに気付かれないようにそっくりな別の指輪に取り替え、なるみの指に戻してやる。
なつきは、もう用は済んだとばかりその場から走り去る。
なるみがなつきの姿を探していると、目の前に青梅と黄山が怖い顔で立っていた。
青梅「誰だ?」
黄山「彼から貰ったんだね」
なるみ「……」
二人はなるみから指輪を取り上げると、赤城に渡して分析させる。

赤城「これは多面レンズだ、一種のカメラだ」
あきら「じゃあなるみちゃんを使ってスパイ?」
緑川「なるみちゃんは夢中だ、そのベーダーの少年に」
赤城「何とか化けの皮を剥がさねば」
しかし、この段階でその少年がベーダーの一味とまでは断言できないのではあるまいか?
ベーダーではなく、松本の発明を盗もうとしている産業スパイかもしれないではないか。
また、ベーダーは、すでに写真は撮ってフィルムも入手した(後述)のだから、怪しまれないよう、普通の指輪と交換しておくべきではなかったか。
CM後、なつきが持ち帰った指輪の中のフィルムを現像してチェックしているヘドラーたち。

ヘドラー「設計図が復元されている。松本直也め~」
そう、「悪の組織」にしてはかなり繊細な作戦だが、なるみの指に指輪型カメラを嵌めて、クリーンモーターの開発状況を調べるのがベーダーの狙いだったのである。
もっとも、なるみが研究室に出入りを許されているかどうかは外側からは分からないので、なつきがそれとなくなるみからそのことを聞き出すシーンがあればなお良かった。
なつき「お兄さんは何をしてるんだい」
なるみ「ずっと地下室にこもって研究しているわ。私も時々様子を見に行くけど、詳しいことは分からないの」
なつき「ふーん」
みたいなね。
ヘドリアン「我々ベーダーが生き延びる為にも、クリーンモーターの開発を中止させねばならぬ!!」
と、意気込むヘドリアンだったが、これもなんかオーバーだなぁ。
仮にクリーンモーターが開発されても、それが実用化・普及するまでにはかなりの年数がかかるだろうし、その間に番組終わってるだろうし、そもそもベーダーは地球を侵略に来たわけであって、移住しにきたわけではないのだから、汚れた空気でないと生きていけないのなら、別の星に行くか、自分たちの手で汚れを作り出せば済むことではないか。
空気を浄化するのは大変だが、汚すのはさして難しいことではあるまい。
第一、大気汚染の源は車の排気ガスだけではないのだし……
さて、変な虫がくっつていると分かったなるみは、兄の監視付きで、自宅に軟禁状態にあった。
なつき「なるみちゃん、寂しい、君に会いたい」
なるみ「なつき……」
そんな状況でも、なるみの頭にはなつきの懐かしい声が届く。
なるみは思わず窓際に行き、恋人の名を呼ぶが、
松本「ダメだ」
なるみ「なつきは星の王子様よ」
松本「嘘だ、相手は恐ろしいベーダーなんだぞ」
なるみ「遠い星から来たのよ、ひとりぼっちなのよ」
松本「お前は騙されるてんだ」
なるみは振り向いて兄の顔を睨みつけると、

なるみ「誰も分かってくれないんだっ!! 私の気持ちなんか!!」
青春ドラマの定番台詞を叫んで、部屋を飛び出す。
なるみ「お兄さんなんか嫌いよ!!」
松本「なるみ!!」
なるみは階段を降りたところで、食事を運んできた黄山とぶつかり、お盆をひっくり返すが、謝りもせずに、
なるみ「デンジマンもお兄さんもだいっ嫌い!!」
自分の恋路の邪魔をするものは、誰だろうと許せないお年頃なのだった。
と言って、家から出て行くほどではない。
明け方、なるみがなつきの夢を見てニヤニヤしていると、再びなつきの声が聞こえてくる。

なつき「なるみちゃん、会いたい、僕の胸は張り裂けそうだ。警報装置を切ってくれ、そうすれば君に会えるんだよ」
なるみ「警報装置?」
なつき「そのメインスイッチを切ってくれ」
なるみ「でも……」
なつき「会いたいんだよ、頼む、お願いだ」
なるみ「……分かったわ」
いささか唐突で不自然な頼みに、さすがのなるみも躊躇するが、恋は盲目、結局OKしてベッドから抜け出る。
抜き足差し足で階下に降りると、さいわい、地下室への入り口を見張っている青梅は、椅子に座ったまま居眠りしていた。
メインスイッチはその青梅の後ろにあり、なるみは青梅を起こさないようにそっとレバーを降ろす。
警報装置が切れると、ただちになつきが屋敷内に侵入し、超能力でドアのチェーンを外し、遂に研究室に入り込むことに成功する。
ま、肝心のなるみは何処行ったんだってことなのだが、この際、気にすまい。
黄山はソファの上で眠っており、松本も布団をかぶって熟睡していた。
デンジマンが二人とも居眠りしているなど、ありえないことなのだが、なつきは深く考えず、

なつき「松本め!!」
それまでとはうって変わったしゃがれた声で叫ぶと、短剣を松本の体に突き立てようとするが、毛布の下からあらわれたのは、
レッド「それは私のお稲荷さんだ」 的なポーズで踏ん反り返っているデンジレッドであった。
レッド「はっはっはっはっ」
イエロー「来たな」
レッド「待ってたんだ、貴様を」
しかも、いつの間にか黄山もイエローに変身していて、これがなつきをおびき寄せる為の罠だったことがわかる。
ただ、直前まで明らかに松本の顔をしていた赤城が、どうやって一瞬でレッドになったのか、その辺が良くわからない。
なので、ここは顔が見えないように毛布を頭から被っていた方がモアベター。
なつきは、部屋を飛び出し、引き続き居眠りしている青梅のそばを駆け抜けるが、青梅も寝たふりをしていただけで、すぐに目を開けてブルーに変身する。
居間に行くと、グリーン、ピンクもいて、蟻も逃さぬ包囲網が敷かれていた。
進退窮まったなつきに指を突きつけ、
レッド「少女の心を弄ぶ悪魔め、許せん!!」
と、今まで何処にいたのか、なるみがなつきを庇ってレッドの前に立ち塞がり、

なるみ「やめて、なつきは悪い人じゃないわ!!」
にしても、この子、上手いなぁ。
当時の子役の中では群を抜く演技力の持ち主である。
レッド「仕方がない、君には見せたくなかった。ピンク、グリーン!!」
レッドが合図をすると、二人がシャッとカーテンを引き、

その後ろに隠されていた湾曲した鏡に、なるみと、そしてなつきの正体であるガマラーの姿が映し出される。
しかし、鏡に映したからって、その正体がバレるだろうか?
まあ、幽霊や吸血鬼は鏡に映らないという、今ではほとんど使われなくなった演出(ルール)が昔のホラー作品にはあったので、これはその変形だろう。
「仮面ライダー」でもちょくちょくやってたけどね。
なるみ「あっ!!」
慌てて後ろを見ると、そこに愛しのなつきの姿はなく、恐ろしいガマの化け物が立っていたので、なるみはショックのあまり気を失って倒れる。

ピンク「なるみちゃん、しっかりして!!」
ピンクがすぐさまお姫様抱っこして安全な場所に連れて行く。
ここから長くて長くて長くて死ぬぜ的なラス殺陣となる。
今回は、等身大バトル→巨大ロボバトル→等身大バトルと、実に三回にわたって戦いが行われると言う、異例の構成となっている。
また、なつき役の子役がラス殺陣でも姿を見せて指揮を取るのも、かなり珍しいことではないかと思う。
事件解決後、川の近くの土手の上で話している赤城たち。
松本「おかげさまで設計図は完成しました。早速製作に取り掛かります」
赤城「綺麗になるぞぉ、地球の空気が」
しかし、あれだけムキになっていたヘドリアン、一度敗北すると、まるで「なかったこと」のように一切クリーンモーターに関心を寄せなくなるのは、さすがに変だよなぁ。
本気でベーダーの死活問題だと考えているのなら、この後も執拗に松本の命を狙ってくる筈である。
ふと見ると、なるみが眼下の河川敷に風船を持ってあらわれる。
青梅「まだ子供だなぁ、風船と遊んじゃったりして」
緑川「12才だよ、まだ」
のちに別の番組で、そんな年頃の女の子が大好きな若者を部下に持つことになるとは、夢にも知らない青梅であった。
ま、12才では育ち過ぎで、すでに電の守備範囲外かもしれないが。

あきら「でも難しい年頃よ、12才は」
黄山「そうだな」
まるで自分が12才だった頃を思い出すように、目を細めてなるみの姿を見るあきら。
12才の頃の小泉さん、死ぬほど可愛かっただろうなぁ……
青梅たちは知らなかったが、なるみはその風船にあの指輪をつけて空に飛ばしていた。

なるみ「さようなら、星の王子様……」
空に消えていく風船に、なつきとの楽しい思い出を重ね合わせ、なつきに……そして、自分の初恋に別れを告げる、たった1話で急に大人びた顔になったなるみであった。
以上、少女の幻想的な恋がテーマの異色回であったが、子役の卓抜した演技力もあって、かなり見応えのある作品となっていた。
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