第40話「恋!? めぐみと宝石泥棒」(1989年12月3日)
タイトルだけで大体ストーリーが分かってしまう類の話である。
夜、銀行に忍び込み、大きな金庫のダイヤル錠を解除しようとしているひとりの泥棒。
だが、腕は大したことないようで、開けられないまま警報装置を作動させてしまい、なんの得るところもなく逃げ出す。

その途中、バイクにぶつかりそうになって、路上にひっくり返る。
ニーハイからはみ出すほどに盛り上がった逞しいフトモモの持ち主は、

めぐみ「すいません、だいじょぶですか」
無論、われらがめぐみタン以外にありえなかった。
めぐみ、慌ててその男を助け起こすが、男は急いで黒いつなぎと赤いスカーフを脱ぎ捨てる。

めぐみ「あ……?」
相手の不可解な行動にキョトンとするめぐみ。
どうでもいいが、泥棒が赤いスカーフなんかつけんなよ。目立ちたいのか?

めぐみ「ちょっちょっちょっと……」
男はいきなりめぐみの体に抱きつくと、自分の顔をめぐみの顔の横に密着させる。
警官「向こうだ」
警官「はい」
男を追ってきた警官は、気付かずに行ってしまう。
そう、洋画でよくある、恋人同士のふりをして官憲の目を逃れるというアレである。
ただ、普通はキスをして相手の口を封じるのが、ここでは単に抱き締めているだけなので、あまり意味がないようにも思える。
もっとも、めぐみは突然のことで声を上げることも出来なかった。
警官が行った後、漸く男の体を突き飛ばす。

史郎「危機一髪、あっぶねえ」
めぐみ「ちょっと、これはどういうことなの、説明してください」
史郎「いやぁ、君があんまり魅力的だったもので、つい……」
男は、スパイよろしく、つなぎの下にパリッとしたスーツを着ていた。
はっきり言ってめちゃくちゃ動きにくいと思うが……

めぐみ「ふざけないでっ!!」
小柄な体を子犬のように震わせて怒りを表現するめぐみであったが、男……史郎は反省の色も見せず、
史郎「へーっ、怒った顔も悪くない」
めぐみ「言っときますけどね、私、ケーハクな男って大嫌っいなの!! さよなら」
史郎「まあまあ、とにかくお茶でも飲みながらさ、二人の運命について語り合おうよ」
史郎、今で言う「チャラ男」であったらしく、慣れた様子でめぐみの両肩に手を置くと、堂々とナンパしてくる。
めぐみ、さっさと走り去ろうとするが、近くの植え込みから猫の鳴き声がする。

史郎「なんだ、捨てられたのか、お前も」
子猫「にゃーっ」
史郎「こっちもふられちまった」
めぐみ「変な奴……」
優しく子猫を抱き上げる様子に、少しだけ史郎のことを見直すめぐみであった。
その時、上空を、ジンマーの乗ったボルトの戦闘機が飛行していたが、メカが故障して墜落していくのが見えた。
めぐみ「あれは……」
史郎「行ってみよう、乗れ」
めぐみ「うん……ちょっちょっと!!」
人のバイクに勝手にまたがって指図する図々しい史郎であったが、言い争っている暇はないので、史郎の運転で墜落現場に急行する。
そこは人気のない公園の森の中で、落下地点には機械部品が散乱しており、操縦していたジンマーの死体もあった。
史郎が、瓦礫の中から巨大なルビーのような宝石を拾い上げた瞬間、いつの間にあらわれたのか、マゼンダがフィンガーガンを撃ってくる。

めぐみ「マゼンダ!!」
史郎「な、なんなんだ、お前は?」
マゼンダ「貴様が手にしているものをこっちに渡してもらおうか。それはもともと我らの物」
史郎「気に入らねえな、その口の利き方、それにここだけの話な、俺、泥棒なんだぜ」
めぐみ「泥棒?」
ボルトの怖さを知らない史郎、自慢げに吹聴するのだが、めぐみが横にいるのに、わざわざそんなことを自分から告白するだろうか?
ともあれ、めぐみがブルードルフィンに変身すると、仲間たちも湧いて来て薄明の中での乱戦となる。
その隙に、史郎はめぐみのバイクに乗ってその場から逃げ出す。
史郎は、森の中の廃墟に身を隠す。

とりあえず、無心にミルクを舐めるニャンコの画像でも貼っておこう。
史郎、うっとりした目付きで馬鹿でかいルビーのような宝石を手の中でもてあそんでいた。
史郎「こんなでっけえルビーは初めてだ、一億、いや、ニ億は固いな。こりゃみんなにどっさりプレゼント買ってやれるぜ」
だが、マゼンダが、ただの宝石に目の色を変える筈がなかった。
息を吐きかけ、ハンカチで磨いていると、

「アラジンと魔法のランプ」よろしく、宝石の中から頭脳獣が出現する。
スペースヅノー「お呼びでございますか、ご主人様」
史郎「わあっ!!」
スペースヅノー「何なりとお申し付けを」
史郎「よ、寄るな、化け物」
スペースヅノー「ご主人様、ご命令を、私はあなたのしもべです」
その頭脳獣、宝石を擦ったものに絶対的な忠誠を誓うようプログラミングされているらしく、ただの人間である史郎にひたすら平身低頭して命令を待つ。
しかし、マゼンダ、なんでそんな謎仕様にしたのか、その辺が良く分からない。
誰が呼び出そうと、自分にだけ従うようにするのが普通だろう。
頭脳獣に迫られた史郎は、ヤケクソになって「宝石を山ほど持って来い」と叫ぶ。
一方、ヅノーベースでは、失意のマゼンダがビアスに報告をしていた。
マゼンダ「ようやく必殺の頭脳獣を完成させたのですが……」

ケンプ「せっかくの自信作も、人間たちに奪われてしまっては、仕方があるまい」
アシュラ「俺達を出し抜こうとして墓穴を掘ったってわけか」
マゼンダ「……」
仲間の失敗が嬉しくてしょうがない男子たちにバカにされ、泣きそうになるマゼンダ。
ちょっと可愛い。
だが、
ビアス「お前たちにマゼンダを笑う資格はない!!」
担任の先生よろしく、そんなケンプたちの態度を厳しく叱り付けると、

ビアス「マゼンダ、お前のライブマンに対する情熱や見事、見てみたいものだな、その頭脳獣の力とやらを」
いつになく優しい笑みを浮かべてマゼンダを慰め、励ます、意外とフェミニストのビアス様であった。
ただ、この一件、そもそも、何故あの宝石をジンマーが戦闘機で運んでいたのか、それが最大の謎である。
マゼンダはヅノーベースに自分の研究室を持っているのだから、当然そこで開発したであろうに、なにゆえそれをジンマーが地上に運ばねばならないのか?
ぶっちゃけ、史郎に宝石を拾わせるためとしか思えない、無理のある設定であった。
それはともかく、史郎の命令を受けたスペースヅノーは宝石店を襲撃し、宝石を掻っ攫う。
離れたところから双眼鏡でその様子を見ていた史郎は、興奮した声を上げる。
史郎「本当にやりやがった、すげえ、こいつはすげえぜ!!」
調子に乗った史郎は、続いて金塊輸送車を襲わせる。
しかし、宝石やゴールドをいくら集めても現金化しなければ意味がないので、なんで直接銀行を襲わせないのか、この辺もやや不可解である。
盗品を捌くなんて、ドジな泥棒にはなかなか難しい仕事だろう。
その頃、ライブマンも史郎の行方を追っていた。
やがて、めぐみが森の中で自分の乗り逃げされたバイクを見付け、その近くの廃屋で、スペースヅノーから宝石や金を献上されて有頂天になっている史郎を発見する。
仕事を終えたスペースヅノーは、宝石の中に戻る。
めぐみ「頭脳獣が宝石の中に……」
史郎「こいつがある限り、俺は世界一の大金持ちだ」

めぐみ、史郎の背後から近付いて宝石を奪おうとするが、タッチの差で史郎に取られる。
史郎「これはこれは、俺が恋しくて会いに来たのか」
めぐみ「あなたは自分が何してるか分かってるの? あなたが手にしているのは地球を狙うボルトの頭脳獣なのよ」

めぐみ「お願いだから、早く渡して頂戴」
めぐみが差し出した手を払い除けると、
史郎「何を馬鹿な、こいつにはもっともっと働いてもらわんとな」
めぐみ「ねえ、一体何のために? 何故そんな無茶なことを」
史郎「世のため、人のためにさ」
めぐみの問い掛けに得意げに嘯く史郎であったが、この段階で、めぐみが史郎には何か隠された動機があるのではないかと勘繰ってるようなことを聞くのは、ちょっと不自然である。
泥棒が宝石や金を得ようとするのは、当たり前のことだからである。
もっとも、史郎は廃屋を出たところで勇介と丈に囲まれ、動けなくなる。

勇介「死にたいのか」
丈「お前はボルトに狙われてんだぞ」
めぐみ「これは私たちが預かっとくわ」
丈「俺たちが保護してやるから」
史郎「離せ!! うまいこと言いやがって、俺は他人なんか信用しねえぞ」
丈の手を振りほどき、森の中へ逃げようとする史郎だったが、今度は、名前忘れたけど、追加メンバーの二人がその前に立ちはだかる。
切羽詰った史郎は、再びスペースヅノーを呼び出して戦わせて、自分はさっさと逃げ出す。
マゼンダが自慢するだけあってスペースヅノーは優秀で、勇介と丈を自分の胸の中の特殊な空間に吸い込んで閉じ込めるという離れ業を演じると、再び姿を消してしまう。
つまり、宝石の中に戻ったわけである。
CM後、ありがちな展開だが、史郎は何処かの児童養護施設で、親のいない子供たちにたくさんのプレゼントを配っていた。

史郎「ほらっ」
女の子「ありがとう、史郎兄ちゃん!!」
この、ほっぺを真っ赤にして喜ぶ女の子がなかなか可愛いと思いました。
と、一人の子供が別の子供からプレゼントを取り上げようとしているのを見た史郎は、

史郎「こら、シンイチ、何度言ったら分かるんだ、人のものを取っちゃいけないって言ってあるだろう。そんなことはなぁ、人間のクズがすることだ」
と、
全国「お前、どの口が言うてるの?」選手権でぶっちぎり優勝できそうな、図々しい小言を垂れる。
めぐみ「そう言う台詞が良く言えるわね」
と、干してある洗濯物の向こうから声がしたので覗いて見ると、

史郎「うわっ!!」
めぐみの、カーロス・リベラばりの閃光のようなジャブが飛んでくる。
めぐみ、史郎の胸倉を掴んで洗濯物の陰に引っ張り込み、
めぐみ「今すぐ勇介と丈を返して頂戴」
史郎「なに?」
めぐみ「頭脳獣が体内に吸い込んでしまったのよ」
めぐみが史郎を追及していると、

子供「史郎兄ちゃんになにするんだよ、離せよー」
二人の子供がめぐみの服を引っ張って文句を言う。
めぐみ「うるっさいっ!! 大人の会話に口挟むんじゃないっ!!」 子供「すいません……」
……と言うのは嘘だが、ほんと、躾って大事ですよね~。
実際は、ちびっ子の見ている番組で、ちびっ子が罵倒されることは滅多にないので、
めぐみ「ごめんね、もうしないから」
めぐみは優しく謝って、はけさせる。
で、直前までイキッていた子供たちが、まるでそれが段取りであるかのように、一瞬で大人しくなって引き下がるのが、割りとツボである。
めぐみ「あなたたちがしてることをあの子たちが知ったら……」
史郎「黙れ!! お前に何が分かる」
めぐみが説教しようとするが、史郎はめぐみを怒鳴りつけ、
史郎「こいつらにはなぁ、親父もお袋もいないんだよ、俺もここの孤児院で育った、こいつら守ってやれんのはなぁ、俺だけなんだ」
めぐみ「違う、あなたのしていることは間違ってるわ、本当に人を守るってのはそんなんじゃない」
めぐみがなおも史郎の心得違いを正そうとしていると、子供たちの周りで爆発が起きる。
ついで、マゼンダが子供の一人を抱えてあらわれ、
マゼンダ「子供の命が惜しくば、結晶体を渡すのだ」
これには史郎も従うしかなく、宝石を投げて寄越す。

マゼンダ「ふっふっふっふっ……」
やっと宝石を取り戻し、若干、アホっぽい顔でほくそ笑むマゼンダ。
なんか可愛い。
マゼンダが宝石を撫ぜると、スペースヅノーが出現する。

スペースヅノー「お呼びでございますか、ご主人様、なんなりとお申し付けを、あなたのしもべでございます」
マゼンダ「存分に暴れろ、スペースヅノー、お前の力を見せてやるのだ」
マゼンダ、ここで痛恨のミスを犯してしまう。
スペースヅノーの体内に勇介と丈が閉じ込められているのに、スペースヅノーに攻撃を命じてしまったのである。
そのままスペースヅノーごと二人をヅノーベースに連れ帰れば、ボルトの大勝利となっていたであろうに……
スペースヅノーの攻撃を受け、

でんぐり返ししながら、豪快に筋パンチラを披露するめぐみ。
いやぁ、なんかめちゃくちゃ久しぶりにめぐみのチラを貼ったような気がする。
考えたら、夏場にハーフパンツで、冬場になってミニスカに戻るというのは変なのだが、特撮ヒロインの作法としては120パーセント正しい。
そう、特撮ヒロインはどんなクソ寒い時期でもミニスカを履くべきなのである。
やがて、名前忘れたけど、スペアのメンバーたちも駆けつけ、操車場でのバトルとなる。
そんな中、

めぐみ「あっ」

めぐみ「とおっ!!」
めぐみが、逃げ遅れた女の子に気付いて、ジャケットをはだけながらジャンプする。
この、たまーにあるけど、めぐみのジャケットが脱げかかって、下のシャツが剝き出しになるのが、なんかイイんだよね。
ラフな感じがして。
変身すればいいのに思うが、何故かめぐみは変身せず、

めぐみ「ああっ」
女の子を覆うように抱き締めて、自らの体で、スペースヅノーの噴き出す溶解泡から女の子を守ろうとする。
泡の強力な作用でジャケットが溶け、下着や肌が露出……したら嬉しかったのだが、意外と大したことはなく、ジャケットの表面から煙が出る程度であった。

スペースヅノー「どうだ、参ったか」
めぐみ「ああっ、ああっ」
身動きできないめぐみの背中を、スペースヅノーが思いっきり踏みつける。
か弱い女性メンバーが何度も足蹴にされるなんて、80年代のぬるい特撮では極めて珍しいハードな演出である。
めぐみ「たとえ死んでも、この子たちには指一本触れさせないわ」
史郎「めぐみっ!!」
めぐみのひたむきな姿に、やっと史郎は、子供たちを守ることがどんなことが理解するのだった。
……
いや、それとこれとは別の話なのでわ?
史郎は(手段はどうあれ)子供たちに経済的援助を与えることで守ろうとしている訳で、それと子供を物理的な危害から守ることとは、次元の違うことなのではあるまいか?
ともあれ、スペースヅノーに吸い込まれそうになるめぐみだったが、史郎がその体を突き飛ばし、自らが吸い込まれることでめぐみを守ろうとする。
これも、掃除機に吸い込まれそうになったゴミAを、ゴミBが突き飛ばしたからって、ゴミAが助かるわけではないのと同じで、なんとなく釈然としない。
が、

突き飛ばされためぐみが、ぷりんとしたお尻を向けて再びチラを披露してくれたので、無理やり釈然とすることにしよう。
史郎、吸い込まれる際にマゼンダも道連れにして、二人一緒にスペースヅノーの腹に吸い込まれる。
マゼンダはスペースヅノーに命じて蓋を開かせ、自分だけ脱出するが、閉じかけた扉を史郎が必死に支え、勇介たちと一緒になんとか脱出に成功する。

めぐみ「みんなを助けてくれたのね、ありがとう」
めぐみ、史郎に駆け寄ってその労をねぎらうが、

めぐみ「さあ、早くはけて!!」
史郎(えっ、ええ~っ?) 用済みとばかりに突き飛ばされ、目を白黒させるのだった。
まあ、ほんとは「早く逃げて」と言ってるのだが、気持ち的には「はけて」のほうが近い。
そして、作戦が失敗したのだから一旦退却すればいいのに、マゼンダがその場に留まって、スペースヅノーが敵に殺されるまで戦い続けるというのも、考えてみればおかしな話である。
その能力は極めて有用なのだから、捨て駒のように敵にぶつけずとも、温存して、別の機会に改めてめぐみたちを吸引するとか、いくらでも使い道はあっただろう。
ともあれ、ラス殺陣&巨大ロボバトルをこなして事件解決。
ラスト、孤児院でめぐみが史郎とバレーボールをして遊んでいる。
一応最後に史郎がめぐみに愛の告白(と言うほど深刻ではないが)をするのだが、めぐみは全然その気はないようで、若干、羊頭狗肉の感のあるサブタイトルであった。
しかし、史郎の泥棒稼業の方は不問に付されているが、どうも出来心じゃなくて、プロの常習犯としてやってるらしいのに、こんな奴を野放しにしたまま終わっていいのだろうか?
史郎が自分のしてきたことを心から反省しているようには見えないし……
あと、めぐみが「泥棒は懲りたでしょ」って子供たちの前で大きな声で言ってるけど、史郎が泥棒だってことがバレるのでは?
以上、最初に書いたようにサブタイトルから連想される内容どおりのストーリーで、意外性のカケラもなく、めぐみのチラニ連発以外には見るべきところのない凡作であった。
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