第6話「割れた恐竜の卵のひみつ」(1989年3月5日)
まずタイトルから突っ込ませてもらうが、この無駄にブレスの長いタイトルはいただけない。
視聴者の関心が、「恐竜の卵」そのものと、「卵が割れたこと」とに分散されてしまうからである。
なので、シンプルに「恐竜の卵のひみつ」が無難かと。
あと、「ひみつ」って特になかったような気が……
さて、舞台は美里自然動物園。
親子連れで賑わう、一見平和な施設であったが、

影山「またダチョウの卵が盗まれた、警察に連絡してくれ」
ダチョウの飼育エリアの前にいた飼育課長の影山が、助手の権藤に命じる。
演じるのは、管理人同様、そろそろ生え際が厳しくなって来た伴さん。

権藤「は、と、と……」
権藤を演じるのは、落ち武者ヘアが素敵な上田忠好さん。
顔だけ見ると、森本レオに似ている(どこがじゃ!!)
ちなみのその正体はバイオロンの怪人ハゲタカノイドなのだが、この髪型でキャスティングされたんじゃあるまいな。
卵を盗んだのは、マーシャとカーシャであったが、

ギバ「馬鹿め、俺が欲しいのはダチョウの卵などではない!! そんなくだらん卵はどっかへやってしまえ」
カーシャ「お許しくださいギバ様」
マーシャ「私たち、とんでもないミスを……」
二人はギバに褒められるどころか怒鳴りつけられる。
ブビ「間抜けめ、それでバイオロンのスパイが務まるか!! 恥を知れ!!」
ムク「恥を知れ、恥を!!」
ギバ、騒ぎ立てるブビたちをも一喝すると、ハゲタカノイドを差し招き、
ギバ「俺が探しているのは世界にひとつしかない恐竜の卵だ」
ハゲタカノイド「確かに恐竜の卵は動物園のどこかに隠してあります」
ギバ「それを探し出して手に入れろ」
ギバちゃんの狙いは、恐竜の卵を孵化させ、それにバイオテクノロジーで改造を加え、戦闘型の恐竜、要するに怪獣を作り出して暴れさせることであった。

肉食型の恐竜をベースにした怪獣のイメージも映し出されるが、これは「ライブマン」に出て来た怪獣のスーツを改造したものだろうか?
しかし、恐竜と言っても、肉食とか草食とか、大型とか小型とか色々あるわけで、まだ卵の現物も見てない段階でそこまで夢想しちゃっていいのかしら?
それ以前に、そもそもバイオロンはどうやって恐竜の卵があの動物園に保管されていることを知ったのか?
ギバ「これが思い上がった人間に対する俺の復讐だ」
ブビ「そうだ、やっつけろ、人間どもをやっつけろ!!」
と、物陰に引っ込んでいたブビとムクが再び出て来て、なんか一発キメてるんじゃないのかと疑いたくなる危ない目付きをして喚き散らす。

マーシャ「お前たちってほんっっっとにうるさいのね」
カーシャ「ひっこんどいで」
マーシャ&カーシャ「いち、に、さん」

マーシャ&カーシャ「えいっ!!」
二人はブビの前に立つと、その顔(体?)を蹴っ飛ばす。
あ、お二人とも、そんな遠慮しないで、もっと思い切りよくガバーッとやっちゃって良いんですよ?
スカートの中が見えても、こちらは全然問題ないんで……

あと、蹴ったあと、ブビの飛び方が想像以上だったのか、カーシャの古川さんが「素」で驚いているように見えるのが可愛い。
一方、動物園では、通報を受けて駆けつけた直人と洋子が、影山から事情を聞いていた。

影山「飼育室や研究所が頻繁に荒らされ、大型の標本の卵が盗まれるんです」
洋子「そのほかに被害は」
影山「ありません」
男みたいにネクタイを締めている洋子先輩が凛々しいのです!!

直人「おかしな泥棒だな、先輩、まさか盗んだ卵を目玉焼きにして売ろうってんじゃないでしょうね」
直人、冗談っぽく言うが、普通は「目玉焼きにして食べようってんじゃ……」だよね。
洋子「バカなこと言わないでよ、とにかく手分けして園内を当たるのよ」
直人「わかりました」
二人は園内の探索を始めるが、既にカーシャとマーシャが人間に化けて彼らの動きに目を光らせていた。

マーシャは売店の売り子。

カーシャは子供たちに風船を配っていた。
うーん、甲乙つけがたいが、個人的にはやっぱりカーシャのほうが好みだなぁ。
演技力ではマーシャのほうが上だと思うが。
色々あって、直人は人気のない倉庫でなにやらしていた戦闘員たちを見つけ、格闘となる。
やがて洋子先輩も駆けつけ、ナイフを持った敵を素手で投げ飛ばすという、離れ業を演じる。

それは良いのだが、下も男が履くようなレザーパンツと言うのはNGです。
これじゃあ、ボーイッシュと言うより、完全なおっさんの服装である。
直人、戦闘員にわざとやられたふりをして大の字に倒れる。
洋子は直人に駆け寄ると、コルトガバメントを抜いて押し寄せて来た敵の足元に威嚇射撃する。
洋子「手向かうと撃つわよ」
考えたら、ヒーローでもないのに悪の戦闘員と互角以上に戦う特撮ヒロインって、洋子先輩が初めてなんじゃないかなぁ。
ま、過去にはライダーガールが戦闘員をやっつけるなんてこともあったが、それはあくまで例外的な出来事だからね。
だが、横合いから別の戦闘員に自動小銃を撃たれ、銃を弾き飛ばされる。

壁際に追い詰められ、絶体絶命のピンチに陥る洋子先輩。
過去のぬるい「悪の組織」なら、彼女を人質にするところだが、シャレの通じないバイオロンはいきなり撃ってくる。
洋子「きゃあっ!!」
思わずしゃがむ洋子であったが、そこに飛び込んで自らの体で銃弾を防いだのが、機動刑事ジバンであった。

マーシャ&カーシャ「機動刑事ジバン!!」
物陰から見て、ハモりながら叫ぶ二人。
ちなみに一連の戦いを影山もこっそり見ているのだが、この後、直人にだけ秘密を打ち明けたことから考えて、影山にはジバンの正体が直人だと分かったのかもしれない。
なにしろ今まで色んなヒーローを演じてきた人だからね。
洋子がおそるおそる顔を上げると、目の前に頼もしいジバンの雄姿があった。
洋子「ジバン……」
思わず安堵の笑みを浮かべる洋子。
ジバン、軽々と戦闘員たちを投げ飛ばす。
普通のヒロインなら、後は全部ジバンにお任せするところだが、自立したヒロインである洋子先輩は自身も立ち上がって戦いを継続する。
その姿は大変凛々しいのだが、

全身真っ黒けの衣装は、戦闘員のいでたちと丸被りで、そう言う意味でもこの衣装は是非やめて頂きたかった。

洋子「はっ……きゃあっ!!」
それはさておき、戦闘員の腕を掴むと、それがスポッと抜けてしまったので、

悲鳴を上げて、その場に尻餅を突いてしまう洋子先輩。

さらに、もげた戦闘員の腕が再び生えてくる。
これによって、戦闘員もギバのバイオテクノロジーで作られた人造人間であることが分かる。
その新たに生えた拳で顔面を殴られ、遂に気絶してしまう洋子先輩であった。
影山が飛び出てきて、洋子を解放していると、戦闘員を追いかけて一旦視界から消えたジバンが、直人の姿になって戻ってくる。

直人「先輩!! ふっ!!」
洋子「うっ!!」
直人が洋子の肩を掴んでカツを入れると、すぐに目を覚ます。
洋子「泥棒は?」
直人「残念ながら逃げられました」
洋子「駄目ねえ、仕方ない、清志郎を応援に呼ぶわ」
手を叩いて砂を払うと、洋子は電話を掛けに行く。
手を叩くSEが抜けてますが……
その電話を受けたのは美智代で、

美智代「片桐先輩ですね、はい、村松さんに代わります」
アイドル並みの可愛らしさを誇る美智代だが、あんまり出番がないのが悲しい。
清志郎、わざとらしく咳払いをすると受話器を受け取り、
清志郎「はい、僕です。え、卵泥棒の応援に来てくれって? そりゃないよ片桐君、セントラルシティ署きってのエリートの僕がどうしてドジ直人なんか助けなきゃならないの……え、お願いだから来てくれ?」
清志郎、クスクス笑っている美智代を顎で追い払うと、
清志郎「洋子ちゃんにそう言われちゃ行かなきゃならんだろうねえ、仕方がない、そうしましょう!!」
口では渋々引き受けるが、その目はまるでデートの申し込みをされたようにキラキラと輝いていた。
一方、影山、何を思ったか、見せたい物があると言って直人を自分の研究所に連れて行く。
影山が見せたい物とは、他ならぬ恐竜の卵であった。
卵は、影山の部屋の棚の奥にある秘密の保管庫に隠してあった。

影山「山岳家の私の知人が岩手県の北上山脈の丹沢断層の地底から見つけた卵です。これは世界にひとつしかない貴重なもので、恐竜の卵です」
直人「え、恐竜? しかし恐竜は6500万年前に絶滅した筈じゃないですか」
影山「その絶滅した筈の恐竜の卵が発見されたのはまさに奇跡と言っていいでしょう。それにアイソトープで検査したところ、その卵が生きていることが分かりました。発見されたのは洞窟の地底でそこは太古の昔から一定の温度が保たれ、自然な姿で保存されていたのが幸いしたんでしょう」
と言うのだが、6500万年の間、卵が生き続けていたと言うのは、さすがに嘘っぽい。
影山「これまで珍しい動物が発見されると人々は生きるものの大切さを忘れ大騒ぎをします。そのためにこれまでどれだけ多くの動物が命を失ったか……」
動物園の飼育員らしく、重々しく命の大切さを訴える影山であったが、部屋には動物の剥製がこれ見よがしに陳列してあるので、いまひとつ説得力がない。
それに、命の大切さ云々以前に、こんな、世界的な大発見を、一介の飼育員が独占してしまうというのは、別の意味で問題なのであるまいか。
直人「どんなことをしてもこの卵は守ります」
影山「お願いします」
だが、彼らの会話は権藤によってすべて聞かれていた。
直人、その気配に気付いて追いかけ、研究所から出ると、そこに清志郎と洋子がいた。
清志郎「直人君、何処行ってたんだね」
洋子「黙って持ち場を離れちゃ駄目じゃないの」
直人「すみません」
ここでCMとなるのだが、今回の話、恐竜の卵が出てくるまでのくだりが長過ぎる。
ま、洋子先輩の活躍が見られるのはありがたいが、その分、後半の展開がバタバタしている印象を受けるのだ。
CM後、いきなり権藤が影山の部屋に乱入してくる。
権藤「恐竜の卵は何処だ」
影山「頭がおかしくなったのか、権藤、君は私の助手として……」
権藤「何処にあるんだ」
影山「恐竜の卵などないっ」
あくまで否定する影山に、権藤は白状せねば園内の動物を皆殺しにすると脅迫する。
しかし、権藤は、影山が恐竜の卵を持っているという確信があればこそ助手に成り済ましていたんでしょう?
だったら、最初からこうやってれば簡単に卵のありかを吐かせることが出来たのではあるまいか?
そこへ直人が踏み込むと、権藤はあっさりハゲタカノイドの姿に変わる。

直人「影山さん、言われたとおりにするんです」
影山「何を言うんです、あれは、私の命より大切な金蔓なんですよ!!」
直人「……」
じゃなくて、
影山「何を言うんです、あれは、私の命より大切な……」
直人「僕が必ず取り返します、信じてください」
直人に言われて、やむなく影山は秘密のスイッチを押して、隠されていた恐竜の卵を見せる。
なお、今回の話があまり面白くないのは、ストーリーにひねりがほとんどないからだろう。
それこそ、今のギャグじゃないが、影山が実は金に目が眩んだクソ野郎で、単に恐竜の卵で金儲けを企んでいた……とかなら面白いんだけどね。
特にヒーロー俳優の伴さんが演じれば、二重の意味で意外性があるからね。
権藤の正体についても、最初からいかにも怪しかったし、ハゲだし、意外性は全くない。
ハゲタカノイド「こんなところに隠してやがったのか、恐竜の卵は貰った!!」
ハゲタカノイド、遂に卵を奪取すると、用意しておいたトラックに積んで走り去る。
追いかけてきた直人は、
直人「ドロボーッ!! 卵泥棒がいたぞーっ!!」 お前は小学生か? すぐジバンに変身してレゾンを呼ぶべきだと思うのだが……
直人の叫び声に、洋子たちがやってくる。

洋子「卵泥棒がどうかしたの」
直人「トラックで逃げました」
清志郎「なにぃ、トラック?」
だが、トラックは既に影も形もなくなっていた。
この辺も、タイミングが微妙で、トラックが猛スピードで走り去っただけとも、トラックが忽然と消えたとも、どちらとも取れるので、どうにも煮え切らないシーンとなっている。
清志郎「トラックなんかいないじゃないか」
洋子「そうよ、夢でも見たんじゃないの」
直人「……」
清志郎「だいたい最初から卵泥棒なんていなかったんだよね」
洋子「え、だけど……」
清志郎「セントラルシティ署はこんな事件にばかり関わりあっちゃいられないの。他に事件は一杯あるんだから、行こう、洋子ちゃん」
清志郎、卵泥棒の存在自体を否定すると、洋子を促して引き揚げる。
それは良いのだが、

清志郎が歩き出した瞬間、「チャーチャチャチャチャー」と言う、宇宙刑事シリーズで、幻夢城などの、「悪の組織」の本拠地のシーンに入る時のジングルが鳴るのが、相変わらずめちゃくちゃな選曲となっている。
この後、直人がまゆみの協力でトラックを発見、ハゲタカノイドの居場所を突き止めてラス殺陣となるのだが、ぜんぜん面白くないのでカット。

ちなみに、ジバンがシャッターをぶち破って敵の待ち構える倉庫に飛び込む際にも、いきなり「レーザーブレードのテーマ」が流れ出し、視聴者を戸惑わせる。
ジバンはハゲタカノイドを倒すが、恐竜の卵も割れてしまう。
ジバンの失敗かと思いきや、

直人「盗まれた卵は壊れましたが、それは万一の場合に備えて用意しておいたニセの恐竜の卵だったんです」
影山「え」
直人「泥棒は恐竜の卵は壊れたと思っているのでもう襲ってきません」
と言うオチとなるのだが、直人が卵をいつ、どうやって摩り替えたのか、何の説明も伏線もないのでいまひとつ決まってない。
直人「この卵をどうしますか?」
影山「これは世界にひとつしかない卵です。孵化するかどうか分かりませんが、私が保温器で大事に育てて見ます」
結局、卵はそのまま影山が保管することになるのだが、この後、実際に卵から恐竜が生まれたのかどうか、不明のままなのがもどかしい。
うーん、普通は、
影山「これは世界にひとつしかない卵です。自分だけのものとせず、しかるべき研究機関に託そうと思います」
みたいなことを言うと思うのだが……
以上、前半と後半の落差が大きい、惜しい作品であった。
- 関連記事
-
スポンサーサイト