第7話「恐怖のハクションおじさん!」(1989年3月12日)
どうでもいいが、予告編の大平さん、「ハクション大魔王」っぽく喋りたくてうずうずしてたんじゃないかなぁ。
さて、運河沿いのごみごみした通りに、村上印刷所と言う、夫婦で経営している小さな印刷会社があった。
夫婦には子供が二人いて、長男の健太が野球に行ったあと、

妹のミコは作業場の隅の自分の遊び場に行き、手製の人形を相手にままごとを始める。
ミコ「さあお父さんは風邪だから、みんなで看病してあげましょうね」
そこへミコの母親が来て、そんな古臭い人形捨てちゃいなと言うが、
ミコ「いやよ、この人形だーい好き、だってお母さんが作ったんでしょ」
母親「そうそ、25年も前にね」
ミコ「じゃあやっぱりこのお人形はおじさんなんだ」
だが二人がそこを離れた直後、野良犬が入ってきてその人形を咥えて持ち出し、道に落っことしたのを、中学生が拾い上げ、そのまま川に投げ捨ててしまう。
タイトル表示後、マーシャとカーシャがあるものを持ってギバちゃんの前にやってくる。
カーシャ「人間たちの雑菌をたっぷり含んだ人形を採取しました」
ギバ「ギバウイルスをベースにあらゆる雑菌をブレンドする。では準備にかかれ」

振り向いたカーシャが手にしていたのは、果たして、ミコが大切にしていたおじさん人形であった。
二人は別室に行き、電話ボックスのようなバイオノイド製造マシンにギバウイルスと、その人形を放り込んで、新たな怪人カゼノイドを誕生させる。

とりあえず、カーシャの美しいアップでも貼っておこう。
二人はカゼノイドを連れて再びギバの前に。

ギバ「カゼノイド、お前は強烈な病原菌の塊、ギバウイルスを抵抗力の弱い子供たちに密かに撒き散らし、一瞬にして人間の体内に侵入し、高熱で苦しませた挙句、くしゃみを連発して24時間後に衰弱死するかどうか実験するのだ。実験が成功すればギバウイルスを全世界にばら撒く。愚かな人間たちはただの風邪だと思い込み、たいした抵抗もせずに滅びていく」
理路整然と、作戦の概要と目的を説明するドクターギバ。
うーむ、まるで現在のコロナ禍を予見したような恐ろしい台詞である。
ひょっとして、コロナって、バイオロンの仕業では……

カゼノイド、あの人形をそのまま擬人化したような素敵なおじさんに変身する。
どっかで見たことあるなぁと思ったら、「仮面ライダー」のゴキブリ男でお馴染み、平松慎吾さんであった。
そう言えば、ゴキブリ男のときも、細菌を日本中にばら撒こうとしてたよなぁ。
さすがにあの頃と比べると細くなってしまったが、なかなか良い年のとり方をされている。

それはさておき、男は登校(下校?)中の子供たちの間をすり抜けながら、わざと大きなくしゃみをして体内のギバウイルスを撒布し、子供たちに存分に吸わせる。

いくらなんでも効き目が早過ぎる気がするが、ウイルスに感染した子供たちは、死人のような顔色となり、その場にバタバタと倒れていく。

……
惜しいなぁ(何が?)
男はその後も手当たり次第にウイルスを子供たちに浴びせ、救急車をフル稼働させる。

洋子「分からないわ、どうして今頃急に風邪が流行るのかしら」
RX-7の助手席に直人を乗せて運転しながら、首を傾げる洋子先輩であったが、そう言う洋子先輩の声が、思いっきり鼻声なのが笑えます。
二人はウイルスを子供たちにばら撒いている男を発見、洋子は子供たちを直人に任せて追いかけるが、すぐ見失ってしまう。
直人はジバン基地に戻り、ボーイにウイルスを分析させ、感染から24時間で患者が衰弱死することを突き止める。
直人「最初の感染者が出てからもう10時間、あと14時間か……」

洋子「いいわね、私がこのプラカードを持って街を歩く、そしたらあの変な中年男、必ずあらわれると思うの。だから、直人は私を尾行する」
直人「つまり、囮作戦ですか、でも、相手がバイオロンじゃ危険ですよ」
洋子「何言ってんのよ、やるっきゃないのよ」
洋子は、あの男の似顔絵を書いたプラカードを掲げ、街中を練り歩いて住民に注意を喚起する。
しかし、今の段階では、あの男がウイルスの発生源と言う確証はないのだし、似たような顔の一般人がいたら、ひどい目に遭うのではあるまいか?
直人、心配そうに、それでも言われたとおり尾行していたが、

健太「直人さん」
直人「やあ、健太君、ミコちゃん……うん、どうした、元気ないな」
道端にいた顔見知りの健太に呼ばれるや、いそいそと二人のところへ行く。
何故なら、スーパーヒーローと言うのは、ほぼ例外なく幼女が好きだからである!!(註・違いますっ)
健太「ミコの好きな人形がなくなったんだ」
直人「じゃあお兄ちゃんが可愛い人形買ってあげよう」
ミコ「うん!!」
直人の言葉にたちまち笑顔になるミコ。
いや、ミコはあの人形がなくなったから落ち込んでいるのであって、別の人形を貰っても解決しないのではあるまいか。
ま、この辺は、いかにも現代っ子と言う感じだが……
直人、クシャミおじさんに近付かないようにくれぐれも言い聞かせて別れるが、気がつくと、洋子先輩の姿が見えない。
色々あって、洋子はあの男を見付け、ひとりで追いかけてオートレース場のような施設にやってくるが、そこを銃を持った戦闘員たちに襲われる。

自動小銃による銃撃を、地面を転がってかわし(註・無理です)、

起き上がりざま、二人の敵を華麗に撃ち倒す洋子先輩。
これを、スタントじゃなくて榎田さん本人が演じているのが素晴らしい。

その後、物陰から見ているクシャミ男に気付いて鋭く横を向く。
いやぁ、いちいちその動作が絵になるなぁ。
それにしても、やっぱり洋子先輩にはタイトスカートが良く似合う。
前回のおっさんみたいなズボンは、永久に履かないで欲しいものだ。
出来ることなら、何も履かないでアクションして欲しいものだ。
洋子、男を追いかけて競技場の中に入り、いつもの、タイトスカートの裾持ち上げてからの股割り狙撃を行うが、特にエロくないので画像は省略。
銃弾は、見事に男の靴の踵を撃ち抜く。

この距離から、しかも45口径の拳銃でそんな小さな標的に命中させるとは、洋子先輩の射撃技術はほとんど神業レベルである。
洋子、尻餅を突いている男の前に立つと、

洋子「あんたが子供たちを病気にしてんでしょ」
男「困るんだよ、あんなプラカード見せて歩かれちゃ」
洋子「冗談じゃないわ、あんたを逮捕するわ」
手錠を取り出す洋子だったが、男は口から白い高圧ガスを吐いて洋子の顔に浴びせ、逆に洋子に尻餅を突かせる。
洋子先輩の尻餅だったら、いくらでも受け止めてあげたい……顔で。

男「へっへっへっへっ」
洋子「近寄らないで、それ以上近付くと撃つわよ!!」
変質者のような笑みを浮かべて迫るクシャミ男に対し、黒いパンストに包まれた美脚を惜しみなく披露しながら、怯えたようにあとずさる洋子先輩が可愛過ぎる!!

と、ここで男がカゼノイドの姿に変身する。
洋子は、臆することなく座ったまま銃を撃つが、カゼノイドは涼しい顔。

洋子「……」
ひるんだところにすかさずギバウイルスを浴びせかけると、洋子は紙のような顔色になって倒れ、意識を失う。
うーん、大人でもウイルスに感染するとこうなるのなら、彼女の他にも子供から二次感染して発症した大人がたくさんいそうなものだが……

カゼノイド、ひとおもいに洋子の首を締めて殺そうとするが、その腕をむんずと掴んだのがジバンであった。
元々ウイルス撒布用に作られたカゼノイド、戦闘力は大したことなく、マクシミリアンソードで胴を切られ、あえなく退却する。
クシャミ男の姿に戻ったカゼノイド、前世(?)の記憶によるものか、例の村上印刷所の、ミコがいつもおままごとをしている場所に入り込んでぐったりしていると、ミコがあらわれ、

ミコ「どうしたの、おじさん」
男「うう……」
ミコ「お腹が痛いの? ようし、ミコが治して上げる、チチンプイプイ、痛いの痛いの飛んで行け」
懼れる色もなく男のそばに行き、そのお腹をさすって呪文を唱えてやる。
当時、このシーンを見て、全国の真性ロリコン戦士が7万人ほど死んだそうです。
ミコ「すぐ痛くなくなるよ」
男「そうか、すぐ痛くなくなるか」
ミコ「うん」
男「嘘つけ!!」 ミコ「へぶっ!!」
……と言うのは嘘だが、怪我で苦しんでる人に、テキトーなことを言うと殴られる危険性があるので気をつけましょう。
クシャミ男は、大人しくその場に横になる。
ミコ「おじさん、風邪も引いてるの?」
男「かもしれないな」
ミコ「大変だ、ミコ、お薬持ってきてあげる、ちょっと待っててね」
トコトコ奥に引っ込むミコを見ながら、

男「ミコちゃんか、変だな、前にもこんなことをしてもらったような気がする」
長年可愛がられていたあの人形にはいつしか魂が宿り、それを基に作られたカゼノイドにもその記憶が受け継がれているらしい。
CM後、ひとり、夜の公園で考え込んでいるクシャミ男。
男(子供があんなに優しく可愛いものとは知らなかったな……)
ミコの可愛らしさに打たれて、思わずロリコンに宗旨替えしようとしていると、その心を見透かしたように、怪人態のカーシャ、マーシャがあらわれ、不思議な力で男の体を小さくし、フラスコの中に閉じ込める。
二人はそれをアジトに持ち帰ると、人間態に戻り、

マーシャ「まさにゴミね」
カーシャ「そう、あんたは汚いバイキンなのよ」
フラスコの中で騒いでいるクシャミ男に顔を近付けて、容赦なく嘲り、罵り倒す。
ま、世の中には、若くて綺麗な女性にこういうことを言われると逆にコーフンする殿方もいらっしゃるそうなので、苦しそうなふりをしながら、クシャミ男が至福の時を満喫していた可能性も捨てきれない。
カーシャ「出して欲しかったらくだらないことは考えずに、ギバ様の命令どおりにするのね、さもなければバラバラにされて消されるだけよ」

カーシャ「所詮お前はギバ様に作られた操り人形なのよ。いいわね」
消されてはたまらないので、クシャミ男は素直に頷き、フラスコから出してもらう。
クシャミ男が信用ならないので、今度は二人がお目付け役として同行する。

マーシャ「さあ、獲物が来たわ、やるのよ、カゼノイド」
カーシャ「ゴミになって消えたくないでしょ」
二人に押されるようにして、クシャミ男は新聞配達をしている男の子の前に立つ。
貴重な二人の私服姿であったが、この1シーンだけと言うのは勿体無い。
いつものように子供のそばでクシャミをしてウイルスを浴びせるカゼノイドだったが、その子供こそ、ミコの兄の健太であった。
しかし、さすがにこんな小さな子供に新聞配達はやらせないよなぁ。

男「あと3時間で、最初にギバウイルスに感染した子供たちが死ぬ……」
だが、やはり気が咎めるのか、クシャミ男は公園のブランコに座って憂鬱そうに考え込んでいた。
その脳裏に苦しんでいる子供たちの姿が浮かび、男はたまらなくなって立ち上がり、
男「ミコちゃん、おじさんはどうすればいいんだ?」
母親とも言うべきミコに向かって呼びかける。
その後、男がふらふらと村上印刷所に行くと、ミコがしくしく泣いていた。
男「どうしたんだい」
ミコ「お兄ちゃんが、変なおじさんのクシャミのせいで病気になっちゃったの」
男「え、お兄ちゃんが」
ミコ「うん、朝、新聞配達してる時に……」
クシャミ男、自分がとんでもないことをしてしまったことを知り、愕然となる。
続いて、入院している子供たちと、健太を見舞っている直人たちの様子が映し出されるが、同じく入院している筈の洋子先輩の姿は一切出て来ない。
やっぱり、あの白塗りメイクで演技するのはイヤだったんだろうか。
タイムリミットが迫る中、クシャミ男は港をよたよたと歩いていた。
男(このままでは俺の体はギバウイルスで砕け散る、ミコちゃんのお兄ちゃんや、みんなを助ける為にはジバンに倒してもらうしかない)
カタルシスウェーブでも食らったように、すっかり善の心に目覚めてしまったクシャミ男は、ウイルスをばら撒くどころか、クシャミを我慢しながら、自ら進んでジバンに倒してもらおうなどと、寝惚けたことを考えていた。
しかし、カゼノイドの中にはバイオノイドとしての精神も含まれている筈なのに、こう簡単に良心に目覚めてしまうというのは、いささか物足りない気もする。
ギバ「カゼノイドの愚か者め、クシャミをしなければ体の中でどんどん作られているギバウイルスで自分が死ぬと知りながら……カゼノイドを戦うだけの凶暴な獣にしてしまえ」
モニターでそれを見ていたギバ、カゼノイドを見限り、マーシャとカーシャに恐ろしい命令を下す。
ま、元々今回の作戦はギバウイルスの性能実験だったのだから、その目的は果たされたと言ってよく、最初から悪の心を失ったカゼノイドを送り出す必要はなかったんだけどね。
が、下手にカゼノイドを自由に動き回らせたお陰で、結局作戦そのものが頓挫してしまうことになる。
色々あって、ジバンは遂にカゼノイドの居場所を突き止め、レゾンで急行する。

ジバン「警視庁秘密捜査官警視正・機動刑事ジバン、対バイオロン法第一条、機動刑事はいかなる場合でも……」
男(まどろっこしいっ!!) マイペースでいつもの口上を述べるジバンに、内心で歯軋りするクシャミ男であった。
と言うのは嘘だが、いつもと違って、今回は敵も味方も一分一秒を争う状況なのだから、そこはサクッと省略すべきだったと思う。
実際、ジバンがきっちり全部語り終えたあと、

男「ジバン、早く俺を倒してくれ!!」
割りと身も蓋もないことを言うのがツボである。
男「俺を倒して、ミコちゃんや子供たちを助けてやってくれ」
ジバン「カゼノイド!!」
男「頼む、ジバン、ああ、ああ……早くしないと俺の体は砕け散って……」
苦しそうに膝を突くクシャミ男であったが、その背後にカーシャとマーシャがあらわれ、クシャミ男を無理やりカゼノイドの姿に変える。
凶暴化したカゼノイドは猛然とジバンに襲い掛かるが、カゼノイドが心の底では改心していると感じたジバンは、戦いを躊躇する。
だが、さっきのクシャミ男の言葉を思い出し、心を鬼にして反撃に出ると、最後はマクシミリアンソードでぶったぎる。
カゼノイドは爆発して消滅するが、後には、あの古びた人形が落ちていた。

ジバンがそれを拾い上げると、人形は清らかな光となって消え、ひと掬いの液体となる。
男「ジバン、その液体は、俺の体から出来た、ギバウイルスの抗体ワクチンだ。早く子供たちを助けてやってくれ、頼む」
ジバン「カゼノイド!!」
空中にクシャミ男の姿が浮かび上がり、ジバンに最後のお願いをして消える。
こうしてカゼノイドが自らの体を犠牲にして作ったワクチンによって、子供たちはたちどころに回復する。
ま、ワクチン接種が進んでも、ぜんぜんコロナが収束しない現下の状況(この記事は、2021年8月29日執筆)では、いまひとつ説得力のないシーンである。
ともあれ、直人が健太少年が治ったのをその家族とともに喜んでいると、

洋子「直人!! 直人!!」
直人「洋子先輩!! 良かったですね」
洋子「みんなも治って、良かったわね」
パジャマ姿の洋子先輩が元気に飛び込んでくるが、このパジャマがあまり色気がないのが残念だ。
しかし、このシーンの直人、洋子先輩をほったらかして健太に付き添っていたように見えて、いささか薄情に思えてしまう。

とりあえず、最後は洋子先輩の可愛い笑顔で締めましょう。
以上、今となっては絵空事として片付けられない恐ろしい作戦が展開するが、終わってみれば、パンデミックの恐怖より、無垢な少女とカゼノイドに宿った人形の魂との交流のほうに重点が置かれた、いかにも藤井邦夫さんらしいリリカルな作品であった。
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