第15回「熱中先生と不思議な少女」(1979年1月12日)
終わった筈の「熱中時代」ですが、やはりこの話もやっておこうということになりました。
理科の授業の最後に小テストをやり、班長に答案用紙をまとめて提出させていた広大だったが、

広大「田原、どうしたんだ、左手どうした?」
そのひとり、田原直子(たはら なおこ……漢字は適当)と言う女の子が、左腕を曲げて自分の胸にくっつけているのに気付く。
直子「なんでもありません」
広大「おい、痛いのか」
直子「うんう」
広大「ちょっと左手上げてみろ」
直子「なんでもないもん」
広大は直子の右手を掴み、左手を調べようとするが、直子は触られるのを嫌がるように「なんでもない」を繰り返し、自分の席に戻る。
今日はその授業が最後で、「さようなら」をして引き揚げようとするが、ひとりの男子が立ち上がり、育てていたヒヤシンスの球根が枯れてしまったと告げる。
管理人なら「しらねえよ」と答えるところだが、真面目な広大は話を聞いて、その原因が水のやり過ぎだろうと推測する。
広大「かわそうなことしたなー、これからは、もっと気をつけるようにしようなー、それからみんなも植物にも命と言うものがあるんだから枯らしてしまったらかわいそうだぞ」
これで済めば問題なかったのだが、別の女子が立ち上がり、植物と動物の命の違いについて聞いてくる。
広大「……」
一瞬固まる広大だったが、どっちも同じだと答え、職員室に避難しようとするが、

由美子「先生、一番初めの命は何処にあったんですか?」
管理人イチオシの茂木由美子ちゃんが可愛い口を動かして、さらにややこしい問題をぶっこんで来る。
広大「え……」
と、広大が答えるより先に、藤森と言う男子が、「ずっと昔に決まってるじゃないかー」と、面倒臭そうにがなる。

由美子「昔っていつー?」
だが、気の強い由美子ちゃんは畳み掛けるように質問する。
藤森「人間がサルだった頃に決まってるだろー」
藤森も即座に応じるが、

由美子「じゃあ、サルの命は何処から来たのー?」
由美子ちゃんはなおも追及の手を休めない。
藤森「それはさぁ……」
藤森も困って、思わず天井を見上げる。
……
え、由美子ちゃんの画像ばっかり貼ってないで、少しは藤森の画像も貼ってやれって?
なるほど、確かに男女雇用機会均等法に反してるかもしれませんねえ。
だが断る!! 何故なら、管理人は自分の貼りたい画像しか貼らない主義だからである!!
上野「恐竜、恐竜!!」
ちなみにその後、上野が両手を構えて叫ぶのだが、彼が、翌年の「ウルトラマン80」にレギュラー出演することを暗示したような台詞だと考えるのはただのこじつけである。
それにしても、「ウルトラマン80」が初期設定のまま1年続いてれば、「熱中時代」の子役たち、具体的には平山君子ちゃんや茂木由美子ちゃんや鈴木ショウコちゃんなどが出演するなんてこともあったんじゃないかなぁと夢想してみるのもいとおかし。
広大「(最初の)命と言うのはだな、実に難しくて、本当のことを言うとまだ誰も見た人がいないんだなー、しかし、生きてるものにはみんな命がある、命があるものは大切にしなければいけない、はい、おしまい、おしまい」
答えに窮した広大は、口早にテキトーなことを並べ立てて強引に議論を終わりにしようとするが、納得行かない子供たちはどっと教壇のところに押し寄せ、広大を取り囲み、やいのやいの騒ぎ立てる。
だが、例の田原と言う女の子だけは、自分の席に留まって、左腕を体に引き寄せ、それを右手で押さえると言う、予防接種をされた後のような変な恰好をしているのだった。
広大「田原直子、おい、こら、どした?」

その後、職員室に戻って来た広大がその話を同僚に話しているが、その際、学校の時間割りが映し出され、それによって授業時間が40分だと知って、ちょっと驚いた管理人だった。
そんなに短かったかなぁ?
あと、2時間目と3時間目の間に「中休み」と言うのがあるのが面白い。
小嶋田先生も桃子先生も、広大がされたのと似たような質問をされて困ったことがあると話す。
広大「でもね、こと命の問題となるとうっかりしたことは言えないでしょう、真剣で且つ大切な問題ですからね、いやぁ、もう参ったなぁ」
そこへあの直子がトコトコやってきて、

直子「先生、白墨下さい」
広大「お、田原は白墨係か……おいおいその手、ほんとに大丈夫なのか」
直子「……」
広大「ちょっと見せてみろ」
直子「だめーっ!!」
広大が直子の左手を調べようとするが、直子はどうしても触らせようとしない。

桃子「どうしたんですか」
広大「あ、いやぁ、考えたらだいぶ前からああやってるんですよねえ、あの子、いっつもこうやって……」
小嶋田「ふーん、肩凝りじゃないですか」
桃子「肩凝り? 子供がですか」
小嶋田「いや、この頃は小学生にもあるんですよ、お習字とかピアノ、絵画教室とか算盤、学習塾、あんまり忙し過ぎてね、肩が凝る小学生が増えてるそうです」
広大「へーっ!!」
小嶋田先生に言われて、心底感心する広大。
だが、直子は別にお稽古事をしている様子はない。
広大、直子の両親が共働きで、しかも一人っ子なので、いつも寂しそうにしているが、それが原因で肩が凝るのではないかと自分の推理を開陳する。
小嶋田「それはあるかもしれませんねえ、精神的なものが影響するってことは考えられると思いますよ」
広大「よし、お母さん聞いてみるか、一度な」
OP後、天城家の夕食の席で、昼間、子供たちにされた質問を持ち出す広大。
天城「なるほど、命は何処から来たのか、そりゃ難しい質問ですね」
八代「しかしね、君、そんなのまともに答えてちゃ大変だよ」
広大「はい、でも、できるだけちゃんと答えてやりたいなって思って」

桃子「早苗先生だったらなんて答えます?」
早苗「そうねえ、私だったら正直に分からないって答えるわ」
などとやってると、冷蔵庫の中を覗き込んでいた恵子が、自分の飲みかけの牛乳がないと騒ぎ出す。
ここで一転、みんなで誰が牛乳を飲んだのか、犯人探しが始まる。
育民「しかし、うちもどうかと思うよね、命の尊厳について語ってたと思ったらさ、突然飲み残しの牛乳を誰が飲んだか、なんてさ」
で、色々あって、結局、恵子が自分で飲んだのを忘れていたと言うオチとなる。
八代「北野君、もう、こういう、程度の低い話はやめて、もっと次元の高い生命の神秘について我々語り合いましょう、宇宙的規模の話ね、あとでいらっしゃい」
その後、綾子が人間が1000年も生きるようになって、自分の顔がシワシワになったら……と想像する一幕があるのだが、まさか演じている草笛さんも、自分が40年後もその時と大して変わらぬ姿でバリバリ活躍しているとは思わなかっただろうなぁ。
余談だが、昨日「熱中時代」の第1話を見てたら、広大が「スターと言えば山口百恵」みたいなことを口にして綾子が笑うというシーンがあったけど、考えたら、草笛さん、その少し前に「赤い衝撃」で百恵さんの母親役を演じてるんだよね。

八代「生物の祖先とは何か、そして何故生物は必ず滅びるのか、この辺りから勉強して行こうねえ……」
食事の後、八代は広大を自分の部屋に招き、難しい専門書を並べてあれこれと「生命の起源」について話すのだが、広大にとってはありがた迷惑以外の何物でもなく、面倒臭い先輩に捕まった学生のような顔で、それでも真面目に参考書などを読んだりする。

八代「それにしても広大君、宇宙と言うの不思議なもんだねえ。この地球のほかに生物がいるであろうと思われる星があと何千何万とあると言われているんだからね、いやぁ、不思議な問題だよ、宇宙とは……」
普段から、真夜中に天体観測などしているような八代は、ふと天井を見上げて、無限に広がる大宇宙の神秘に思いを馳せ、広大もつられてなんとなく天井を見上げるのだった。
だが、それが、恐ろしい事件の前触れだった。
数時間後の深夜、小宮巡査がパトロール中、天城家の前を通り掛かると、玄関のドアがちゃんと閉まっておらず、折からの強風でバタバタ動いているのが見えた。
小宮が天城家を訪ねると、広大と八代と育民以外の全員が出て来る。

天城「何事ですか、こんなに遅く」
小宮「少し気をつけて頂かないと困りますね、ドアが開いてパタパタしてましたよ」
恵子「あら」
桃子「一番最後に帰ったの私だったかしら」
小宮「いえいえ、誰が最後に帰ったとか、そう言うことじゃなくて、戸締りの責任者は誰なんですか?」
早苗「誰って言われても……ねえ」
小宮「これからは気をつけてください」
と、綾子は弟が顔を出さないのに気付いて、玄関を入ったすぐの八代の部屋の襖を開けるが、

八代と広大が、意識を失って倒れているではないか。
綾子「死んでる!!」
小宮「死んでる?」
綾子の叫び声に、みんながどっと部屋に雪崩れ込む。

天城「北野さん、どうしたんです?」
綾子「徹!!」
小宮「こりゃ一酸化炭素中毒だ!!」
小宮は窓を開けようとするが、鍵が掛かっているので警棒で窓ガラスを叩き割る。
小宮は恵子に救急車を呼ばせると、二人を部屋から出して、人工呼吸を試みる。

ここで、水谷豊×谷隼人と言う、腐女子が大喜びしそうなシーンが出てくるが、死ぬか生きるかの瀬戸際なので、それどころではないのである。
やがて広大が呻き声を上げながら上半身を起こすが、再びぐにゃりと体を倒し、

カメラに向かって目を見開いたまま、ピクリとも動かなくなる。
子供が見たらトラウマになりそうなシーンだが、無論、広大が死んだら番組が終わってしまうので、

桃子「でも良かったわ、ほんと命が助かって」
青空「ほんとですよー、私、東京来てこんなにびっくりしたの初めてですよ」
次のシーンでは、早くも翌朝になっており、二人が息を吹き返して病院で桃子と青空に看病されている図となる。
広大「ごめんなー、お兄ちゃん、全然気がつかなったんだよねー」
今度ばかりは、広大も妹に頭が上がらず、平謝りに謝る。
八代「いや、ちょっとね、頭が痛いなって気はしたんですがね」
青空「頭が痛いなと思ったら、窓開けるとか、なんとか、色々考えなかったんですかぁ?」
桃子「あのまま死んでたらね、今日の夕刊に写真で出たのよ、二人とも」
桃子が真剣な口調で言うが、一酸化炭素中毒でまだ頭がぼーっとして実感がないのか、
八代「はははっ、男二人の心中死体か、同じことなら女性のほうが良かった、な、広大君」
広大「はい、ひひひひ」
天井を見上げながら減らず口を叩くと、広大も調子の狂った笑い声で応じる。

桃子「二人とも、笑い事じゃなかったんですよ!!」
八代の口におかゆか何かを運んでやりながら、重ねて𠮟りつけるように言う桃子タン。
始業時間が近付いたと知ると、八代も広大も起き上がって学校に行こうとするのを、二人が慌てて押し止める。
青空「桃子先生が学校に行く前に、私、小樽に電話してきます」
広大「馬鹿、よせ、青空、余計なことするな、心配するだろう、オヤジたちが……な、頼むから黙ってろよな、だいじょぶだ、大したことないんだから、ほら」
親に心配させまいと、広大が懸命に青空にアピールしていると、再び桃子が真剣な顔になり、
桃子「でも、ほんとなのよ、あと30分、あのまんまでいたら、二人ともほんとに駄目だったかもしれなかったんですって……」
八代「ええっ?」
シャレや冗談ではなく、自分たちがもう少しで死ぬところだったと聞かされ、さすがの八代も顔色を変える。
一方、3年4組の教室には教頭がやってきて、広大の具合が悪いので代わりに自分が授業をすると告げるが、自分の気持ちに正直な子供たちは、あからさまに不満の色を見せ、ついには「帰れコール」を始める始末。

綾子「ごくろうさま」
ガラス屋「一体どうしちゃったんです、こんなに」
一方、天城家では、小宮が壊した窓ガラスを早速職人が来て付け替えていた。
ちなみにこのガラス屋を演じているのが、怪人の声でお馴染みの山下啓介さんなのである。
綾子「うん、ちょっと……大したことじゃないんですけどね」
ガラス屋「はは、はは、奥さん、やりましたね、いやね、よくあるんですよ、夫婦喧嘩をしてね、カーッとなって見境がなくなってポンポンと物を投げちゃうってことがね」
まさか人が死にかけたとも言えず、綾子が口を濁していると、ガラス屋が勝手にその原因を決め付けてひとりで納得する。

ガラス屋「へへへへ、私、バカよね~、おバカさんよね~」
綾子「……」
おやつを持ってきた綾子だったが、それですっかり機嫌を悪くし、何も言わずにその場に置いて立ち去るのだった。
教頭、それでも何とか子供たちを静かにさせて授業をしていた。
もともと、広大が2学期の途中から担任になるまで、教頭が産休になった前任者の代わりにこのクラスを受け持っていたのだ。

教頭「さ、ちょっと難しい字だが、読めるかな、読める人?」
子供たち「はーい!!」
それはともかく、教頭の問い掛けに、元気よく手を上げる子供たち。
ちなみに画面右端で、グーを挙げているのが管理人イチオシの平山君子ちゃんである。
みんな、もう覚えたよね?
教頭が次々当てていくが、なかなか「神主」と言う字が読めない。
女子「先生、グーとチョキばっかり差してる」
と、ひとりの女子が非難するような口調で指摘する。
教頭「なんだ、その、グーとチョキってのは?」
広大が考案した3年4組独自の挙手システムを知らない教頭は目をパチクリさせる。
午後、早くも広大が職場復帰して、校長室に顔を出す。

広大「失礼します」
天城「北野さん」
広大「どうもゆうべは大変お騒がせしました」
天城「だいじょぶなんですか、あなた、今日は休んだほうがいいんじゃないですか」
広大「いえいえ、だいじょぶです」
天城「八代君はどうしました」
広大「はい、八代先生も学校へいらっしゃいました」
天城「そうですか……一時はどうなることかと思ってましたよ。命あっての物種ですよ」
ちなみに広大がドアを開けた際、その上の壁が目に見えるくらい大きく揺れて、はしなくも、セットの頼りなさが露呈してしまう。
天城は広大にソファを勧め、改めて昨夜の経緯を尋ねる。
広大「八代先生とですね、命の発生について話し合っていたところ、生命の尊厳は何か、生命の尊厳を守るにはどうしたらいいのかと言うヒジョーに哲学的なところに話が行っちゃいましてね……」
天城「何を言ってるんですか、生命の尊厳さはまず窓を開けて空気を入れ替えることです、一酸化炭素を吸わないことですよ」
広大「はいー」
天城が子供を叱るような口調で説教していると、教頭があらわれる。
教頭「あれ、北野さん、もう良いんですか」
広大「はい、どうも、大変迷惑をおかけしました」
広大が深々と頭を下げると、教頭はソファに腰掛けながら、心底感心したように、

教頭「いやいや、こんなこと言っちゃなんだが、北野さん、あんた、意外に優秀な教師だねえ」
「意外」は余計だが、滅多にないことに、教頭が広大のことを褒める。
広大「は? いやそんな、とんでもない、駄目ですよ、僕なんか」
教頭「本当に感心しましたよ、例のこれね……自信のある子はパー、ちょっと自信はチョキ、まるで自信がない子はグー、これなら出来ない子でも手を挙げられるし、差されるチャンスもありますからね」
広大は、確か5話だったと思うが、なるべくみんなに答えるチャンスを与えたいと言う気持ちから、上記の独自システムを考案して実践しているのだ。
教頭「いや、実にいいなぁ、はははは」
広大「畏れ入ります」
教頭「実に良い、素晴らしいアイディアだ、今自習させてるんですがね」
教頭は広大のことをいくら褒めても褒めたりないような感じで絶賛しながら、あたかも、教師になって初めて生徒にものを教える楽しさを知ったかのような足取りで、教室に戻っていく。
一方、「蜘蛛の巣」では、青空がコーヒーを飲みに来た小宮にケーキをご馳走していた。

青空「お兄ちゃんの命を助けてもらったお礼に……」
小宮「えっ、いやいや、助けたなんて大袈裟ですよ。僕はただパトロールで通り掛かっただけなんですよ、ドアが開いてなかったらそのまま素通りです、ほんとうの命の恩人てのは、ドアを閉め忘れた人です」
青空「また、ご謙遜を……どうぞ」
小宮「あ、そうですか、じゃ、いただきます」
遠慮なくケーキを頬張りつつ、小宮は思い出したように、
小宮「しかし、あれですね、不用心なんですね、あの家は」
小宮の言葉に、青空は我が意を得たとばかり、テーブルを叩いて力説する。
青空「そうなんですよ、お巡りさん、聞いてくださいよ、戸締りはいい加減だし、冷蔵庫の管理はめちゃくちゃ、この間なんか、お風呂のガスつけっぱなしで、朝ぐらぐらにお湯が煮え立ってたことだってあるんですからーっ!!」
小宮「冗談じゃないよ、下手すりゃ火事になっちまうよ」
お節介な小宮は、住人でもないのに何か対策を立てねばならないと腕を組むのだった。
後編に続く。
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