第25話「死ぬな!! 電気椅子の城茂」(1975年9月20日)
冒頭、栃木県・那須町の茶臼岳の中に作られたブラックサタンのアジトで、新しい大幹部デッドライオンとシャドウが睨み合っている。
前回は松阪でロケしていたので、てっきり今回も同じ場所でやるのかと思ってたら、全然別の地方ロケとは、金があるんだかないんだか、良く分からない番組である。

デッドライオン「聞け、俺はブラックサタンの最高幹部、デッドライオンだ。俺が来たからには一日といえど、ライダーストロンガーを生かしておかんぞ」
シャドウ「ふっふっはっはっはっはっ、ご大層なお出ましだな、デッドライオン」
デッドライオン「黙れ、ここは俺の城だ、断りもなく無礼だろう」
シャドウ「無礼はお前だ、タイタンが情けなくもストロンガーに敗れたからには、ストロンガーを倒すのは俺の役目だ」
初対面から激しく火花を散らす両雄であったが、シャドウ、前回の時点でブラックサタンを見限っていたと思うのだが、いまだにアジトに出入りして「役目」などと言ってるあたり、どうにも軸が定まらないお人である。
あと、「俺が来た」って言うけど、いったい何処から「来た」んだろう?
職安?
ま、普通に考えればブラックサタンの海外支部だろうが、海外の活動については一切触れられていないので、どうにもイメージしにくい。
デッドライオン「ストロンガーを倒すのは、ブラックサタン直系の最高幹部、俺以外にはないわい」
シャドウ「それは大首領の意思か」
デッドライオン「これを見ろ」
デッドライオンが自分の胸元を示すと、

そこに、どっかで見たようなマークの入ったペンダントがぶら下がっていた。
それを見たシャドウは顔色を変える。
シャドウ「むっ、それはサタンのペンダントではないか」
デッドライオン「そおだとも、これがどういうものかはお前も知っているだろう、ブラックサタンの中でただひとり、一番大首領に信頼されるものに授けられるペンダントだ。これを持つものだけが大首領に近付くことを許されるのだ」
シャドウ「……」
得意げに話すデッドライオンだったが、「雇われ者」に過ぎないシャドウが、なんでそんなことを知ってるのだろう?
と、同時に、逆説的に、タイタンは首領に一番信用されている大幹部ではなかったことになり、タイタンよりもデッドライオンを信用する首領の人を見る目のなさに、ますます暗澹たる気持ちになる管理人であった。

デッドライオン「これでわかったろう、お前などは所詮よそものだ、雇われ者に過ぎんと言うことだ」
シャドウ「おのれ、大首領め、俺を散々おだてて利用しておきながら……」
度重ねる屈辱にシャドウ、遂に怒りを爆発させるが、それにおっかぶせるように、
デッドライオン「黙れいっ!! 大首領に反逆するような言葉遣いは許さん!! とっとと出て行け!!」
しかし、「直系」って言うけど、タイタンも元々地底王国の支配者だったのがブラックサタンに参加したように見えるのに、それでも「直系」って言われてたから、どうにもその辺の基準と言うのが曖昧に感じられる。
あと、「雇われ者」って言うからには、首領、ちゃんとシャドウに給料払ってるんだろうな?
シャドウ、剣を抜いてデッドライオンの鼻の穴に刺し、
シャドウ「さあ、出て行くのはどっちかな?」
デッドライオン「ぐるるるる……」
口ほどにもないデッドライオン、剣で胸に「V」の字を刻まれるが、反撃することさえ出来ない。
少なくとも、実力ではタイタンより遥かに劣るのは確実で、ブラックサタンの人材がいかに枯渇しているかを端無くも示していた。
デッドライオン、直属の部下にして、ブラックサタン最後の奇械人であるアルマジロンを呼び、代わりにシャドウと闘わせるが、

シャドウ「えい」
アルマジロン「あれ?」
一撃で脳天カチ割られたそうです。合掌。
……嘘である。

実際は、そのあまりの固さに自慢の剣も歯が立たず、手が痺れて思わずうろたえてしまうシャドウであった。
シャドウ「デッドライオン、俺はこのことを忘れんぞ。いずれ後悔する時が来る、大首領に伝えろ!!」
やむなく捨て台詞を残して退散するが、アルマジロンは巨大な球体になってなおもシャドウを追いかけようとする。
デッドライオン「ま、待て、奇械人アルマジロン、直ちに行動を開始し、誓ってストロンガーを殺してしまえ」
デッドライオン、慌ててそれを止めると、ストロンガー抹殺の命令を下す。
一方、おやっさんとユリ子は那須ビューホテルをバックに、

ユリ子「ホテルにブラックサタンの気配はなかったみたい」
立花「と、すると、茂は一体?」
と、急に地響きがして、そこから見える茶臼岳から噴煙が上がるのが見えた。

立花「やな感じだな、爆発するんじゃないか……ひょっとして茂はあの山に?」
かなり無理のあるおやっさん論法であった(註1)が、是が非でも茶臼岳で撮影したいスタッフの意向には逆らえず、二人はバイクに二人乗りして走り出す。
註1……もっとも、アバンで、茂が噴煙が不自然に流れているのを見て調べに行っているので、偶然にも当たっていたのである。
もっとも、さすがにバイクで山を駆け上がるのは不可能なので、次のシーンではロープウェーのゴンドラの中にいる。
二人が茶臼岳のロープウェー駅から降りると、すぐにアルマジロンが襲って来る。
ここでユリ子がたわわに実ったおっぱいをぷるんぷるんさせてアクションするのだが、相変わらずカメラはその姿をろくに映してくれない。
宝の持ち腐れと言う表現が、これほどふさわしいシーンはあるまい。

アルマジロン「片付けてしまえ」
乳白色の濃霧の中に斜めに走る稜線の上でタックルと戦闘員が戦い、それを下からアルマジロンが指図していたが、その背後にあらわれたおやっさん、どさくさ紛れに、
何10キロもあるような巨大な岩を持ち上げると、岩を持ったまま斜面を駆け上がり、 
それでアルマジロンの体に突撃するという、超人ハルクみたいな真似をする。
……
おやっさん、デッドライオンより強くね?
しかし、首領も目がないよなぁ。
今まで何度も捕まえてきたおやっさんを奇械人に改造すれば、タイタンに匹敵する猛者になったであろうに。
もっとも、アルマジロンの体は凄まじく固く、岩石攻撃も通用しない。
それは良いんだが、

立花「おおっ、ああっ!!」
これ、普通死ぬよね? と、そこへ探していた茂があらわれ、ストロンガーに変身してアルマジロンと戦い、二人を逃がす。
アルマジロン、再び球体になってストロンガーに突進する。
ストロンガー、チョップを叩き込むが、アルマジロンの体はビクともしない。

ライダー「とわっ!! 俺のパンチも効かん!!」
アルマジロン(チョップだろ!!) ま、昔の特撮で、そんな細かいところまでツッコミを入れていたらきりがないのである。
ちなみに、組織としては明らかに劣化が進んでいるブラックサタンだが、終盤に来て、ケムンガ、ハサミガニ、アルマジロンと、奇械人だけは妙に優秀なのが多いのが不思議である。
おやっさんとユリ子はロープウェーで山を下っていたが、途中でゴンドラが揺れたかと思うと、

ユリ子「塔の上に!!」
デッドライオン「キャアアアアーッ!!」
なんと、途中の鉄塔の上に、デッドライオンが立っているではないか。

そして、右手の鉤爪で、ロープウェーのワイヤーを切ろうとする。
デッドライオン、ライダーシリーズ最弱の大幹部とも言われるが、この危険なスタントだけはなかなか立派である。
ま、えらいのはデッドライオンじゃなくて、スーツアクターなのだが……
でも、大幹部がこんな無茶なことをするのは、シリーズ通してもあまり見たことがないなぁ。

ユリ子「ゴンドラが……」
立花「どうしたらいいんだ?」
ちなみにワイヤーと書いたが、映像では明らかにファイバーロープである。
一方、何とかアルマジロンを撃退した茂は、ベースにしている那須ビューホテルに戻ってくるが、二人がまだ戻ってないと聞かされ、深刻な顔になる。
と、フロントで待ち構えていた中屋敷ボーイが、預かっていた手紙を茂に手渡す。

茂「あなたをレストランシアターにお招きします。岬ユリ子、立花藤兵衛の二人にお会いになりたければ、是非おいでください……ブラックサタン」
文面は丁寧だが、明らかな脅迫状であった。
ただ、それを読んだ茂が、
茂「奴らの本拠地に乗り込む願ってもないチャンスかも知れんぞ」
と、意気込むだけで、二人の安否を全然気にしてる様子が見えないのは、さすがにどうかと思う。
まあ、過去の事例から判断して、ブラックサタンが二人を殺すことはまずあるまいとタカを括っていたのだろう。
ともあれ、茂は中屋敷ボーイに案内され、レストランの特等席に案内されるが……
茂(こんなことだろうと思ったよ!!) そう、例によって例のごとく、ステージでは、野生的な民族衣装をまとったアフリカの人たちが、那須とは何の関連性も見出せない情熱のステージを繰り広げていたのである!!
ほんと、なんで那須くんだりまで来てアフリカショーを見なきゃならんのだ?
ホテル側も、客も、そのことに疑問を抱かなかったのだろうか?

茂「……」
茂、とりあえず相手の出方を待つことにして、仏頂面でステージを食い入るように見詰める。

見詰める……

見詰める……
茂(このくだり、長えよっ!!) ……と言うのは嘘だが、無駄に長いのは確かである。
なにしろ、ステージが始まってから、ユリ子たちが壇上にあらわれるまで、実に2分20秒掛かっているのである!!
いくらタイアップとは言え、さすがにサービスし過ぎ。

ともあれ、黄色と赤のシーツを被った二つのものが壇上に運ばれ、それにスポットライトが当たるが、

パッとシーツが剥がされると、

その下から、キョトンとした顔のユリ子たちがあらわれる。
この二枚目、ユリ子がこれから競りにかけられる女奴隷みたいで、脂ぎった金持ちの中年に落札された彼女が、これからどんないやらしい目に遭うかと想像するのもオツである。
茂、すぐに助けに行こうとするが、

中屋敷「城茂、とうとう罠に嵌まったな、ふっふふふふっ」
茂「ええいっ」
いつの間にか、茂の体はがっちり椅子に拘束されていた。
そして中屋敷ボーイはアルマジロンの姿に変わる。
茂はそのままの状態で、茶臼岳のアジトまで連行される。
運ぶの大変だっただろうな……

デッドライオン「城茂、あんな簡単な罠に引っ掛かったのか」
茂「貴様がデッドライオンか」
デッド「ほお、良く知っているな」
ほんと、なんで知ってるんだろう?
あの後、ユリ子たちと言葉を交わしたようには見えないので、ここは普通にデッドライオンから名乗らせておいた方が無難であろう。
でも、さっきは最弱なんていったけど、デッドライオン、着任早々、ライダーを捕まえるという手柄を立ててるんだよね。
確かにお世辞にも強いとは言えないが、そもそも大幹部に必要なのは、作戦立案能力と的確な判断力、部下の管理能力であって、本人の戦闘能力ではないので、デッドライオン、指揮官としてはそれなりに有能なのかもしれない。
デッドライオン、改めて名乗ってから、茂の手袋を外させる。

茂「何をする」
デッドライオン「ライダーストロンガーに変身できるならさせてやろうと言うのだ……」
アルマジロンの指示で戦闘員がパネルのスイッチを入れると、茂が絶叫を迸らせる。
茂「ぐぅうう……」
デッドライオン「苦しめ、もっと苦しむが良い、今、貴様の体から、どんどん電気パワーが抜かれているのだ」
このまま余計なことをしなければ、デッドライオン、大金星をあげられていただろうに、
デッドライオン「二人を連れて来い」
なんで余計なことしちゃうかなーっ!! 悪の人たちって、余計なことをせずにはいられない病気に漏れなく罹っているのか?
デッドライオン、おやっさんとユリ子を縛ったまま、茂のそばに座らせる。

デッドライオン「二人とも、良く見るが良い、あのメモリが0になったとき、貴様の電気エネルギーは完全に0になる。戦闘員のひとりでさえ相手に出来ぬ、弱いただの人間になって死んでいくのだ」
勝ち誇った声を上げてせせら笑うデッドライオン。
ま、「ただの人間」のおやっさんが、バシバシ戦闘員倒しちゃう世界なんですけどね。
あと、さっきから画面に映り込んでいる花瓶が、めっちゃ気になるんですけどぉおおおおっ!!
めちゃくちゃ不自然で、まだしも金魚鉢のほうが良かったかな。
茂(何とか、このピンチを抜け出す方法はないものか……あの花瓶には恐らく水が一杯入ってる筈だ、あの水さえ何とかすれば、電線にアースして俺の体にもう一度電気を逆流させることが出来るんだが……)
茂、その花瓶に目をつけ、この窮地を脱する方法を思いつく。
しかし、電線を水に濡らしたからって、電気が逆流するというのは変だよなぁ。
そもそも、電線って被覆されてるから、水を掛けてもすぐにどうこうはならないだろう。

茂「おやじさん、頼みがある」
立花「なんだ」
茂「もし俺が死んだら、あの花瓶の花を飾ってくれ」
立花「なにぃ、花瓶の花?」
およそ茂らしくない言葉に、おやっさんは異様なものを感じ、茂の顔をじっと見詰めていたが、その目の動きや表情で茂の真意を悟り、
立花(そうか、茂は花瓶の水を利用する気だな)
分かった印に、小さく頷いてみせる。
だが、デッドライオンはまるで気付かず、
デッドライオン「城茂ともあろうものが、死に際に花を望むとはまるで娘っ子だな」
茂の言葉を文字通りに受け取り、その女々しさを嘲笑うばかり。
で、お誂え向きに、花瓶の台の下には赤いカーペットが敷かれ、カーペットはおやっさんたちのすぐ横にあった。

ユリ子も彼らの意図を察知し、二人は手錠された手でカーペットを掴み、少しずつ手繰り寄せていく。
しかし、花瓶がぐらぐら揺れて、生けてある花がぶらんぶらんしてるのに、目の前に立っているデッドライオンたちがまるで気にも留めないのは、不自然を通り越してシュールな映像となっている。
ともあれ、計画は図に当たり、

倒れた花瓶が見事に電線の上に落ちて水がこぼれ、火花がスパークし、メカが故障して茂はたちまち自由を取り戻す。
しかし、花瓶の落ちた箇所がたまたま剝き出しになっていたと言うのは、いくらなんでも都合の良過ぎる話であろう。
つーか、これってアースじゃなくて、ショートだよね?
この後、ストロンガーは外に出てアルマジロン、デッドライオンとのバトルとなるが、宿命的に運の悪いデッドライオン、戦ってるうちに、サタンのペンダントをもぎ取られてしまう。

デッドライオン「それを返せ、ストロンガー」
ライダー「なにぃ、これがそれほど大事だと?」
おまけに、反射的に返還を要求したため、ストロンガーに余計な情報を与えてしまう。
咄嗟にうろが来たのだろうが、
デッドライオン「ふっ、そのペンダントを手にしたのがお前の運の尽きだ。木っ端微塵に砕け散れ!!」
ライダー「しまった、爆弾か」
などとハッタリをかまして、ライダー自ら手放させるように仕向けるくらいの知恵を働かせて欲しかった。
ま、それ以前に、そんな大事なもんつけたまま戦ってんじゃねえよってことなんだけどね!!

それはそれとして、我々は、アジトに留まって、乳を揺らしながらがむばっているユリ子姉さんの画像でも堪能しましょう。
ここも、あまりに動きが激しいので、ろくにキャプが出来ず、ストレスが溜まるのである。
夏場なんだから、もうちょっと露出度の高い衣装にして欲しかったなぁ。
デッドライオンとアルマジロンの猛攻に、ストロンガーは劣勢となるが、

首領「緊急事態発生、シャドウが反乱を起こした、最高幹部は直ちに大首領の下へ出頭せよ」
ストロンガーが落としたペンダントから、首領の声が聞こえてくる。
……
お前、わざとやってるだろ? ほんと、ここまで来ると、部下が勝たないよう、わざと邪魔しているようにしか見えない。
あと、SOSのアナウンスを首領本人がしてるのが、ビンボー臭くて仕方ない。
ついでに、「出頭」は変だよね。まるでデッドライオンが謀反を起こしたように聞こえるではないか。
もっと言えば、前回の時点で既にシャドウが反逆の意思を明白にしていたのに、今になって騒ぎ出すというのも不自然である。
デッドライオン「ストロンガー、ペンダントは必ず取り返すぞ!!」
おまけに、有利に戦っているデッドライオンを慌てて召還したにも拘らず、別に差し迫った危機に陥ってるわけではなく、

首領「あのペンダントには、ブラックサタンの最高機密が秘められている、取り戻すのだ」
デッドライオン「今そうしてたんでしょうがっ!!」 シャドウの謀反とは全然関係がない上、人をおちょくってるとしか思えないふざけた命令に、遂にデッドライオンがブチ切れる。
……と言うのは嘘だが、支離滅裂な首領の命令に、ブチ切れそうになったのは間違いない。
そして、以前のレビューでも指摘したと思うが、
最高機密の入ったペンダントを部下にやるんじゃないっ!! とにかく、この一連のシーン、突っ込みどころがあり過ぎて頭がおかしくなりそうだ……
一方、謀反を起こした筈のシャドウは、特に何もせずにアジトの一室に突っ立っていた。

シャドウ「あのペンダントがストロンガーの手に入ったとは愉快だ、いずれストロンガーは大首領と対決し、どちらかが倒れる。まさに俺の狙い通りではないか」
シャドウ、自力でストロンガーを倒すのは後回しにして、まずはストロンガーと首領を戦わせて漁夫の利を狙うことにしたらしい。
以上、茂が知恵を絞って死刑台から逃れるシーンなど、面白くないことはないのだが、突っ込みどころの多さでそれが帳消しになっている感のある、残念なエピソードであった。
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