第19話「悲恋 破られたラブレター」(1977年6月8日)
のっけから、

テニスギャルたちの美味しそうなフトモモが映し出され、いきなり期待値が跳ね上がる。
ミチ「いぶき、落ち着いて、落ち着くのよ」
勝子「渡すんでしょ」
いぶき「うん」
ミチ「ちょっと見てくる」
勝子「今日がチャンスよ、きっと渡して」
八鹿(ようか)いぶきという女の子が、同じテニスクラブに通う石上新也と言う青年にラブレターを渡そうとするのを、友人のミチと勝子が励ましているのだ。
ちなみに、どっちがミチでどっちが勝子だか良く分からないので、とりあえず、ロングヘアの子をミチ、ショートヘアの子を勝子と呼んでおく。
やがて、新也の乗った高級そうなオープンカーが、砂埃を巻き上げて駐車場に滑り込む。

新也「やあ、こんにちはー、やってるねー」
いぶき「こんにちはー」
無駄に爽やかな新也は、何の屈託もなく女の子たちに声を掛ける。
だが、いぶきはすっかりコチコチになっていて、

新也「試合勝てそう?」
いぶき「あのー」
ちなみに、いぶきを演じるのは、70年代を代表する美少女子役・遠藤薫さんである。
美少女子役がその美貌を保ったまま大人に……と言っても、まだ中学生か、せいぜい高1だと思うが……なられた、稀有な例なのである。
新也「え?」
いぶき「あのー、もうすぐ夏ですね」
ラブレターを背中に隠したまま、トンチンカンことを口走るいぶき。

新也「うん?」
新也を演じるのは、お坊ちゃま系の好青年を演じさせれば右に出るもののない寺泉憲さん。
新也「どうかしたの?」
いぶき「いえっ」
ミチたちが、怖気づいているいぶきを小声でけしかけるが、いぶきは一向にラブレターを出そうとしない。
勝子「あの、いぶきが何か渡したいものあるんですって」
やむなく、勝子が代わりに言うが、この手の青年にありがちなことに、新也はわざとやってるとしか思えないほど鈍感で、
新也「へーっ、なに?」
いぶき「いえ、違うんです、なんでもないんです」
新也「あはっ、なんだか変だな、心配事でもあるなら相談に乗るぜ」
いぶき「なんでもないんですー」
新也「そう?」
いぶきがそう言うと、あっさり引き下がる。
新也「ああ、今度、休みの日にでもみんなでどっか行こうか」
二人「賛成!!」
それでも、新也の方から誘ってくれたので、渡りに船とばかりにミチたちが応じるが、
いぶき「いいえ、そんな……」
見ていてイライラするほど奥手のいぶきは、ここでも反射的に断ってしまい、
新也「あれ、ははは、ふられちゃったか、じゃあ、またね」
新也は新也でそれを真に受けて、あっさり向こうへ行ってしまう。

ミチ「いぶき、なんで断っちゃったのよ」
勝子「せっかく石上さんが誘ってくれたのにぃ」
ミチ「第一、あんた、10日もかけて書いたラブレターを何で渡されなかったのよ!!」
いぶき「ふーっ」
いぶきの煮え切らない態度に、友人たちも不満たらたらであったが、無論、一番残念に思っているのはいぶき自身で、
いぶき「あーあ、いぶきの馬鹿、馬鹿、私ってこんなに気が弱かったのかな」
クラブから帰る途中、自分で自分を叱り付け、溜息をつくのだった。
いぶき「せっかくのチャンス逃がしちゃって、もうダメね、きっと」
気落ちしたようにベンチに腰掛け、あのラブレターを破り捨てようとする。

石上「デビル団だな、貴様らなんかにうちの会社を渡すもんか」
セントデビル「ふふふふふ、これでもかな石上さん」
と、背後で人の争う声がしたので振り向くと、スーツ姿の中年男性が、悪者たちに捕まって脅されているところだった。
セントデビルを演じるのはお馴染みの阿藤海さんだが、声はコワモテの渡部猛さんがあてている。

いぶき「あ、石上さんのお父様だわ」
その男は他ならぬ新也の父親であったが、その場であえなく射殺されてしまう。
いぶき「セントデビル!!」
セントデビル「あの娘を追え!!」
すぐにセントデビルたちに見付かり、逃げ出すいぶき。
しかし、セントデビルって、物凄い名前だよね。
で、次のカットでは一気に夜中になっていて、闇の中を、いぶきがさっきと同じ恰好で資材置き場を逃げ回っている図となるのだが、日の短い冬場ならともかく、6月ではいくらなんでも不自然で、編集ミスと言われても仕方のないつなぎ方になっている。
それに、これだけ長い間逃げ続けてるのに、いぶきを助けてくれそうな相手に巡り合わなかったと言うことは、一体ここはどんな辺鄙なところなんだという話になっちゃうからね。

それでも、なんとか追っ手の目を逃れ、一休みするいぶき。
うう、なんで以前レビューしたときには気付かなかったのだろうと、自分の節穴ぶりをコンコンと説教したくなるほどの可愛らしさである。
だが、安心したのも束の間、戦闘員が四方からあらわれ、あっという間に取り囲まれる。
戦闘員「ボスの命令でな、死んでもらうぜ」
ストイックな戦闘員は、「殺す前に楽しませてもらおうか」などと、管理人が
期待懸念したような下品なことは言わず、即座に刺し殺そうとするが、突然、眩い光が向けられ、彼らの姿が昼間のようにはっきりと見えるようになる。
それは野球場の照明で、いつの間にかいぶきは野球場のベンチに腰掛けていたのである。
戦闘員「誰だ、出て来い!!」
狼狽して周囲を見回し、誰何する戦闘員の皆さん。
いつも思うのだが、こういう時、なんでさっさといぶきを刺さないのだろう?
不審者の正体を見極めるのは、そのあとでも十分出来ると思うんだけどね。
無論、邪魔をしたのは早川で、外野の闇の中からあらわれると、ピッチャーマウンドに仁王立ちする。
戦闘員「なんだ、貴様」
早川「光が眩しい、明かりが怖い、吸血鬼のようなデビル団を退治しに来た男さ」
早川は目にも留まらぬ早業で戦闘員たちを一撃すると、何事もなかったようにいぶきのそばにやってくる。
戦闘員は殴られた時の状態のまま、蝋人形のように動かずにいる。

いぶき「あの人たち……」
早川「すーっ、気絶してるだけなんですよ、分かりやすくしてあげましょうか? ギターを叩いてみて下さい」
いぶき「……」
謎めいたことを言ってギターを差し出す早川だったが、それをいぶきが速攻で叩くのが、割りとツボである。
ギターの音がすると、戦闘員たちはゾンビのようにうめきながら一斉にぶっ倒れる。

早川「ふっふっはっはっ、さ、送りましょう」
早川がいぶきを連れてさっきの公園まで来たのは、既に夜が明けようとしている頃だった。
なんか、今回、えらい時間経過が早くないか?
それはともかく、いぶきが分かれ道で家と別の方角へ行こうとするのを見て、
早川「君!!」
いぶき「私、石上さんのところに行かなきゃ、お父様のことを知らせなきゃ」
早川「君は狙われてるんだ、さ……危ないっ!!」
早川はいぶきの腕を取ってもとの道に戻そうとするが、そこに刃物のようなものが飛んできたので、慌てていぶきの体を後方に押し返す。
早川「そんなところに隠れてないで、出てくるんだ、レッドフォード」
早川が森の中に呼びかけると、

レッドフォード「俺の名前を知ってるとはな、早川」
ガンマン風の衣装をまとった、いささかとりとめのない顔をした男が現れる。
シリーズでもひときわ印象の薄い殺し屋用心棒である。
早川「セントデビルの用心棒、魔の鎖鎌師レッドフォード、ただし……」
なにしろ、こんな格好をしていながら、武器が鎖鎌だもんね。
普通に拳銃の名手で良かったと思うが、弟1話のランカークと被るので無理やり鎖鎌師にしたのだろうが、もう誰も覚えてないって。
と言う訳で、朝靄のけぶる中、珍芸対決が始まる。
ただし、今回は純粋な技比べと違い、
レッドフォード「いくら庇っても無駄だ、早川、その小娘、始末するよう命じられてるんでね」
技を披露しつつ、セントデビルの命令も片付けようとする、実際的な面も持っていた。
レッドフォード、まず早川に鎖鎌を投げて牽制すると、

いぶきの華奢な体に鎖を巻きつけ、

いぶき「きゃあっ」
自ら枝の上を飛び越えてから鎖を引っ張り、いぶきの体を一気に空中に持ち上げて見せる。
これは、遠藤さん本人が演じているのだが、ほんとに一気に引っ張り上げているのではなく、持ち上げられた状態からゆっくり下に降ろし、それを逆再生しているのだろう。
後攻の早川、レッドフォードの鎖鎌を借りて投げると、

いぶきの胸元の鎖を切る。
ちなみに、一応、これ、「乳首重点型のおっぱい二段挟み方式」になってるんだよね。

いぶき「きゃあーっ!!」
当然、いぶきの体は垂直落下するが、一瞬、背景が何もない青空になってしまうのがご愛嬌。
その体を早川がキャッチして下がらせると、お返しとばかりにレッドフォードの足首に巻きつけ、枝を飛び越して逆さ吊りに引っ張り上げる。
さらに、鎌を別の枝に引っ掛けて、鎌の切っ先をレッドフォードの顔の前でぶらぶらさせて見せる。
早川「ちょっとでも動いてみろ、その枝が揺れて、お前さんの何処に刺さるかわからねえぜ」
レッドフォード「ちくしょう」
早川、レッドフォードのプライドをズタズタに切り裂くと、いぶきを連れてその場を離れる。
だが、森の中を歩いていると、デビル団がマシンガンを撃ってくる。
……
そんなものがあるんなら、レッドフォード要らなくね?
早川はひとまず彼女を安全なところへ連れて行こうとするが、いぶきはその前に新也に会って父親のことを伝えたいと言って譲らない。

いぶき「あの人の力になってあげたいんです。私の父も母も、デビル団に去年殺されたんです」
早川「デビル団に?」
いぶき「はい、ですから、お父様を殺された新也さんの気持ちが良く分かるんです」
と言うのだが、いや、デビル団が殺したと分かっているのに、なんで警察はあいつらをほっとくの?
目撃証言だけで、証拠がなかったからと言うのなら、今回の事件についても同じなのだから、ムキになって目撃者(いぶき)の口を封じる必要はあるまい。
つーか、いぶきちゃん、両親を殺されたと言うのに、暢気にテニスクラブなんかに通ってていいの?
それはともかく、二人はなんとかデビル団から逃げおおせるが、
セントデビル「なに、逃げられただと」
戦闘員「申し訳ありません」
セントデビル「ならば警察に見つけ出させるまでだ。これは俺が石上社長を撃った拳銃だ、そしてこれはあの小娘が落としていった定期入れだ。この定期入れについている指紋を使って、細工しろ」
つまり、定期入れについている指紋を、拳銃にコピーしようと言うことなのだろうが、そんなややこしい偽装工作が可能だろうか?
それに、定期入れにはいぶき以外の指紋がついている可能性だってあるのだから、その中から、どうやっていぶきの指紋を特定できるのか。
一方、早川は東条に電話して協力を求める。

早川と一緒に廃屋に隠れているいぶき。
ああ、かわええ……
やがてサイレンの音がして、東条の乗った覆面パトカーがやってくる。

早川「おーい、東条、ここだ……すまんな、この子なんだ」
早川が珍しく警察を頼りにするが、
東条「わかっている、八鹿いぶき、石上社長殺しの容疑で逮捕する」
早川「なんだって」
東条の口から出たのは、信じがたい言葉だった。

不安そうに振り向くいぶき。
いかん、「意味もなく女の子の画像を貼ってしまう病」が再発してしまった。
早川は思わず東条の胸倉を掴むが、東条はあくまで淡々と、
東条「現状付近を
もう一度調べたところ、八鹿いぶきの定期入れ、それに彼女の指紋のついた拳銃が発見された。気の毒だが、早川、この子は連れて行く」
早川「そうか、それじゃあ……」
早川、一旦背中を向けてから、東条と刑事の腹に当身を食らわせ、いぶきを連れてその場から逃げ出す。
ところで、東条の台詞の中にひとつだけ見過ごせない点がある。
「もう一度調べた」と言うことは、すでに一度調べてる訳だよね。
つまり、最初に調べた時は、
「拳銃と定期入れ」を見落としていたことになる。
……
そんな刑事がいるかぁあああーっ!! 定期入れとはともかく、よりによって拳銃を見落とすなどありえない話で、それが「ノーウッドの建築技師」でも使われた、いぶきに罪をなすりつけるための稚拙な偽装工作であることは一目瞭然なのに、露ほどもそれに気付かない東条が底抜け一番のアホに見えてしまう。
第一、こんな女の子が拳銃で会社の社長を撃ち殺すなど、常識で考えてもありえないことで、これじゃあ、殺人現場に落ちていたノミに辰吉って書いてあったから辰吉が犯人だ、そうに違いないと考える、時代劇に出てくるアホ同心と同じレベルではないか。
閑話休題、いぶきはなおも早川の手を振り切って、是が非でも新也の家に行こうとする。

いぶき「ああっ、ああっ」
早川「どうしてもイキたいんですか?」
いぶき「はい。イカせてくださいっ!! 私が容疑者になってるならなおさら、新也さんなら分かってくれます、あの人なら信じてくれます!! お願いします!!」
涙ながらに必死で訴えるいぶきの熱意に打たれ、早川はやむなく彼女の望みをかなえてやる。
しかし、現時点では、二人は単に同じテニスクラブに所属しているだけの間柄なのに、いぶきの言い方では、まるで二人が恋人同士のようにも聞こえて、若干の違和感があるが、恋する乙女が妄想を抱くことはよくあることなので、いぶきの頭の中ではすでに新也と付き合っているという設定になっているのかもしれない。

いぶき「私の言うことを信じてください、お父様を殺したのはセントデビルなんです、ほんとうです、私、見たんです」
次のシーンでは、いぶきは早川立会いのもと、石上家の一室で、新也に自分が見たことをありのまま話している。
いぶきの話に神妙な顔で耳を傾けていた新也は、

新也「わかってるさ、ぼかぁ、君を信じてる」
加山雄三のような爽やかな笑みを浮かべると、その手を握り締めてくれる。

いぶき「うっ……」
自分の気持ちが報われたことを知り、感動のあまり落涙するいぶき。
ああ、かわええ……
新也「バカだなぁ、泣いたりして」
いぶき「だって、私、新也さんを思ってた通りの人だったんだもん」
新也「あ、そうだ、お茶でも入れてこようか」
新也はそう言って、さりげなく席を立つが、

新也「あ、警察、石上新也です、すぐ来てください、八鹿いぶきが……ええ、父を殺したいぶきが来てるんです」
そう、実は新也もいぶきが犯人だと信じ込んでいて、こっそり警察にチクるのだった。
なんつーか、乙女の清い恋心をコンクリートクラッシャーで粉々に打ち砕くような、実になんとも言えない残酷なシーンである。
ただ、石上社長は以前からデビル団に脅迫されていたと考えられ、息子の新也も知っていたと思うのだが、何故かデビル団の仕業とは考えず、東条と同じく、か弱い女の子が拳銃で父親を撃ち殺したなどと、無理のある筋立てを信じ切っているのが、どうにも釈然としない。
しかも、相手は自分が恋する青年の父親である。
それを殺す動機がないではないか。
第一、この段階では、まだいぶきが容疑者だと公表された訳ではないだろうに、なんで新也は警察しか知らない筈のいぶき犯人説を知っていたのか?
また、それとは別に、父親を殺されたばかりだと言うのに、新也が妙に落ち着き払っているのも気になる。
実は、他ならぬ新也が、デビル団に頼んで父親を殺させ、父親の遺産と会社を自分のものにしようと企んだ黒幕だった……と言う、さらに救いのないどんでん返しも、長坂脚本ならありえたのではないかと思うし、だとすれば、新也がいぶきが犯人として追われていることを知っていたと言うさきほどの疑問も氷解するが、さすがにそこまでやると、いぶきがかわいそ過ぎるからね。
話を戻して、新也がお茶を持って客間に戻ると、すでにいぶきたちの姿は消えていた。
無論、新也の行動を怪しんだ早川の差し金であった。
石上家を見下ろす丘の上から、パトカーがやってくるのを見ているいぶきと早川。
いぶき「嘘です、嘘!!」
早川「認めたくない気持ちは分かりますが、あのパトカーが来たのが何よりの証拠ですよ」
愕然とするいぶきであったが、

いぶき「でも、呼んだのはあの人じゃありません!! あの人はそんな人じゃありません」
顔に似合わず頑固ないぶきは、なおも新也の真心を信じようとする。
にしても、遠藤さん、可愛いだけじゃなく、演技がめっちゃ上手い。
これ以降も、女優として活躍が期待されるところだが、残念ながら、早くに引退されてしまったようである。
公園の東屋の支柱に額を押し付けて、涙を噛み殺すいぶき。
口ではそう言いながら、やはり新也に裏切られたのがショックだったのだろう。
早川が彼女を慰めようとするが、そこに再び東条たちがあらわれる。
東条「動かぬ証拠が出てきては、もう俺の力ではどうにもならん、早川、逮捕状だ」
早川「お前、まだそんな……」
東条「手出しをするな、お前も公務執行妨害でぶち込むぞ」
今回、妙に融通が利かない東条は、有無を言わさずいぶきを逮捕してしまう。
しかし、デビル団の存在も知ってるだろうに、石上殺しの背後関係などをろくに調べもせずに、拳銃に指紋がついていたという理由だけで未成年の女の子を逮捕するとは、どうにも納得できない。
ま、一口に指紋と言っても、どういう形で残っていたのか何の説明もないので判断しにくいのだが、グリップを握る形で残っていたのなら、デビル団の偽装工作はまさに神業レベルだが、さすがにそれは無理だろうから、拳銃の平たい部分にひとつふたつコピーしただけというのが妥当なところで、それくらいなら、犯行現場に来て、たまたま拳銃を拾ってつくこともありうるので、事情聴取も、アリバイ調べもしていない段階で、一足飛びに逮捕状を出すのはいくらなんでも乱暴な話であろう。
なので、実は東条、最初からデビル団の偽装工作だと見抜いていて、デビル団を油断させる為に、わざといぶきを逮捕させたのであって、その後の展開も、あらかじめ早川と打ち合わせをしておいたシナリオどおりに運んだ……と言うことにしてくれた方が、東条ファン的には嬉しい。
CM後、「首領Lの部屋」のコーナー。

L「はははは、さすがは悪の大組織ダッカーの一員だけのことはあるぞ、セントデビル、いぶきを警察に捕まえさせるとはな」
セントデビル「お褒めに預かり、光栄です、首領L、早川が真犯人探しに躍起になっている間に、いぶきは警察の護送車で本庁に送られます」
L「そこでお前たちがその護送車を襲い、あの小娘を片付けると言う訳か」
セントデビル「はい」
いや、警察に逮捕されたんだから、ほっときゃいいじゃん。
どうせもういぶきが何を喋ろうと、警察が信じてくれる筈がないのだから。
それをわざわざいぶきを殺したら、やっぱり犯人は別にいたのかってことになるだろう。

一方、今週も出番がほとんどない二人、眉間に皺を寄せて街を歩いている。
みどりさんなど、暇で暇でしょうがないのか、髪型を少し変えてイメチェンしていた。
オサム「あれ?」
と、目の前を早川が歩いて行くのを見て、

みどり「早川さんよ!!」
たちまち笑顔になるみどりさん。
ああ、かわええ……
二人はいそいそと駆け出すが、

早川、警察署の看板を取り外した上、取り押さえようとした警官に暴行を働き、二人の目の前で逮捕されてしまう。
オサム「俺、なんだか早川さんの助手になんのやめたくなっちゃったよー」
事情を知らないオサムは、思わずぼやく。
二人の出番は、これでおしまい!!
毎週これじゃあ、眉間に皺も寄るってもんだ。

一方、護送車で運ばれている途中のいぶき。
いやぁ、寄る辺のない美少女が、こうやって無実の罪で護送されている哀れな姿を見ると、なんかワクワクしちゃう、腐れ外道の管理人であった。
セントデビルは、護送車のルート上にあるマンホールのひとつに爆弾を仕掛け、車ごといぶきを殺そうと企んでいた。

いぶき「きゃーっ!!」
セントデビルの思い描く成功予想図の中で、空中に吹っ飛ばされるいぶき。
残念ながら、見えなかった。
ちくしょう。
セントデビルたちは、リモコンを持って近くの木立に潜み、護送車が来るのを待っていたが、

何故か、護送車はマンホールの前でピタリと止まってしまう。
しかし、これ、変だよね。
早川は護送車に乗っていたのだから、セントデビルたちがそこに爆弾を仕掛けているなどと、分かる筈がないからである。
ともあれ、痺れを切らしたセントデビルは、ヤケ気味に爆弾を爆発させてから突撃し、自分の手でいぶきを殺そうとする。
だが、護送車に飛び込んだ部下が次々と叩き出されたので、何事かと覗き込むと、いきなりマシンガンを頭に突きつけられる。
セントデビル「なんだかなーっ!!」 じゃなくて、
セントデビル「ああーっ!!」

早川「ふっふっはっはっはっ、どうもしないさ、セントデビル、ご覧の通りさ、この車に乗せてもらうには苦労したぜ」
セントデビル「貴様ーっ!!」
そう、早川はいぶきの護送車に同乗するために、わざとあんな乱暴を働いたのだ。
このアイディア自体は面白いのだが、いぶきのような未成年の容疑者と、成年の容疑者を同じ護送車に乗せるだろうかと言う疑問が湧く。
それ以前に、早川がしでかしたのは公務執行妨害くらいだろうに、なんでわざわざ本庁に送らなきゃいけないんだってことになる。
これも、東条と打った芝居だとすれば納得できるんだけどね。
早川は護送車を行かせると、マシンガンをデビル団に突きつけて、崖の端まで追いやる。
と、急にセントデビルが愉快そうに笑い出す。
セントデビル「ふふふふ、はぁーっはははっ」
早川「ほお、なにがおかしい?」
セントデビル「これが笑わずにいられるか、あれを見ろ、早川!!」
セントデビルが指差した方を見ると、山の頂にバズーカ砲を持った戦闘員がいて、足元を走っている護送車に狙いを定めているではないか。
万が一に備えて、プランBを用意しているあたり、セントデビルはダッカーのメンバーの中ではかなりの切れ者と言えるだろう。
セントデビル「いぶきを助けたかったら、そのマシンガンを捨てろ」
早川「……」
やむなく抵抗をやめてマシンガンを奪われる早川だったが、

セントデビル「ようし、狙え!!」
早川「きたねえぞ、セントデビル!!」
あっさり約束を破るセントデビルを全力で罵る早川だったが、悪に信義を守ることを期待する方が間違っているのである。
この後、早川の捨て身の攻撃で護送車は助かるが、代わりに早川は
マシンガンを全身に浴びて崖から落ちる。
セントデビル、改めて護送車を襲い、いぶきを引っ張り出して銃殺刑にしようとするが、そこにいつものようにズバッカーがやってくる。
……
なんで生きてるのぉおおおおおっ!!!! 毎回言ってる気がするけど、リアリティーがなさ過ぎる。
あと、護送車も蜂の巣にされているので、運転手や護衛の警官も殺されてしまった可能性が高く、後味が悪い。
ここからラス殺陣となる。
レッドフォード、ズバットの体を鎖で縛り付けると、
レッドフォード「これは早川と言う男から教わった新技でな、早速役に立つと言う訳だ。しかもこの鎖は特殊スチール製、10トンの重みをかけてもちぎることはできん」
自信満々で二本同時に鎌を投げつけるが、ズバットに両足で弾き飛ばされ、自慢の特殊スチールもあっさり引き千切られてしまう。
つまりズバットの腕力は10トン以上あるということだが、さすがに強過ぎね?
10トンって、あんた、1万キログラムやで?
小錦が約33人分やで?
それはともかく、レッドフォードを倒し、セントデビルをお仕置き&尋問するが、
ズバット「2月2日、飛鳥五郎と言う男を殺したのは貴様か」
セントデビル「俺じゃない、俺はその頃、北海道にいたんだ」
今回から、ズバットが「2月2日」と日付を言い、相手はそれに対しアリバイを申し立てると言うメソッドが確立される。
しかし、「北海道にいた」だけでは面白くないので、「北海道で味噌ラーメンを食っていた」くらいのことは言って欲しかった。
その後、東条が現場に駆けつけ、ズバットにのされたセントデビルを発見し、これでいぶきの冤罪は晴れる。
エピローグ、いぶきがひとりで丘の上から町を見下ろしていると、早川が通り掛かり、おどけた口調で「いぶきさん」と呼びかける。

いぶき「……」
……
可愛過ぎるやろっ!! ほんと、なんで前回レビューしたときにその可愛さに気付かなかったのか、自分の不明に恥じ入るばかりである。
早川は足元に落ちていたラブレターを拾い上げ、

早川「失恋できるうちが、青春さ」
人生の先輩として、気障な台詞で慰めようとするが、
いぶき「失恋なんてしてません、新也さんは優しい人です、警察に電話したのはあの人じゃありません」

早川「……」
この期に及んで、なおも新也のことを信じているいぶきの、愚直なまでのひたむきさに、胸を突かれる思いがする早川だった。
早川はいぶきの肩に手を置くと、それ以上何も言わずに立ち去る。
もっとも、その直後、いぶきがラブレターを悔しそうに引き裂いているので、結局、新也のことを信じてるのか信じてないのか、良く分からなくなるのだった。
以上、恋するロリロリ美少女に降りかかった災難と、その清純な魅力がこれでもかとばかりに描かれた、前回以上にリリカルな佳作であった。

最後におまけとして、予告編に出てくるいぶきの画像を貼っておく。
思う存分、遠藤さんの画像が貼れて、管理人はもう思い残すことはありません。
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