第9話「猫になった子犬」(1989年3月26日)
冒頭、ショウタと言う少年が、母親に犬を飼いたいとねだるが、あっさり却下される。
その後、つまらなそうにひとり公園で遊んでいると、可愛い黒い子犬を拾う。
思わず抱き上げて撫でるショウタであったが、その犬がニャーニャーと、猫のような鳴き声を出したので、腰を抜かすほど驚く。
東南大学で狂犬病ウイルスが盗まれた事件の捜査をしている直人と洋子の姿を挟み、

マーシャ「ギバ様、狂犬病のウイルスを盗み出してきました」
カーシャ「これを培養して狂犬病を発生させ、犬どもに蔓延させて……」
ギバ「違う!!」
嬉々として盗んだ狂犬病ウイルスをギバに見せるギャルたちの言葉を、机を叩いて遮り、
ギバ「今回の我がバイオロンの狙いは人間どもが飼っているペットを凶暴化させることにある」
マーシャ&カーシャ「えっ?」
ギバ「ペットたちは人間どもに飼育され、それに甘えておる。それが気に入らん」
マーシャ&カーシャ「いや、それがペットの仕事じゃないかと……」 ギバ「なんか言ったか?」 マーシャ&カーシャ「言ってません!!」 途中から嘘だが、ギバちゃんの言ってることが、割りと無茶苦茶なのは確かである。
ギバ「ペットを凶暴化させればどうなるか、ペットは人間に襲い掛かり、社会は大混乱に陥る。ふふふふ」

マーシャ「ギバ様、面白い作戦ですわ!!」
マーシャは、まだ詳細も聞かないうちに、ギバの作戦をギャルギャルしい仕草で称賛する。
何しろ二人は、ギバを(性的な意味でなく)気持ち良くさせるために存在している、いわばバイオロンの喜び組なのである。
ギバ「ペットを凶暴化させるには様々なウイルスが必要だ、この狂犬病ウイルスもそのひとつだ、直ちに生体実験場へ送れ」
マーシャ「わかりました」
ブビ「マーシャ、カーシャ、日本にペットは何匹いるんだい?」
ブビの質問に、

マーシャ「分かる?」
カーシャ「ううん」
顔を見合わせてから、

マーシャ&カーシャ「わかんなーい」
これまたギャルっぽく答える二人であった。
ブビ「ああーっ、スパイの癖にだらしがないぞ、ペットの数ぐらい正確に掴んでおけ、この、おたんこなすめらが!!」
口を極めて二人の無知さ加減を罵倒するブビであったが、会話の流れからして、
ブビ「約1億5000万頭じゃ!!」
と言うように、ブビがその答えを出さないと首尾が一貫しないような気もするのである。
ま、今ならネットで調べればすぐ分かるけど、当時はそう簡単に欲しいデータが得られるわけじゃないからね。
それはともかく、

マーシャ&カーシャ「このぉっ!!」
柳眉を逆立て、いつものように、少年の夢・Wライダーキックならぬ、中年の夢・Wミニスカキックを放つが、

ブビ「おっとっと……」
マーシャ「ああんっ」
ブビにも学習能力があるので、ひらりと飛んでかわし、二人は勢い余ってその場に尻餅を突く。
ま、さすがにこのアングル、照明では、パンチラは期待できないが、

ブビ「いやぁ、空振りですな」
マーシャ「もう悔しいーっ!!」
二人が悔しそうに立ち上がる際、カーシャが瞬間的にM字開脚してくれるのが、かなりのエロ指数を叩き出しておるのです!!

マーシャ「許せない、許せない」
さらに、美しいおみ足で、改めてブビたちを蹴り飛ばす、足フェチ大喜びのシーンが続く。
ブビ「また足蹴にされた」

マーシャ「当然よぉ」
カーシャ「いい気味!!」
ギバ「何をしておる、早く行くんだ」
マーシャ&カーシャ「はいっ!!」
ギバに叱られて、スタコラサッサと走り出す二人であった。
ま、ストーリーにはほとんど関係ないどうでもいいやりとりだが、大人になってから見ると、紋切り型のアクションなんかより、こういう無駄なシーンにこそ、遥かに価値があるように思えるのである。
と、同時に、今回の話、ぶっちゃけ、こういう「遊び」のシーン以外、見るべきところがありません。
言い換えれば、すげーつまんないのです。
直人と洋子先輩が、まゆみに呼ばれて行ってみると、彼女の友人たちの飼っているペットがみんないなくなったということであった。
洋子「知らないわよ、そんなこと」
と言いたいのは山々の洋子先輩であったが、仮にも公僕なので、
洋子「分かったわ、警察でも捜査をするからみんなも近所を探してみて」
二人が署に戻ってくると、門のそばに子犬を抱いた少年がいるのに気付く。
無論、ショウタであった。

洋子「ボク、何してるの」
ショウタ「僕、大木ショウタ、子犬を拾ったんだよ」
洋子「捨て犬は、保健所の仕事よ」 天使のような微笑を浮かべながら、恐ろしいことを口にするダーク洋子先輩。
今となっては、炎上しかねない無神経な台詞であろう。
ショウタ「でも、この子犬、僕がポチって名前をつけたんだけど、変なんだよ」
洋子「変って?」
ショウタ「おい、鳴いてみなよ」
ポチ「にゃーうっ!!」
直人「まさか」
洋子「……」
紛れもない犬が猫のような鳴き声を出したので、二人とも唖然とする。
ただ、その直後、
直人(狂犬病ウイルスの盗難と何か関係があるのか……)
と、直人が考えるのは、いくらなんでも推理が飛躍し過ぎであろう。
ウイルスを盗んだのが、バイオロンだと分かってるのならともかく。
ちょうど署では、どう言う事情でか知らないが、テレビカメラとリポーターが刑事部屋にまで入って、生中継をしているところだった。

リポーター「では伺ってみましょう」
清志郎「わがぁ、セントラルシティ署は民主警察の手本であります。ですから容疑者の取調べに当たっては、お前とか、馬鹿とか、そんな汚い言葉は決して口にしません」
マイクを向けられる清志郎であったが、意外と(でもないか)肝が小さく、極度の緊張で小刻みに震えつつ、用意したカンペをガン見しながら、引き攣った顔で喋るという醜態を晒す。
そこへどやどやと直人たちが押しかけてきて、
直人「先輩、おかしな犬がいるんですよ」
清志郎「犬ぅ? テレビ、テレビ……」
清志郎、小声で直人を注意すると、
清志郎「直人君、狂犬病ウイルス紛失事件は解決したかね」
直人「それが、全然」

清志郎「なにぃ、全然だとぉ、なにやってるんだ、馬鹿!!」
リポーター「カメラ回ってますんで……」
清志郎「うちの署は民主警察の手本でして……すいません」
直人の頼りない答えに、思わずカッとなって、自分で決めたルールを自分で破ってしまう、寅さんみたいな清志郎であった。
と、ショウタの抱いたポチが猫のような声で鳴いたので、清志郎たちも目を丸くして、
清志郎「猫? 犬? ど、ど、ど、どうなってるんだ、この子犬は」
リポーター「カ、カメラさん、犬、い、猫、じゃなくて、やっぱり犬だ!! なんでもいいから早く撮って」
バタバタしているところへ美智代が咳払いして入ってきて、

美智代「えーっ、先輩、犬でしょお」
洋子「そうよ」
悔しいことに、彼女の出番はたったこれだけ。
で、動物の鳴き声が全く別の動物の声に変わってしまうというバイオロンによる珍現象も、結局、ポチがテレビ中継の景物として注目されただけで、社会的にはなんら影響を及ぼしていないのが物足りない。
他の動物は、みんな生体実験場にとどまったまま話が終わっちゃうからね。
さて、その生体実験場は、廃校のような建物の中にあり、犬や猫やニワトリ、鳩など、様々な動物が檻の中に閉じ込められ、バイオロンの凶暴化ウイルスの実験台にされていた。
そこを取り仕切っているのは、ハイエナノイドと言うバイオノイドである。
と、ギバがカーシャとマーシャを引き連れ、自ら視察にやってくる。

ハイエナノイド「ギバ様、ようこそいらっしゃいました」
ギバ「新しいウイルスの効き目はどうだ」
ハイエナノイド「はい、ウイルスを捕獲したペットに注射したところ、このような結果が出ました」
誇らしげに言うハイエナノイドであったが、ポチと同じく、犬が猫の、猫が犬の、ニワトリがブタの……と言うように、鳴き声が変わっただけなので、そんなにえばることでもあるまい。
つーか、凶暴化ウイルスの実験台になって、なんで鳴き声が入れ替わらねばならんのだ?
ひょっとして、声ならアフレコで簡単に変えられるからすげー楽じゃんと言う、純粋に現場サイドの都合によるものではあるまいな?
もっとも、ギバは怒るどころか、
ギバ「ペット凶暴化作戦の第一段階は成功だな」
予定通りなのか、至極ご満悦の様子であった。

猫「がおおっ」
とりあえず、ライオンの鳴き声を出しているニャンコの画像でも貼っておこう。
ギバ、実験動物の犬が逃げ出したことを知ると、直ちに捕獲するよう命じる。
一方、ショウタは、気落ちした様子でポチを連れて署から出てくるが、直人がポチの体をちゃんと調べようともせず、ショウタから目を離しているのは解せない。
と、前方からまゆみがやってきて、

まゆみ「あのー、こんにちは、私、まゆみ」
ショウタ「俺、ショウタ」
初対面なのに、一瞬で仲良くなる二人。
まゆみ「さっきテレビで見たんだけど、猫の声で鳴くのはこの子犬ね」
ショウタ「ポチって言うんだ」
まゆみ「可愛い、そうそう、首輪をしてなかったでしょう、だから持ってきたの」
ショウタ「ありがとう」
まゆみ、鈴のついた真新しい首輪をポシェットから取り出し、ポチにつけてやる。
しかし、赤の他人の犬のために、わざわざ首輪を買って届けに来るなど、いかにも不自然である。
そこへ作業着を着た二人の男が近付き、保健所のものだと言ってポチを引き取ろうとするが、当然ショウタは拒否する。

獣医「僕、あたしは動物の医者だけどね、保健所の先生に、このワンちゃんが何故そうなったのか、見てもらったほうがいいだろう」
ショウタ「……」
職員「僕、とりあえず預かっておくからね。あとで取りにおいで」
だが、偶然通り掛かった獣医が口添えしたので、なし崩し的にポチを連れて行かれる。
しっかし、これもめちゃくちゃ不自然だよなぁ。
普通、獣医は通り掛かりませんよ。
それより、獣医も保健所から来たことにした方が分かりやすかったと思う。
なお、獣医を演じるのは、説明不要の江幡さん。
その後、直人が署から出てきて、ポチがいないことに気付く。
直人「あれ、ポチは」
まゆみ「警察から連絡があったって、保健所の人が連れてったわよ」
直人「え、そんな連絡してないよ」
直人は直ちに車で追いかける。
二人は、人気のない工場の裏手に移動すると、
職員「うるさい、鳴いても喚いてもお前はもう助からねえんだよ」
そこでポチを殺そうとする。
うーん、別に殺す必要はないのでは?
そのまま実験場に連れ戻せば済むことやん。
それに、最初から殺すつもりなら、移動中にさっさと殺せばいいのである。
それはともかく、二人は小犬を銃で撃つという、大人気ない方法で殺そうとするが、寸前でその手首を掴んだのが、我らがジバンであった。
しかし、どうやってこの場所を突き止めたのか、いささか雑である。
それは良いのだが、

ここで流れるBGMが、よりによってEDテーマ曲と言うのは、どう考えても選曲ミスである。
ミスと言うより、見当違いもここまで来ると、わざとやってんじゃないのかと疑いたくなるひどさだ。
無論、職員の正体は戦闘員で、ジバンは彼らを軽く片付け、ポチを取り戻す。
CM後、色々あって、ポチは実験場にいる母犬の鳴き声に導かれて再び実験場に戻り、ショウタもそれを追いかけ、ともどもハイエナノイドの手に落ちる。
直人からそれを聞いたまゆみは、
まゆみ「私が子犬につけてあげた首輪に鈴がついてるの」
直人「鈴?」
まゆみ「そう、耳を澄ませて鈴の音を聞いてみて」
直人「聞こえるわけねえだろっ!!」 まゆみ「ヒイッ!!」
と、怒鳴り返したいのは山々の直人であったが、ちびっ子向けドラマでそんなことが出来る筈もなく、

ジバン「確かに鈴の音だ」
直ちにジバンに変身して耳を澄まし、あっさりポチの鈴の音をキャッチする。
うーん、これもメチャクチャ納得行かない。
首輪の鈴は他にも一杯あるんだから、その中からどうやってポチの鈴だけを聞き分けることが出来たのか、何の説明もないではないか。
ま、普通は、まゆみが首輪に発信機を取り付けておいたと言うのがパターンだが、それではまゆみの手回しが良過ぎることになるので、苦肉の策と言う奴だろう。
なお、どうでもいいことだが、

直人が車を停めて降りる際、サイドミラーに明らかにスタッフと思われる男性の顔が映り込んでいる。
特撮ではたまにあることだが、ここまではっきり映っているのは珍しい。
さて、実験場では、遂に凶暴化ウイルスが完成し、実験動物たちに注射しようとしていた。
で、何故か、ショウタは殺されもせずにその部屋にいるのである。
殺されないどころか、縛られてさえいないのは、ハイエナノイド、あまりに子供に優し過ぎると言うものだろう。
そこへジバンが突入して来て、実験動物たちとショウタを逃がし、いつもの口上&ラス殺陣をこなして事件解決。
言い忘れていたが、あの獣医は勿論ハイエナノイドの人間態で、変身後の声も、江幡さんが演じておられる。
戦いのあと、直人から知らせを受けた清志郎と洋子が、警官隊を引き連れてやってくる。
清志郎「盗まれた狂犬病ウイルスが見付かったというのは本当か」
直人「はい、これです」
直人、朗らかに、狂犬病ウイルスの入っていた砕けたガラスポッドを指差し、

直人「盗んだ奴が培養していたようです。しかし、ウイルスはもうありません」
洋子「ところで一体誰がここを突き止めたの? まさか直人が?」
直人「と、とんでもない、子犬ですよ」
洋子「子犬?」
直人「はい」
いや、直人、サラッと断言してるけど、ウイルスは目に見えないのだから、そんな簡単に断言しちゃっていいのかしら。
むしろ、その場にいるポチとその母犬に感染しているのではないかと疑うのが普通だろう。
この後、実験場にあったワクチンをペットフードに混ぜて犬に食べさせると、鳴き声も元通りになり、ポチと母犬はショウタの家に引き取られ、万事めでたし、めでたしとなるのだった。
ま、直人はそう説明しているが、実際は、凶暴化ウイルスを元にボーイに作らせたものだったのだろう。
以上、前記したように、今回の話、ぜんっぜん面白くありません。
冒頭のカーシャとマーシャのコントがなければ、喜んでスルーしているところである。
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