第17話「子供になった先生」(1989年6月17日)
脚本は藤井邦夫さんだが、実際は上原先生が書いたのではないかと言う説もある(註・ねえよ)問題作である。
冒頭、森の木陰で寝ていたドロロボーマを、ズルテンが叩き起こす。
要するに、ドロロボーマの封印を解いたのである。
ドロロボーマ、いかにも眠そうに目を擦っていたが、ズルテンの姿を見て、
ドロロボーマ「あ、ズルテンじゃねえか」
ズルテン「ドロロボーマ、大復活おめでとさん、実はね、ちょっと働いてもらいたいんだ」
ドロロボーマ「ああ、なんだ、お前、また、ヘマばっかやってんのか」
ズルテン「いや、その辺はあまり深く追及しないでさ……友達じゃねえか、ここはひとつ友達のよしみで人肌脱いでもらいてえっつんだ」
ズルテン、おもねるようにドロロボーマに協力を求める。
要するに、自分のために悪事を働いて、最終的にはVターボバズーカの餌食になってくれと頼んでいる訳である。
割と気の良いドロロボーマは、早速行動を開始する。

ドロロボーマ「お前たちの年を食ってやる」
夜、とある民家に押し入ると、リビングにいた夫婦に赤い勾玉からビームを浴びせる。

すると、二人は一瞬で、自分たちの息子や娘よりも幼い子供になってしまう。
つまり、彼らが重ねた年齢を奪ってしまったらしいのだ。
……
これ、ある意味、人間にとっては夢のようなビームだよね。
これを若返りビームとして商売にすれば、日本中、いや、世界中の年老いた金持ち連中or権力者が、雪崩のように押しかけてくること、必定であろう。
それで得た資金を元に合法的に世界を征服するのが、一番確実な方法ではあるまいか。
あるいは、権力者を若返らせてから、言うことを聞かないと元通りにするぞと脅して意のままに操るというのも有効な手段だろう。

翌日、今度は白昼堂々、赤ん坊を連れた若夫婦を襲うズルテンとドロロボーマ。
ズルテン「やっちまえ」
ドロロボーマ「赤の勾玉ビーム!!」

ビームを浴びた夫婦は一瞬で10才くらいの子供に若返ってしまう。
……
いや、なんで服まで子供サイズに縮んでるの?
ぶかぶかの服を着た女の子が見たかったのにぃ~って、うちの猫が悔しがってました。
それはともかく、ドロロボーマは手当たり次第に大人を襲い、たらふく「年」を食う。
だが、ズルテンの真の狙いは、宿敵ターボレンジャーを子供にしてしまうことだった。
その力たちは、ちょうど、授業の一環として(?)、近くの河川敷のゴミ拾いをさせられていた。

洋平「そーですかー、ルミ子さんの初恋は幼稚園の年長の時、相手は送迎バスの運転手? いやらしいくらいにませてましたね」
真面目にゴミを拾っている級友をよそに、洋平は棒の先に空き缶を差したものをマイク代わりにして、芸能レポーターっぽい喋りで、女子たちと初恋話で盛り上っていた。
どうでもいいが、送迎バスの運転手に惚れる幼稚園児なんているか?
洋平は調子に乗って、今度ははるなにマイクを向ける。

洋平「では、森川はるなさん、あなたの初恋は?」
はるな「そうね、私の初恋は……」
はるながはにかみながら答えようとするが、
洋平「そうです、いまだかつて、恋はしたことがない!!」
生徒たち「あっはははははっ」
みなまで言わせず、勝手にそう決め付けて周りを笑わせる洋平であった。

はるな「もう、何よーっ!!」
洋平「おおーっ、キレてるというより、ただの鈍感なんでしょうか」
怒って洋平に食って掛かるはるなだったが、洋平に軽くいなされる。
しかし、まあ、昔の女子高生って、なんだかんだで可愛げがあるよね……
あと、女の子には、やっぱり笑顔が一番似合いますね(何を言うとるんだ、このハゲは?)

はるな「もう、洋平ったら……」
それはそれとして、後ろを向いてむくれるはるなも可愛い!!
と、背後で聞き覚えのある咳払いがしたので、力たちは蜘蛛の子を散らすようにそそくさとその場を離れる。

洋平「はっはっはっ、はっはっはっはっ……」
洋平だけは、気付かずにマイク片手にゲラゲラ笑っていたが、
洋平「あれ、みんな? ……おえっ!!」
振り向いて、そこに山口先生が般若の顔して立っているのを見て、思わずえずくような声を上げる。
だが、稀代のお調子者の洋平は、負けずに山口先生にもマイクを向け、インタビューを試みる。
洋平「それでは山口美佐先生の素敵な初恋を……」
山口先生「初恋? 初恋は小学校一年生の時に……」
怖いがノリの良い山口先生も、それに乗せられてニタニタしながら答えかけるが、
山口先生「いい加減になさい!!」
洋平「うぇーっ」
洋平、罰として、みんなが帰ったあとも、居残りでゴミ拾いをさせられる。
ぶつぶつ言いながらそれでもゴミを拾っていると、ズルテンとドロロボーマがあらわれ、洋平に赤の勾玉ビームを放つ。
だが、ちょうど様子を見に来た山口先生が洋平を守ろうと飛び出し、洋平の代わりにビームを浴びてしまう。
その結果、

美佐「あー」
そう、山口先生が、こともあろうに小学一年生くらいの女の子になってしまう!!
ちなみに、両手を突き上げて苦しんでいる山口先生の動きを、子役も継続しているのだが、なんか、学芸会でコンブの役でもしているかのような、死ぬほどヘタクソな動きで、これは是非実際に映像をチェックして、その脱力感を味わって頂きたい。
山口先生、若返ったショックか、その場に倒れて気を失う。
洋平、山口先生に突き飛ばされて斜面を転がり落ちたので、若返りの瞬間は見ていなかったが、すぐに上がってきてドロロボーマに蹴りを入れる。
その際、ドロロボーマの持っていた青い勾玉が落ち、美佐の目の前に落ちる。
洋平「ズルテン、山口先生を何処へやった?」
ズルテン「ええい、うるさい、くたばれ洋平!!」
ズルテンが洋平にパチンコを飛ばすが、今度は変身した力たちがあらわれ、洋平を守る。
ズルテン「早くみんなを子供にしてしまえ」
ドロロボーマ、赤の勾玉ビームを放つが、ターボレンジャーには当たらない。
ズルテンはウーラーたちを呼んで乱戦となるが、ここで、美佐が目を覚まし、ちょうど目の前に落ちていた青い勾玉を手にして立ち上がる。
美佐「わあ、凄いんだー」
普通なら、怖がって逃げ出すところだが、さすが山口先生の幼年体である、美佐は怖がるどころか感嘆の声を上げる。
ズルテン、美佐が青い勾玉を持っているのを見て取り戻そうとするが、洋平に邪魔される。
なんとかズルテンたちを撃退した5人は、公園で美佐を遊ばせながら、
力「山口先生がいなくなった?」
洋平「ああ、俺を助けていなくなっちゃったんだよ」
俊介「まさかドロロボーマに消されてしまったんじゃ?」
大地「洋平、本当に間違いないんだろうな」
洋平「絶対だよ」
はるな「でも、このハンドバッグと紙封筒、山口先生のものよ。先生がいたのは間違いないわね」
その先生が後ろでブランコを漕いでいるとも知らず、山口先生の安否を心配する5人。
しかし、大人が子供になると言う怪現象は、昨夜のうちからあちこちで起きているのに、5人がそれを全く知らないというのは変だよね。
力「山口先生がいなくなって、あの子がいたのか……」
まさかと思って名前を聞いてみると、女の子は山口美佐だとはっきり名乗る。
そこで、山口先生のマンションに行き、そのアルバムを調べてみると、果たして、全く同じ女の子の写真が貼ってあった。

洋平「やっぱり、この子が山口先生なんだ」
非現実的な状況に言葉もない洋平たち。
もっとも、この中には、口うるさいオールドミスが、愛くるしい幼女に化けたことで、内心大喜びしている奴が約一名いたことが、最近の調査で明らかになっています。
何も知らず、部屋の中をちょこまか動いていた美佐、「ここにお兄ちゃんたちの写真があるよー」と、机の前の壁に貼られた大きな紙を指差す。
大地「みんなの写真だ」
洋平「明朗活発……落ち着きを持たしてあげたい」
それは、担任しているクラスの全生徒の顔写真を並べ、それにちょっとした指導メモが記されているものだった。

はるな「明るくほがらか……」
どうでもいいが、はるなの上の光定みゆきさんの横に「性格
は申し分なし」ってあるけど、なんか引っ掛かる表現だな。
遠回しにバカって言われてるみたいで……
俊介「先生、俺たちのこと、随分考えてくれてるんだな」
はからずも、山口先生の意外な一面を見せられて、胸がジンとなる力たちであった。
その山口先生は、自分のことが話題になっているとも知らず、うさぎのぬいぐるみを抱いてソファの上でピョンピョン飛び跳ねていた。
一方、暴魔城では、一気に「年」を食いすぎたドロロボーマが腹痛を起こし、苦しそうに呻いていた。

ラゴーン「早食いなんかして大バカモノ!!」
ジャーミン「ふん、まったくズルテンの友達らしいわ」
ズルテン「何をー、青の勾玉があれば、腹痛ぐらいすぐ治るってんだ」
ジンバ「で、何処にあるのでござるのかな?」
ズルテン「え、あ、いや、それは……」
レーダ「あの青の勾玉には子供にした人間を元に戻してしまう力もあるのだぞ」
CM後、5人はひとまず美佐を太宰博士のところに連れて行き、その面倒を見ていた。
シーロンによると、子供にされた人間は、赤ん坊になって最後には消えてしまうという。
うーん、だったら、最初に書いた方法で金を儲けるのは難しいか……
まあ、どれくらい若返らせるのかを調節できるのなら、赤い勾玉と青い勾玉を上手く使い分けて、望みの若さをキープすることも可能かも知れないが、詳しいことは不明である。
太宰博士の研究室。
何を思ったか、美佐はシーロンの住んでいる家の窓から手を突っ込み、何かを探る手付きをする。
てっきり、子供の美佐にはシーロンが見えるのかと思ったが、そうではなかった。
太宰「こらこらこら、乱暴に触っちゃいかんよ」
美佐「このおもちゃのお家、おじさんの?」
太宰「うん、まあね……」
太宰博士が曖昧に答えると、美佐は洋平のところへ駆け寄り、

美佐「お兄ちゃん、このおじさん、変よ」
洋平「どうして」
美佐「だっておじさんがおもちゃのお家で遊ぶなんておかしいよ」
太宰「えっ? うほんっ!!」
美佐に鋭く突っ込まれて、決まり悪そうに咳払いする太宰博士。

はるな「うふっ、きひっ!!」
太宰博士の戸惑う姿に、笑いを押し殺すはるなたちであった。
はるなのこういう顔、めっちゃ可愛い……
ワガママな美佐、洋平にねだって遊園地に連れて行ってもらう。
しかし、美佐、子供の頃の記憶に戻っているなら、親に会いたいとか、家に帰りたいとか思うのが普通だと思うのだが、全然そんな素振りを見せないのは不自然である。
まあ、そうすると、話がややこしくなって尺が足りなくなるからね。
それはともかく、

洋平が、可愛い幼女と二人きりで色んな乗り物に乗るという、真性ロリコン戦士垂涎の展開となる。
まるで気弱な彼氏のように美佐に振り回される洋平、その顔はいかにも迷惑そうであったが、内心ではどう思っていたか、それは余人の知るところではない。
美佐がひとりでライドに乗っていると、中学生くらいの女の子が三人、洋平に写真を撮ってくれと頼む。

快く引き受ける洋平だったが、シャッターを切ろうとすると、横から美佐が割り込んできて、

美佐「ふん、浮気もの、べーっだ!!」
デート中の彼女のような悪態をつく。
……
オンエアを見ていた電が、テレビの前で悶絶して雄叫びをあげている様子が目に浮かぶ。
後の山口先生そのままに、洋平の鼻面を引き摺り回して豪遊する美佐。
ひと段落すると、軽食コーナーでラーメンやカレーやホットドッグなどを注文し、ガツガツ食べる。
美佐のために金を使い果たした洋平、水道の水で空腹を紛らすという惨めなことになる。
色々あって、遊園地にズルテンたちがあらわれ、ドロロボーマが美佐を攫って土管置き場まで連れて行く。
洋平は、恐らく見張りをしていたであろう仲間たちにズルテンを任せ、ひとりで美佐を追いかける。
ドロロボーマ「青の勾玉を返せ」
美佐「知らないよ、青の勾玉なんて」
ちなみに美佐の喋り方、やっぱり成人した山口先生の喋り方を意識してるんだろうなぁ。
ドロロボーマ「なーに言ってる、土手で拾った筈だ、それを壊されると子供にした大人が元に戻ってしまうんだ。さあ、早く返せ」
うーん、赤い勾玉は繰り返し使えるのに、青い勾玉だけ使い捨てと言うのは、なんか釈然としない設定だが、そうなってるんだから仕方ない。
そこへ、パンダのぬいぐるみを背負った洋平が飛び込んできて、ドロロボーマを蹴り倒す。

洋平「美佐ちゃん」
美佐「お兄ちゃん」
洋平「だいじょぶか」
美佐「うん、助けてくれてありがとう、美佐、お兄ちゃん大好き」
美佐、いっそすがすがしいほどの棒読み台詞を口にすると、洋平のほっぺにチューをする。
……
電が歯軋りしている姿が目に浮かぶようだ。
えっ、いちいち俺を引き合いに出すなって?
ドロロボーマ「今度こそお前を子供にしてやる!!」
ドロロボーマ、当初の狙いである洋平に赤の勾玉ビームを放つが、洋平は土管の隙間に逃げ込んでかわす。

美佐「お兄ちゃん、これを壊すと子供が大人に戻るんだって」
洋平「ええっ?」
別の場所に移動すると、美佐が青い勾玉を取り出して、ドロロボーマがうっかり漏らした秘密を教える。
洋平「美佐ちゃん」
美佐「美佐、お兄ちゃんのお嫁さんになってあげる」 かなり唐突だが、ここで美佐が、対真性ロリコン戦士用の決戦兵器を発動させる。
この結果、当時日本にいた真性ロリコン戦士の7割以上が死滅したと言われている。
色々あって、他の仲間が駆けつけ、洋平もブルーターボに変身するが、

パンダのぬいぐるみを背負ったままでポーズを決め、アクションすると言うのが楽しいお遊び。
こうなればもう詳しく書くことはない。
ドロロボーマを倒し、巨大ロボバトルをこなすと、力がターボレーザーで青い勾玉を撃ち砕き、美佐、および他の被害者を元の年齢に戻してやる。

洋平「先生、大丈夫ですか」
山口先生「君たち……」
都合の良いことに、山口先生は子供に戻っていた時の記憶をすっかり失くしていた。
山口先生「浜君……そう言えば、掃除はどうしたの、掃除は?」
洋平「やべ……う、は……」
山口先生「またサボったのね、あなたは」
洋平「あ、いやいや、あの、その……」
山口先生「浜君、あなたねー、先生のように子供の時から良い子の優等生になれとは言わないけど、もう少し真面目になるべきよ、いいわね?」
ついさっきまで、自分自身がワガママな子供だったとも知らず、澄まし顔で説教する山口先生に、力たちが思わず笑いを漏らす。
洋平「あの美佐ちゃんが、良い子の優等生? 信じらんない」
アメリカ人のように両手を上に向けて嘆いてみせる洋平だったが、
ナレ「洋平は嬉しかった、山口先生が本当はとても生徒を愛していることを知って……そして洋平は楽しかった。山口先生の子供の頃を知ることが出来て」
と言うナレーションで、今度の体験が満更でもなかったことが分かる。
で、美佐が遊園地で遊んでいる姿などが映し出され、

山口先生「初恋は小学校一年生の時に……」
最後に、意味ありげに冒頭の1シーンが繰り返されるのだが、これ、藤井さん、ほんとは、初恋の相手が他ならぬ洋平だったと言わせたかったのかも知れない。
ただ、洋平たちが過去の時代にタイムスリップしたのなら、そう言うオチもあったかもしれないが、実際は、美佐と洋平が「会った」のはこのインタビューの後だから、物理的にありえず、それとなく仄めかす形に留めたのだろう。
以上、真性ロリコン戦士も大喜びの力作であった。
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