第18話「青いうず潮!! 秘密スパイの顔」(1977年8月20日)
冒頭、海の近くにある関東海洋研究所と言う科学特捜隊の施設。

門の前に立っている警備員は、相変わらずモミアゲが豪快な高橋利道さん。
そこへ、デビルフィッシング率いるクライマー軍団が攻撃を仕掛けてくる。
良二「こちら海洋研究所、クライムに奇襲されました!!」
研究所のチーフ・佐田良二がただちにジャッカーに助けを求める。

鯨井「なに、教われた?」
鯨井の声に、カレンたちがサッと集まる。
いつもながら、美女の半ケツと生足を見ながら仕事が出来る夢のような職場である。
鯨井「海洋研究所がか?」
五郎「目的はドルフィン計画だ」
文太「そりゃあ大変だ」
鯨井「なんとしてもドルフィン計画を守らねば……」
と、どうでもいい会話で貴重な時間をロスした後、

鯨井「出動!!」
五郎「出動します!!」
やっと号令を掛ける、スローモー過ぎてあくびが出るぜ的に反応が遅い鯨井であった。
にしても、いいケツしてんなぁ……
色々あって、デビルフィッシングたちは施設の中枢である研究室に雪崩れ込む。
白衣を着た研究員たちが、設計図の入った金庫の前に立ち塞がっているのを見て、

デビルフィッシング「ううーん、どけえっ!!」
良二「いやだ!! お前たちに……」

所員「……」
良二(まだ喋ってる途中でしょうがぁあああっ!!) ……と言うのは嘘だが、かっこよくタンカを切ってる良二の体を隠すように、ヒラの研究員がすっと割り込むのが、割とツボである。
まぁ、上司を守る為であろうが、ドラマ的にはありがた迷惑以外のなにものでもない。
良二「お前たちに渡してたまるか!!」
デビルフィッシング「なにぃ、クライムにたてつくものは死あるのみ、死刑だ!!」
デビルフィッシングは容赦なく皆殺しにしようとするが、間一髪で変身済みのジャッカーが駆けつけ、良二たちを助け、クライムを施設から叩き出す。
さらに、海辺の岩場で戦うが、
クローバーキング「思い知ったか」
敵を全員海に叩き込んで油断したクローバーキングの足を、海中に潜んでいたクライマーの手が掴む。

クローバーキング「クイーン!!」
ハートクイン「触らないでよ、エッチ!!」
クローバーキング「そんなこと言ってる場合か」
ハートクイン「やめて!!」
思わずハートクインの体にしがみつくが、何も知らないハートクインに痴漢扱いされてしまう。
変身したヒーロー同士によるセクハラと言う、かなり珍しいシーンであるが、見てるほうはちっとも楽しくない。
ここは是非、生身の俳優同士で演じて欲しかった。
なんとかクライムを撃退したものの、引き続き設計図を狙ってくることが予想されるので、五郎たちは現地に留まり、水も漏らさぬ厳戒態勢を敷く。

あ、どっかで見たことあるような……
さて、ここに、岩場に腰掛けて海釣りをしている少年がいた。

良三「ああっ」
何を思ったか、デビルフィッシングがその少年に襲いかかり、海に放り投げる。

ちなみにその際、実際に子役を放り投げるスタッフの手が見えちゃってます。
幸い、近くに釣り人がいたので子供はすぐ引き揚げられ、病院に搬送される。
続いて、良二に病院から電話が掛かる。

良二「はい、佐田です……えっ、良三が?」
そう、あの少年は、良二の年の離れた弟だったのだ。
良二は直ちに病院へ車を走らせるが、

クライムボス「君の出番だ、成功を祈る」
良二が病院に入っていくのを見届けると、駐車場で待機していたクライムボスが、良二そっくりの顔(註1)をした男に指示を出す。
てっきり、これは良二そっくりに作られたアンドロイドで、一人二役なのかと思っていたが、実は良二の双子の兄・良一で、演じているのはほんとの双子なのである。
……にしても、これほど手抜きのネーミングもないよなぁ。
年の違う三人兄弟ならまだしも、双子+弟なんだから。
昨今、ひねりすぎて誰にも読めないような名前、いわゆるキラキラネームと言うのが問題になっているが、これはその逆パターンと言えるだろう。
註1……良く見ると、双子にしてはあまり似てないのだが、ここは瓜二つと言うことにしてやってつかぁさい。
さて、良一は何食わぬ顔で研究所にやってくるが、

竜「どうでした、弟さんは」
良一「発見が早かったもんで」
竜「そりゃあ良かった」
何しろ顔は勿論、服装も車も同じと来ては、いかに明敏な竜と言えどもそれが別人とは見抜けず、素通りさせてしまう。
良一は真っ直ぐ研究室へ行くと、
良一「鯨井隊長の命令でドルフィン計画の設計図を移すことになった、すぐ出しなさい」
所員「一応確認します」
良一「クライムはいつ攻めてくるか分からないんだぞ、急げ」
所員「はっ」
所員たちも、何の疑いも持たずに設計図の入ったケースを渡してしまう。
鯨井「なにぃ、馬鹿を言うな、設計図を移動させるなどそのような指令を出した覚えはないぞ」
所員「ええっ」
その後、そのことを知った五郎が鯨井に確認すると、あっさり嘘だとばれる。
無論、ジャッカーたちはすぐ良一の車を追いかけ、その前に出て車を停めさせる。
だが、相手は陽気な声で「やあ、なんかあったんですか?」と、逆に尋ねてくる。

五郎「設計図を何処に運ぶつもりです?」
良二「設計図?」
五郎「ドルフィン計画の設計図ですよ」
良二「何の話ですか」
視聴者は、てっきり良一がしらばっくれているのだと思い込むが、

アイアンクロー「ぬっはっはっはっは!! むっはっはっはっ!! よくやったクライムボス」
五郎「なんだと」
クライムボス「はっはっはっはっ、ジャッカーの慌てぶりが目に見えるようでございます。ドルフィン装置を完成すれば海水の中に溶けた金や銀、さらにはウラニウムまで思いのままに採取することが出来ます」
アイアンクロー「早速装置を完成しろ、水爆をどんどん作って世界中に売りさばくのだ」
すでに設計図は、クライムボスの手でアイアンクローのもとに届けられ、二人して勝利の高笑いを響かせていた。
つまり、五郎たちが見付けたのは、正真正銘、本物の良二だったのだ。
ただ、このシーン、ひとつ大きな疑問がある。
良二の車は最初からジャッカーの車と同じ方向を向いて走っていた。
だが、良二は病院から研究所に帰ろうとしていたのだから、逆でないとおかしい。
あと、クライムボスたちの話し声に、五郎がまるでそれが聞こえているかのように反応を示すのも、なんか変である。
まさか二人の笑い声があまりにでかいので、ここまで届いたわけではあるまい。
あと、そもそもドルフィン計画とやらが具体的にどんな計画(装置)なのか、何の説明もないのももどかしい。
それに、海中にウランが漂っているのは事実だが、その量はほんの僅かで、100万リットル分の海水から、やっと3グラムが得られる程度なので、効率が悪いにもほどがある。
フツーにウラン鉱脈を探した方が遥かに手っ取り早いだろう。
なお、台詞では「ドルフィン」と聞こえるのだが、一瞬映る設計図には「ドリフィン」と書いてあり、正直、どちらが正しいのか良くわからないのだが、便宜上、文中では「ドルフィン」と表記させてもらっている。
その後、五郎と良二は一緒にとある病院を訪ねる。

良二「兄さん」
良一「良二……」
五郎(良く似ている……)
そこには、車椅子に乗った、良二そっくりの患者がいた。
良二「兄さん、今日、研究所へ行ったろう」
良一「研究所?」
良二「正直に言ってくれ、ドルフィン計画の設計図を持ち出したろう? 僕が良三を見舞ってる間に、研究所に行ったに違いないんだ」
良二が兄を問い詰めていると、

クライムボス「いやぁ、ようこそ」
良二「あ、院長先生」
そこへにこやかな笑みを見せて、白衣を着たクライムボスがあらわれる。
彼は病院の院長を務める傍ら、クライムボスをやってるらしい。
……
普通に院長やっとけ!! そんな社会的地位のある人間が、なんで「悪の組織」に雇われて危ない橋を渡らないといかんのだ?
それはそれとして、クライムボスを演じるのはヒトデヒットラーでお馴染みの中井啓輔さん。
別にヒトデヒットラーを演じた訳じゃないが、中井さんの顔を見ると反射的に総統の顔が浮かぶのだ。
クライムボス「少しは歩行訓練をしなくちゃ……いつまで経っても歩けるようにはならんぞ」
聞こえよがしにそう言うと、わざとらしく歩行訓練を始めて見せるクライムボス。
無論、良一がまともに歩けない体であることを示して、事件とは無関係だとアピールする為である。
五郎は、形式上、やむなく良二を逮捕して、独房に監禁する。
五郎「しばらくの辛抱です。必ず潔白を証明して見せます」
良二「早く設計図を取り戻して下さい」

入院してリハビリをしているらしい良一の横を、ミニスカ看護婦が通り過ぎようとする。
おそらくほとんどの読者は、擦れ違いざま、良一がそのスカートをめくるか、せめてお尻をタッチすることを期待されたであろうが、残念ながら何もしてくれませんでした。
意気地なし!!
もっとも、それは良一にとって幸いだった。

何故ならその看護婦はカレンが化けた偽者で、もしそんなことをしていたら、強烈な回し蹴りを食らっていたこと必定だからである。
無論、カレンは良一をマークして、クライムとのつながりがないかスパイしているのだ。
一方、文太は兄が逮捕されて落ち込んでいる良三をあれこれと励まそうとするが、どんな遊びで誘っても、良三は見向きもしてくれない。
ちなみに文太が提案する遊びと言うのが、竹とんぼ、剣玉、そして、

文太「ビー玉はどうかな?」
と言うように、実に牧歌的と言うか、ぬくもりの感じられる玩具ばかりなのが微笑ましい。
ただ、ゲームウォッチもない時代とは言え、同時期の「熱中時代」ではメンコやベーゴマなどの遊びをしなくなったと嘆くシーンがあり、ビー玉もそれと同列で語られていたので、当時、実際にはやっていたらしい剣玉はともかく、文太のチョイスがあまりにアナクロなのは確かで、子供にそっぽを向かれても仕方のない面はある。
一方、鯨井たちは、クライムの陰謀を阻止しようと焦っていた。

鯨井「クライムはドルフィン装置を使って水爆工場を作るつもりだ」
竜「なんとしても潰さないと」
鯨井「大変なことになる。しかし水爆工場は海水を利用する、必ず海岸線に作るはずだ、空と海から虱潰しに調べ上げろ」
うーん、ほんとにアイアンクローたちのやりとりが聞こえていたのならともかく、現時点で彼らの目的が水爆工場を作ることだと断定できるだろうか?
前述したように、そもそも良二たちはドルフィン計画で何をするつもりだったのか、その辺の説明がすっぽり抜け落ちているのが今回のシナリオの最大の欠陥である。
ともあれ、五郎がスカイエースで空から、竜がボートで海から水爆工場を捜索するが、

大変嬉しいことに、8号と9号も私服で竜のボートに同乗してくれる。
暢気に歌など歌って、あたかもレジャー客のように装う為である。
だが、大変悲しいことに、二人の私服姿はこれだけで終わってしまう。
特に9号はワンピース、それもモノキニっぽい水着を着ているのに、その全身像さえ見せてくれないと言うのは、宝の持ち腐れも良いところである。
それはともかく、五郎も竜も何の手掛かりも得られずに引き上げる。
鯨井「手掛かりはなしか」
五郎「地下工場ですよ、きっと」
竜「不可能だな、それは」
竜の台詞、ちょっと紛らわしい。
地下水爆工場を作ることが不可能なのか、地下にあるのでは発見することが不可能だと言う意味なのか、どちらにも取れるからである。
……と思ったのは管理人だけ?
もっとも、

デビルフィッシング「ボス、ジャッカーが嗅ぎまわってるぞ」
クライムボス「ここは地下要塞だ、空から見つけることはできん」
その直後のやりとりで、竜が後者の意味で言っていたのだと分かる。
このまま行けば、クライムの大勝利だったと思われるが、それを余計な一言で台無しにしてしまった奴がいる。
アイアンクロー「佐田良一はもう必要ない、消せっ!!」 ほかでもない、首領のアイアンクローである。
デストロンやブラックサタンの首領のように、「悪の組織」の首領って、どーして、ここぞと言うときに、百害あって一利なしのトンチキな命令を下して計画そのものをおじゃんにしたがるのだろう?
良一は別に工場のありかを知ってる訳じゃないんだから、放置しておいてもなんら問題はなかったろう。
が、宮仕えの悲しさ、クライムボスは命令に従って良一をアジトまで連行させるが、その様子をカレンに見られてしまう。

良一「俺は言うとおりに設計図を盗んだ、もういい加減にしてくれ」
クライムボス「君はスパイとしての任務を終えた、死んでもらう」
クライムボスは自らの手で引き金を引くが、弾は良一の左肩に当たる。
うーん、考えたら、何もアジトまで連れてきて殺す必要はないよなぁ。
部下が良一を病院から拉致したとき、ピストルを突きつけていたが、その場で射殺すれば済む話である。
トドメを刺そうとするが、そこへカレンが飛び込んできて、いつものように巨尻とフトモモを躍動させて獅子奮迅の活躍をして良一を救出する。

いやぁ、女性のお尻ってほんとに良いもんですね!!
五郎は良二を牢から出し、埠頭で良一と会わせる。

良二「やっぱり兄さんの仕業だったんだな」
良一「俺は工事現場でブルドーザーに押し潰されて瀕死の重傷を負った、それを歩けるようにしてくれたのが院長だったんだ」
良二「兄さんはクライムに利用されたんだ」
五郎「その事故ははじめから仕組まれたものだったんです」
五郎の台詞に合わせて、事故の様子が再現され、重機の操縦席に座っていたのが
クライマーの恰好したクライマーだったことが分かる。
……その時点で気付けよ。
あと、映像だと、どう見てもブルドーザーじゃなくてショベルカーなんですが。
良一「良三を殺すと脅された……許してくれ」
五郎「クライムはドルフィン装置で水爆工場を作るつもりなんです」
激しい自責の念に打たれた良一は、クライムの計画を潰す為に、ひとりでモーターボートに乗って野崎島に向かい、良二もそれを追いかける。
さっき、良一は工場の場所は知らない筈だと書いたが、実際は知っていたようである。
なんでそんな重要機密を良一に教えたのか?
クライムのこの不可解な行為については様々な議論がされてきたが、最新の研究では、
「クライム、前々からそうなんじゃないかと思っていたが、やっぱりアホだった」説が有力である。

この後、重機がたくさん置いてある場所に入り込んだ二人が、実際に動いているショベルカーなどから逃げ惑うシーンとなる。
特撮に重機が登場することはままあるが、こんな危険な撮影はちょっと他では見たことがない。
あと、地下水爆工場の上に重機がたくさんあると言うのは、極めて合理的で説得力のある描写である。
この後、ジャッカーが駆けつけて悪を倒し、事件解決。
ラスト、罪に問われなかった良一と共に、良二、良三、そしてジャッカーが仲良く釣りをしているシーンで幕となる。
双子の俳優を起用した、なかなか手の込んだ謀略が見物の力作であったが、せっかくの夏の海を舞台にしたエピソードなのに、水着が9号のあれだけと言うのが残念無念。
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