第10話「パパはパパじゃない?!」(1989年4月2日)
冒頭、ヨーロッパのお城のような美しい建物の中庭で、お姫様の格好をして着ぐるみの動物たちと楽しい時を過ごしているまゆみ。
無論、それは現実の出来事ではなく、まゆみが見ている夢の世界であった。
さて、巷では、学習能力を飛躍的に高めると言う、ジャンプ巻末の通販ページに載ってるような、天才バンダナなる怪しげなアイテムが大流行していた。
テレビニュースでも取り上げられ、天才バンダナをつけた小学生や中学生の様子を映してから、

リポーター「では、
その辺にいたおっさんに話を伺ってみます」
おっさん「あう……」
じゃなくて、
リポーター「このバンダナの発明者、天童良作博士の話を伺ってみます」
天童「この発明は人類にとって……」
直人「天童良作か……」
それをジバン基地で直人が見ていると、まゆみがスキップを踏みながら入ってきて、
直人「朝からご機嫌だね、何かいいことでもあったのかい」
まゆみ「へへーっ、とってもいい夢見たの」
直人「夢?」
まゆみ「そう、アキちゃんって言う先輩の、夢占いの通りにね」
うっとりした様子で夢の内容を語ると、
まゆみ「もう最高なんだから、
今日はきっといいことがあるわ!!」
いや、もう、あったやろ……
それは縁起の良い夢を見たときの台詞じゃないの?
一方、バイオロンでは、マーシャたちが慌てた様子でギバの前にやってきて、

マーシャ「今人間たちの中で頭脳を開発する天才バンダナと言うのが流行しています」
カーシャ「放っておくと人間どもは生意気にも進歩し、征服は難しくなります」
危機感をあらわに訴えるが、ギバちゃんは不敵な笑みを漏らすと、
ギバ「心配するな、もう手は打ってある、アクムノイド」
アクムノイド「ギバ様」
ギバ「天才バンダナを利用し、人間どもに悪夢を見せて叩きのめす作戦、進んでおるか」
アクムノイド「ははっ、天童博士は副作用に気付き、製造を中止しましたが、この私が天童に化けてご覧のように流行させました」
彼らのやりとりで、天才バンダナの流行そのものが、ギバの仕掛けた作戦の一環であることが判明する。
しかし、今回もまたスケールの小さい作戦ではある。
いくら悪夢を見せたところで、人間社会に与えるダメージはタカが知れているし、悪夢が見えるようになったら、みんな天才バンダナをつけなくなるだろう。
それ以前に、天才バンダナで具体的にどれくらい頭が良くなったのか、その事例が一件も描かれていないと言う時点で、今回のシナリオも凡打に終わる可能性が高いことを示唆していた。
まゆみ、現実ではよほど惨めな生活を送っているのか、アキと言う女の子に頼んで良い夢が見られるかどうか占ってもらっていた。
アキは、まゆみの額に人差し指を当てて考え込んでいたが、
アキ「今夜は夢を見ないようよ」
まゆみ「残念」
つーか、夢占いって、見た夢の内容から吉凶を占うもので、これからどんな夢を見るのか占うことじゃないと思うんですが……
そもそも、夢なんてのはその日の経験や睡眠状態などに左右されるんだから、あらかじめどんな夢を見るかなんてことが分かる筈がなかろう。
と、そこへ直人と洋子先輩がやってきて、
直人「残念だね、今夜お姫様になれなくて」
まゆみ「うん、つまんない」
洋子「ねえ、あなたって、みんなの見る夢が分かるの?」
アキ「ええ、なんとなく、ぼんやりですけど」
この、他人の見る夢が分かるという能力も、実につまらない設定である。
せめて他人の夢を自由に操れる能力とかだったら、バイオロンがその能力を利用して、人々に悪夢を見せると言う作戦とリンクさせることが出来たかもしれないのに。
と、目の前の道路を、天童博士が運転する車が通り過ぎていく。
まゆみ「あ、アキちゃんのお父さんだ」
直人「君のお父さんて、天才バンダナを発明した天童博士なの」
アキ「はい」
直人「へーっ」
アキ「でも、天才バンダナもお父さんも嫌いです」
直人「え、どうして」
アキ「あんなもので見る夢、本当の夢じゃないんです、それにお父さんも発明してから変わってしまったんです。以前のお父さんはとても優しかったんです」
アキ、悲しそうな顔でそのワケを打ち明けるが、この辺、8話とストーリーが被っていて、マンネリズムは免れない。
あと、天才バンダナって、ニュースでは装着するだけで頭が良くなるアイテムのように言っていたのに、ここでは、それで楽しい夢を見るアイテムのように話が変わっている。
ともあれ、その夜から、いよいよアクムノイドが悪夢作戦を実行に移す。
清志郎も、天才バンダナを付けたまま寝ていたが、

アラビアンナイト風の衣装をまとったカーシャとマーシャに誘惑されるという、己の欲望に忠実な夢を見ていた。
もっとも、清志郎は二人の顔は知らないので、既に、アクムノイドの作り出した悪夢の世界に迷い込んでいるのである。
二人が色っぽい仕草をするのを見て、

清志郎「ああ……」
天にも昇る気持ちになり、一気に3Pに雪崩れ込もうとするが、

マーシャたちはベールで顔を隠すと、一瞬で怪人態となって清志郎を威嚇する。
さらに別の怪物が目の前にあらわれ、逃げ出そうとするが、

振り返ると、アクムノイドをモチーフにした巨大な怪物がいて、清志郎を死ぬほど怖がらせる。
これ、いかにも雨宮さん好みの、ゼイラムの最終形態みたいなデザインである。
清志郎、絶叫を上げて目を覚ますと、自宅マンションから路上へ出るが、そこには、同じように天才バンダナで悪夢を見た住民たちがいて、頭を抱えて苦しがっていた。
いささか早過ぎる気もするが、すぐに直人たちが駆けつける。

洋子「清志郎、しっかりしなさい!! 私よ、洋子よ!!」
洋子、清志郎に向かって叫ぶが、

清志郎の目には、その顔が怪物に見えるのだった。
並べてみると、なんとなく似てるような気もする……
清志郎「怪物!!」
洋子「怪物ぅ?」
清志郎「近寄るな!!」
完全に正気を失っている清志郎、洋子の襟首を掴むが、それくらいでひるむ洋子ではなく、相手のスネに蹴りを入れると、その手首を取り、

洋子「えいっ」
清志郎「ぐわーっ」
豪快に地面に叩きつける。
直人「先輩!! 洋子先輩、やり過ぎですよ」
洋子「だってぇ、レディーに対して怪物だって言うんだもん、私、絶対許せない」
直人「だからって先輩、かわいそうですよ」
直人、清志郎の体を抱き起こすが、その額に例のバンダナが巻かれていることに気付く。
ジバン基地に天才バンダナを持ち帰り、ボーイに分析させると、
ボーイ「このアメーバー状のしみには、中枢神経を刺激するバイオロン反応があり、危険です」
直人「やはりそうか、ギバめ、人間の頭脳が覚醒して進歩するのを恐れての仕業か」
と言う直人の見立てであったが、そんなパチモン巻いただけで人間の頭が良くなる訳がないので、考え過ぎと言うものであろう。
問題の天童科学研究所では、アクムノイドが天才バンダナにアメーバー状の物質をばら撒いてせっせと悪夢バンダナを作っていたが、
アキ「お父さん」
アクムノイド「おうっ」
いきなりアキがドアを開けて入ってきたので、喉の奥から声を出して全力でうろたえる。
アクムノイド、素早く天童博士の姿になって娘の前に立つが、
アキ「あ、お父さん、洗濯物……」
天童「いきなり開けるな!!」 8話と同様、バイオノイドは人間に化けるのが苦手と言うか、そもそも化ける気がないのではないかと思わせる、最悪のリアクションをしてしまう。
天童「出て行け、早く出て行くんだ!!」
アキ「お父さん……」
アキはたちまち顔を歪め、泣きながら部屋から飛び出す。
ちょうどそのタイミングで直人と洋子先輩が研究所にやってくる。
建物の前でしくしく泣いているアキを見かけ、

直人「どうしたんだ、アキちゃん」
アキ「……」
洋子「構わなければ話してくれない? 力になれるかも知れないわ」
アキ「お父さんが、まるで別人なんです」
CM後、二人はアキと一緒に天童に面会を求める。
直人「実は、天才バンダナのことについてちょっと……」
天童「うるさい、出て行け!!」
直人が、背後に並べてある天才バンダナに近付こうとすると、天童、直人の肩を掴んで乱暴に投げ飛ばす。
うーん、ここまで本物のふりをする気がない怪人と言うのも珍しい。
あと、8話で小林親子の存在を忘れて手痛い目に遭ったばかりだと言うのに、バイオロンが、今回の作戦でも、天童の実の娘に対する備えを怠っているのが、学習能力ゼロのおバカさんに見えてしまう。
バイオロンの技術力なら、アキも捕まえてその偽者を作り出すことなど、朝飯前だったろうに……

直人「いってえ、そのパワー、貴様、バイオロンの怪物だな」
最初から隠す気ゼロのアクムノイド、さっさと本来の姿に戻ると、イカスミのような黒いガスを二人に吹き付ける。

それを浴びた二人は、幻夢界のような不思議な空間に飛ばされるが、スーパーガールのように空を飛んでいる洋子先輩がめっちゃラブリーなのである!!

夕陽に染まったような富士山(?)を眩しそうに眺める洋子。
だがそれは、清志郎が体験したのと同じ悪夢であり、たちまち行く手に暗雲が立ち込めてきたかと思うと、激しい稲光が走る。

洋子「きゃああーっ!!」
意外にも、雷が苦手だったらしい洋子、女の子らしい悲鳴を上げて落ちていく。

落ちたところには、清志郎の見たのと同じ怪物がいたが、清志郎と違って、洋子は臆することなく銃を撃ち、追い払う。
それにしても、溜息が出るほどの美しさ!!
後ろで獣の唸り声がしたので振り向くと、巨大なオシシのような怪物が立っていた。
清志郎が洋子と間違えた、あの怪物である。

洋子「いやぁーっ!!」
これにはさすがの洋子も驚き、またまた女の子らしい悲鳴を上げておののく。
クッソ可愛いんですけど……
一方、直人は逆さの状態で落ちていき、アクムノイドの前で、宙吊りにされたようにぐるぐると回転する。

直人「ああ……」

だが、直人が盲滅法に撃った弾が偶然現実世界の悪夢ロイドに命中した為、直人は正気を取り戻す。
でも、彼らはイカスミガスの作用で悪夢を見ているのだから、アクムロイドにショックを与えても、悪夢からは醒めないのではあるまいか。
それにしても、悪夢の中で銃を撃ったら、現実でも銃を撃っていたと言うのはなかなか怖い話で、下手をすれば、洋子がアキを撃ったり、直人が洋子を撃ったりしていた可能性もあったわけで、むしろその方法で社会に混乱を引き起こした方が、作戦としては正解だったのではあるまいか。
何故なら、眠っている人間にいくら悪夢を見せても、本人が恐慌状態になって怪我をするくらいしか期待できないが、起きている人間に悪夢ガスを浴びせれば、様々な事故を誘発することが出来るからである。
あと、アクムノイド、二人が悪夢の世界にいる間に、なんでチャチャッと殺そうとしなかったのだろう?
ついでに、銃で撃たれたくらいでアクムノイドがさっさと逃げ出したのも解せない。
この時点では、直人=ジバンとは分かってないのだし。
ま、とにかく色々と腑に落ちない点はあるが、気にせず話を進めよう。
直人「先輩、アキちゃんを頼みます」
洋子「直人、ひとりで大丈夫?」
直人「うん!!」
まるでお母さんのように直人の身を気遣う洋子先輩が、管理人は大好きです。
直人、ジバンに変身して空き地でアクムノイドと戦うが、マーシャたちに邪魔され、あえなく取り逃がす。
一方、洋子は、さっきの部屋に留まって、手の平を拳で殴りながら、苛々と直人の帰りを待っていた。
洋子「もう、直人ったらなにやってんのかしら……ひとりで行かせたのが間違いだったかしら? 私が行ったらビシッと決めたのにぃ」
しかし、仮にもセントラルシティ署なんて、ハイカラな名前の警察署に勤務してる割に、刑事が小型の通信機さえ携帯していないと言うのは、なんかトホホだよね。
と、足音が近付いて来たので、

ポニーテールの髪をなびかせながら、振り向く洋子先輩。
ううっ、もう、その一挙手一投足が絵になるお方だ。
洋子「あ、直人、どうだった?」
直人「……」
直人が無言で首を振るのを見て、

洋子「やっぱり駄目ねえ、一人で行かせるべきじゃなかった」

口では反省しつつ、いかにも嬉しそうな顔で腕を組む洋子先輩。
ああ、かわええ……
さて、アキは、父親が作った天才バンダナの試作品を額に巻き、それによって夢想状態に入り、夢占いで、父親が監禁されている場所が城北のフラワー公園だと突き止める。
いつの間にか、天才バンダナ、睡眠学習装置みたいなアイテムになっちゃったなぁ。
それ以上におかしいのは、8話の徳丸社長もそうだったが、バイオロンが生かしておく必要のない天童を殺さずにいたことである。
天童に、悪事に使うアイテムを開発させようとしていた様子も見えないので、全く意味がないことのように思える。

それはそれとして、ジバンが向かったフラワー公園内の建物が、今見てもかなりハイセンスなデザインをしているのだった。
ジバンは建物の地下に侵入し、捕まっていた天童博士を救出する。
ちなみに博士によると、天才バンダナを使い続けると、副作用で体がボロボロになるらしいが、これまた実に曖昧な表現で、もうちょっとどうにかならなかっただろうか。
色々あってラス殺陣となり、事件解決。
事件解決後、洋子が警官隊を引き連れて公園にやってくる。
天童親子が抱き合って泣いているのを満足げに見ていた洋子、ふと思い出したように、
洋子「直人、犯人は?」
直人「え、あ、僕が来たときにはここの地下室で天童博士が気絶してただけで……」

洋子「そんなことだと思ったわ、全く頼りにならないんだからぁ」
直人「すいません……」
直人の相変わらずのグズっぷりに、むしろホッとしたような笑顔で見下す洋子先輩であった。
以上、はっきり言って面白くもなんともない駄作で、レビューするのが苦痛であった。
つまるところ、敗因は、天才バンダナの仕様があまりに曖昧なことだろうなぁ。
頭が良くなると言うが、実際に知能が高くなった人も出て来ず、それを改造した悪夢バンダナの作る悪夢にしても、清志郎が見たへぼい悪夢だけだもんなぁ。
もっとも、洋子先輩の画像をたくさん貼れたので、そう言う意味では楽しくもあった。
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