続きです。 鶴間邸では、冴子が、早川が置いて行ったプレゼントのネックレスか何かをもてあそびながら、

冴子「お母様、さっきの人、本当は……」
千代「お兄さんなんかじゃありません、いいわね、冴子、私の産んだ子供はあなただけしかいないんですよ」
冴子は、屋敷の外からギターの音が聞こえてくるのに気付く。
そう、早川が家の前に陣取って、ひたすら「二人の地平線」を奏でているのだ。
そのお陰で、もう一度襲撃を企む戦闘員たちも手が出せずにいた。
CM後、朝になってもギターの音は途切れることなく聞こえていた。
早川、夜通しギターを弾き続けていたらしい。
千代&冴子(寝れねえ……) これが、自分を捨てた母親に対する復讐なのかと戦慄する千代であったが、嘘である。
嘘だけど、うるさくて眠れなかったように見えるのは事実である。
冴子「お母様、あの人はあんなにひどいことを言われたのに、ああして一晩中ギターを弾いて私たちを夜桜組みから守ってくれているわ」
冴子、諄々と言い聞かせるように母親に早川の優しさを訴えると、

冴子「お母様、本当のことを言って、お母様はお父様と結婚なさる前に、あの早川さんを生んでいたんでしょう!!」
ズバリ、核心を衝くが、そのとたん、千代の右手が唸りをあげて冴子の柔らかなほっぺにヒットする。
千代「おだまりなさい!!」 お金持ちのマダムにしては千代の反応はいささか乱暴で、唐突な感じがする。
ただ、千代が、自分に息子がいることを隠して今の夫と結婚したのであれば、その過剰な反応も納得できる。
まあ、その場合、千代が自分の身可愛さのあまり、実の息子をたかり扱いして追い払ったことになるので、再び「千代、実は単なる腐れ外道だった」説が有力になってしまう。

冴子「いいえ、お母様がもしあの人を生んでいたとしても、私何とも思わないわ、でも、ほんとのこと隠してるお母様を私、軽蔑します!!」
千代「……」
さすが、早川と同じ血を引く娘だけあって、冴子は殴られても引き下がらず、毅然として、母親に人としての道を説くのだった。
にしても、ほんと、斉藤さん、立派に成長なさって……
なんか、子役の頃からテレビで見てるので、親戚の女の子の成長を見守るおじさんのような気持ちになっちゃうんだよね。
ま、ワシより年上なのだが……

女中「まあお嬢様、そのようなこと私がいたしますのに」
冴子「ううん、いいの、私、自分で作って持って行ってあげたいの」
その後、冴子は母親の気持ちなどお構いなく、可愛いらしいエプロンをつけ、手ずからお握りを作って早川に差し入れしようとしていた。
女中「はあ、どなたにでございますか?」
目を丸くして尋ねる女中に、

冴子「お・に・い・さ・ま!!」
夢見るような眼差しで答える冴子。
……
惚れてまうやろ!! いやぁ、こんなに可愛くて優しい妹が突然あらわれたら、それだけで人生大勝利だよね。
ただ、セレブのお嬢様が、昨日と同じ服を着ているのは頂けない。
ところが、冴子がお握りとポットを持って屋敷を出たところで、待ち伏せしていた戦闘員にあえなく拉致されてしまう。
ギターを弾くのに夢中になって、肝心の警護をおろそかにした早川のミスであった。
車はそのまま、山の上にある夜桜組のアジトにやってくる。

夜叉丸「おい、つけられはしなかっただろうな」
戦闘員「へい、早川の野郎が途中までかけっこしてましたが、はっ、バカな野郎で」
早川「ああ、そうとも言えんぜ」
戦闘員が自信たっぷりに答えた直後、頭上からその早川の声が降ってくる。
見上げれば、早川が目の前の木の上にいるではないか。
戦闘員「早川、どうやって?」
早川「その子は返してもらう」
これには戦闘員も心底おったまげるが、早川、大事な妹のことなので、あえてズバッカーを使って飛んできたのだろう。
早川「逆らおうなんて思わねえほうがいいぜ、俺は特別機嫌が悪いんだ」
早川、そう言うと、いつも以上に華麗なアクションで戦闘員たちをぶちのめすが、

夜叉丸「早川、機嫌が悪くカーッとしてるときは、誰でもちっとは抜けてるもんだぜ」
冴子に銃を突きつけられ、あっさり捕まり、ボコボコにされる。
冴子を助けに来たといっておきながら、彼女そっちのけで戦闘員とのバトルを楽しむあたり、夜叉丸にバカにされても仕方のない早川の迂闊さであった。
あと、ドレス越しに、うっすらとブラが見えるのが嬉しいのであった。
その後、飛沫が上げて大量の水が流れ落ちるダムの取水口の上に場所を移し、
夜叉丸「どうした、ええっ、飛び降りるんだ、早川」
早川「いうとおりにしたら、冴子さんは助けてくれるんだろうな」
冴子「やめてーっ!!」
夜叉丸「
大事な人質を殺すようなことはせんさ。ただし、こいつの父親が身代金30億円を素直に出せばの話だがな」
……
じゃあ、別に飛び降りなくても良いのでわ?
つーか、ピストルがあるのに、なんでそんな七面倒臭い方法で早川を殺さねばならないのだ?

早川「ようし、その言葉を忘れるんじゃないぞ」
冴子「やめて、私のために飛び降りたりしないで、やめてお願い!!」
殴られ過ぎて人相が変わってしまった早川、冴子が止めるのも聞かず、柵を乗り越えて空中に身を躍らせ、なすすべもなく激流に飲み込まれる。

冴子「はぁ……」
兄の死を目の当たりにして、絶望の淵に沈み込んでいる冴子。
そこへ戦闘員が入ってきて、

戦闘員「出ろ、お前の親父が言うとおり金を出したぜ」
いつもながら、「悪の組織」の人たちは悔しいくらいにストイックなので、可愛い女の子、それも大金持ちの令嬢が、お触りし放題で座っていると言うのに、そのスカートの中身さえチェックしようとせず、命令どおり、さっきの場所に冴子を連れていく。

冴子「約束が、約束が違います」
戦闘員「うるせえ」
冴子「助けて下さい!!」
夜叉丸、何故か冴子を縛り上げて、処刑しようとするのだった。
どうせなら、ここは伝統の「おっぱい二段挟み方式」で縛って欲しかったところだが、贅沢は言うまい。
夜叉丸「新しい銃を買ったんでな、試し撃ちの的になってもらうぜ、まず右、そして左、最後に真ん中を撃つぜ」
まあ、金を取った以上、人質を生かしておく必要はないと言うのは分かるのだが、何も急いで殺さずとも、冴子を餌にして、際限なく鶴間勇吉から金を搾り取ればいいではないか。
しかし、東条だって冴子が拉致されたことぐらいは知ってるだろうに、鶴間勇吉が唯々諾々と30億もの大金を払ったというのが、どうにも歯痒いというか、釈然としないのである。
今更だけど、ごく一部のエピソードを除いて、東条って警察としての仕事をあんまりしてないことに気付いてしまった管理人だった。
11話では、早川のヒーローを活動をやめさせようとしていたが、実際のところは、「ワシらがやらなくても、早川が何とかしてくれるだろう」と、横着なことを考えているように見えて仕方ないのら。

頭に三つの花をつけられ、ますます可愛くなって恐れおののく冴子タン。
にしても、ほんっっっと、こんな超絶美少女を目の前にしてこんな不粋なことしか出来ないなんて、夜叉丸、あんたにはホトホト失望させられたよ。
Lに対する情けない態度といい、やってこることはただの営利誘拐と言う、悪事の芸のなさといい、
用心棒がコックといい、これだけがっかり要素が多いボスも珍しい。
もっとも、射撃の腕だけはプロ並みで、10メートル以上離れた場所から銃を撃ち、見事、宣言どおり、冴子に付けられた花を、右、左と、正確に吹っ飛ばす。
……
いや、こんな射撃の技術があれば、伊魔平なんか要らないのでは?
夜叉丸「なるほど、良い銃だ、次は額だ」
夜叉丸、最後は真ん中の花に狙いを定めるが、「額」と言うからには、冴子を殺すつもりだったのだろうか?
しかし、15、6才の少女をこんな風に処刑するなど、いくら悪党でもあまりにヒドイと言うか、殺伐としていて、ますます夜叉丸の株が下がるなぁ。
と、ここでいつものようにズバットが駆けつけ、ラス殺陣となる。
ザコを蹴散らした後、夜叉丸を追いかけるが、伊魔平が立ちはだかる。
伊魔平「ズバットとか言ったな、料理してやるぜ」
伊魔平、今度は包丁投げの腕を披露するが、普通に投げてるだけなので、腕もへったくれもなく、全てムチで弾き返された上、

自分の包丁で服を切り裂かれ、フンドシ一丁にされてしまう。
……
こんなもん見せられてもなぁ。
同じ下着姿なら、冴子かみどりさんのを見せて欲しかった。
出番が全然ないのでヤケになってる大城信子さんに頼んだら、脱いでくれたかもしれないのに……
え? 真顔で言うな?
それはともかく、腹に蹴りを入れられた伊魔平は、

伊魔平「料理された……」
言うてる場合か!! ちなみにたびたび引き合いに出す「ズバット大全」では、コックなんだから料理対決して欲しかったって、遠慮がちに突っ込まれていました。
この後、夜叉丸を尋問&成敗して事件解決。
ちなみに夜叉丸は、2月2日には香港にいたそうです。
なんで「悪の組織」の人たちは、揃いも揃って2月2日に旅行に行ってるんでしょうか?
ただ、セントデビルの北海道や、今回の香港だと、その気になれば飛鳥を殺してから行くことも可能なので、いまひとつアリバイになってないような気もする。
さて、早川は冴子を連れて取水口の上を歩いていたが、

冴子「お兄様」
早川「……」
冴子に呼ばれて思わず立ち止まる。
早川「お人違いでしょう……お母様によろしく」
だが、ストイックが服を着ているような早川は、鋼鉄の意志で自分を抑えると、それだけ言って立ち去るのだった。
しかし、「お人違い」って、冴子の目の前であれだけ「お母さん」「お母さん」言っておいて、あまりに白々しい言い草だよね。
と、入れ替わりに千代と東条が駆けつけるのだが、これも変といえば変だよね。
彼らはまだ夜桜組が潰滅したとは知らないのだから、ちゃんと警官隊を引き連れて来ないとおかしい。
それに、肝心の父親が来ないと言うのもね。
ま、それ以前に、彼らがここにいるということをどうやって知ったのかってことになるのだが、それは毎週やってることなので、目をつぶろう。

千代「冴子、健は、お兄さんは、あなたのお兄さんは何処?」
千代は冴子の体を揺さぶって尋ねるが、
冴子「お母様、その一言、もっと早く言ってくだされば……」
冴子は答える代わりに、今更ながら母親のつれない応対を悔やんで見せる。
東条「おそらく早川は二度とあなた方の前には姿をあらわさんでしょう」
千代「えっ」
東条「俺のお袋はいつも瞼の奥にいる……これが早川からの伝言です」
千代「まあ」
東条「奴はあなたを恨んではいません」
照れ屋の息子の代わりに気持ちを伝え、二人の精神的負担を軽くしてやる東条。
もっとも、彼らがそんな会話を交わした形跡はないので、これは東条が早川の気持ちを忖度して伝えてやった可能性が高い。
東条、今回、刑事としては落第だが、早川の親友としては100点満点の仕事をしている。
そう言えば、勇吉が払ったという30億は、どうなったんだろう?
これも、細かい情報が全くないので、推測のしようがない。
千代「けーん、許してーーーっ!!」
冴子「お兄様ーっ!!」
ラスト、恒例の、夕陽に向かって早川の名を叫ぶシーンで幕となる。
以上、早川と生き別れの母親との愛憎を濃密に描いた、シリーズでもひときわドラマ性の高い佳作であった。
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