第34話「呪いの大時計 ビジンダー危機」(1974年1月5日)
夜、真ん中に大きな鳩の形をした時計がある公園。

今日も根無し草のミサオ、ヒロシ、アキラが、そのベンチにもたれるようにして眠っていた。
真冬なんですけど……
さすがにこれはあまりにリアリティーがないなぁ。
と、足音のような物音に、ミサオが目を覚まして振り向けば、

そこにあった時計がいきなり火が吹き、爆発する。
ミサオ「ああーっ!!」
ミサオはそのショックで気絶し、時計は台座もろとも吹っ飛ぶのだが、それだけの騒ぎが起きながら、ヒロシたちが全く気付かないと言うのは、これまた嘘っぽい。
だが、夜が明けると、壊れた筈の鳩時計が元通りちゃんと立っているではないか。
先に目覚めたヒロシたちに揺り起こされたミサオは、
ミサオ「大変だよう、時計台が、時計台がゆんべ消えちまったんだよ!!」
ヒロシ「お姉ちゃん、夢の続きなら、向こうの噴水で顔洗ってきなよ」
ミサオ「なに言ってんだよ、私が寝惚けてるってのかい? 私はこの目でちゃんと……」
そう言いながら立ち上がり、後ろを振り向くが、

ミサオ「……」
ヒロシ「あの時計台がどうしたんだよー」
ミサオ「だからあの時計台……」
ヒロシ「頭水の中に突っ込んで来いよー」
ミサオ「確かに!! 7時……時間も合ってる」
ミサオが狐に抓まれたような顔をしていると、

その時計台の鳩の目から二筋の特殊な電波が発射され、ミサオのつけていた腕時計に吸い込まれる。

と、その途端、ミサオが二人の頭を拳骨で殴る。
ヒロシ「いてー、何すんだよぉ」
ミサオ「私が何したのさ?」
ヒロシ「俺の頭、ぶん殴ったじゃないかー」
ミサオ「冗談っぽい、私がそんなことするもんか」
否定するミサオだったが、言ってるそばからまた二人の頭をゴツン。
結局取っ組み合いの喧嘩になってしまうのだが、ミサオには、自分が二人を殴ったという意識がないらしい。
無論、あの特殊な電波のせいなのだが、この後の市民の狂い方からすると、ミサオの反応があまりに大人しいような気がする。
本格的な作戦の前に、ミサオの体で電波の感度を試したのだろうか?
その45分後、出勤途中のサラリーマンやOLたちの腕時計に一斉にあの電波が送られると、
男「ぎぃやあああああーっ!!」 突然、狂ったように叫び出し、誰彼見境なしに襲い掛かる。

このシーン、男性陣は実に良い顔で演じておられるのだが、やはり女性は照れ臭さがあるのか、全体的におとなしめで、

女性「……」
こちらの女性など、ほとんど南海キャンディーズのしずちゃんのような「無の表情」を保ちつつ、両手をワシャワシャ動かすだけで、「ちったぁ真面目にやらんかいっ!!」と思わず怒鳴りつけたくなる手抜きぶりであった。
で、その一角はたちまち街頭バトルロイヤル状態となるのだが、ここでも男性(主にJACの若い衆)たちは熱の入った演技を披露するが、

対照的にこの若いOLたちは、ほとんど、どっちが支払いをするのかレジ前で揉めてるようなやる気のない乱闘ぶりであった。
また、暴徒の中には、

スタントマンとしてクレジットされている大葉さんの姿なんかも混じっていたりするのである。
さすがに若い!!
ここで、ダイスケと言う少年が、友達がみんな高級腕時計を持っていて自慢しあっているのを羨ましそうに見ているというシーンを挟み、今度はバスの中の乗客がキチガイ光線で暴れ出すというシーンになる。
乱闘の中に飛び込んでなんとかやめさせようとするイチローであったが、人間には絶対に暴力が振るえないイチローには、その原因を突き止めない限り、どうにも手の打ちようがないのだった。
考えたら、シャドウがその点に目をつけて、人間を使ってイチローを攻撃させようとしなかったのは、大いなる手抜かりではなかっただろうか?
たとえ人間でも、強力な武器を持たせてやれば、かなりの戦力となった筈である。
午後のテレビニュースで、この乱闘によって13人が死亡し、35000人が負傷したと被害状況を告げると共に、心理学の権威・城南大学の平川教授の
「これは現代人の抑圧されたストレスの爆発ではないか」と言う、クソみたいなコメントを伝えるのだった。
それを聞いてビッグシャドウは大笑し、
ビッグシャドウ「放っておけば、この乱闘は日本中に広がる。人間同士殴り合って死ぬやつが何人出るか、はっはっはっはっ」
しかし、電波はあの鳩時計からしか出ていないのだから、「日本中に広がる」と言うのは、物理的に無理ではあるまいか。
それに腕時計をつけている人間にしか作用しないのだから、ビッグシャドウの思惑通りに運ぶとは、到底思えない。
一方、ダイスケ、腕時計が欲しいのだが家がビンボーで買って貰えず、時計店の店先に陳列してあるきらびやかな高級腕時計の数々を、舐めるように見詰めていたが、ふと魔が差して、店主が席を外した隙に、35000円の値札の付いた腕時計を万引きしようとするが、

薔薇の花を飛ばしてそれを邪魔したのが、マリであった。
ダイスケは脱兎のごとく逃げ出すが、ダイスケの落とした時計を拾い上げたところに店主が戻ってきて、こともあろうにマリを泥棒呼ばわりする。
マリ、その時計を売って欲しいがお金がないので、その分だけ働かせて欲しいと頼む。
店主「何か事情がありそうだな、いいでしょう、あなたは時計の修理の心得があるんですね」
マリ「はい、少しばかり」
店主がそれを受け入れるのはともかく、マリが何も言ってないのに技術者だと思い込むのは不自然な気がする。
マリの容姿を見たら、普通は客引きをしてもらうおうと考えると思うんだけどね。
さらに、

店主「ここにある時計、全部直して下さったら、この時計、タダで差し上げます」
マリ「ありがとうございます」
店主が出した条件と言うのが、
「お前には時計屋のオヤジとしてのプライドがないんか?」とツッコミたくなるようなものだったのも解せない話である。
そんなもん自分で直せっ!!
ともあれ、店主が奥に引っ込んでいる間に、マリはビジンダーに変身して、具体的にどうやったのか不明だが、ひとつ残らず時計を直すと、あの腕時計を持って姿を消す。
やがて店主が出て来て、てっきりマリが腕時計を持ち逃げしたのだと憤るが、
店主「あんな可愛い顔をしながら私を騙すなんて……直ってる、これも、これも……全部あの子が修理をしたんだ!!」
約束どおり時計が全て直っているのに気付き、躍り上がって喜ぶのだった。
マリは公園の池の前に佇んでいたダイスケのところへ行くが、

ダイスケ「ごめんなさい、許して、もうしないよ、絶対にしないよ、ほんとだよ。僕が悪かったよ、謝るよ。だから警察には連れて行かないで!!」
マリの顔を見るなり、泣きながら、マシンガンのように反省と謝罪の言葉をまくしたてる。

マリ「違うのよ、私ね、ダイスケ君にプレゼントがあるの、はい……」
マリ、にこやかに笑いかけると、あの腕時計を差し出す。
ダイスケ「……」
マリ「遠慮しなくてもいいのよ。でも、今ダイスケ君が言った言葉、忘れないでね」
ダイスケ「うん、もう二度としません」
早速、もらったばかりの腕時計を友人たちに見せびらかしてご満悦のダイスケだったが、そこで鳩時計から電波が発射され、ダイスケも含めた全員で乱闘を始める。

ビッグシャドウ「実に愉快だ、はっはっはっ」
ザダム「セコンドサイクル作戦は既にA地区からG地区まで完了です。次はH地区」
ビッグシャドウ「いやもう少し見ていよう、この子供たちのうち何人死ぬか、はっはっはっはっ……」
その様子をモニターで見て、世にも嬉しそうに笑うビッグシャドウ。
古今東西の「悪の組織」の首領で、ビッグシャドウほど楽しそうに悪事を働く人っていないよね。
ほとんど、世界征服よりその過程で起きる人間の不幸を楽しむことが目的になっているようだが、通常の「悪の組織」があくまで世界征服と言う大義を第一にして、それを達成するための手段を付随的なものとして捉えるのに対し、ビッグシャドウがその建前を自らの態度によって崩してしまっているのが、管理人が、悪の首領(の描き方)として実に画期的だと思う由縁である。
CM後、なおも乱闘を続けていた子供たちのところへマリが飛び込み、子供たちの腕時計を外すと子供たちは憑き物が落ちたように落ち着きを取り戻す。
しかし、なんでマリは腕時計が発狂電波の受信装置になっていることを知っていたのだろう?
ところが、

寿子「うちの子になにをする気なの?」
マリ「いえ、私は……」
そのマリの横っ面をいきなり引っ叩いたのが、何処から湧いたのか、子供たちの母親たちであった。
で、その急先鋒の母親を演じているのが八百原寿子さんなのである!!
さすがに若い!!
寿子「お黙んなさい、この目でちゃんと見てました、あなたはこの子達をこんなひどい目にあわせてその上、時計まで盗もうなんて」
時計店の時と同じような展開になるのはいささか芸がないが、マリ、子供たちへの暴行と、窃盗の濡れ衣を着せられてしまう。
ダイスケが必死にマリを弁護するが、ダイスケも暴れている間の記憶が抜け落ちているので、マリの無罪を証明することができない。
いぢわるなビッグシャドウは、このタイミングで激痛回路をオンにして、さらにマリを苦しめようとする。
ビッグシャドウ「子供たちも母親もマリと一緒に木っ端微塵だ」
ザダム「激痛回路スイッチオン!!」
たちまち激しい胸の痛みを覚え、苦しそうにその場に座り込むマリであったが、

寿子「おやめなさいな、そんなお芝居」
母親「そんな手で騙されるもんですか」
母親たちはそれをマリの芝居だと考え、気遣うどころかせせら笑うばかりであった。
前々から思ってたけど、ごく普通の市民の冷酷さを描き出すことにかけては、長坂さんの右に出るものはあんまりいないよね。
ダイスケ「違う、この人はそんな人じゃない」
マリ「お願い、ボタンを外して」
ダイスケだけはマリのことを信じて庇ってくれるが、苦しさのあまり、マリは彼らを皆殺しにしかねない危険なお願いをする。
何度も言うようだが、なんで自分で外さないのだろう?
ま、それはともかく、

ビッグシャドウ「さあ、坊主、そのボタンを外してやれぇ!!」
ザダム「三つ目のボタンを外した時、マリの体内に組み込んだ核爆弾が大爆発を起こすのだ」
モニターで見物しながら、ダイスケに向かってけしかけるときのビッグシャドウの嬉しそうな顔と言ったら……なんとなく、運動会で自分の息子の活躍を見守っている父親のような趣である。

マリ「うっ、あっ」
で、やむなくダイスケがみんなが見てる前で大人の女性の……それも志穂美悦子さんの服を脱がすという、極めて得難い経験をすることになる。
ちゃんと白いブラまで見えているのが、実にエロティックなのである!!
だが、あと一歩のところでイチローが駆けつけたため、惨事は免れ、ビッグシャドウは全力で悔しがる。
ついで、ハカイダーがシャドウマンたちを引き連れて参上し、乱戦となる。

いつもながらのパンチラキックが冴え渡るマリ。

特に、青い見せパンの下から微かに覗く白い生パンツのいやらしさよ!!
きわめつけは、

マリ「あっ!!」

ハカイダーに殴り飛ばされて、

派手に倒れるまで、常にパンツが見え続けているという奇跡のような悩殺ショット。
くどいようだが、ほんと、見せパンじゃなくて生パンツで勝負してくれていたら、特撮史に燦然と輝く名シーンになっていたであろうに……口惜しや。

ハカイダー「ふふふ、馬鹿め、そんな奴らの盾になって死ぬつもりか、ビジンダー」
寿子「あなたは私たちのために?」
ダイスケ「逃げて、マリさん」
逃げようと思えば逃げられるのに、主婦や子供たちを庇って動こうとしないマリをハカイダーが嘲笑うが、これによって母親たちの誤解がやっと解ける。
マリ「いいんです、私は人の命を救うために死ぬのなら……」
と、ここで漸くイチローがシャドウマンたちを蹴散らし、01になって飛び込んでくる。
それでもハカイダーショットを数発体に受けるが、マリは大してダメージを負った様子もない。
ハカイダーショットさえ利かないマリの強靭さを称えるべきか、マリにすらダメージを与えられないハカイダーショットの零落ぶりを悲しむべきか……
結局ハカイダーは01によって撃退される。
イチロー「マリさん、大丈夫か」
マリ「ええ、なんともありません」 嗚呼、ハカイダーショットの栄光は何処に?
イチロー「マリさん、僕の考えでは今度の一連の乱闘事件は恐らくシャドウの仕業に間違いないんだ。多分、腕時計から発生する、あるセコンドサイクルが人間の腕の血液に作用し凶暴な闘争本能を起こすんだよ」
マリ「私もそう思います。ただ腕時計へ中継されるセコンドサイクル電波が何処から発信されているのか……」
二人があれこれ話していると、例によってミサオとアキラがやってきて、
ミサオ「ああ、またラブシーンやってる」
遠目には、いかにも親密な恋人同士のように見える二人の姿に落胆するミサオであった。

ミサオ「アキラ、私、そんなに女として魅力ないかしら」
アキラ「だいじょうぶだよ、がんばりゃブタでも木に登る、努力だよ」
ミサオ「ありがとう」
アキラに励まされて笑顔になるミサオであったが、
ミサオ「ブタとは何だよ、この野郎!!」
アキラ「あいて!!」
ブタと同列に扱われたことに気付いてその頭をはたくのだった。
しかし、「ブタも木に登る」ってフレーズ、てっきり「タイムボカン」で生まれたのかと思っていたが、「タイムボカン」が始まるのはこの翌年なので、それ以前からあったんだなぁとちょっと驚いてしまった。
イチローがマリと別れてダブルマシーンでこちらに向かって走り出したのを見て、

ミサオ「アキラ、こんなもんで良い?」
ミサオが、ミロのビーナスよろしく、しなを作って道端に立ち、イチローにアピールするが、

それどころではないイチローは、一瞥もくれずに走り去ってしまうのだった。
「01」でも、屈指の爆笑シーンである。
目をつぶっているので、気付かずに同じポーズで立ち続けているミサオに、
アキラ「ミサオ姉ちゃん、もう行っちゃったよ」
ミサオ「えっ? ああーっ」
がっくりして、思わずその場に崩れ落ちるミサオであった。
イチローは、鳩時計から出ている発狂電波を頼りに遂にその場所を突き止める。
イチローが鳩時計に攻撃を加えると、たちまち鳩のようなロボットの姿に変わる。

キチガイバト「俺の名はキチガイバト」
イチロー「とうとう正体をあらわしたな、キチガイバト、セコンドサイクル電波を出していたのがお前だってことは分かっていたんだ」
と、イチローは言うのだが、たった今この場所を突き止めたのだから、最初から分かっていた筈がなく、イチローの発言はただのハッタリである。
キチガイバトが冒頭の爆発で本物の鳩時計を破壊し、代わりに自分が鳩時計に化けていたのは言うまでもない。
……にしても、神を恐れぬとんでもないネーミングである。
つーか、これでは、怪人本人が狂ってるみたいではないか。
キチガイバト「だが俺にはまだやることがある。クルックルーッ!!」
イチロー「しまった」
だが、キチガイの割りにキチガイバトは冷静で、イチローに無謀な戦いを挑むことはせず、爆発を起こしてその隙に退却する。
ビッグシャドウ、悪党の癖に淡白な性格らしく、イチローに見破れたと言うだけであっさりセコンドサイクル作戦を放棄し、代わりに、キチガイバトのセコンドサイクル電波をすべてビジンダーに浴びせ、強制的に核爆発を起こさせるという、これまた恐ろしい作戦を開始する。
一方、何も知らないマリはひとりで林の中を散策し、池の水に自分の姿を映して物思いに耽っていたが、

マリ「チェンジ」

マリ「ビジンダー!!」
唐突に、変身ポーズを決めてビジンダーに変身する。
いやぁ、可愛いなぁ……
考えたら、同時期に、「V3」も放送されてるんだよね。
つまり、小野ひずるさんと志穂美悦子さんと言う、70年代の特撮クイーンによる美の競演が行われていた訳である。
いやいや、「レッドバロン」もやってたから、これに牧れい子さんも加わっていた訳で……
特撮オタク的には、まさに夢のような時代だったんである!!
ビジンダー「私はシャドウで作られたくせに、不完全な良心回路を持っている中途半端なロボット、ああ、私も早く01のように強く正しい人造人間になりたい、そのためにはどうしたらいいのは?」
それはともかく、ビジンダー、水面に映った自分の姿を見詰めながら、率直に自分の願いと苦悩を吐露する。
と、背後の雑木林の中にキチガイバトがあらわれ、
キチガイバト「クルックルーッ、いたな、ビジンダー、ここは貴様にふさわしい死に場所かも知れん。くたばれ、ビジンダー、キチガイバトのセコンドサイクル電波を受けて死ぬが良い。
俺の電波は目にも見えず、耳にも聞こえず、このメーターのメモリが0になるとき、お前は何も知らぬ間に爆死するのだぁーっ!!」
ビジンダーも知らぬうちにありったけのセコンドサイクルを叩きつける。
ま、電波って、たいてい見えないし、聞こえないんですけどね……
あと、なんでここが「ふさわしい場所」なのかも、よく分からないのである。
ただ、ビジンダーが核爆発を起こしたら、当然キチガイバトも巻き添えを食って死んでしまう訳で、自らの命を懸けた恐るべき作戦であったと言えよう。
今更だけど、「悪の組織」の駄目なところは、その週に登場した怪人を、食べ切りサイズのおでんパックのように、必ず使い切ろうとすることではあるまいか。
作戦の最中に01とバトルとなり、それで倒される場合は仕方ないとしても、今回のように、キチガイバトを温存できる場合は、一旦キチガイバトを戦列から外しておけば、またほとぼりが醒めた頃にセコンドサイクル作戦を行うことが出来るのだから……
ビジンダーの核爆発作戦にしても、何も今やらねばならない理由は何処にもないわけで、また別の作戦を行う際に、伏兵としてキチガイバトを参戦させ、ビジンダーを爆発させることだって出来る訳で、あれやこれや考えると、ビッグシャドウが、無理やりに自軍の戦力をすり減らそうとしているようにしか見えないのである。
勿論、以上の考察は、番組サイドの事情を無視した上での戯言なのだが。
あと、ビジンダーの体内の爆弾が核爆発と言うのも、いささかやり過ぎだった気もする。
何故なら、いくらフィクションとは言え、こんな場所で核爆発が起きるなんてことがある筈がないと、見てる方もうすうす分かっているので、いくらビジンダーが起爆しそうな状況に追い込まれても、どうせ何か邪魔が入って阻止されることが読めてしまい、スリリングなようでいて、実は全然スリリングではないのである。
これが、ビジンダーだけが爆死すると言う程度の威力なら、ひょっとしたらほんとに爆発するんじゃないかと言うことで、ハラハラドキドキできるのだが。
で、当然、今回もギリギリでイチローのペットの音が聞こえてきて送信を妨害する。
この後、01がキチガイバトをサクッと倒して事件は解決する。
ラスト、池の前に佇んでいるマリのところへダイスケがやってくる。

ダイスケ「マリさん、これ、返すよ。僕、もう要らないんだ、これからは気にしないでいられる強い子になる、人がどんなものを持っていたって……ありがとう、マリさん」
マリ「……」
ダイスケ「僕、僕もビジンダーみたいな立派な人間になる」
ダイスケはあの時計をマリに返し、言いたいことを言うと、さっさと帰ってしまう。
まあ、ちびっ子たちのお母さんは大喜びの、大変模範的な態度であったが、ダイスケがそんな心境に辿り着くようなシーンもないのに、ひとりで「悟り」を開いてしまうのが、めちゃくちゃ唐突で、いまひとつ感動できないんだよね。
言ってみれば、熱血教師に説教される前に不良生徒が勝手に自分で反省して更生しちゃう学園ドラマみたいで……
あと、ダイスケ、ビジンダーの姿は見てないと思うんですが……
この場合は、自分の身を犠牲にしてダイスケたちを守ろうとしたマリ本人の名前を出すべきではなかったかと。

マリ「私みたいな立派な人間?」
ともあれ、ダイスケの残した言葉は、マリにとっては最高に嬉しい賛辞であった。
以上、色々と不満はあるが、お楽しみ要素がぎっしり詰まった文句なしの力作であった。
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