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「ウルトラマンレオ」 第39話「レオ兄弟 ウルトラ兄弟 勝利の時」(リテイク版) 前編



 第39話「レオ兄弟 ウルトラ兄弟 勝利の時」(1975年1月3日)

 前回の続きから、ウルトラの星からウルトラキーを盗んだ咎でウルトラ兄弟から目の敵にされている弟アストラを、必死に庇っているレオ。

 
 そんな中、ウルトラ兄弟(ゾフィー除く)の合体ビーム攻撃をアストラの代わりに浴びて悶絶するが、アストラはそんな兄の献身に対し、

 
 アストラ「兄さん、邪魔」

 と言わんばかりに冷たく突き放す。

 その上で、

 
 アストラ「レオ兄さーんっ!!」
 レオ「お前なぁ……」

 白々しく熱血風に叫んだので、さすがに我慢強いレオもキレそうになるが、嘘である。

 ダン「レオ!!」

 一方、ゾフィーたちはゾフィーたちで、

 
 ゾフィー「レオ、レオ、しっかりしろ!!」
 レオ「お前らなぁ……」

 自分で撃っといて良く言うぜと、再びキレそうになったレオであったが、嘘である。

 まあ、キレそうにはなっていたかもしれないが……

 と、いつの間にか、アストラがウルトラキーを銃のように持って、その銃口をこちらに向けているではないか。

 ダン「アストラ、何をするんだ?」

 星ひとつ破壊する威力を持つと言われるウルトラキーの怖さをその目で知っているダンは戦慄するが、既に二度もウルトラ念力を使ってしまったあとなので、どうすることも出来ない。

 ダン「やめろ、アストラ、馬鹿な真似はするな!!」

 
 アストラ「ふふふふふふ、はっはっはっはっはっ……」

 ダンの制止の声も無視して、不意に、悪人っぽく笑い出すアストラ。

 その声も、さっきとは明らかに別人のものとなっている。

 ウルトラ兄弟全滅の危機であったが、

 
 その時、天から一筋の雷光が走ったかと思うと、

 アストラ「うわっ!!」

 まさに神罰のごとく、アストラの構えるウルトラキーを直撃し、激しい火花が散る。

 ウルトラキーはもろくも真っ二つに折れ、ダンの目の前に落ちてきて地面に突き刺さる。

 ダン「はっ、ウルトラマンキング」

 ついで、空から伝説の戦士・ウルトラマンキングが舞い降りる。

 ゾフィー「キング!!」

 それを見た途端、ゾフィーだけが猛然とキングに向かって走り出し、

 
 まるで街で芸能人を見付けたおばちゃんのように、臆面もなくウルトラマンキングに握手を求めるのだった。

 しかし、アメリカ人じゃないんだから、こんな場合に真っ先にそんなことするかなぁ?

 あと、ゾフィーとそれ以外のウルトラ兄弟たちの反応の落差が顕著で、ウルトラマンたち、何かキングに遺恨でもあるのかと余計な勘繰りをしてしまう。

 ゾフィー「何故ウルトラキーを?」
 キング「キーなど問題ではない」

 いや、大問題だろ!!

 なに、さらっと流してるんだよ。

 はっきり言って、ウルトラマンキングがウルトラキーじゃなくて、アストラに雷撃を与えていれば、それで事件は解決していたような気がするのだが。

 キング「お前たちは愚かしくもウルトラ兄弟の7番目の弟になるやも知れぬ、レオを殺すところだったではないか、お前たちの目にはその男がアストラに見えるのか?」

 キングの言葉に初めて気付いたように、改めてアストラの姿を見遣るダン。

 そう、迂闊と言えば迂闊だが、ダンたちは、今までアストラが本物かどうかと言うことを一瞬たりとも疑っていなかったのである。

 最初にウルトラタワーを倒したのが暗黒星人ババルウだと分かっていたのだから、肝心のババルウの姿が見えないことに不審を抱くべきだったのである。

 
 ともあれ、キングの正体暴露ビームを浴びると、アストラの姿が一瞬でババルウの姿に変わる。

 ババルウ星人、多勢に無勢とばかりに逃げ出し、ウルトラ兄弟たちもダッシュで追いかけようとするが(註・だから、飛べよ……)、キングが鋭くそれを止める。

 キング「待て、ババルウ星人などいつでも倒せる、それよりも今は一刻を争う大切な時だ、見よ、我らが故郷ウルトラの星が地球に迫っている。このままでは二つの星はぶつかり宇宙の藻屑となってしまう。お前たち兄弟は力を合わせてウルトラの星と地球を救わねばならぬ、早く行け」
 ゾフィー「はいっ」

 キングの命令に、とりあえず返事をして空に向かって飛び立つゾフィーたちであったが、途中で、

 ウルトラマン「ところで、ワシら何処向かってるの?」
 ゾフィー「さあ?」

 首を傾げるウルトラ兄弟たちであったが、嘘である。

 ウルトラ兄弟の寸劇の間にも、ウルトラの星は着々と地球との距離を縮め、世界各地でありとあらゆる災害が起き、甚大な被害が発生していた。

 と言っても、ほとんどバンクフィルムなので、スタッフの懐にも優しいカタストロフィーであった。

 
 松木「佐藤隊員、ほんの微かですけど変な電波が北極星の方角から出ています」
 白土「ほっとけい、宇宙には色んな電波が飛び交ってるんだ、その電波が我々のピンチを助けてくれるわけがないんだっ、くそおっ」

 MACステーションで、松木隊員の報告をヤケクソになったように怒鳴り返す白土隊員であったが、その電波こそ彼らにとっての救世主であったことが後に判明する。

 それにしても、やっとMAC隊員の顔と名前が一致して、多少は親しみも湧いて来たと思ったら、次週で皆殺しにされちゃうんだから、世の中は無情である。

 同じく、来週殺される運命の百子さん、重傷を負ったゲンのそばに付きっ切りで看病をしていた。

 
 百子「オオトリさん」
 ダン「もうすぐ地球が星とぶつかるかもしれない、みんな大騒ぎしているのにあなたはこんなに冷静だ」
 百子「地球が壊れてしまうのなら何をしていても同じことです」

 ダンの賞賛するような言葉に淡々と応じると、

 百子「だったら……」
 ゲン「アストラ」
 百子「……私はオオトリさんのところにいてあげたいんです」

 最後の最後で百子さんの台詞を邪魔してしまう、ほんっと、しょうがねえ奴だなぁ。

 などとやってると、MACステーションにいる高倉長官から連絡が入る。

 
 高倉「接近しつつある星の処理が決まった、UN105X爆弾を発射することになったぞ」
 ダン「えっ、UN105X爆弾?」

 いささかマンネリ気味の防衛隊の対策を聞いて、

 
 ダン(そんなことをしたら、ウルトラの星と言えど粉々だ……)

 暗い眼差しを空に向けるダンであった。

 え、いや、地球と言うか、MACって、ウルトラの星を破壊できるほどの爆弾を保有してるの?

 それって、ウルトラキーの威力より凄いってことじゃないの?

 MAC、強いんだか弱いんだか……

 ちなみにこの後、ダンがウルトラサインを受けて、ウルトラの星の軌道コントロールシステムがまだ回復しないことを告げられ、ウルトラマンたちがウルトラの星で復旧作業をしていることが分かるが、肝心のウルトラキーもなしに復旧が出来るわけがないのだから、ウルトラ兄弟たちが揃いも揃っておバカに見えてしまう。

 後にレオ兄弟がやったように、壊れたウルトラキーを直してガチャンと差し込めば良いのに……

 それはさておき、本部に戻ったダンの前で、高倉はテキパキと話を進め、明日の正午にミサイルを発射すると決めてしまう。

 あの星はウルトラの星ではないかと言う隊員の疑義にも、高倉はそうとは断定できないし、仮にそうだとしても撃つしかないと取り合わない。

 高倉「君たちは明日の発射に備え、今から十分休養をとってくれ」
 隊員たち「はいっ」

 いや、休養なんかとってる場合じゃないと思うんですが……

 ダン「待ってください!!」

 ここで、押し黙っていダンが思わず叫んで高倉を呼び止める。

 
 高倉と一緒に振り向く隊員たち。

 ああ、この松木隊員のミニスカスタイルも、ろくにその威力を発揮できないまま終わってしまったなぁ。

 ダン「発射を中止することは出来ませんか」
 高倉「モロボシ君、君ともあろう者がなんということを言うんだ?」
 ダン「もしあの星が本当にウルトラの星だったらどうするんですか?」
 高倉「モロボシ君!!」
 梶田「隊長」
 ダン「ウルトラ兄弟は今まで我々の故郷である地球のピンチを何度となく命をかけて救ってくれたんです。そんな命の恩人に私は弓を引くような真似はできません」

 
 高倉「君にはあの星が、何故ウルトラの星だと思えるのかね?」
 ダン「それは……」

 核心を突かれて口篭るが、

 ダン「しかし長官にはそうでないと言う確信がおありですか?」

 同じ論法で反撃する。

 まあ、これが通常時であれば、望遠鏡でウルトラの星を観察すれば、地表でウルトラ兄弟がうじゃうじゃ蠢いているのが見えてすぐウルトラの星だと判明しただろうが、天変地異の真っ最中ではそんな余裕もなかったのだろう。

 高倉「君の気持ちは分かる、モロボシ君、君個人の意見ではどうにもならんのだよ」
 ダン「……」
 高倉「私だってあの星がウルトラの星でないことを祈ってるんだ」

 結局、ダンの抗議も、高倉長官の紋切り型の理屈でねじ伏せられる。

 夜が明け、遂にウルトラの星の激突が予定されている日がやってくる。

 
 百子「あっ、ああーっ!!」

 徹夜でゲンを看病してゲンの部屋に泊まり込んだ百子さん、一際大きな地震に襲われ、生きた心地がしない。

 せめて最後ぐらい、もっと楽しいシーンを演じさせて欲しかったな、丘野さんには……

 次回も一応出演してるけど、そっちではショッピングを楽しむ余裕もないまま、ぺっちゃんこに潰されちゃうからね。

 
 丘野「あっ、ああっ!!」

 室内のありとあらゆるものが激しく揺れ動き、宙に舞い、自分目掛けて倒れかかってくるような、悪夢のような状況であったが、百子はよろめきつつも、眠っているゲンの上に覆い被さるようにして、自分の体でゲンを守ろうとする。

 ああ、ワシも、丘野さんの胸の感触を味わいたかった……

 この非常時にぐーすか寝ていたゲン、ここでやっと目を開く。

 
 百子「オオトリさん!!」

 バッと上半身を起こすが、まだ夢を見ているような眼差しで周囲を見回し、

 
 ゲン「ここは、ここは何処だ?」
 百子「あなたのお部屋よ」
 ゲン「どうして僕がここに?」
 百子「隊長さんがあなたをここへつれてきてくださったのよ」
 ゲン「隊長が? で、隊長は今何処に?」
 百子「お帰りになったわ、地球に衝突する星にUN爆弾を発射するんですって」
 ゲン「UN爆弾?」
 百子「ええ、今日のお昼に爆弾を発射するのよ」
 ゲン「そんな、そんなバカな」

 百子さんに噛んで含めるように説明されて、やっと状況を把握したゲンは、

 
 百子「オオトリさん、無理しちゃダメ!!」
 ゲン「そんなバカなことが許されて堪るモンか!!」

 怪我を押して、百子が止めるのも聞かずに出て行ってしまう。

 
 百子「オオトリさん!!」

 悲しいことに、劇中では、これがゲンと百子の今生の別れとなってしまう。

 しかも、最後の絡みだと言うのに、会話の中身はひたすら実務的な内容で、ゲンにいたっては百子に「ありがとう」の一言もないというのが寂しすぎる。

 これであとは来週の死を待つばかりとは、ゲンじゃないけど、

 「そんなバカなことが許されて堪るモンか!!」

 と、天に向かって叫びたくなる管理人であった。

 それでもまだ、百子さんは(38~39話に)出番があるから良いけど、同じくデスノートに名前の書かれているカオルと猛にいたっては、出番すらないんだからね。

 ま、ウルトラ兄弟の客演とか、高倉長官のギャラとか、スペクタクルシーンとか、予算的に厳しくて出演者を最低限度に絞ったせいであろうが、納得できんなぁ。

 誰だって、高倉長官のでかい顔より、百子さんとカオルたちが戯れているシーンを見たかった筈である。

 後編に続く。
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コメント

というか面識ある新マンは信じてやれよ

しっかしこの回ウルトラ兄弟良いとこ無えなあ、せめてウルトラの星の衝突を1時間遅らせる位の事はやらしときゃいいのに
この回も含めてタロウが出る事は無かったが、前作主人公をこういう役回りにしなかったのは制作陣の最後の良心だったんだろうか

No title

>と、いつの間にか、アストラがウルトラキーを銃のように持って、その銃口をこちらに向けているではないか。

ミラーマンでピンチのシーンに流れた曲が流用されています。アクマニヤ星人が怪奇隕石の姿から正体を晒す際にも使用されたので、アストラ登場編の曲として記憶していました。2006年の年末にミラーマンのDVDを見て流用元を知りました。

冒頭のあらすじ解説のBGMもミラーマンの曲でミラーマン後期の美人ゲストとして人気のリサが消滅した直後に使用された曲です。本話もヒロインと主人公が直接接する最後の話となってしまったことを考えるとすごい選曲と思います。

>MACって、ウルトラの星を破壊できるほどの爆弾を保有してるの?

まさしく、今回も当事者であるダンの言う「血を吐きながら続ける悲しいマラソン」を人類が続けてきた結果です(;´Д`)

そりゃないよ

自分達で光線を放っておいて“レオしっかりしろ❗️”はないですよね!(◎_◎;)アストラに変装したババウル星人にしてやられましたね😅

Re: というか面識ある新マンは信じてやれよ

> しっかしこの回ウルトラ兄弟良いとこ無えなあ、せめてウルトラの星の衝突を1時間遅らせる位の事はやらしときゃいいのに

いてもいなくても同じでしたね。

> この回も含めてタロウが出る事は無かったが、前作主人公をこういう役回りにしなかったのは制作陣の最後の良心だったんだろうか

タロウは最終回でバッジを返して普通の青年になってたから、あえて出さなかったんじゃないですか。

Re: No title

> ミラーマンでピンチのシーンに流れた曲が流用されています。アクマニヤ星人が怪奇隕石の姿から正体を晒す際にも使用されたので、アストラ登場編の曲として記憶していました。2006年の年末にミラーマンのDVDを見て流用元を知りました。

そうだったんですか。全然分かりませんでした。

> 冒頭のあらすじ解説のBGMもミラーマンの曲でミラーマン後期の美人ゲストとして人気のリサが消滅した直後に使用された曲です。本話もヒロインと主人公が直接接する最後の話となってしまったことを考えるとすごい選曲と思います。

うーむ、深いですねえ。

Re: >MACって、ウルトラの星を破壊できるほどの爆弾を保有してるの?

全然進歩してないですよね。

Re: そりゃないよ

まあ、あくまでアストラを狙ったものですからね。

レオのイベント編

35年前に録画してイベント編については、何回も見直した記憶がよみがえります。
この前後編では外れだった「真紅の若獅子」でバトルミュージック好きを自覚しました。
当時はミラーマンをダイジェストでしか見てなかったので流用曲に関する知識がありませんでした。ゲスト出演者の知識もなかったので今ほど楽しめなかったですね。

>臆面もなくウルトラマンキングに握手を求めるのだった。

ウルトラマンも「年功序列」かよ・・・と悲しくなりますね。
「神秘性」云々はともかくとして、ウルトラファミリーってのは僕は好きじゃない。
宇宙人なんだから、地球人と同じ価値観を押し付けるなっつうの!

Re: レオのイベント編

このブログ、音楽についてはほとんど書いてないのがお恥ずかしいです。

Re: >臆面もなくウルトラマンキングに握手を求めるのだった。

自分もぜんぶ家族にしちゃうのは嫌いですね。

仮面ライダーと違って超越的な存在なんだから、客演自体、やらないほうが良かったかな、と。

イベント編に力を入れすぎる私

>このブログ、音楽についてはほとんど書いてないのがお恥ずかしいです。

私がイベント編になると無駄に力を入れすぎるのです。

YouTubeでレオのイベント編が配信されるとシンプルに「真紅の若獅子はいいねとか燃える曲だよね。」というコメントが私が語るまでもなく付いてきます。

Re: イベント編に力を入れすぎる私

返信ありがとうございます。

曲名を覚える気がないのが駄目なんでしょうね。

音盤ないと厳しい

サントラとボーカルアルバムが手元にないと曲名を覚えるのは厳しいのでそれ自体は気にしなくて良いです。サントラを買っても解説を読み込めていない作品が最近は多いのが悩みの一つです。
V3とレオに関しては録画を繰り返し見て曲を覚えるという作業を他の作品より時間をかけているのでコメントにも必然的に力が入ります。
特にV3に関しては92年のセレクション再放送依頼30年かけて再放送や配信を断続的にチェックしています。

Re: 音盤ないと厳しい

> 特にV3に関しては92年のセレクション再放送依頼30年かけて再放送や配信を断続的にチェックしています。

頭が下がります。

V3はレビューする時以外で見ることはほとんどないですね。

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