続きです。 UN爆弾の発射時刻まで残り2時間と迫った中、ダンは良い手立ても浮かばず、焦燥感に苛まれながらMACステーションに残っていたが、そのうち、何処からか奇妙な電波音が継続的に聞こえてくることに気付く。
最初は別に気にしていなかったが、やがて、その電波に何か意味があることに気付き、

慌ててヘッドフォンを掴み、その電波音に耳を澄ましていたが、
ダン「アストラ!!」
ダンの驚き顔にあわせて、

ナレ「そうだ、そうだったんだ、本物のアストラはババルウ星人に氷漬けにされてこんなところにいたんだ、氷の塊が太陽に接近したため、アストラは元気を取り戻し、電波を発信していたんだ」
前回から折に触れて言及されていた謎の氷解の正体が、ナレーションによって明かされる。
氷の中にいたのは怪獣ではなく、本物のアストラだったのだ。
ダン「やっぱりアストラは……」
と、そこへゲンが、血相変えて怒鳴り込んでくる。

ゲン「隊長、あなたは自分の手でウルトラの国を壊そうというんですか?」
ダン「ゲン?」
ゲン「あなたはウルトラ兄弟を裏切ろうと言うんですか?」 ダン「……」
前回、二度もウルトラ念力の邪魔をした上、ウルトラ兄弟とどつきあってた奴に言われてもなぁ……と思うダンであったが、嘘である。
第一、ゲンはアストラが偽者だったと知らないのだから、兄としてアストラの背信行為に申し訳なさを感じるのが先ではあるまいか。
ダン「私は地球を守るMACの隊長なんだ」
ゲン「しかしあなたはウルトラセブンだ」
ダン「分かってくれ、俺は最早セブンではない」
ゲン「アストラが、あんなバカなことをしなければ……」
ダン「あれはアストラではないっ、ババルウ星人だっ」
ダンの言葉が稲妻のように、ゲンの脳天を貫く。
ダン「本物のアストラはここだ」
ダン、そう言ってヘッドフォンをゲンに差し出す。
兄であるゲンには、それが弟のコールサイン(?)であることはすぐ分かった。
ゲン「アストラ、アストラ、アストラーっ!!」 アストラが無実&無事だと知って、思わず絶叫するゲン。
しっかし、正月の三日から、こんな濃い顔は見たくないなぁ……
そう、考えたらこれ、新年一発目の放送なんだよね。
だと言うのに、百子さんの晴れ着姿も見られないとは……無念だ。
ゲン、外へ飛び出すと、気合を入れてレオに変身し、宇宙に向かって飛び立つ。
レオ、あっという間にアストラのところまで到達すると、全身から真っ赤な解凍ビームを放ち、アストラの体を覆っている氷を瞬時に溶かす。

アストラ「レオ兄さーんっ」
レオ「アストラ、だいじょぶかっ」
アストラ「レオ兄さんーっ!!」
レオ「……」
弟と再会を喜ぶレオであったが、本物のアストラの声が偽アストラと同じ、はねっかえるような声だったので、なんとなくムカッとするのだったが、嘘である。
ムカッとしたのは管理人である。
まあ、声が違っていたらすぐバレるから、同じ声優じゃないとダメなのは分かるが、せめて本物と偽者で、違う喋り方をして欲しかったと言うのは贅沢な願いだろうか?

さて、地球では、いよいよUN爆弾を搭載したロケットの打ち上げが迫っていた。
相変わらず素晴らしいミニチュアセットだが、そもそも、ひっきりなしに地震が起きたり、巨大台風クラスの暴風が吹いたりしている状況下で、まともにこんなものが打ち上げられるのだろうかと言う根本的な疑念がつきまとうのであった。

松木「隊長、宇宙監視所からの連絡です、レオとアストラが地球に向かっているそうです」
ダン「間違いないな?」
松木「はいっ」
危機的状況ではあったが、レオ兄弟の到来を知ったダンの顔は希望に満ちていた。
地面に突き刺さっているウルトラキーの前には等身大のババルウ星人もいて、

ババルウ「はっはっはっはっ、間もなくあの星がこの世から消えてなくなる、ふぁっはっはっはっ……」
嬉しそうに哄笑するババルウ星人であったが、ダンが後ろに立ってその肩を叩き、
ダン「いや、あんたも死ぬのでは?」 ババルウ「はうっ!!」 と言うのは嘘だが、ほんと、どうするつもりだったのだろう?
ま、卑劣で抜け目のないババルウのことだから、直前で逃げ出すつもりだったのだろう。
やがてレオとアストラが地表に降り立ち、

互いの両手を掴んで輪を作り、そこから青白い特殊なビームを放つ。
ビームがウルトラキーの残骸に照射されると、ウルトラキーはたちまち元通りになってしまう。
うーん、主人公特権とは言え、伝説の男・ウルトラマンキングにも出来なかったことをこんな簡単に成し遂げちゃうのは、いまひとつ納得できない。
ババルウ「しまった、奴らにはあんな能力があったのか」
ババルウも慌てて巨大化して、レオ兄弟とウルトラキー争奪戦を繰り広げる。
そう言えば、ウルトラマンキングが言ってたなぁ、
「ババルウ星人などいつでも倒せる(からほっとけ)」って……でも、あの時しっかりババルウを潰しておかなかったせいで、最後にこんな余計な戦いを演じなければならなくなったわけで……

レオ「早く、早くウルトラの星へ」
アストラ「兄さん!!」
レオ、ババルウ星人の左腕を取って、自分の肩の上に乗せて逆向きに折り曲げる、いわゆるショルダーアームブリーカーで痛めつけながら、ウルトラキーを持つアストラに指示する。
と、ババルウ、右腕を突き上げると、その手首から小さなブレードを出し、腕を振り回してレオに激しく切りつける。
それでもレオ、相手の腕を取って投げ飛ばし、そのタイミングでアストラがウルトラキーを抱いて飛び上がろうとするが、ババルウもさるもの、すかさず左手に付属している筒から、鎖のついたアンカーを発射し、アストラの体に巻きつけ、手繰り寄せる。
これは前回の冒頭にウルトラタワーを倒壊させた鎖分銅と同じもので、これによってウルトラタワーはババルウ星人個人の力で引き倒されたことが分かる。
……ババルウ星人、何気に凄くない?
再び地上に引き摺り戻されたアストラであったが、レオがババルウ星人の相手をしている間に、地面を這うように進み、

最後の力を振り絞ってウルトラキーを掴み取り、ウルトラの星へ向かって飛んでいく。
レオ、ババルウ星人の鎖で動きを封じられていたが、

相手の手刀を逆用して鎖を切ることに成功する。
これも、冷静に考えたら、ウルトラタワーを引き倒した鎖を断ち切っているのだから、ババルウ星人の手刀が尋常じゃない威力を備えていることになり、やっぱりババルウ星人強し!! の感は否めないのである。
ただ、残念なのは、この手の星人って、大抵は用心棒的怪獣を引き連れてくるものだが、予算の都合か、ババルウ星人が一人ぼっちと言う点である。
だから、最後の戦いも二対一のハンディキャップマッチとなり、いまひとつバトルが盛り上らない結果になっているように思う。
ともあれ、ここで形勢逆転、積もり積もった怒りを込めた、レオの怒涛のラッシュが始まる。

最後は、必殺のレオキックを浴びたババルウ、胸から火花を散らしながら仰向きに倒れ、激しい爆発とともに散るのだった。
そしてウルトラの星もウルトラキーのお陰でコントロールを取り戻し、

あわや地球に激突すると言う寸前、
ヒョイッと言う感じに軌道を微修正し、地表を掠めるようにして通り過ぎ、ギリギリのところで衝突を免れるのだった。
無論、UN爆弾の発射も見送られ、万事めでたしめでたしとなる。
もっとも、たとえ衝突しなかったとしても、二つの天体がこれだけ接近したら、確実にロッシュの限界を超え、ウルトラの星より小さい地球は潮汐分裂によって、とっくの昔に木っ端微塵に砕けてないとおかしいんだけどね。
最後のクライマックス、残念なのは、あれだけ高倉長官とダンの間で深刻な葛藤を生んでいたUN爆弾を撃つ撃たない問題が、レオ兄弟とババルウのバトルに取り紛れて、まったく触れられないまま終わってしまった点である。
彼らの戦いと並行して、何も知らないロケット打ち上げ係りの人たちの作業の様子が描かれ、刻々とタイムリミットが近付いて来る……と言う要素を加味したら、よりスリリングな終盤となっていただろうに。
ともあれ、こうして地球滅亡の危機は瀬戸際で回避され、街には平和が蘇る。
そしてウルトラの星も正常運転を開始し、ウルトラタワーもあっさり建て直されて「正義の炎」が赤々と燃えるのだった。
でも、今までげっぷが出るほどたくさんの災害シーンを映し出しておきながら、衝突が回避されたから万事OKと言うのは、さすがにご都合主義と言うものではあるまいか。
地震や噴火、津波に暴風などが世界各地で、それも一週間の長きにわたって吹き荒れたのだから、はっきり言って10年や20年では取り返せないほどの甚大な人的・物的被害が生じているのは確実で、災害が収まったからって、とても暢気に平和を謳歌していられるように状況ではなかった筈である。
それはさておき、エピローグとなるが、大変残念なことに、百子さんとゲンの再会は一切描かれず、ダンとゲンの間で、

ダン「お前たち兄弟の活躍でこの地球とウルトラの星が助かったんだ、素晴らしい君たち兄弟を俺たちの兄弟に加えたいと、
ウルトラマンキングが言ってきた」
ゲン「光栄です」
ダン「早く(アストラに)伝えてやれ」
レオ兄弟がウルトラ兄弟に吸収合併されるという、心底どうでもいい会話が交わされるのであった。
しかし、ウルトラマンキングに、他人の家族構成を変えるなんて、そんな権限あるの?
ここは、普通にウルトラの父か、ゾフィーにしとけば良かったと思うが。
ともあれ、ダンに促されたゲンは、素直にアストラの消えた宇宙に向かって大声で呼びかける。
ゲン「おーい、アストラーっ、俺たちはウルトラ兄弟になったんだぞーっ!!」 ダンと顔を見合わせて笑うゲンの嬉しそうな顔に続いて、手を振るウルトラの母と、腕を組んで頷くウルトラの父の姿が映し出され、最後に、銀河の彼方へ飛んでいくアストラを映しつつ、幕となる。
しっかし、唐突に出てくるウルトラの父母の映像、何度見ても意味不明である。
いや、この緊急時に、あんたら何処で何してたの?
フルムーン旅行?
そんないかにも取ってつけたようなビジュアルなんかより、少しでいいから百子さんとゲンのやりとりを見せて欲しかった。
次回は顔を合わす機会すらないのだから。
悔しくてならないので、

予告編に出てくる、未使用ショットを貼っておこう。
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