第30話「さようならタックル!最後の活躍!!」(1975年10月25日)
タイトルにもあるように、タックルが殉職してしまう回である。
物凄く中途半端なタイミングでの降板だが、岡田さんの都合なのかしら?
ライダーマンと違って、タックルは本当に死んでしまったらしく、岡田さんもこの約10年後に亡くなられたので、これ以来、二度と再びタックルの姿を見ることは出来なかったのである。
21世紀になってから、コラボ作品で何度か登場しているが、あんなのはタックルのうちに入らないのである!!
見たことないけど……
話が先走ってしまった。
デルザーのアジトを探す茂の姿に続いて、

ドクターケイト「やかましいっ、お前たちはもうすぐ魔王に捧げる生贄にしてやる。諦めて静かにおし、ぎぇっへへへへっ」
前回から引き続き登場のドクターケイトが、自分のアジトで、牢獄に閉じ込めた子供たちに言い聞かせている。
これだけ見るとどうってことないが、前回、ストロンガーがあれだけ苦労して子供たちを救出したのに、また子供たちが捕まっているのを見ると、バカバカしく思えてくるのである。
無論、前回のミネオたちとは別人なのだが、それにしても……
あと、前回は子供たちの清らかな血で毒を作るとか言っていたのに、ここでは全然別の目的になってるし……
つーか、魔王って誰だよ? 勝手にキャラ増やすなよ。
それはさておき、夜、茂がバイクを飛ばしていると、

塚の上に目が赤く点滅するドクロがあって、その下に四角く平たい墓標のようなものが立てかけてあった。
茂「城茂、ここに眠る……なにぃ?」
しかも周囲には、人魂が飛び交っていた。

茂「なにぃ、さてはデルザー軍団、何か企んでるな」
と、塚の向こうからスーッとドクロ少佐が立ち上がるのだが、この緊張感のなさ、ほとんどコントの1シーンである。
茂が気付かずにそのまま行っちゃってたら、それこそコントになるところだが、ドクロ少佐は無視されないために笑い声を立てているので、その心配はなかった。

ドクロ少佐「待っていたぞ、城茂」
デルザー軍団4人目の刺客は、なんとなく、マンガっぽい造型のドクロ少佐。
ただ、照明と、眼窩の奥で光るスーツアクターの目のお陰で、なかなか不気味な雰囲気を醸し出している。
茂「出たな、化け物、来い!!」
茂、ストロンガーに変身して戦うが、これはほんの挨拶代わりで、ドクロ少佐は幻術でストロンガーを翻弄して、さっさと退却する。

翌日、茂は再びあの場所にやってくる。
昨夜と明らかに周りの景色が違うことには、気付かないふりをしてあげる優しさが欲しい。
茂、塚を調べて、墓標が地下アジトに続く秘密の入り口になっているのを知ると、単身その中に潜り込む。
一方、ドクロ少佐の前にシャドウが現れる。
シャドウ「夜の散歩は面白かったかな」
ドクロ少佐「相変わらず油断も隙もならぬ男よ」
シャドウ「ふっふっふっふっ」
ドクロ少佐「鋼鉄参謀までがストロンガーにやられたと聞いてな、一度奴のツラを見たくなったんだ」
と言うのだが、散歩と言っても、アジトの入り口付近にいただけだし、そもそも茂のほうからやってきてこの場所を見付けたのだから、「ツラを見たくなった」と言う台詞は、微妙に違和感がある。
シャドウ「鋼鉄参謀は手柄を急ぎ過ぎて、ドクターケイトの恨みを買い、彼女に足を引っ張られて負けたのだ」
ドクロ少佐「魔女は執念深い、ましてケイトの毒と来てはこの俺でも寒気を感じるからな」

シャドウ「そこで相談だが、デルザー軍団きっての殺し屋である貴公がケイトに協力してくれればまずストロンガーは助かるまい。いかがかな?」
互いのドクロ型グラス(これ、欲しい)を近付けて、おもねるように打診すると、
ドクロ少佐「言われるまでもない、すでにストロンガーを誘い込む手は打ってある」 シャドウ「さすがはドクロ少佐……」
ほんとは
「僕の話、通じてるのかな?」と、内心不安になるシャドウだったが、機嫌を損ねてはいけないので、とりあえず感心して見せるのだった。
と言うのは嘘だが、微妙に会話が嚙み合ってないのは確かである。

さて、おやっさんとユリ子も、茂のカブトローを発見し、開きっぱなしの秘密の入り口からこわごわ中を覗き込む。
ユリ子「アジトへの地下道かしら」
立花「入ってみるか」
ちなみにユリ子の履いているのはスカートではなく、7分丈のワイドパンツ、今で言うスカンツのようなものである。
要するにチラの可能性ゼロの、ユメもチボーもない衣装なのだ。
最後なんだから、ミニスカ履いて欲しかった……
で、いささか面食らってしまうのだが、ドクロ少佐のアジトの中に入ったストロンガーは、

何故か、ケイトの捕まえていた子供たちの牢獄に辿り着いてしまうのだった。
どーいうこと、これ?
まさか、ドクターケイトとドクロ少佐のアジトが繋がっているとは思えないので、あの墓は、ドクロ少佐ではなくドクターケイトのアジトの入り口だったの?
しかし、あの墓碑銘や、塚の上のドクロなど、どう見てもドクロ少佐の仕業なので、それもありえないだろう。
この辺の訳の分からなさは、デヴィッド・リンチ監督の不条理映画に通じるものがあると思うが、ほんとは別に思ってない。
単に分かりにくいだけである。
それはともかく、
ライダー「エレクトロファイヤーッ!!」
前回と同じ方法で牢を破るのだが、

ライダー「しまった……」
何故か、ストロンガーはそれだけで電気エネルギーを使い果たしてしまい、鉄格子にもたれるように膝を突き、茂の姿に戻ってしまう。
しかし、鉄格子に何か特殊な仕掛けがしてあったようには見えず、ストロンガーのこの突然のガス欠は、極めて不可解である。
茂を戦闘不能にして、強引にユリ子をドクターケイトと戦わせるためとしか思えない。
と、そこへ、ドクターケイトがあらわれ、茂は子供たちと一緒に逃げるが、そこへおやっさんとユリ子が駆けつけ、いつもとは逆に、茂を子供たちと先に行かせて、ユリ子とおやっさんがドクターケイトを足止めすることになる。

ドクターケイト「げぇへえっ、おのれ、生意気な小娘が、殺してやるわ」
ユリ子「あのマントよ」
立花「杖にも気をつけろ」

ユリ子「ああっ!!」
おやっさんの忠告も空しく、顔に緑色の毒薬をぶっかけられてしまうユリ子。

ユリ子「あうっ」
ドクターケイト「ひっひひ、私の毒の恐ろしさがお分かりかい、お前の体にはもう私の毒が回り始めている。やがてはお前は死ぬのさ」
ユリ子「悪魔!!」
ここでユリ子がくるっと反転すると、一瞬で毒液が消えて綺麗な顔になっているのはどうかと思う。
まあ、女優と言うより、若い女の子に対するスタッフの気遣いだろう。
しかし、この緑の毒液、前回では服を燃やしたり、地面に穴を開けていたり、劇薬っぽい毒だったのに、まともに浴びたユリ子の顔が全く変わらないと言うのは、なんか釈然としない。
物凄い形相でドクターケイトを罵るユリ子であったが、ドクターケイトは熟女の貫禄でせせら笑い、杖でユリ子をいたぶりまわす。
ドクターケイト「暴れれば暴れるだけ毒の回りは早くなるよ、ぎっひっひっひっ」
こればっかりは実際に聞いてもらわないと伝わらないが、曽我さんの、心底から悪事を楽しんでいるような台詞回しが絶品で、なかんずく、「早くなるよ」の箇所の、人を小馬鹿にしたような小憎らしい言い方がゾクゾクするほど素晴らしい。
ドクターケイト「ほーら、毒の効き目が出てきたようねぇーっ、げっひっひっひっ」
動きが鈍くなったユリ子に迫るドクターケイトだったが、ユリ子が苦し紛れに蝋燭を掴んでドクターケイトに向けると、ドクターケイトは急に余裕をなくして飛び退る。
ドクターケイト「おやめっ!! 何をするの」

ユリ子「おじさん!!」
立花「読めた、こいつは火に弱いんだ!!」
またか……
前回の鋼鉄参謀に続いて、魔人が弱点持ちと言うのはなぁ……
つーか、鋼鉄参謀のような金属製の体を持つ怪人を除けば、誰だって火には弱いのでは?
それから、おケイさん、火に弱いんだったら、アジトの照明に蝋燭使うなよ。
ともあれ、火で威嚇している間に、二人は何とか地上へ出る。
だが、ドクターケイトたちも追ってきて、ユリ子はタックルに変身して立ち向かう。
ドクターケイト「小生意気な娘……ケイトガス!!」
タックル「あっ、体が痺れる」
前回も使ったケイトガスを浴び、ますます苦境に立たされるタックルだったが、ここで茂があらわれ、ストロンガーに変身する。
ちなみに茂の姿を見て、タックルが「ストロンガー!!」って叫んでるのは、明らかなミスだよなぁ。

タックル「ストロンガー、ドクターケイトは燃える火に弱いのよ」
ライダー「なにっ」
思わず、
「燃えない火ってあるんか?」と、屁理屈を言いそうになるストロンガーだったが、なんとか我慢する。
立花「さあ、これを使え!!」
と、おやっさんが手頃な棒っ切れを投げて寄越す。

ライダー「電気ビーム!!」
ストロンガー、左手に棒を持ち、右手から電気を流して棒に火をつけ、炎の剣とする。
ま、実際に棒に火をつけたら、すぐ手元に燃え移って
「うおっちっ!!」となると思うんだけどね。

ドクターケイト「い、やめてっ!!」
その炎の剣をぐりぐりされて、激しく動揺して恐れおののくケイトちゃん。
ま、さっきも言ったように、そんな物騒なもん近づけられたら、弱点とか関係なしに、誰だってビビるわいってことなんだけどね。

ドクターケイト「ぎぃああああーっ!!」
それでも、炎を近づけただけで、ドクターケイトの頭部から、煙と共に黒い塊がモリモリとひり出される演出で、彼女が火に弱いことを強調してはいるが。
どうでもいいが、蛇玉花火、懐かしいなぁ……
ドクターケイトは退散し、戦闘員たちもとっとと逃げ出す。

立花「逃げるか、こら、卑怯ものめ!!」
タックル「……」
戦闘員を追いかけて、緩やかな坂を駆け上ったタックルだが、そこで力尽きたように膝を突き、赤いパンツに包まれた丸いお尻をカメラに向かって突き出す。
実に生々しいエロさで、見せパンとは言え、これだけ無造作にお尻を全開にされると、逆に見てるほうが気恥ずかしくなってしまう。
タックル、そのまま倒れて斜面を転がり落ちる。
おやっさんが慌てて駆け寄り、おっぱいを触らないように留意しながら抱き起こす。

立花「だいじょぶか……こりゃいかん、大変な熱だ」
タックル「いいのよ、どうせ私は助からないんだから」
立花「何を言ってるんだ」
タックル、立ち上がると、苦しそうに息を切らしながら、
タックル「さっき、ケイトが言っていたでしょ、あたしの体にはケイトの毒が回っているのよ」
立花「タックル……」
タックル「お願い、このことは、決して茂には言わないでいてね」
立花「しかし……」
タックル「お願い」
タックルに拝み倒され、おやっさんも仕方なくその頼みを聞き入れる。
しかし、タックルが、助かる努力を一切せず、従容と死を受け入れようとしているのは、どうにも納得できない。
以前、モウセンゴケの流した毒を飲んだ人たちを、マッハの速さで血清を作って助けたこともあると言うのに、自分のことになると急に諦めが良くなるのは、不可解以外の何物でもない。
それに、茂に話していれば、ストロンガーのパワーで何とか命を長らえることも出来たのではあるまいか。
また、おやっさんが、いくらタックルに哀願されたからと言って、そのことを茂に黙っていたのも、今までどんな困難にも立ち向かい、時には、絶望的な状況に陥っても決して諦めず、悪と戦い抜いてきたおやっさんらしからぬ態度と言えよう。
ま、ぶっちゃけ、今回はどうしてもタックルに死んでもらわねばならないので、いくら不合理でもこうなるしかないんだけどね。
後編に続く。
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