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「ウルトラマンA」 第48話「ベロクロンの復讐」



 第48話「ベロクロンの復讐」(1973年3月2日)

 久しぶりの市川森一脚本である。

 冒頭、北斗がひとりでTACスペースに乗って、夢のような光に縁取られた宇宙空間を飛んでいる。

 やがて前方に、記念すべき第1話に登場したベロクロンがあらわれる。

 北斗「はっ、ベロクロンのお化け!!」

 
 いつの間にかAに変身していた北斗、そのベロクロンとどつきあうが、

 声「うらめしや、ウルトラマンAよ、たとえこの身は地獄に落ちようとも、ヤプールの恨み晴らすまでは幾度とも蘇らずにおくものか、復讐しろベロクロン、Aを地獄に引き摺りこめ、ヤプールの仲間たちが待っている地獄へ」

 どこからともなく若い女の声が聞こえてきて、Aに呪いの言葉を吐き掛ける。

 ベロクロンのミサイル攻撃を受けて苦しんでいると、女の狂ったような笑い声が響き、

 
 女「あーっははははははっ」

 ときおり、ベロクロンの顔が、唇が裂けんばかりに大笑いしている不気味な女の顔と重なる。

 ケタケタ笑っている狂女と言う、大人もビビる強烈なビジュアルだが、こういう、ちびっ子番組の則(のり)を越えた描写を容赦なくぶっこんで来るのが、市川さんの偉大なところなのである。

 やがて北斗は目を覚まし、現実の世界に引き戻される。

 無論、今のは夢だったのだ。

 
 北斗「夢か……」
 山中「TACスペースより本部へ、宇宙パトロール完了、これより帰還する」
 美川「了解」

 もっとも、TACスペースで宇宙空間を飛んでいるのは事実であったが、ひとりではなく、横に山中隊員がいて操縦桿を握っていた。

 山中「もうちょっと寝てろよ、もう少しで地球だ」
 北斗「交代しましょう、よく眠った」
 山中「いいから、いいから、お前、うなされてたぞ」
 北斗「ベロクロンの夢を見てました」

 北斗の言葉に、山中隊員も懐かしそうな目をして、

 
 山中「ミサイル超獣ベロクロンか、あいつは強敵だったからなぁ」

 
 北斗(A(俺)が倒したんだけど……)

 あたかも、激戦の末にTACが倒したような感じを匂わせる山中隊員の言い草に、心の中でそっとツッコミを入れる北斗であったが、嘘である。

 もっとも、20話の北斗の台詞が正しければ、あれから少なくとも三年以上経っている筈なので、そのあいだに山中隊員の頭の中で記憶の改竄が行われ、ほんとに自分たちがベロクロンを倒したと思い込んでいる可能性はある。

 北斗(それだけじゃない、俺は一度あのベロクロンに殺されたんだ。そして再びウルトラマンAの命を得て蘇った、俺にとっては生涯忘れることの出来ない超獣ベロクロン……)

 北斗、かつての忌まわしい記憶を呼び覚ますと、ひとりごとのように、

 北斗「ベロクロンが復讐に来たんです」
 山中「復讐に? はっはっはっはっ、見ろよ、日本は間もなく夜明けだ。明け方の夢は正夢になると言うからな。ほんとに生き返って出てくるかも知れんぞ」
 北斗「脅かさないで下さいよー」

 山中隊員の縁起でもない言葉に抗議しつつ、一緒になって大笑いする北斗であったが、まさかそれが現実になるとは、この時は、文字通り夢にも思わなかった……

 本部に戻る前から、北斗は左奥歯に疼痛を感じていた。

 
 美川「ほんと、大きな虫歯!!」

 続いて、北斗目線で、美川隊員の美しい顔が大写しにされる。

 北斗の口の中を覗き込んでいるのだ。

 北斗「今まで虫歯なんて一本もなかったんだけどなぁ」
 今野「人間だけがどうして虫歯になるんだ?」

 今野が突然そんなことをつぶやいたので、てっきり、自分が人間じゃないことに気付いたのかと思ったが、そうではなく、

 今野「俺なんか朝晩ちゃんと磨いてるのにいつの間にかやられちゃうよ」
 山中「どうだ、痛いの治ったか」
 北斗「はぁ、薬で止めてんですけど」
 吉村「薬なんかやめてちゃんと治療した方が良いぞ」

 その後、B地区パトロールに出た北斗に、竜隊から近くの歯科医で治療して来いとありがたい仰せ。

 で、たまたま、オフィス街のビルに「Q歯科医院」と言う看板を見付け、本部に連絡をしてからそのクリニックに向かうのだが、誰の意思も介在していないのに、北斗がわざわざヤプールの待ち受けている歯科医を選んだというのは、いささか偶然の度が過ぎるような気もする。

 
 それはさておき、北斗の入ったビルは、まるで都会のエアポケットのようにシーンと静まり返っていて、薄暗い廊下には、人の姿はおろか、気配さえ感じられなかった。

 だが、北斗は全く気にすることなく曲がりくねった通路を進み、やがてQ歯科医院と言うプレートのかかったドアを見付けてノックする。

 女医「どうぞ」

 
 北斗が足を踏み入れると、そこは、薄汚れたビルの中にあるとは思えない、無菌室のような真っ白な部屋で、真ん中に、ぽつんと治療用の椅子が置かれていた。

 北斗、とりあえず椅子に腰掛けてふんぞり返っていると、

 女医「歯が痛むんですか?」

 カーテンの向こうから、女の声で、物凄く当たり前のことを聞いてくる。

 北斗、ピョコンと立ち上がると、口の中に指を入れながら、

 北斗「奥歯が……歯痛止めの薬でもいただけないかと」

 
 と、カーテンを開けて入ってきたのは、ミニスカの女性歯科医と言う、今では企画系エロビデオでもお目にかかれないような、素晴らしいコスの女性だった。

 
 しかもかなりの美女!!

 北斗が思わず心の中で「よっしゃあああああっ!!」と、ガッツポーズを取ったのは言うまでもないが、それもその筈、演じるのは「プレイガール」の高毬子さんなのである!!

 今まで何度も書いてきた真理だが、特撮ドラマのゲストヒロインのキャスティングは、その作品の出来を左右しかねない重要な要素なのである。

 女医「そこにお掛けになって」
 北斗「はっ」

 北斗は元気に答えて改めて椅子に座るが、カメラの方を向いた女医の手には、バレットナイフのようなものが握られており、

 
 北斗の背後に立つと、ナイフを持った右手を振り上げたので見ているほうはヒヤッとするが、何事も起きず、単に天井の照明がついただけであった。

 ちなみに、ようく映像を見ると、女医の手は何かを掴んでいるように握られているが、ナイフはいつの間にか消えている。

 正直、この肩透かしなシーンは要らなかったように思う。

 
 女医「口を開けて」
 北斗「あ゛……」

 甘い息がかかるくらい顔を近づけると、ミニスカ女医は淡々と治療を始める。

 女医「この歯ですね? とりあえず痛みを止める薬だけ詰めておきましょう」
 北斗「お願いします」

 女医は、ガーゼに浸した青い液体を患部に塗ると、

 
 ピンセットで、円柱形の小さな金属を埋め込む。

 しかし、口の中にこんなでかいものを埋め込まれたら、異物感が尋常じゃないと思うのだが……

 北斗はさっさと椅子から立ち上がると、

 
 北斗「先生、今のは?」
 女医「痛み止めの薬を詰めて、その上をカプセルで覆っておきました。ニ、三分もすれば痛みは止まる筈です」

 さりげなく壁に飾ってある能面がめちゃくちゃ怖い。

 女医「どうぞ、もう結構ですよ」
 北斗「どうもありがとうございました」

 北斗は晴れ晴れとした顔で一礼して帰っていくが、保険証の提示とか、支払いとか、事務手続きが全部スルーされてるのはあまりにリアリティーがないなぁ。

 ま、この手の話にそう言う描写を盛り込むのは野暮の極みなのだが……

 
 女医「いいえ、どういたしまして」

 だが、振り向いた女医の不気味な顔色が、ここがただの歯科医院ではないことを示していた。

 女医の言うとおり、スッと痛みが消えたので上機嫌でハンドルを握る北斗だったが、

 北斗「どうしたんだろ、目の前がおかしい……」

 やがて、目が霞み、視界が大きく歪んでくる。

 北斗、とりあえず車を停め、外に出て空を見上げていたが、

 
 その目に、ビルの向こうに聳え立つ、ベロクロンの姿がありありと映し出される。

 北斗「ベロクロン!! 北斗より本部へ、B地区にベロクロン出現、直ちに出動願います」
 山中「ベロクロンが?」

 北斗は直ちに本部に連絡するが、TACのレーダーには何の異常も見られない。

 それもその筈、そのベロクロンは、北斗の歯に埋め込まれた幻覚装置が見せている幻に過ぎなかったのである。

 ちなみに彼らはベロクロンと呼んでいるが、正式にはベロクロン二世であり、そのスーツは初代ベロクロンではなく、37話に登場したマッハレスを改造したものらしい。

 
 北斗「逃げろ、逃げるんだーっ!!」

 北斗、ビルの屋上に上がり、何もない空間に向かって銃を撃ちながら、ビルの住民に避難するよう叫ぶが、彼らが自分自身から逃げているのだとは全く気付かない。

 北斗「うっ、ああーっ!!」

 北斗、激しい耳鳴りと頭痛を覚え、両手でヘルメットを掴んで呻くが、

 
 女「あっはははははははっ」

 その脳裏に、あの女の狂ったような笑い声が響き、

 
 さらに、能面を被った不気味な人物の姿も映し出される。

 「パンダを返して!」のスチール星人のアップと並ぶ、「A」の二大トラウマシーンである。

 機動隊「北斗隊員、北斗隊員、大人しく銃を捨てなさい」
 北斗「……」

 我に返ると、男の声が自分に呼びかけている。

 振り向けば、いつの間にか、自分の背後を機動隊が取り囲んでいるではないか。

 
 北斗「銃を捨てろだと、一体誰に向かって言ってるんだ? どうして俺と一緒にあのミサイル超獣をやっつけようとしないんだ?」
 機動隊「銃を捨てなさい」
 北斗「そうか、さては貴様らも宇宙人……」

 北斗、今度は機動隊に向かって銃を撃ちそうな気配を見せ、史上初の、機動隊に射殺されたウルトラ戦士として歴史に名をとどめそうになるが、間一髪、竜隊長が北斗の銃を撃ち落とし、北斗の命を助ける。

 北斗「隊長!!」

 
 北斗「君たちは一体誰の味方なんだ、あれが見えないのか、あのミサイル超獣が君たちには見えないのか? どうなんだ?」
 機動隊「……」

 自分を取り囲む機動隊に必死で訴え続ける北斗であったが、返って来るのは冷たい視線と沈黙だけであった。

 竜「北斗、ミサイル超獣など何処にもいないんだ」
 山中「しっかりしろ!!」
 北斗「……」

 ウルトラ戦士が、敵の策略や味方の誤解などでキチガイ扱いされるというプロットはちょくちょくあるが、こんな風に公の場で危険人物扱いされて狂態を晒すと言うのは、見ていてキツいものがある。

 ま、それでも被害者が出ていない分、新マンの「悪魔と天使の間に……」よりはマシか。

 CM後、なんとかお縄を頂戴することは免れたが、本部で大目玉を食っている北斗。

 山中「いい加減にしろ、幸いにして怪我人がなかったから良かったようなものの、もし人身事故でも起こしたら、いくらTACの隊員でも豚箱入りだぞ!!」
 北斗「申し訳ありません」
 山中「謝って済むことじゃない!!」

 「新マン」ならクビにされてもおかしくないが、竜隊長はとりあえず謹慎を命じ、その間に虫歯を根治するよう命じる。

 しかし、別に虫歯のことは持ち出さなくても良いのではないかと言う気もする。

 子供じゃないんだし、なんとなく、北斗が虫歯の痛みで正気を失って暴れていたようにも取れるからである。

 北斗は銃を返上すると、悄然と退室する。

 竜「北斗隊員の精神鑑定の報告はどうなってる」
 美川「全く正常だと言う報告です」
 竜「ベロクロンが出たと言ってたな」
 山中「宇宙パトロールの時もベロクロンの夢を見ていたと言ってました。明け方の夢は正夢になるなんて脅かしたのがいけなかったかなぁ」

 自分の余計な一言が北斗をおかしくしてしまったのではないかと、反省する山中。

 美川「やはり一種のノイローゼじゃないでしょうか」
 今野「ノイローゼにかかるようなタマじゃないよ、野郎の神経は」

 美川隊員の推測を笑い飛ばすと、

 今野「歯痛で頭にきちまったのかなぁ」

 冗談っぽくつぶやくが、それを耳にした竜は考え込む顔になり、

 竜「歯痛? ベロクロンの幻覚を見る少し前……」

 北斗がQ歯科医院に行くといっていたことを思い出し、今野に実際にその歯医者を調べてくるよう命じる。

 ほどなく、今野から報告が入るが、Q歯科医院などと言う歯科医院は存在しないと言うことだった。

 竜は北斗を呼び戻そうとするが、同じくQ歯科医院が怪しいと睨んだ北斗は、既にパンサーで現地に向かっていた。

 続いて、今度は本当にB地区にベロクロンが出現したとの知らせが入る。

 ひとりひとりの緊迫した顔が大写しになるが、

 
 無論、管理人が選んだのは、綾鷹……ではなく、美川隊員の綺麗なおめめでした。

 北斗、Q歯科医院の近くでベロクロンと遭遇するが、

 北斗「待て、これは幻覚だ、また幻覚を見てるんだ。もう騙されないぞ」

 羹に懲りて膾を吹くではないが、さっきの手痛い失態から、それも幻覚だと思い込み、不敵な笑みを浮かべてベロクロンに向かっていく。

 一方、TACは、出撃前に第1話の戦闘フィルムをチェックして、あらかじめ作戦を立てていた。

 
 竜「見ても分かるように、ベロクロンはこの背中のえら、とげ、及び口の中にまで強力なミサイルを隠して武器としている。奴の弱点はただひとつ、奴の高圧電気胃袋にミサイルを撃ち込んで自爆させることだ」
 山中「奴の胃袋にどうやってミサイルを?」
 竜「これを見ろ」

 山中の疑問に、竜は、Aがビームをベロクロンの口の中に叩き込むのを見せる。

 美川「要するに、Aにやっつけてもらうってことですね」
 竜「そうだ」

 と言うのは嘘だが、これではあんまりよく分からないのは事実である。

 つまり、ミサイルをベロクロンの口の中に撃ち、胃袋を破壊しようと言うことか?

 それがリアルとは知らず、ベロクロンの目の前まで来て挑発する北斗であったが、ベロクロンのミサイルを受けて吹っ飛ぶ。

 そこへTACの各機が飛来し、口の中に狙いを定めて集中攻撃するが、あえなく撃墜される。

 さっきの予習タイムは、一体なんだったのだろう?

 
 北斗「カプセルだ……」

 一方、吹っ飛ばされた衝撃で、北斗の歯から、例の詰め物が外れる。

 この後、Aに変身してバトルとなるが、戦いの最中、

 
 Aが関取のように両手を広げて四股を踏み出し、

 
 それに合わせて画面が9分割されるという、意味不明の演出が見られる。

 そこそこ苦戦するAだったが、最後はベロクロンの鼻に生えている二本の角をもぎ取り、それを相手の胸に突き刺すという、いささか残酷な方法で倒す。

 だが、今回はその後にもう一幕あり、ギラついた目をした北斗が再びあるビルを訪れ、まだヌケヌケと営業しているQ歯科医院の前に立つ。

 それでも一応ノックをすると、前回と同じように「どうぞ」と女の声。

 

 
 北斗が部屋に入ると、嬉しいことに、またもやミニスカ歯科医がお出迎え。

 ぶっちゃけ、今回のエピソードの最大の見所は、このミニスカ歯科医の素晴らしすぎるコスプレではないかと思う。

 女医「また痛みまして?」
 北斗「肝心なところで外れちまったんですよ。お陰で命拾いしましたがね」

 北斗、ニヤニヤ笑いながらあのカプセルを弄び、女医に向かって放り投げる。

 女医はそれを受け取って手の中に握り締めると、

 女医「それで?」
 北斗「今日はあなたの正体をはっきり見届けたいと思ってね」

 
 女医「私の正体?」

 いつの間にか、あの能面を被っていた女医に、北斗が手にした銃をいきなり発砲する。

 しかし、女医がヤプールに操られているだけのただの人間と言う可能性もあるのだから、北斗の行為はやや無分別だったのではあるまいか。

 仮面が二つに割れて落ち、その下からあらわれたのは、

 
 女ヤプール「ふっははははははっ」

 案の定、あの狂ったように笑う謎の女であった。

 うーん、この顔は最初からずーっと見させられているので、ここは、ヤプール人っぽいマスクでも被って欲しかったなぁ。

 北斗「ベロクロンそっくりの超獣を操って俺の命を狙うからにはヤプールの生き残りに違いない」
 女ヤプール「これで勝負がついたと思ったら大間違いだよ」
 北斗「いい加減に復讐などやめたらどうだ、勝ち負けなどとっくについてる」
 女ヤプール「そうだ、お前は勝った、勝ったものは生き残り、負けたものは地獄へ落ちる、しかし、これだけは覚えておくが良い、勝ったものは常に負けたものたちの恨みと怨念を背負って生き続けているのだ、それが戦って生き残っていくもののさだめだ」

 この辺の、禅問答的なやりとりはいかにも市川さんらしいが、長広舌の挙句、必死の形相で襲い掛かってきた女ヤプールが、北斗に、害虫でも駆除するように淡々と撃ち殺されるのが、あまりに救いがなくて、これまた市川さんらしい。

 北斗、小型通信機を取り出すと、

 北斗「北斗から本部へ、例のQと言う歯医者のことだけどね」
 美川「どうだった、やっぱりそんな歯医者なかったでしょ?」
 北斗「それがね……」

 北斗が言い掛けると、床に転がっていた女の死体がシャボン玉と共に消え、

 
 さらに、清潔感溢れる真新しい診察室が、

 
 何十年も放置されて来たような、ボロボロの廃墟に変わる。

 そう、全ては幻だったのである。

 ちなみにこれは同じセットで、治療室でのシーンを撮影したあと、めちゃくちゃに汚して廃墟のように見せてるんだろうなぁ。

 美川「どうしたの、あったの、なかったの?」
 北斗「あったよ……そして、消えてなくなりました」

 こうして、やや唐突に話は終わるのだが、どうせなら、まだ治ってない虫歯の痛みに、北斗が顔がしかめるシーンなんてのが欲しかった。

 以上、総じて質の落ちる「A」の第4クールの中では、例外的な佳作であった。

 ただ、歯科医院のビジュアルや不気味な雰囲気なんかは良いのだが、最初から女医が黒幕だと言うことが視聴者にはバレバレで、謎解きの楽しさがほとんどないのが、この作品に佳作以上の評価を与えるのを躊躇させている。

 しかし、女ヤプール、なんで幻覚カプセルなどと言う甘っちょろいものを仕掛けたのだろう? 北斗は全く気付いていなかったのだから、代わりに時限式で漏出する猛毒カプセルでも入れておけば、簡単に北斗を地獄に落とすことが出来たであろうに……

 もっとも、彼らの目的が、北斗の命を奪うことではなく、北斗を苦しめることにあったのなら、プラカードを持った野呂桂介が出てきてもおかしくないほどの大成功を収めたと言えるかもしれない。
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コメント

これにビビる同級生

>ケタケタ笑っている狂女と言う、大人もビビる強烈なビジュアル

小学生の時の再放送でこれに同級生がビビってました。
女ヤプールのキャストを意識したのは初見から十数年立ってマニア向けの解説書を見た2000年からです。
サントラやそれに付随する音楽解説は1990年代からわりと豊富だったのがウルトラシリーズと東映特撮の違いでしょうか。

1番怖いのは

今回の話で1番怖いのはヤプールの怨念でもベロクロンの溶解液でもなくあんな殺風景な歯医者に入る北斗ですね。私にはとても入る勇気はありません。

ベロクロン二世ですが、やられ方は少々呆気なかったものの溶解液と火炎でAを苦しめ超獣の面目は保ちましたね。タロウに登場した改造ベロクロン二世なんかろくに攻撃すらせずにZATのミサイルとレーザーであっさり倒されましたし。個人的にはテレスドンとベロクロンは没落著しい印象です。

最後に余談ですが、初代ベロクロンとベロクロン二世の違いはミサイルエラが少なくなっている代わりに角から怪光線を発射できることだと昔の図鑑に載っていました。

怪女のセリフ

女ヤプールの“これだけは覚えておくが良い。勝った者は常に負けた者の怨念を背負っていくのだ。これは生きていく者の定めなのだ”が印象的でしたね

それにしてもカプセルがデカい

最終回の手口も含めて考えるとヤプールは生き残りがいたというよりは怨霊になってエースを祟っているような感じ(なのでエース抹殺というよりは精神攻撃、もっと言えば嫌がらせ優先)

昔特撮関係の書籍で1話で使用した初代ベロクロンの着ぐるみを使わずマッハレスを改造した理由について考察されていましたが、曰く怪獣の着ぐるみの素材は基本的に熱に弱いので、炎を吐いてコンビナートを炎上させたりあちこちにミサイル発射表現用の火薬を仕込んだりしたベロクロンはダメージが酷くて再登場出来る状態じゃなかったんじゃないかとの事

歯科医院の恐ろしさ

ビートたけしさんの任侠映画「アウトレイジ」の歯医者シーンの方がもっと怖いです。

市川先生

>そうだ、お前は勝った、勝ったものは生き残り、負けたものは地獄へ落ちる、しかし、これだけは覚えておくが良い、勝ったものは常に負けたものたちの恨みと怨念を背負って生き続けているのだ、それが戦って生き残っていくもののさだめだ
現代社会=ゼロサムゲーム・・・を喝破している名台詞ですね。
最終回のよりもはるかに心に響きます。

最終回への助走

本来メインライターであったものの降板に追い込まれた市川氏が執筆した、最終回と実質的な前後編になるエピソードですね。

負けた者=ヤプール(ベロクロン)=市川氏、勝った者=北斗(A)=橋本プロデューサーや他のスタッフ(あるいはヤプールの設定消滅後=市川氏の降板後も続いている「A」という番組そのもの)、と捉えられないでしょうか。女ヤプールの「勝った者は常に負けた者たちの恨みと怨念を~」は市川氏の心の叫びだったのではないか、と感じてしまいます。

このエピソードの北斗は冷徹で、最早ヤプールの生き残りなど脅威ではない、取るに足らない敗残者だと考えているように見えます。番組的にもヤプールの設定消滅から半年近くが経過しており、「勝ち負けなどとっくについている」状態でした。今回の企みは阻止されますが、「これで勝負がついたと思ったら大間違いだよ」とのセリフ通り、4週間後(最終回)に再び現れたヤプール(=市川氏)は遂に復讐を果たし、北斗(A)は地球を去らざるを得なくなります。

今回のエピソードは、「A」が消えてしまった初期設定の一部を取り戻して完結する助走と位置づけられるのではないでしょうか。

同意

子供時分に観た再放送でも、この48話と最終回が
第4クールでは突出して印象が残りました。

>カーテンを開けて入ってきたのは、ミニスカの女性歯科医と言う、
>今では企画系エロビデオでもお目にかかれないような、素晴らしいコスの女性。
勿論、ここは子供時分にノーチェック。
この格好は普通、看護婦さんで女医を名乗る時点でおかしい。

Re: これにビビる同級生

そりゃビビりますよね。

Re: 1番怖いのは

> 個人的にはテレスドンとベロクロンは没落著しい印象です。

同じ番組内ならともかく、別の番組だと格段に扱いが悪くなりますね。

> 最後に余談ですが、初代ベロクロンとベロクロン二世の違いはミサイルエラが少なくなっている代わりに角から怪光線を発射できることだと昔の図鑑に載っていました。

ご教示ありがとうございます。

Re: 怪女のセリフ

さすが市川さんですね。

Re: それにしてもカプセルがデカい

> 昔特撮関係の書籍で1話で使用した初代ベロクロンの着ぐるみを使わずマッハレスを改造した理由について考察されていましたが、曰く怪獣の着ぐるみの素材は基本的に熱に弱いので、炎を吐いてコンビナートを炎上させたりあちこちにミサイル発射表現用の火薬を仕込んだりしたベロクロンはダメージが酷くて再登場出来る状態じゃなかったんじゃないかとの事

ご教示ありがとうございます。まあ、想像はつきますね。

Re: 歯科医院の恐ろしさ

ああ、なんかありましたね。

Re: 市川先生

深いですよね。

Re: 最終回への助走

長文コメントありがとうございます。

> 負けた者=ヤプール(ベロクロン)=市川氏、勝った者=北斗(A)=橋本プロデューサーや他のスタッフ(あるいはヤプールの設定消滅後=市川氏の降板後も続いている「A」という番組そのもの)、と捉えられないでしょうか。女ヤプールの「勝った者は常に負けた者たちの恨みと怨念を~」は市川氏の心の叫びだったのではないか、と感じてしまいます。

恥ずかしながら、全然思い至りませんでした。卓見ですね。

Re: 同意

> 子供時分に観た再放送でも、この48話と最終回が
> 第4クールでは突出して印象が残りました。

市川さんの「格の違い」が浮き彫りになってましたね。

ずーっとメインライターだったら、どんな傑作になっていたことか。

僕らのウルトラマンA

女ヤプールが最終回の助走であるという考察は辰巳出版から出ている表題の解説書に出ていました。
高鞠子さんについてはこの本で知りました。

Re: 僕らのウルトラマンA

ご教示ありがとうございます。

北斗はオリラジ中田が「歯科衛生士はナンパしやすい」と言ったのを思い出したが嘘である

切通理作氏の著書では「女の部分を捨てたエースが女に復讐される」とありました。復讐と言ってもヤプールが大した理由もなく地球に攻めてきたわけで完全に逆恨みだと思います。
もしかするとヤプールも一枚岩ではなくてAと戦っていたのは極一部なのではないかと思いました。

Re: 北斗はオリラジ中田が「歯科衛生士はナンパしやすい」と言ったのを思い出したが嘘である

まあ、復讐と言うのは変ですよね。

No title

「48話があっての最終回」というのを今になって思いました。

今回はジャブだけ撃って、最終回で決定打を与えてという印象を受けました。
「怪獣を倒せても(あえて伏せます)」という展開ですから。

Re: No title

そう言う意味では不可欠のエピソードでしたね。

そもそも

「北斗が虫歯になっている」という前提じゃないと、今度の作戦は成立しませんが、そこは抜け目ないヤプールが異次元から監視していたのでしょうか?

Re: そもそも

何らかの方法で虫歯にしたのかも。

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