以前にもちょっとだけ紹介したことのあるドラマです。今回はやや詳しくストーリーを追ってレビューしたい。レビューと言うほどでもないが……。
2002年8月の放送。明智小五郎が田村正和、二十面相がたけしと言う、豪華な顔触れだが、はっきりいって
ミスキャストである。 だが、ドラマ自体はたっぷりお金がかけてあって、普通に面白い。
田中芳樹は「江戸川乱歩全集12 悪魔の紋章」の解説でボロクソに書いていたが、芳樹の言うことなんか気にするな。
原作は「少年探偵団」シリーズと言うことらしいが、より具体的には「怪人二十面相」「妖怪博士」「虎の牙」などからエピソードを寄せ集めて、さらに大人向けの「猟奇の果て」「魔術師」などのエッセンスも加味されているようだ。

DVDのメニュー画面。後述するが、このDVDのコンテンツの懲り方は尋常ではない。

幕開けは、何故か終戦間近の中国戦線。日本軍の秘密の実験施設で、怪しい博士(西田敏行)が、ある手術を施した患者に会いに来る。
この蛭田博士、「妖怪博士」に同名のキャラが出てくる。
この段階で早くも、整形手術によって人間を好きな顔に変えて、謀略の手段として使おうという博士の企図が示されている。これは「猟奇の果て」の後半のネタバレになっている。
しかし、手術を施された患者は頭がおかしくなっていた。「俺の顔を返せ
ダンカンバカヤロウ」と博士に迫る。しかし、ちょうど敵の空爆が始まり、彼らは混乱の火の中に埋もれてしまう。そして3年後、昭和23年に舞台が移る。
しばしば小林少年(中尾明慶)のナレーションで状況などが説明される。
んで、怪人二十面相なる怪盗が巷を騒がしていた……。

そして、東京国立美術館の仏像を盗むぞと言う予告が舞い込み、警察が警戒態勢を敷いている中に、颯爽と現れのは明智小五郎。
田村正和がやると絵になるけど、一民間人の明智に、警官が揃って敬礼するのはどうかと思う。明智のキャラとしてもちょっとそぐわない。

予告の12時を回ったが、何も起きない。中村警部(伊東四朗)たちは安堵するが、

そこへ遅れてやってきた古畑じゃなくて、明智小五郎は既に仏像は盗まれたと指摘する。
このシーンの田村正和の演技は、ほぼ古畑任三郎そのまんまである。最初見たときは笑ってしまった。

そして仏像の指をぼきっと折り、それがニセモノであることを示す。

さらにそこにいる館長が、二十面相だと暴露する。彼は館長になりすまし、本物とニセモノとをすり替えていたのだ。明智の手によって、既に本物は取り返されたと言う。
北村聡一郎は不気味に笑い、やがてビートたけしの声になって、

室内を縦横無尽に飛び回り、捨て台詞を残して消え去るのだった。
ここのシーン、ガラスがいかにもCGだけど、でもなかなか派手で見応えがあります。

明智を出迎える小林少年。原作は紅顔の美少年と言う感じなので、これもなんか違うなぁ。
ここでタイトルが出る。
次のエピソードは、サーカスが舞台。よくは分からないが、「虎の牙」あたりが素材か?

とあるサーカスの興行に小林少年が友人とともに見に来ている。
サーカスの団長、まんまたけしである。たけしだと、覆面被ってもすぐ彼だと分かるから、こういう役はダメなのだ。それこそ変装の名人と言う設定なのだから、全然別の俳優にやらせればいいのだ(後半はそうしてるけどね)。
そして、その助手として登場する文代が、

宮沢りえさんなのでした。この設定はずばり「魔術師」から来てるんだけどね。原作では文代さんは、最終的に明智と結婚するのだが、このドラマでは……
つづく。