前回の続きで、サーカスを楽しんでいた小林少年と篠崎少年。やがて、猛獣との入れ替わりマジックに協力してくれと指名されたのは篠崎少年。

しかし、マジックは無事終わっても、少年の姿は消えたままである。小林少年の知らせを受けて中村警部たちが駆けつける。

篠崎少年は、助手の文代さん……宮沢りえとともにライオンの檻の隣の檻に監禁されていた。中村警部たちは間一髪で二人を助ける。この時、一瞬だけ伊東四朗とライオンが同じ檻の中にいるカットがあるのだが、これはやっぱり合成だろうなぁ。最初見たときはなかなか迫力があって感心したが。
彼女は天空と言う魔術師(つまりたけしのことだが)の助手をしていて、少年を助けようとして天空に捕まったらしい。

彼女はショックで失神し、篠崎家に引き取られて離れで小林少年たちに看病される。
篠崎家には母親の黒木瞳しかいない。そして、その天空から彼女の持つ「ロマノフ家のダイヤ」をいただくという予告状が届く。
篠崎と言うのは、原作の「少年探偵団」に出てくる名前だが、ロマノフ家のダイヤは「怪人二十面相」の方に出てくるアイテムだ。

警察が警護する中、小林少年たちが庭に罠を仕掛けるシーンがあるが、これも「怪人二十面相」にあったプロットだったと思う。もっともドラマの中ではさほど意味がなかったが。

警部たちと一緒に明智も篠崎邸に張り込んでいたが、彼は文代さんが自分の亡くなった妻にそっくりだとどうでもいいことを話し始める。
以下、回想モード。

若作り正和。彼は妻・美佐と一緒に車で出掛けようとしていたが、忘れ物を取りに家に戻る。その際、妻がエンジンをかけておくと言うので鍵を渡したのだ。

妻・美佐を演じるのは無論、りえちゃん。こちらもやや若作りして可愛い。

で、エンジンかけたら大爆発!
およそ二十面相らしくない荒っぽい手口だ。後で、二十面相は美佐ではなく明智を殺すつもりだったと言っているが、明智がエンジンをかけたときに妻が同乗しているのは自然なことなので、その弁明はいささか苦しい。

さて犯行予告された夜、不敵にも天空……いや、二十面相が屋敷に堂々と出現し、文代を人質にして騒ぎを起こす。

明智の放った銃弾でナイフが飛び、二十面相は庭へ飛び降りる。
またまた失神した文代さんは金庫のある部屋に寝かされる。
二十面相は逃げる途中、先程の罠に足を挟まれてしまう。
だから、ほんとはそのまま走って逃げるつもりだったが、計画を変えることになったのだろう。

「地獄の黙示録」ゴッコをするたけし。
池の中に潜み、池に面した東屋で一服していた運転手・角野卓三を襲い、彼に変装する。

で、堂々と正面口から車に乗って脱出してしまう。しかも、後部座席には縛られた小林・篠崎両少年が……。
これも、罠への仕返しのために急遽ふたりを捕まえたのかどうか、いまいち分からない。原作ではその報復のために少年を誘拐するのだが。
一方、篠崎邸でも、いつの間にかダイヤが盗まれると言う怪事が発生。
訳が分からず惑乱する黒木瞳たちだったが、二十面相追跡から戻ってきた古畑いや明智は、快刀乱麻を断つ推理で、ただちにトリックを解明する。

しかし、この推理を披露するシーンでの正和の芝居は、喋り方から手振り身振りまで、まるっきり古畑である。つくづく抽斗の少ない人だ。
ネタバレになってしまうが、まあ、乱歩の通俗ミステリーでネタバレもへったくれもないので、書いてしまうが、無論宝石を盗んだ犯人は文代さんであった。細かいことは省くが、最初から彼女は天空(二十面相)の腹心としてこの屋敷に潜入するのが目的だったのだ。
その宝石もまだ部屋に隠されていて、明智が簡単に発見してしまう。
だが、そこへ二十面相から電話がかかってきて、少年たちと引き換えに、ダイヤを持ってこいと明智へ指図する。明智は行き先を警察に知らせないと約束した上で、単身、指定の場所へ向かう。
そして再び舞台はサーカスへ。
つづく。なんか長くなりそうだな……。