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横溝正史シリーズ「獄門島」



 ほんとは三弾目は「三つ首塔」なのだが、ま、いいか。

 シリーズ第5作目にあたる「獄門島」である。「獄門島」は正史のベストとも称される傑作長編で、終戦直後の孤島で起こる俳句に見立てた連続殺人事件を描いている。しかし、映像化の成功率は低く、市川崑の劇場版も駄作だったし、このシリーズ版も、監督の斉藤光正はこの作品の評価で映画「悪魔が来たりて笛を吹く」に抜擢されたのだが、個人的には失敗作だと思っている。上川隆也版もあったけど、あれもひどかったな。

 何がダメかと言うと、まずキャストだろう。顔触れだけは滝沢修、浜木綿子、仲谷昇、中村翫右衛門、有島一郎など、豪華なのだけど、ミスキャストが多い。ヒロイン早苗役の島村佳江も、悪くないんだけど、原作で描かれているような金田一が一目惚れしそうな華やかさはない。

 そして、随所に見られる変な演出(後述)。ま、逆にこれが評価されての「悪魔が来たりて~」監督なんだろうけどね。

 ただ、映像的には市川崑版に匹敵する美しさだし、トリックなどは原作にかなり忠実ではあるんだけどね。

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 冒頭、臨終を迎えようとしている獄門島の主権者・嘉右衛門(滝沢修)のまわりで、彼をからかったり遊んだりしている浜木綿子や、キチガイ三姉妹の幻想的な映像……からして、なんか違うんだよなぁと首を捻ってしまう管理人であった。

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 なお、三姉妹のひとり、花子を演じているのは、自分は長いこと気付かなかったが、「バトルフィーバーJ」の二代目ミス・アメリカなどの、萩奈緒美さんなんだよね。

 さて、戦争が終わり、金田一も戦地から戻ってくるが、嘉右衛門の孫である戦友・千万太(ちまた)の死を獄門島へ知らせに向かう。

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 その連絡船の中で、了然和尚たちと会うシーンなんか、原作に極めて忠実ではあるんだが。

 ちなみに市川崑版では、金田一を天使のように描くという観点から、金田一自身ではなく、彼の友人雨宮(天宮?)の依頼で、島へ行くと言う形になっている。

 ま、細かいストーリー展開などについては省くけれど、とにかく、金田一は島で静養をするのだが、網元の鬼頭家のキチガイ三姉妹が、次々と殺されて行くのだ。しかも、梅の木に死体をさかさまにぶら下げたり、死体を鐘の中に入れたり、奇怪な状況で死体が発見される。

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 最初の被害者は萩奈緒美なので、彼女の出番はとても少ないのが悔しいのだった。

 死体が発見された後で、金田一たちが彼女の死体を横においてあれこれと相談するシーンがあるが、これなんか、凄く違和感を覚える。

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 また、その死体の目が勝手に開くと言うオカルト的な演出が加味されているが、一度くらいならまだしも、それを二回も三回も繰り返すのは、これもちょっとどうかと思う。

 で、村の巡査・清水さんは得体の知れない金田一が犯人だと勘違いし、彼を牢屋にぶちこんでしまう。この辺は原作通りである。

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 金田一と旧知の、県警の磯川警部が別件で島にやってきて、誤解が解けるのだが、原作では「本陣殺人事件」以来の再会になっているが、「本陣」はシリーズで既に別の警部(日和警部)を相棒にして映像化しているので、ここでは「蝶々殺人事件」以来の再会と言う、苦しい説明がされている。

 原作の「本陣」「蝶々」はどちらも戦前を舞台にした作品であるが、「蝶々」の方には金田一は登場しないんだけどね。

 この磯川警部を演じる有島一郎に、ちょっと期待したのだが、彼もここではあまりその才能を発揮できなかった。もったいない。

 ま、いろいろあって、金田一が最後に真犯人のところへ出向いて事件の謎解きをするのだが、ドラマではそれを、日が燦々と差す屋外とかでやっちゃうのである。そう言う開放的なムードの元で、事件の謎解きはやめていただきたい。

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 また、浜木綿子が途中で顔を出すのも邪魔である。これはまあ、特別主演の浜に配慮してのことだろうが。

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 最後、事件を解決して島を去る金田一と別れの言葉を交わす早苗さん。

 原作では金田一が早苗さんにプロポーズじみたことを言ったと言うことになっているが、ドラマではそう言う色っぽい感じはない。

 この辺の映像とかは、とても綺麗でいいんだけどね。

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 帰りの連絡船の上で、金田一は自分の帽子をもてあそんでいたが、

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 それを何故か海に放り投げてしまうのである。

 もったいないことするんじゃねえ!

 映像的には面白いけど、終戦直後の物のない時代にそういうことはしないだろ、と。
 野暮なツッコミだけどね。

 と言う訳で、世間的には評価が高いみたいだが、個人的にはどうも好きになれない一本でした。

 原作は文句なしに傑作なんだけどね。


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コメント

TVでは4回放送されているんですね。
1.これ
2.1990年の鶴太郎
3.1997年の古谷
4.2003年の上川

今日、4の再放送を録画してみたのですが、映像がチープでした。
3姉妹を茉奈(雪枝・花子の二役)・佳奈ですますところもダメ。

2は本放送時に観て、これも全体的にダメでした。
ただ、3姉妹が牧瀬里穂・高橋由美子・持田真樹と(個人的には)豪華でした。

映像的に見応えが無いと、殺しの凄惨さばかりが出てダメですね。


Re[1]:横溝正史シリーズ「獄門島」(04/10)  

影の王子様
>映像的に見応えが無いと、殺しの凄惨さばかりが出てダメですね。

映像的には結局、市川崑の劇場版と言うことになるんでしょう。原作の「獄門島」は文句なく傑作ですが、映像化は難しい作品のようです。

フジテレビの稲垣版でやって欲しかったな、とちょっと思いますが、どんなもんでしょう。

萩奈緒美さんは、この作品にも出演されていたようですね😅出演者と演出と原作の三拍子💮の作品に中々お目にかかる作品が少ないですが😔

Re: タイトルなし

「獄門島」の映像化はハズレが多いですね.

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70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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