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横溝正史シリーズ「犬神家の一族」 その1



 明智小五郎の「美女シリーズ」を全て紹介しながら、金田一耕助の「横溝正史シリーズ」をとりあげないのは片手落ちではないのか、早急にやるべきだ、と言うお叱りのメールが、一切なかったのであるが(お約束)、以前からやろうやろうと思っていたのは確かだ。

 ただ、横溝マニアの自分にとっては「横溝正史シリーズ」はひとつのバイブルで、その内容についても知り尽くしているので、あえてブログで書く気にならなかったと言う事情もあり、最近「タイタンクエスト」(2006年のゲーム)にはまっているという事情もあり、なかなか手をつけられなかったが、きりがないので見切り発車することに決めた。

 一応、放送順によって紹介していくが、駄作も少なくないので、全作品を網羅するつもりはないことをお断りしておく。

 説明するまでもないが、「横溝正史シリーズ」は横溝ブームの真っ只中の1977年~78年に放送された連続ドラマである。これは原作の各エピソードにつき、2~6回にわけて丁寧に描いている。最高視聴率41%を記録した。

 現在、すべてのエピソードがDVDになっているので見るのも容易だ。

 さて記念すべき第一回は「犬神家の一族」である。1年前(1976年)に角川映画としてヒットしたのは当時の視聴者にとっては記憶に新しい。

 原作者の正史の評価も高く、放送前にシナリオを読んで「原作に忠実でもあり、構成もしっかりしているうえに、監督も一流ならキャストも映画に劣らぬ豪華さ」などと、べた褒めしている。

 そして当時はめちゃくちゃ高かったであろうビデオデッキまで購入して、オンエアを録画しながら見たあとでも、「ある部分では映画より優れていると思われる節もしばしばあった」と率直な感想を述べている。

 また、金田一を演じる古谷一行については「軽妙なキャラクターがこの大時代な物語からくる重っ苦しい雰囲気を救っている。これから先が楽しみ」と、これまた好意的な評価であった。無論その時、正史もまさか以後30年近くにわたってその古谷金田一が活躍するとは夢にも思わなかっただろう。

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 冒頭、探偵事務所のあるビルの屋上でぼんやりしている古谷一行演じる金田一耕助。

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 で、全く何の意味もなく、逆立ちをして歩いて見せるのだった。

 古谷一行が後年語ることには、監督かプロデューサーに特技はないかと聞かれ「逆立ちで歩ける」と答え、じゃそれでいこう、ということになったとか。

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 事務所には、第1シリーズにだけ登場するおばちゃん(野村昭子)がいて、汽車の時間が迫っていると告げている。

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 物語の設定は昭和20年代なので、当然、乗るのはSLである。SLってかっこいいよね。

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 さて、その頃、信州の那須市にある犬神財閥の本宅には、死の床にある当主の犬神佐兵衛のまわりに、娘やその夫、孫たちが集まっていた。

 佐兵衛亡き後は、松子、竹子、梅子と言う実に安直なネーミングの三姉妹が、いわばこの犬神家の差配をすることになるのだが、彼らは佐兵衛が三人のメカケに産ませた娘で、それぞれ母親を異にしている。

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 梅子役の小山明子さん。綺麗ですねえ。

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 おっと、こんなところに美女シリーズでもお馴染みの松橋さん。「氷柱の美女」も1977年だが、こちらの方が数ヶ月早い。

 小山明子の息子と言う設定なのだが、役者としては年齢差が10しかないので、この配役はちょっと無理があるかも。

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 で、物語のヒロインである野々宮珠世(佐兵衛の恩人の孫娘)は、宝塚の四季乃花恵(なんちゅう名前だ)だが……、どうもこのぼんやりした目鼻立ちは好みではない。

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 顧問弁護士の古館を演じるのは名優・西村晃。彼のお陰で物語全体が引き締まっている。

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 家族は余命幾許もない佐兵衛のことより、その遺言状のことが気になってしょうがない。古舘は遺言状は松子の息子のスケキヨが戦地から戻ってきたら発表するよう佐兵衛から命じられていると明かす。

 それはいいのだが、これも佐兵衛の指示で、犬神家の財産目録が読み上げられるのだが、佐兵衛が死にそうなのに、それをほっといて古館の周りに家族が集まると言うのは、さすがにちょっと非常識だ。

 逆に血縁関係のない珠世だけは、佐兵衛のことを芯から愛しているらしく、枕頭に寄り添っている。

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 ここで、佐兵衛の生涯の事業の回想シーンを、軍歌をバックに流すのが心憎い演出だ。

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 タイトル。この題字もいいよね。

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 金田一は古舘の助手の若林から手紙の依頼を受けて、ここにやってきたのだ。なんでも遺言状を巡って何か恐ろしいことが起こりそうだと若林は怯えている様子。

 その事務所を訪れた金田一だが、若林は不在で、古館弁護士に近所の那須ホテルを紹介される。ここでは蝿でも追い払うように扱われる金田一が笑える。

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 その那須ホテルと言う旅館に投宿した金田一だが、ここの女中のキヨちゃんがめっちゃ可愛いのだ。井上聡子と言う女優さんで、ま、美人とは言えないが、愛嬌があってたまらない魅力がある。なにより、原作でも映画でも使われていない信州弁(?)を話すのがいいのだ。

 いわく「おれ、映画で見たんだに」
 いわく「お気に召したずらか、お客さん」などなど……

 萌えるわぁ。

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 金田一は、部屋の窓から眼前の湖に浮かぶボートを見る。それにはさっきの珠世さんが乗っていた。

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 金田一が素性を尋ねると、
 キヨ「いや、お身内の人じゃねえだに、佐兵衛様がでえじにでえじにお育てしたんだに」

 原作でも映画でも、ここではボートが沈みかけて金田一が飛び出すということになるのだが、

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 何故か、ドラマでは何も起きず、

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 そのままボートハウスまで辿り着き、下男の猿蔵が出迎えて、

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 しかも車に乗るところまでしっかり描いている。

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 金田一さん、覗き過ぎです。

 何故、ボート転覆のシーンにしなかったのかは分からないが、まあ水上の撮影は大変だろうし、映画と同じでは芸がないので、あえて違う方法をとったということだろう。

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 で、ドラマでは、その車のブレーキが壊されていて事故になるというもの。彼女の命を狙った点では同じだけどね。ただ、ブレーキの細工自体は、原作にも書いてある。

 金田一はそこで慌ててかけつけて、二人を救い出す。
 ちなみに猿蔵を演じているのは新海丈夫さんで、「セーラー服反逆同盟」にも出てたなぁ。ただ、猿蔵が車の運転をするのは凄い違和感があった。

 そして大活躍した金田一が宿に戻ってみると、入れ違いにやってきた若林さんが、トイレで毒殺死体となって発見されるのであった。

 その2へ続く。


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コメント

先生!最近のお話は難しくてどうもついていけませんデス。

美女シリーズ、懐かしいですなあ。振り返ってみると、僕の場合は結局、五十嵐めぐみさんの可愛さ(何だかんだでめっちゃ好みなのです)と天知茂先生の面白さが全てで、「美女」や推理は結構どーでもよかったような気も。

「美女シリーズ」の亜流作品(「反逆同盟」よりよっぽどパクリ色が強いと思うけど)というとまさに「神津恭介シリーズ」ですね。

おいおい、「美女シリーズ」と似たような連中が出とるなあ、と思って見ていたら(最初に見たのが「呪縛の家」だった!)、浴室で人が殺されまくるという。爆笑です。

Re[1]:横溝正史シリーズ「犬神家の一族」 その1(03/02)  

「先生」はやめれ

はぁ、それにしても、五十嵐めぐみさんですか……あいにくと私はそっちの(どっちだ?)趣味はないです。美女シリーズの最初の頃はガーリーでまだ可愛い気もするんだけどね。

「犬神家の一族」  

映画版よりも、こちらの方が僕は好きです。
四季乃花恵さん。きれいですね。
井上聡子さん。かわいい。田舎娘を好演。
そして金田一は古谷さんの方が似合ってますよ。
この時から20年後に「失楽園」でああいう役を演じるとは思わなかった。「三男三女婿一匹」でのちょっと気取った医師役も良かった。

Re:「犬神家の一族」(03/02)  

>下等醜呆さん

書き込みありがとうございます。
懐かしいので思わず自分で書いたエントリーを読み返してしまいましたが、画像貼り過ぎです。

井上聡子さんはほんと萌えますね。「黒猫」にも出てましたが。

Re:横溝正史シリーズ「犬神家の一族」 その1(03/02)  

西村晃さんと言えば水戸黄門のイメージが大きいので、金田一シリーズに出演していたとは全く知りませんでしたね

Re[1]:横溝正史シリーズ「犬神家の一族」 その1(03/02)  

ふて猫様

この古舘役はなかなかの好演ですね。小沢栄太郎より良いかも。

12月24日(月・祝)放送です

https://www.fujitv.co.jp/inugamike/

金田一は知らない人だし、珠世役の高梨臨が好みじゃないので期待薄ですが。
でも演出が『金田一耕助VS明智小五郎』シリーズの監督なのはイイかも?

Re: 12月24日(月・祝)放送です

情報ありがとうございます。

しかし、よりによって散々やりつくされてきた「犬神家」をやらなくても……と思います。

ま、知名度が高い作品を選んだんでしょうけど。

知名度

知名度からいったら「犬神家」の佐清(実は青沼 静馬)と「八つ墓村」の田治見要蔵でしょうか?
金田一耕助の知名度は抜群なのだから「金田一耕助の○○」として
別の原作でも視聴率は取れる・・・と思うのですが?
「初めにキャストありき」なら作品のネームバリューに頼らざるを得ませんが。

Re: 知名度

ま、2時間ドラマに限定すると、案外、使える原作は限られますけどね。

「八つ墓村」「悪魔の手毬歌」などは原作が長過ぎるし。

「仮面舞踏会」「夜歩く」「女王蜂」あたりなんかが見てみたいです。

そう言えば、BSプレミアムでやってた、吉岡秀隆主演の「悪魔が来りて笛を吹く」、死ぬほどつまんなかったです。

探偵・由利麟太郎

https://www.ktv.jp/yuri/

第1話の原作は「花髑髏」
Wiki見たら、おもいっきり原作(読んでなくてすみません)と違うようですが
「家族の闇」というのはしっかりと描かれていて良かったです。

Re: 探偵・由利麟太郎

原作ははっきり言ってつまらないので読まないでOKです。

録画してまだ見てないんですが。

No title

『蝶々殺人事件』といえば、かなり前1998年に、石坂浩二主演でドラマ化されていましたが
2時間ドラマじゃここまでが限界かとガックリ
『探偵・由利麟太郎』(全5回)は元々オリンピックの穴埋め用で放送日が空いたりするので
『蝶々殺人事件』だけで全5回とはいかなかったんでしょうね
画作りは頑張ってたと思うんです。予算不足で現代にせざるを得なかったにしても
吉川晃司は相変わらず吉川晃司だなー、仮面ライダーWは良かったけど、抽斗少なすぎ
彼が白髪だからヒネりだした企画なんだろうか

捻りのない在り来たりの結末溶接した『憑かれた女』は2時間あれば
いい話になってる『花髑髏』より角川文庫の同書収録作なら『白蝋変化』だよな、これも1時間じゃ無理だけど
『銀色の舞踏靴』由利麟太郎と三津木俊助は出てるけど

Re: No title

> 『蝶々殺人事件』といえば、かなり前1998年に、石坂浩二主演でドラマ化されていましたが
> 2時間ドラマじゃここまでが限界かとガックリ

あれはひどかったですね。

> 『探偵・由利麟太郎』(全5回)は元々オリンピックの穴埋め用で放送日が空いたりするので
> 『蝶々殺人事件』だけで全5回とはいかなかったんでしょうね

そうだったんですか。

制約があるとは言え、肝心の死体移動トリックがスルーされていたのは唖然としました。

「真珠郎」は、ドラマじゃ無理なんでしょうね。

No title

真珠郎
土曜ワイド劇場で小野寺昭さんの金田一でやってましたね、椎名耕助と合体して由美さんに想われる役になってましたが、まあまあ見れました
TBS版古谷金田一最終作の方は、朝日新聞出版からディアゴ擬きのDVD出てましたけどヒドイ

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このコメントは管理人のみ閲覧できます

Re: No title

> 土曜ワイド劇場で小野寺昭さんの金田一でやってましたね、椎名耕助と合体して由美さんに想われる役になってましたが、まあまあ見れました

金田一ものにするとどうしても無理がありますよね。

Re: No title

リンクありがとうございます。

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70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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