その3は、第二回放送分です。
犬神家の相続人を定める遺言状が公開され、財産を我が物にしようとあれこれと陰謀をめぐらす犬神家の人々。

スケトモ「はぁーあぁ、おはようございます」
梅子「スケトモ、今朝はスケタケさんと大事なお約束が」
スケトモ「ふぁああ、分かってますよ、あーああ(欠伸)」
梅子「ダンスホールで夜遊びなんかしてるからです」
梅子(小山明子)とその息子・スケトモ(松橋登)の朝のぬるい会話は、妙にほっこりしているが、前に書いたように役者の年齢差が10しかないので、親子と言うより、姉さん女房と優男の亭主に見える。

金田一は、宿で、仮面のスケキヨのマネをして遊んでいた。こういうお茶目なことは、原作の金田一は絶対しないんだけどね。

それを見て身も世もあらぬ悲鳴をあげる女中のキヨちゃん。この後、バナナマンの日村みたいな顔になって、さすがに貼るのはやめておきます。

金田一は、犬神佐兵衛が流浪の果てに拾われたという那須神社へ行き、そこで出征者の武運長久を祈る手形の押された絵馬を発見する。ちょうどそこへ、スケキヨ、スケトモたちもやってきて、スケキヨの手形絵馬を見せてほしいと神主に頼む。
つまり、スケキヨが出征前に押した手形と、仮面のスケキヨの手形とを比べて、スケキヨが本物かどうか調べようという計画であった。
しかし、頭の高い松子夫人が、スケキヨは本物だと言って譲らず、手形を押させようとはしない。

スケキヨが本物かどうか、逆立ちしながら考える金田一。
キヨ「どうしたの~?」
金田一「っくしゅん!」

キヨ「あれ、あーあ」
鼻水を垂らす金田一の顔を甲斐甲斐しく拭いてくれるキヨちゃん。
金田一「ありがと、ありがと」
キヨ「シャツやパンツもぉ、毎日とっかえなきゃだめダニぃ~」

そこへ古舘弁護士がやってきて、
「キヨちゃん、あっはは、世話女房になれるぞぉ」とからかう。
キヨ「やぁだぁ~」
金田一は、佐兵衛の息子・青沼静馬が戦地で、スケキヨと同じ部隊にいたことをさらっと話す。これはかなり重要なデータで、原作では最後まで明かされないのだが、ここでは金田一が調査してあっさりと割り出している。金田一ってタダモノじゃないと思わせるシーンだ。

やがて、遂に犬神家の中から殺人の被害者が出る。
原作や角川映画では菊人形が舞台となるが、こちらでは変化をつけるためか、予算がなかったからか、菊を栽培しているビニールハウスに変えてある。
被害者は珠世のお婿さん候補の一人、スケタケだった。

原作では、スケタケさんの首を人形の首とすげかえるというインパクトのあるシチュエーションだが、このドラマでは菊の鉢の上に無造作に置いてあると言うあまり冴えないものになっている。
この生首の人形も、NGだな。
殺害現場は湖面を見下ろす展望台らしい。そこで、珠世さんのブローチが見つかり、彼女は事情を聞かれる。

彼女の言によれば、スケキヨさんの指紋のついた金時計をスケタケに渡して、手形絵馬と照合してくれるように頼んだらしい。だが、スケタケはこの際だとばかりに珠世さんに不埒なことをしようとしたが、猿蔵に助けられたという。無論、スケタケを殺したことは否定する。
なお、このシーン以降、珠世さんは画像のようなセーラー服を着ているのだが、どう見ても学校に行くような年ではないので、これは普段着のファッションとしてセーラー服を着用しているらしい。当時は、そういうのもありだったのだろうか? 設定は昭和22年くらいだから、なんとも言えない。
ついでに、珠世役の四季乃花恵さん(それにつけてもなんちゅう名前じゃ)、こうして見ると結構巨乳なのだった。
その後も捜査は進み、覆面で顔を隠した復員兵が、湖の対岸にある旅館に泊まっていたこと、スケタケが殺された晩から行方が分からないことなどが判明する。
単純な橘署長はそいつが犯人だと決め付けるが……。
一方、スケタケが殺された後、急に仮面のスケキヨが手形を押して絵馬と比較することをすすんで申し出る。そして鑑定の結果、手形は一致、つまり仮面のスケキヨさんはスケキヨ本人だと証明された……。

今回のエンディングでは、古舘弁護士が金田一への報酬を分割で払うという珍妙な挿話が見られる。さすがに探偵料の分割払いはないだろうと思うが、これは映画のように金田一が報酬を受け取るシーンを出したいが、事件が解決したあとでは遅過ぎるので、分割払いということにすれば、事件の途中でもそう言うシーンが撮れるため、そういうことにしたのだろう。
が、報酬が意外と少なかったので金田一は最後に「調べれど調べれば我が暮らし楽にならず……ケチッ」と、古舘弁護士の後頭部に向かって小さな声で悪態をつくのだった。
第三回へ続く。