「妖婆 死棺の呪い」DVD
- 2013/03/13
- 22:53
![]() 妖婆死棺の呪い 【DVD】 |
原題は「ヴィー」と発音するのかな? ロシア語はさっぱりわからんたい。
「妖婆 死棺の呪い」と言う邦題はいまいちだけど、ま、他に書きようがないのでこれでいこう。間違っても死姦などと書かないように。
これは1967年のロシア映画で、一部の好事家から絶賛されてきた傑作ホラーである。ホラーと言うより、牧歌的なファンタジーと言うべきか。大映の「妖怪大戦争」みたいなテイストも感じられる。
自分は相当昔にNHKの放送で初めて見たのだが、妖怪ムービーとしての面白さとヒロインの女優さんの美しさに一発でイカされてしまった口だ。録画したテープを大事に保存しておいたが、嬉しいことに今ではDVDで発売されてレンタルもされているのだった。
ただ、国内向けと言うより、海外のDVDをそのまま焼いてるだけの仕様なので、デフォルトでは、

こんなメニュー画面が出てきて泣きたくなる。
ただ、最初に英語を選べばメニューは英語になるので、それに気付けば特に困難はない。
音声は何故かロシア語・英語・フランス語の三つもあるが、日本語吹き替えはなく、字幕だけが頼りである。

舞台は昔々のロシア。神学校の生徒たちが休暇を与えられて一斉に飛び出してくる。

神学校の生徒といっても、チンピラみたいな素行の悪いのばっかりで、学校から出た途端に近隣の住民に襲い掛かり、婦女子に狼藉を働こうとする、猥雑なパワーに満ちているのだった。
主人公はその一人、ホマーと言う神学生である。彼は仲間たちと山の中で道に迷い、とある農家に泊めてもらう。

しかし、そこの主人である老婆にひとりホマーは(性的な意味で)迫られて逃げ惑う。
もっとも、これは男性が女装して演じてるんだと思うが、吉田義夫みたいである。
彼女はどうも妖怪変化のたぐいのようで、ホマーの肩につかまり、

彼を操って自在に空を飛ぶのだった。
ホマーはなんとか逆襲して地面に一緒に落ちて、無我夢中で老婆を殴っていると、

いつの間にか、それが美しい娘に変わっていると言う趣向。
彼女はホマーに打たれて息も絶え絶え。ホマーは慌ててトンズラする。
彼女がヒロイン(?)で、演じるのはナターリャ・ヴァルレイさん。もっとも正確にどう発音するのか見当もつかないのだが。テレビで初めて見たときはめちゃくちゃ別嬪やんけと思ったけれど、冷静になってよく見ると結構御年を召されていたようだ。それでも美人であることに違いはない。

ホマーは休暇もそこそこに学校に逃げ帰っていたが、おりふし、とある農村の豪農の使いがきて、令嬢の臨終に神学生に立ち会ってくれるよう頼みに来る。何故か、ホマーを名指しで呼んでくれるよう、その娘自身が訴えているらしい。
ホマーは気が進まないが、校長に命令されては逆らえず、村の男達と一緒に馬車に乗ってゆらゆらと向かうのだった。

途中の居酒屋でしこたま酔ったホマーの見る幻覚の映像もなかなか味がある。

イヤイヤながら連れてこられた農村。しかし、令嬢は既に亡くなってしまっていた。父親である村の領主的な男は、娘は何者かに打たれて重傷を負い、苦しい息の下からホマーと言う神学生を連れてきて、自分が死んだら三日間祈祷をしてくれと遺言していたと話す。
んで、ホマーは村の教会にたったひとり、娘の死体と一緒に閉じ込められるのだが、

その娘と言うのが、ホマーが老婆だと思って打ち据えたあの娘だったのだ。つまり、ホマーが殴り殺しちゃったってこと。

ホマーは一応神学生なので、聖書を広げて祈祷を始めるのだが、

初日からいきなり死人が目を開けるのだった。この、もったいぶらない感じがいいですね。

蘇った娘はそこらをうろうろと歩き回るが、ホマーが咄嗟にチョークで床に書いた円の中が見えないと言うか、入れない様子。要するに結界を張ったわけだ。

二日目は、もっとアグレッシブに、棺桶ごと宙に舞い、その上に乗って結界を破ろうとガツンガツン体当たりしてくる。
ナターリャさんはもともとサーカスの軽業師みたいなことをやっていたらしいと、どこかで見た記憶があるが……。

最後の三日目になると、彼女だけではなく、教会のあちこちから色んなお化けが現れると言う展開となる。これがもうほんとに、個性的なクリーチャーが贅沢に出現してくれて、思わず顔がほころんでしまう。

こういう人とかね。ま、全部貼ると見る人の楽しみを奪うのでほどほどにしておく。

やっぱりナターリャさんは美人だなぁ。

そして最後は、こういう大きな目を持つ怪物を呼び寄せて、結界の中のホマーを探し出そうとする。この辺は水木しげるのマンガでもそっくり同じだったな。
元々この映画はゴーゴリの民話をベースにしてあるんだけどね。
そして遂に結界を破られたホマー、果たしてどうなるのか?
それは実際に見て確認してくだしゃい。
DVDには結構色々とコンテンツがあり、同じ映画会社のプロモーションみたいなのや、

撮影現場のスチールなんかも収録されている。

またナターリャさんや他の出演者・スタッフの経歴も見られる。
こうして見ると彼女は他にたくさん出演作があるらしい。このリストでは97年が最後になっているが。今も御存命なのかどうかは知らない……。
ま、ちょっと駆け足の紹介だったが、ロシアの農村の時間の流れが止まったような独特の牧歌的な雰囲気もあって、とにかく面白いので見て欲しい。
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