第1クールの掉尾を飾る第13話「アリジゴクジン 東京爆発3時間前」である。
ちなみに放送は1979年の12月28日で、70年代のほぼ終わりごろ、輝かしい80年代の産声が聞こえる頃である。
まずは予告編。

砂利の山から颯爽と飛び降りてから、

洋「やあ、次はアリジゴクジンとの戦いだ(後略)」
相変わらず爽やかな村上弘明さん。

なお、予告編で洋が博士を助けているカットがあるが、これは本編では使われていない。
さて本編である。

ネオ・ショッカーの基地では新しい爆弾の実験が行われていた。水爆級の爆発力を持つ爆弾、その名も、
「プラスアルファ爆弾」である。
なんかワイドショーみたいな名前だな……。

ゼネラルモンスターの前で東京都民1000万人を皆殺しにする計画をまくしたてる今回の怪人、アリジゴクジン。
「1000万の人間どもがいっぺんにこの地球から減ってしまう。なんとも
小気味(こきみ)の良いことです」
割と日本語の正しい発音にこだわる怪人だった。

さて、その爆弾を開発した博士、演じるのは相馬剛三さんだが、東京に爆弾を仕掛けると聞かされてうろたえる。
もっとも、
じゃあなんのために開発したのかと聞きたくなる。

だから、アリジゴクジンの「今井博士、ネオ・ショッカーに協力したものが今更イヤとは言わせん」と言う台詞のほうに説得力がある。
で、脅されて痛め付けられて博士はとうとう爆弾の時限装置をセットするのだが、

それは、目覚まし時計のボタンを押すだけだった。
このくらいのことなら、わざわざ博士に命じなくても誰でもできたのでは?
とにかく爆弾は3時間後に爆発するようにセットされた。

しかしアリジゴクジンが爆弾を運んでいる間に、博士は基地から逃げ出してしまう。
公衆電話に駆け込み、
「け、警視庁、警視庁、ネオ・ショッカーが東京に爆弾を!」
だが、
「今井博士、ネオ・ショッカーからは逃げられん!」と、大野剣友会の河原崎洋夫さんの声で宣告される。
もっとも、
既に逃げてるんだけどね。 
博士は次に交番に助けを求めるが、そこの警官も既に戦闘員がすりかわっていたのだ。警官に追われて採石場に逃げてくる博士。
この左の警官が、河原崎洋夫さんです。後番組「スーパー1」の鬼火司令を演じておられます。いい声してるので、今回、ネオ・ショッカーサイドの台詞は大体この人が担当している。

そこへ
たまたま通り掛かった洋。すぐに警官が戦闘員だと見抜いて倒し、博士を助ける。しかし、博士は銃で撃たれて重傷を負ってしまう。
博士はそれでも「東京タワーに3時間後に爆発する爆弾が仕掛けられている」と洋に伝える。洋は志度会長に博士の介抱を頼み、

自分はすぐライダーに変身し、

東京タワーへ向かうべく「セーリングジャンプ」しようとするのだが、

そのタイミングで背後から戦闘員たちが現れて(私事だが、いま、家族が具合悪くなって救急車で病院へ運ばれ、自分も付き添いで行ってきた……空白30分)スカイライダーの邪魔をする。ここは観客を焦らす素晴らしい演出だと思う。
で、なんとか敵を排除し、東京タワーへひとっ飛びし、爆弾を探すものの、どこにもない。

博士は、病院のベッドで昏睡状態。ユミたちがその看護をしている。

ライダーから爆弾はないと聞かされ、驚く志度会長。

ミドリ「3時に爆発だとあと2時間18分よ」
ミチ「会長! 東京はどうなるの? もし水爆級の爆弾が爆発すれば」
ミドリ「今井博士に尋ねるしか分からないわ、でもこんな状態の博士には聞けない!」
ストーリーの進行とともに、タイムリミットが近付いていくシナリオも緊迫感をもりあげる。
それにしてもミチ(伏見尚子)の芝居は相変わらず大袈裟と言うか、わざとらしいというか……。

ここで、何故か愛しのユミちゃん(巽かおり)だけアップがある。
ユミ「もし発見されなくて爆弾が爆発すれば!」
鼻のテカリも可愛いなぁ(なんでもええんか)。
そして、ナレーターは「警視庁は全機動力を投入してプラスアルファ爆弾の捜索に全力を挙げていた」と言い切るのだが、その全機動力とは、

パトカー二台に、

ヘリ一機だった。チーン。

無論、ライダーも懸命に捜索を続ける。しかし、空から探しても見付からないと思うのだが……、
あっ、いた! だから、戦闘員は戦闘員と一目で分かるような格好をするんじゃない! 
ライダーはビルの屋上に着地し、戦闘員を蹴散らすのだが、ここでも河原崎洋夫さんの声で
「ライダーを地下室に行かせるな」と、親切な台詞が交わされる。
いくらなんでもネオ・ショッカー馬鹿過ぎだろと思いきや、

実はこれ、ライダーを地下室に導く巧妙な罠だったのだ。地下室にはニセのプラスアルファ爆弾が置かれ、すぐ左右のトゲトゲの付いた壁が迫ってくると言う展開。手に汗握るぜ。
続く。