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最後です。

仲間がやられ、二人だけになった楠本(村田和美)と関君(柏原収史)は、図書室の奥に逃げ込む。
そこにあるパソコンには、なにやら意味ありげな言葉が表示されていた。
そこへやってくる恭子先生(藤本恭子)
「生徒たちの作ったホームページよ」

恭子先生「パトロールへの皮肉だそうよ」
楠本は当然、仲の良い先生に助けを求めるが、よくよく見れば、

そう、先生もいつの間にか狂ってしまっていたのだ。
ただ、その前のシーンで既に観客にはそれがはっきりと示されているので、いまひとつこのシーンが効果的でないのだ。
このカット、「セーラー服反逆同盟」の明るく正しく清いおケイの印象からすると、後藤(藤本)さんの逝っちゃった表情はなかなか刺激的であるが……そういや、「反逆同盟」でも頭がおかしくなるシーンがあったな(4話)。
そこへパトロール隊員たちが雪崩れ込むが、関君が彼らをひきとめて、楠本一人を逃がす。彼女は廊下の物陰に隠れていたが、高見沢みちる(佐伯日菜子)率いるパトロール隊が通り過ぎていくのを見付からないようにと念じる。
が、念じ過ぎて、高見沢みちるの心を読もうとして(彼女はテレパシー能力がある)、それが読めないことに気付き、驚く。

そこで、またまたかっこよく振り返る高見沢みちる。振り返るのが好きな人だ。
楠本は、懸命に学校から逃げ出し、自宅に入ろうとするが、高見沢が先手を打って、彼女の母親さえ変容させてしまっており、入れてもらえない。そこをパトロール隊員に捕まりそうになるが、またもや関君に助けられる。

普通、ここから一気にクライマックスに突入するところだが、またここで、二人によるどうでもいい会話が挿入されて、テンションを下げてくれる。しかも、観覧車の前で、だ。
その頃、高見沢みちるは、全校生徒を講堂に集め、

未来の人類は、新人類と言う少数の人間によって支配されていると説き、その支配の発端となったのが、この学校だと言い放つ。
なんか顔が凄いことになってるぞ。 怪電波で洗脳されている大多数の生徒は大人しく聞いていたが、中にはバカバカしいと白けきっているまともな生徒もいた。高見沢は、将来、人類を脅かす新人類の芽……つまり、いまだ洗脳されないままの、彼ら生徒たちを壇上に呼び寄せ、一気に消してしまう。
楠本はその消される生徒たちの悲鳴をテレパシーで聞いて、ひとり、学校に戻る。
グラウンドに立ち、敢然と高見沢みちるに戦いを宣言するが、
いきなり後ろを取られて大慌て。 この、クライマックスの決戦シーンは、少ない予算ながらもケレンに満ちてとても面白い。

この、余白を生かした映像のカットバックがなかなかカッコイイのであった。

んで、遂にその本性をあらわし、変なソード系の武器を誇示する高見沢みちる。
ここで、本格的なバトルアクションが展開されると、ますます盛り上がるのだが、そこまでこの映画に求めてはいけない。

その先から、強大なエネルギー波を放って、校舎に穴を開ける。
しかし、屋上にあがっていた関君が、敵から奪った銃で、高見沢を撃ち、あっさり勝利、と思われたが、楠本が屋上に上がってから、下を見ると、いつの間にか倒れていた高見沢の姿がない。

二人が、肩を寄せ合い、息を潜めて彼女が屋上に上がってくるのを待っていると、

ドアからではなく、上空から降ってくる高見沢みちる。このカットも実に切れ味が良い。
以下は、ネタバレになるのでちょっと省略。
多分原作とはだいぶ変わっていて、有名SF映画の設定をかなり露骨にパクッている感じ。ただ、最後に台詞でダダッと説明してしまうのは、いくら予算がないといっても感心しない。多少は未来の映像も再現されているが、かなりつましいものだ。
それに、事件の発端は、さっきのホームページの冗談に過ぎない文言を、未来人(笑)が事実だと勘違いしたことから始まっている、と言うのも、いささか間が抜けている。

激闘の跡が残る校舎。この大胆な合成は素晴らしい。

そして訪れる、悲しい別れ。関君は、元々この世界の人間ではなかったのだ。
今までさんざんいい感じのシーンがあったので、ふつうは、最後にキスの一つも交わしそうなものだが、ここではごくあっさりと関君が消えてしまい、同時に彼に関する記憶も消去されてしまう。往生際悪くあまりメソメソするのもイヤだが、ここはもうちょっと余韻のある別れのシーンにして欲しかったところだ。

そして時間は、最初の、花瓶が落ちてきたところに戻る。一度目は関君が花瓶をキャッチしてくれたが、既にこの世界では彼は存在せず、花瓶はそのまま落ちて割れてしまう。
別人の高見沢みちるがやってくることもない、平穏な学園生活が戻る。

ラスト、序盤で、楠本が本棚の本を取ろうとしていたところ、背後からスッと関君が現れる印象的なシーンが再現される。

後ろから伸びた手が、届かない本を取ってくれる。
観客が(願わくば)ハッとするシーンだが、

無論、それは関君ではなく、恭子先生だったと言うオチ。台詞はないが、最後にまた後藤さんが出てきたので、管理人は満足であった。

楠本は、関君がいたことさえ忘れているのだが、明るく笑って歩き出す。
生足がちょっとエロティックである(死ぬまで言ってろ)。
そしてエンディング。村田和美自身が歌っている(と思う)曲が流れるが、何故かクレジットには曲名とかが表示されない。むむむ。

危ねえな、落ちるぞ。

後藤(藤本)さんは、最後のほう、佐伯日菜子の直前に出てくるので、やっぱり扱いはかなり上だったのだろう。
さて、同じ村田和美、柏原収史の主演で(佐伯日菜子は出ていない)、テレビシリーズが作られているのは最初に言った通り。あ、今調べたら、普通にDVDになってる。9話しかないのか。うーむ。欲しいような欲しくないような。もう一度、エンディングのエビ沢キヨミの歌が聞きたいなぁ。意外と安くオークションで出てるし……。子供の幽霊の確認もしたい……。ま、やめとこう。特に贔屓の役者が出てるわけもなし。宝くじが当たったら買おう。
えー、で、この劇場版のDVDには一応メイキングが収録されているが、わざわざ8ミリで撮影と書いてあるだけあって、画質はかなり悪く、内容的にもいまひとつだった。
佐伯日菜子が、役柄のイメージとは裏腹にかなり明るい素顔を見せているのと、舞台挨拶で原作者の眉村卓が出てるのがちょっと気になった程度。なにしろ、恭子先生が全然出てこないのが不満である。きーっ。
と言う訳で、中古でもなかなか出てこないので見るのは困難だが、価格自体は低いので、気になったら探してみてね。
おわりじゃい。