第10話「かなしみのさすらい怪獣」(1974年6月14日)
真っ赤に燃える大流星が地球目掛けて飛んで行く。
流星に生物反応があると言うことで、MACが直ちに出動する。
山の中に墜落した流星から、怪獣が出現して暴れまくる。
青島隊員と一緒にマッキーに乗っていたゲンは、「奴が振り向いたらすかさず撃て」と命じられるが、怪獣の顔を見た瞬間、攻撃レバーを引くのをやめてしまう。

その怪獣ロンは、実はレオがかつてL77星で可愛がっていたペットだったのだ。
L77星での平和な日々が、ゲンの脳裏に浮かぶ。
レオ「お前なかなか泳ぎがうまいじゃないか」
口を全く動かさずに喋るレオが不気味だ。
ナレ「あの可愛いロンが生きていた。ゲンは懐かしさと驚きで茫然としたのだ」

青島「おおとり、見ろ!(お前のせいだ)」
青島の指差す先で、僚機がどんどん撃ち落されていく。
……いつもの光景である。 それに、ゲンが仮に撃っていたとしても、怪獣が倒せたとも思えない。
しかし、怪獣に地中に逃げられ、ヘロヘロになって帰還した隊員たちの非難が、ゲンに集中するのも、またやむをえないことであった。
青島「一発で倒すチャンスがあったのに、こいつは撃たなかったんです」
ダン「青島!」
青島「我々はこいつと一緒に戦うのは嫌です!」

二人きりになってから、
ダン「L77星の生き残りはお前だけではなかったと言う訳だ」
ゲン「知ってたんですか……L77星にいる時は大人しい生き物でした。それがあんなに傷だらけになってしまって……よほど苦労したんでしょう。僕には撃てません」
ダン「甘えだ」
ゲン「甘え?」
ダン「お前は撃つべきだった」
ゲン「故郷を失った悲しみは、誰にも分かりっこありません。あいつにはゆっくり休める場所もない。帰っていく家もない。そんな奴を……」
ダン「MAC隊員失格だな!」 ゲンの感傷を容赦なく切り捨てるダン。

晩春の日差しが温かい野原で、白いギターを抱えてオリジナルソングを歌っているゲン。
窓を開け、星空を見詰めてみても帰る故郷はもう見えない~♪
近くで、カオルたちがなわとびをして遊んでいる。
風が強いのか、砂埃がわっさわさ舞っている。
なおこのシーンで幼い女の子たちの(以下略)
その中のひとり、ミコという女の子の母親が来る。ミコはベタベタと母親に甘えて見せる。
その様子を見ていたカオルの表情が険しくなる。カオルは、両親とも既に亡くしているのだ。

ミコは母親から貰ったキャンディーを友達に分けてあげるが、カオルはそれを受け取らず、地面に叩きつけて「えいえい、何よこんなもの」と踏みつける。ミコは泣きべそをかいて駆け出す。
ゲン「カオルちゃん、こんなことしちゃいけないじゃないか」
カオル「いいのよ、あんな甘えてばっかりいる子、大嫌い!」
ゲンには無論、カオルの気持ちが分かっていた。

と、ミコが言いつけたのだろう、母親代わりの百子が飛んでくる。
百子「カオルちゃん、ミコちゃんに謝りなさい」
カオル「……」
百子「いけないことをしたと思わないの?」
ゲン「百子さん……」
百子「おおとりさんは黙っていて下さい。さ、あやまんなさい!」
カオルは百子の手を振り払って行こうとする。

百子は追いかけて、その頬を平手打ちする。ハッとするおおとり。
カオルは涙を溜めて百子を見詰める。
さすが、カツオの中の人・冨永みーなさん、子役ながら抜群の演技力である。

厳しい母親の表情を崩さず、カオルを見据える百子。
こんな時でも、百子さんのブラが透けて嬉しいなと不埒なことを考える自分が恥ずかしい。
カオルは百子に抱き付いて泣きじゃくる。
百子はカオルをミコの前に連れて行き、しっかり謝罪させる。
カオル「ミコちゃんご免なさいね。カオル、羨ましかったの」
ミコも笑顔で頷いてみせる。
百子「ようし、仲良く遊ぶのよ。はい、ご褒美」
百子、チョコレートを取り出して二人に上げる。

一件落着かと思いきや、
百子「おおとりさん、何故知らん顔で見てたの?」 ゲン(う゛っ)
今度はその鉾先がゲンに向けられる。百子は、外見のイメージと違い、ことトオルやカオルの教育に関してはダン顔負けの厳しさを見せることがある。
百子「何故カオルちゃんを叱らなかったの?」
ゲン「しかし……」
百子「寂しいからと言って、悲しいからと言って、何をしてもいいなんてことはないわ!」
その後、ひとりで自室にいるゲン。
百子「甘えさせちゃいけないのよ、そんなの同情にもならないわ、まして本当の愛情があったら絶対知らん顔なんて出来ない筈よ」
百子の言葉が脳裏に渦巻いている。
無論、ゲンはロンのことと重ね合わせて考え込んでいるのだ。

と、ラジオのニュースが、ロンが地中に潜った為、火山活動が活発になっていると伝える。
昔のラジカセは、色んなスイッチがついててカッコイイね。
怪獣の出現が予測される場所に、MACが集結している。
ゲンも遅れて駆けつけるが、
青島「お前と一緒に戦うのは御免を被ると言った筈だ」
ゲン「青島隊員!」
青島「個人的な感情で言ってるんじゃない。任務を果たす為だ。怪獣を倒す為なんだ」
ダン「怪獣を攻撃できるのか?」
ゲン「出来ます」
ダン「ようし、他の隊員の信頼を取り戻したら、連れて行こう」
差し当たり、ダンはマックロディーに残って、レーダー監視を担当する。

その後、ロンが出現。マッキー各機が攻撃するが、ひとつ残らず叩き落される。
1話で2回も撃墜される防衛隊の戦闘機と言うのもなかなかあるまい。
青島隊員のさっきの台詞がとても空しく響く。

ゲンは、マックロディーでロンに突撃を敢行し、奮戦する。

で、最終的にはレオに変身する。ロンはレオのことを覚えていて、レオが天空を指差すと、すぐそれに従う素振りを見せる。が、レオが油断した隙に、尻尾を巻きつけてレオをひっくり返し、散々にレオを苦しめる。
ドタマに来たレオは、ロンをボッコボコに殴る蹴る。
ロンはすっかり懲りて、今度こそ大人しくなる。
レオがその頭に手をかざすと、ロンの体が青い光に包まれ、掌に乗るほど小さくなる。
そして額からビームを発し、ロンを宇宙へテレポートさせる。
ナレが「今はないL77星での平和な生活をまた与えてやりたいと願うレオの最後の友情であった」と言っているが、結局、ロンは何処へ飛ばされたのだろう? 既にL77星はないのだから、似たような平和な星へ送ったのだろうか?

エピローグで、ゲンが子犬を連れてきて、カオルにプレゼントする。
ゲンが「ロンって言うんだ」と言ってるので、てっきり、ロンを犬に変化させたのかと思ったが、別にそう言うことでもないらしい。
百子「もっと他に良い名前ないの? ロンってあの怪獣でしょ」
ゲン「うん、でもほんとは良い奴なんだ」

ラスト、またゲンの歌をバックに、野原で遊ぶカオルたちの仲睦ましい様子が映し出される。

土手を走るゲンたち。百子さん、コケそうになる。
と言う訳で、今回は特訓のない、割とのんびりとしたストーリーであった。