第18話「のっぺらぼうだ!」(1984年5月11日)
自分がこの作品を取り上げたのは、無論、ヒロインの真紀の存在が第一なのだが、窮極的にはこの第18話を紹介するのが目的だったと言って良い。
18~19話は、テンタクル編とオクトパス編の中間の、エアポケットのようなエピソードなので、ストーリー的には重要ではないのだが、この18話の徹底してコミカルなストーリーと演出は全話の中でも秀抜である。なにより、江幡高志と細矢智恵子の凸凹悪役コンビの醸し出す雰囲気がとても好き。
ぶっちゃけ、細矢智恵子演じる謎の女のキャラクターに魅了された管理人、どうせもう二度とない機会なので、今回はバシバシ彼女の画像を貼って行こうとお星様に誓うのであった。
冒頭、森の中で切り株に腰掛け、「チクショウチクショウ」と悲しげに悔しがっているのは、前回マシンマンに滅ぼされてしまった筈のテンタクルの戦闘アンドロイド、その名もテッキュウ男であった。

手当たり次第に木を倒していたテッキュウ男、人間体(江幡高志)に変身すると、視聴者に分かりやすく、なぜ自分がこんなところにいるのか説明する。
「俺はプロフェッサーKが外国へ逃げ出した時、朝寝坊してしまい、飛行機に乗り遅れてしまったのだ。寂しい。ドンはいないし、仲間のアンドロイドもみんなマシンマンにやられてしまって……俺はひとりぼっちだぁ」
メソメソと泣いていたテッキュウ男だが、やがてKの嫌いな子供たちをやっつければ、Kが日本に帰ってくれるのではないかと思い付き、「ようし、子供たちをいじめてやるぞ~」と高らかに叫ぶのであった。

一方、街中を一人の女が人目を避けるようにコソコソと歩いていた。
擦れ違う人々は彼女の顔を見て笑っている……ように本人には思える。
いたたまれなくなった女は、逃げるように人込みを走りぬける。

家に逃げ帰った女は、鏡に自分の顔を映して嘆く。
「悔しい~なんでこんな不味い顔に生まれたのかしら? みんなあたしを見て笑う。世の中の人の顔を奪ってやりたい。そうすれば笑われないで済むのに~」
分かりやすいブスメイクをした女、演じているのは細矢智恵子さん。最初は全然気付かなかったが、1982年の「ゴーグルファイブ」で、未来科学研究所の女性スタッフを演じていた人なのだ。

男「その夢を叶えてやろう」
と、突然テッキュウ男の人間体が部屋に入ってる。
細矢「誰、あなた?」
ブスメイクをしてても、十分可愛いと管理人は思うのである。

男「これは魔法の銃だ。俺と組んで復讐をするつもりはないか?」
細矢「復讐?」
男「世の中の美しい奴を悲しませるのじゃ。面白いぞ~」

男「うわっはっはっはっ、はっ……は、は、あ……顎が外れた……」
管理人、不覚にもこのベタなギャグで大笑いを喫してしまった。
テッキュウ男、その仕事に別に他の人間を誘う必要はないのだが、まぁ、こういうのはひとりでやっても楽しくないからね。女はすぐ誘いに乗る。

二人は最初の標的を捜しに、外へ出る。
細矢「うふふふふふ」
男「さて、どれにしようかな?」
空き地で、勝たちが野球をしている。男は適当にその中から美佐を選び出す。

男「まず、あの女の子からだ」
細矢「ウン

」
この「ウン」と言う頷きと表情がこれまた可愛いと管理人は思うのであった(好きなだけ思ってろ)。

その後、美佐がひとりで歩いていると、坂の上に黒衣の女が軽やかに登場。これはスタントである。
このシルエットが、いかにも怪人二十面相的な怪しさで、好きだ。

細矢「うふふふふ」
女はいきなり銃からガスを噴き出す。

美佐「キャーッ!」
そのガスが固体化して、美佐の顔に仮面が張り付く。

細矢「諦めるのね、そのお面はどうやっても取ることは出来ないわ。声も出ないし」
物陰から見ていたテッキュウ男のところへ行き、実験成功を喜ぶ二人。
が、美佐の仮面はあっさり取れてしまう。
美佐「取れたー、取れないだなんて嘘ついて、気持ち悪い!」
美佐は仮面を叩きつけて、さっさと行ってしまう。

男「あやや、そんなぁ」
細矢「なにが魔法の銃よ、こんなもの!」
怒った女は、銃を放り捨てる。
男「おりゃ、うーん、こりゃプロフェッサーKの大発明の筈なのに……長い間使わなかったから、故障してるんだ。修理するからもう一度やってくれ、な?」
美佐はそのことを、葉山家に行って真紀たちに話す。
健は、事件の裏にテンタクルの匂いを嗅ぐが、テンタクルは既に解散した筈だった。
健「それにテンタクルならこんな失敗をする筈ないし、やっぱりただの悪戯かなぁ?」
翌日、テッキュウ男と女は、改良した銃を持って再び美佐を待ち構える。

美佐「昨日のオバサン!」
細矢「オ、オバサン? 失礼ね。昨日は失敗したけど、今日はそうは行かないわよ」
女が銃口を向けて引き金を引くと、今度はガスではなく白い風船が膨らむ。
細矢「風船……? はぁ? ああっ」
撃った本人が一番びっくりしてるのが可笑しい。
風船が破裂すると、それが白い仮面になって美佐の顔に張り付く。今度はしっかりくっついて剥がれない。

細矢「あははっ、やったやったぁ! あはは」
男「大成功。お前はもう二度と元の顔には戻れない。うちにも戻れないんだぞ。のっぺらぼうのお化けに見えんからなぁ」
心から楽しそうに笑う二人。完全にいたずらっ子の笑みである。
男「さ、次を狙え」
細矢「オッケイ!」
後編に続く。続かなくても良いと言っても続くのだ。