「花のあすか組！」第18話 前編

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　第18話「スクープされたあすかの秘密」（1988年8月22日）

　とある週刊誌の編集部。

　
　新聞の縮刷版をマイクロフィルムリーダーで読んでいる一人の記者に、編集長が声をかける。
　記事は、女子中学生の喧嘩沙汰や、自殺などだった。
　編集長「梶さんよ、今度は何に鼻突っ込んでんだ？」
　梶谷「編集長、見て下さい。全中裏って言うの、聞いたことありません？　全国中学裏番組織、まだその全貌は明らかにされてませんが、何の関連もないような記事ですけど、どうもみんなひとつに繋がってるように気がするんですよねー」

　
　梶谷は更に、普通の都内の地図に透明なシートを重ねて、全中裏やあすかたちの世界における勢力図を編集長に示す。
　梶谷「幹部にはそれぞれ領土が与えられてるんですよ。なかなかどうして、大人顔負けの世界ですよ」
　編集長「これは？」
　梶谷「ええ、そんな全中裏に反旗を翻してる地区らしいんですが、どうもその実態が掴めないんですよね」
　編集長「そんな抗争がすっぱ抜けりゃ、ちょっとしたスクープだ」

　梶谷はカメラを片手に、取材に行く。

　
　公園で、ひとりの女子中学生が、数人のスケバン風中学生に暴行されている様子を撮影する。

　
　人が見たら、ただの変態盗 撮マニアにしか見えない梶谷を好演するのは、辰巳琢郎さん。

　管理人、彼を見ると、つい、ほりのぶゆきの傑作「食中毒バンザイ！」を思い出してしまう。

　と、そこへミコが通りかかる。
　ミコ「何やってんだよ、おっさん？　助けてやらねえのかよ」
　梶谷「助けたんじゃ仕事にならないんでね」

　ミコはしばらく梶谷の顔を見詰めていたが、やおらその向こう脛を蹴飛ばすと、いきなり突っ込んで行って、スケバンたちを蹴散らす。

　梶谷はミコを追いかけ、名刺を渡して話を聞こうとする。
　例によって食い意地の張ったミコは、パフェをご馳走になる。

　梶谷「さっきの連中さ、全中裏って呼ばれてる連中じゃないかな？　そうなんだろう」

　
　ミコ「だとしたら、どうなんだよ？」
　梶谷「どうなんだって、君、そんな暢気なこと言って平気なの？」
　ミコ「平気だよ」
　梶谷「仕返しされたら？」
　ミコ「また仕返しするさ」
　梶谷「たった一人で？」
　ミコ「ああ」
　梶谷「そうか、君、もしかしたらもうひとつの組織の人間じゃないかな」

　
　梶谷「全中裏に対抗してる組織があるって言うじゃないか……図星だな」
　ミコ「そんなもんねえよ」
　梶谷「それじゃさっき君の取った行動が理解できないじゃないか。僕の調べたところによると……」
　ミコ「おっさん、ガキの世界だと思って首突っ込むと火傷するよ。気をつけな。ごっつぁんでした」
　無論、ミコは「あすか組」のことをペラペラと喋るような真似はしない。

　
　梶谷はミコをマークし、泰山学園から出てきたあすかとはるみと合流し、仲良く帰宅する様子を、学校の敷地内に入り込んで堂々と激写する。

　今なら4秒で通報されるところだ。

　三人はそのままあすかの家に入って行く。

　例によって、春日がそのことをひばりに報告に来る。
　春日「全中裏のことをスクープしようとしている記者がいます」

　
　ひばりは、即座に印字された命令書を投げ付ける。

　
　春日（はやっ！）

　ひばり様、どんな状況にも対応できるよう、日頃から様々な命令書を手元に用意しているのだろうか？

　つーか、口で言えよ。

　梶谷、ミコたちの写真を見ながら、同僚からの情報を電話で聞いている。
　梶谷「堂本ミコ、西区はぐれスケバン、香月はるみ、私立泰山学園生徒会長、九楽あすか……、えっ、もう一度言ってくれ。篠宮余一郎の孫娘ぇ？　あの政財界とも繋がりを持つ、篠宮グループの？」

　あすかが、大物の孫だと知って驚く梶谷。
　余一郎は、あすかの母方の祖父で、1話であすかが自殺未遂をした時、あすかに生きる力を呼び起こした人物だ。

　梶谷は再び街へ出て、片っ端から女子中学生たちに声をかけて情報を集める。

　
　取材中たまたまミコの後ろ姿を見掛け、話しかける。
　梶谷「やあ」
　ミコ「おっさん！」

　ミコは警戒してすぐ離れようとするが、梶谷の「あすか組、はぐれスケバンこと堂本ミコ！」と言う声に思わず振り返る。

　
　ミコ、今度はポップコーンを食べながら公園で梶谷と話している。
　ミコに、何故そんなことを調べているのか訊かれ、
　梶谷「世間に公表するんだよ」
　ミコ「金の為にか？」
　梶谷「君たちのことを大人たちに分かって貰うためだ。僕は今まで全中裏と呼ばれる裏番組織を調べてきた。これがまあ意外と大きな組織だったんで、正直驚いている。まさかその全中裏に、反旗を翻してる組織があるなんて思ってもみなかった。君の入っているそのあすか組ってのもなかなか大きな組織なんじゃないの？　あすか組の構成員はどれくらいなんだ？」
　ミコ「ひとり」
　梶谷「ひとり？　じゃあ、あすか組のバックにもっと大掛かりな組織でもあるのか？」
　ミコ「それを調べるのがおっさんの仕事だろう」

　ミコは今回も、食うだけ食うと、肝心なことは教えずにさっさと消える。

　その後ろ姿に向かって梶谷が一言、「子ダヌキめ！」

　梶谷、一人編集室で記事を書いている。

　「九楽あすか、15歳、私立泰山学園2年、小学校は優秀で、生徒会役員を5期務める。活発で利発な子であった。それが、中学に進学した直後から、いじめが始まる。要因は全中裏の支配に逆らおうとした為だと思われる。その結果は自殺未遂で、神経科に入院、嘔吐と発作を繰り返し、3ヵ月後に退院（後略）」

　梶谷の綴るあすかのプロフィールには、今まで語られなかった部分も含まれる。

　
　引き続き、あすかたちの後を付け回している梶谷だったが、春日の意を受けた全中裏の一団に取り囲まれ、人気のない公園へ連れて行かれる。
　栄美「お前、何を探っている？」
　梶谷「全中裏とあすか組の抗争だ」
　栄美「そんなものはない！」

　栄美は部下に梶谷の取材メモを燃やさせ、これ以上取材するなと脅す。

　栄美たちが立ち去ろうとした時、梶谷がある取引を持ちかける。

　このスケバン、劇中には役名が出てこないので、演じている（と思う）長岡栄美さんの名前を拝借した。

　続く。