「花のあすか組！」第15話

【楽天ブックスならいつでも送料無料】花のあすか組！ 弐［2枚組］ 最終巻 [ 小高恵美 ] 価格：8,467円（税込、送料込）

　第15話「うそつきっ！」（1988年8月1日）
　はるみが、あすかたちと仲違いをし、あろうことか、全中裏（春日）に寝返ってしまうと言う衝撃のストーリー。

　ただし、最初に書いておくと、無論全ては春日を騙す為の「お芝居」である。ま、それはそれでいいんだけど、サブタイトルで既にネタバレしてる気もするし、途中、アンフェアな描写も見受けられて、作品としては成功しているとは言えない。

　冒頭、全中裏本部で、春日が二人の幹部を呼んで糾弾している。
　春日「北2区・松本真弓、南3区・藤井礼子、お前たちが我が全中裏に陰謀を企てたこと、全てこのファイルに記録されている。このファイルがひばり様の知るところとなれば、お前たちは蘭塾送りだ」
　真弓「春日様、それだけはお許しを」
　礼子「二度と、全中裏に逆らうようなことは……」

　春日は、彼らの蘭塾（再教育センター）行きと引き換えに、あすか組を潰して来いと命じる。

　
　なお、礼子を演じている助川ユキさんは、「少女コマンドーいづみ」のレギュラーだった。なかなか可愛い。

　
　今回、要所要所でこういうサブタイトルのようなものが表示される。これもネタバレに近い。

　
　80年代後半、女子の好きなものはクレープと決まっているので、クレープ屋さんで話しているあすか組。
　ミコ「今言ったことどういう意味だよ」
　はるみ「だから二人とは住む世界が違うって言ってるんです」
　ミコ「なにぃっ」
　カッとなったミコ、はるみの持っていたクレープを相手の顔に押し付ける。クリームまみれになるはるみ。はるみもやり返し、クリームまみれになるミコ。クリームまみれの女子中学生にしかコーフンできない人（いるか、そんな奴）は要チェックです。

　はるみは席を蹴立てて去って行く。同じ店に礼子たちがいて、その様子を目撃し、すぐに春日に報告する。

　その後、同じ店で二人だけで会っているあすかとミコ。
　ミコ「はるみが全中裏の春日のところに会いに行っちゃったよ」
　あすか「はるみが言ってたように、あたしたちとは住む世界が違うんだよ」
　ミコ「あたし、はるみに会ってきっちり話をする」

　はるみが春日に会いに行ったのは作戦の一部である。その真意を当然彼らも知っている筈なのに、こんな会話を交わすのは変である。周りに全中裏のメンバーがいて、芝居をする必要があったと言う形跡も見られない。

　全中裏の本部へ堂々やってきたはるみ、春日に「西3区・泰山学園を永世中立区にしたい」と意外な提案をする。
　はるみ「西3区を私にお任せください。西3区を変えて見せます」
　春日「あすかは認めたのか」
　はるみ「私の知恵に力さえあれば、西3区からあすかさんを追放して見せます。今の二人を私の思うがままに操れるよう、春日様にお力添えして頂ければ」
　春日「出来ないことはない……しかし、そう簡単に信じるわけには行かない」
　春日は、「あすか組を抜け出した証拠が見たい」と、はるみに盗聴器を渡す。
　はるみはそれをポシェットに入れる。部屋を出る間際、「あなたのような冷静で知能に長けた人によって全中裏は運営されていたんですね」とお世辞を言う。

　
　春日、そう言われて満更でもない顔になる。単純で可愛い奴。肌もつやつや。

　はるみがひとりで歩いていると、ミコが現れる。はるみはすぐ髪をかき上げて見せる。これは「芝居をしろ」と言うブロックサインである。

　ミコ「春日のところへ何しに行った？」
　はるみ「いずれ話そうと思ってましたが、西3区を永世中立区にして貰おうと思って」
　ミコ「なんだよそれ」
　はるみ「あすか組にも全中裏にも属さない、争いごとのない区です」
　ミコ「てめえ今更なんだよそれは、元々全中裏から救ってやったのはあすか組だろう？」
　はるみ「平和になればあすか組だってなくなるんじゃありません？」
　ミコ「うるせえ！」
　ミコ、鉛入り（かどうか知らないが）の巾着袋をはるみのお腹にめり込ませ、「二度とあたしの前に顔見せんな！　お前なんかあすか組でも何でもねえよ」と、その場を離れる。

　そのやりとりを、盗聴器を通じて本部で聞いている春日。

　
　その後、テープレコーダーのスイッチを入れてから、全中裏の車に乗り込むはるみ。
　春日「永世中立区を認めさせる為に、あすかの金貨を持って来い。そうしたら信じてやろう」
　はるみ「……やってみます」
　春日「お前のような奴、中立区の人間にしておくのは勿体無い。全中裏に入れば立派な参謀になれるだろう」
　はるみ「私もあなたがひばりと呼ばれている方の地位にいる人なら考えたかもしれません。でも得体の知れないお方の下につく気はありません」
　はるみがさりげなく水を向けると、
　春日「難しいお方だからな……時々分からなくなる、ひばり様が一体何を考えているのか」
　と、思わず本音を漏らしてしまう春日。

　はるみ「春日様、あなたが上に立てば全中裏の理解者は確実に増えることでしょう」

　
　おだてられた春日、ひばり様の玉座に自らが座ることを妄想する。

　
　やがてはるみは車を降りるが、ちょうどあすかたちと行き会う。春日が車を停めさせ、その様子を窺っているのを知ったはるみ、髪をかきあげてから、いきなりミコの向こう脛を蹴る。
　ミコ「いって～、何すんだよ～」
　はるみ「この間の仕返しです……あすかさん、折り入って話があります。あとでお宅に伺いますわ」

　
　その夜、はるみが約束どおりあすかの家を訪れる。春日に聞かせる為、芝居をする二人。
　あすか「いい加減にしろ！」
　はるみ「いいえ、西3区を永世中立区にする為に、あすかさんの金貨が必要なんです」

　ところが、ここであすかの母親がマジ喧嘩だと思って仲裁に入る。
　母親「ダメじゃないのあすかちゃん、さっきまではるみちゃんが来るのあんなに楽しみにしてたのに……」
　その言葉に、一瞬固まるあすかとはるみ。

　盗聴していた春日、その一言で全てを悟る……筈もなく、あすかが咄嗟に「ああ楽しみにしていたよ、こいつをぶん殴れると思うとな」と言ってはるみをビンタすると、コロッと騙される。

　涙を滲ませて出て行くはるみに、あすかは「そんなに欲しけりゃくれてやるよ。二度と顔見せんな」と金貨を投げる。……これもなぁ、「マブダチの命」である大事な金貨をこのタイミングではるみに渡すと言うのはとても不自然だ。

　その後、野外ステージの上で、礼子たちに襲われているあすか。金貨がないので苦戦を強いられる。ミコが助けに入るが、彼女も一方的に攻められる。

　
　はるみは金貨を春日に見せるが、
　春日「お前との約束は守ってやる。しかしあすかを助けるとは言ってない筈だ」
　はるみ「そんな……」
　春日「その金貨をこれであすかに打ち込めば、全て信じよう」
　春日は、「少女コマンドーいづみ」のいづみが愛用していたスリングショットを取り出してあすかに金貨を撃つ込むよう命じる。

　はるみの放った金貨は、さらしを巻いたあすかのどてっ腹にめり込む。
　ミコが抱き起こすと、あすかはガクッと「死亡」する。死ぬなよ。

　春日、それを見届けると、「このファイルで藤井と松本も動く。好きにすると良い」と、最初に二人にちらつかせていたファイルをはるみに渡す。そして車に乗り込んで去って行く。

　
　春日がいなくなった後、倒れていたあすかがヒステリックに笑い出す。
　礼子たちもキャッキャッ言って騒ぎだす。そう、最初から全員グルだったのだ。

　芝居のフィナーレのように、観客（礼子たちの部下）に挨拶するあすかたち。
　すべて、二人（真弓と礼子）の謀反の証拠であるファイルを春日から奪取するのが目的だったのだ。

　それによって、二人は全中裏から穏便に抜けられる、と言うことらしいのだが……、いまひとつ腑に落ちない。最後は春日にも芝居だったと分かるのだから、その後、二人が報復を受けるのは目に見えている。

　それに、春日があんまり簡単な彼らに騙されるので、あすかたちが凄く狡猾に見えてしまうのもペケだ。

　
　最後、春日は北2区と南3区（つまり礼子と真弓）があすかについたことをひばり様に責められ、さらに、はるみが送ったテープ（はるみに漏らした春日のひばり様への本音）をひばり様の前で再生させられ、とても気まずい思いを味わう。
　そしてひばり様から「うぬぼれるな」と言うありがたいメッセージカードまで頂戴し、屈辱にまみれる春日。
　頑張れ、春日！