「暴れん坊将軍」を彩る女優さん～その13

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　今回は第4シーズンの30話「将軍暗殺！　女豹が飛んだ」をクローズアップ現代してお送りします。何故なら、とても好きなエピソードだから。自分の中では、4シーズンのみならず、「暴れ～」全体を通してもベスト10に入る作品である。

　もっとも、このタイトルはどうかと思うけどね。

　「江戸に黒豹がいるかぁーっ！」（byほりのぶゆき）ってことになるからね。

　
　物語は、町中で吉宗と親友である山田朝右衛門（栗塚旭）がばったり出会うところから。朝右衛門は、かつて公儀お試し御用、つまり首斬り役人として名を馳せた剣の達人なのだった。で、彼は今から酒を買ってくるから、吉宗に先に自分の長屋に行ってくれと頼む。

　
　吉宗が長屋でくつろいでいると、壁越しに、隣の部屋から女の声で「仕事があるからどこそこへ来てくれ」と話しかけられる。吉宗は（暇なので）朝右衛門のふりをしてそれを承諾する。

　
　山田朝右衛門に事情を話してから、吉宗は指定されたところへ向かう。と、他にも似たような年恰好の中年三人組の浪人がいて、一触即発状態になるが、そこへ依頼主の女性が現れる。彼らも吉宗のように仕事の依頼をされてきたらしい。

　この、ゲストの三人がとても魅力的なキャスティング。山本和彦に、赤塚真人、そして沢竜二と言う布陣。豪華です。

　
　で、肝心のヒロインは藤奈津子さん。

　彼女は古寺に彼らを連れて行き、雇い主である藩士に引き合わせる。その場では具体的には仕事の内容は説明されず、ただ、誰か大物を暗殺するのだということを匂わせ、そのために藤奈津子を加えた5人で、旅をして、旅先で仕事を果たすのだという。
　吉宗は事件の真相を探るため、承諾する。他の三人も金のために請け負う。

　
　旅立つまでに、三人の個人的事情を描くのがツボを得た演出。
　沢竜二は、馴染みの芸者に前金を渡し、帰ったら所帯を持とうと約束する。

　
　赤塚真人は家族に前金を渡し、しばしの別れを告げる。

　この古女房、大抵悪役で出てくる女優さんですね。稲葉浩子さんと言うのかな？

　
　係累のない山本紀彦は、居酒屋で景気よく酒を振る舞っていた。しかし、どう見ても悪人だけど今回はそうでもない知り合いに、何者かが彼を付け狙っていると忠告される。彼にも何か事情がありそうだ。

　
　吉宗は吉宗で、大岡越前たち腹心に、陰謀を探るため、旅に出るとムチャを言う。ちょうど、将軍としての吉宗も何かの用事で旅に出る予定なので、その身代わりとしてお庭番の五代高之が指名される。目を白黒させる五代さん。

　
　で、この5人による珍道中が始まるのだが、これがかなり面白い。別におかしなことは起きないんだけど、それぞれ個性的な俳優が演じているので、それだけで美味しくご飯がいただけるのだ。

　
　旅籠で仲良くご飯を食べている図。

　ここで、山本紀彦は脱藩者で、事情があってカタキに狙われているとも告白する。彼には非がないのだが、長年の浪人生活に疲れ、相手に斬られてもいいと思うようになったとも漏らす。この脇のドラマもいいんだよね。

　
　吉宗は、抜け駆けして藤奈津子を口説こうとするが、失敗する。

　
　さらにしつこく、彼女が外出したところをストーキングするが、逆に殺されそうになる。

　そう、奈津子さんは忍者だったのです。うひ。

　
　で、いろいろあって、遂に目的地である荒れ果てた無人の宿場町にやってくる吉宗たち。彼らは、雇い主から、某藩の藩主が悪逆無道なので公儀が内密に暗殺しようとしており、そのために彼らが雇われたのだと説明される。が、吉宗はその藩主にそういう噂がないことを知っており、不審に思う。

　案の定、雇い主は嘘を言っており、実は旅行中の将軍吉宗暗殺こそが真の狙いだったのだ。つまり、吉宗の行列を襲わせて、彼らを一時的にこの宿場町に来させ、それを悪い藩主として暗殺させるという作戦である。

　……ただ、サブタイトルに最初から書いてあるんだよなぁ。うーむ。

　
　で、吉宗は替え玉である五代高之に芝居をさせ、斬ったふりをする。

　この辺の設定は、「13人の刺客」みたいで燃える。

　
　吉宗たちは、首尾よく任務を果たし、雇い主から酒を振る舞われるが、吉宗はエスパーの如く、それが毒酒だと看破する。まあ、用済みになったら殺すというのはパターンなんだけどね。ここで、屋外を舞台に、結構迫力のあるチャンバラが繰り広げられる。

　
　その中で、山本紀彦をカタキと狙い、ひそかに尾行していた若い武士が襲ってくるが、彼は戦いに巻き込まれて横死してしまう。彼に殺されるつもりだった紀彦は、自分が生き残ってしまい、慟哭する。いいですねえ。

　
　藤奈津子と二人で逃げてきた吉宗。奈津子は最後になって、家族を人質に取られているので仕方なく従ってきたと打ち明ける。

　
　と、ここでもお約束の展開。追ってきた刺客の放った矢を自ら受ける奈津子。

　
　刺客たちは、護衛のためにやってきていた山田朝右衛門に斬られるのだが、栗塚旭さんの動きがとてもスローモーなので、斬られ役の皆さんがいかにも遠慮がちなのが笑える。

　
　そして、いつものように吉宗の胸の中で美しく死んでいくヒロイン。

　最後は無論、黒幕たちを吉宗たちがぶっ殺して終了。この最後の殺陣も、屋外でやられているので、今回、セットでのチャンバラが一切ないと言う、珍しい回になっている。

　
　短い間だったが道中をともにした奈津子を弔い、仲良く帰路に着く中年四人組。

　奈津子以外、誰も死なないのもいいんだよね。殺せばいいってもんじゃないのだ。


　ヒロインの魅力もさることながら、やっぱりプロット、シナリオの面白さが抜群なんだよね。中堅俳優を贅沢に並べたキャスティングも。他に悪役で浜田晃、北村晃一（イナズマンに出てた人）なども出てるのだ。