第11話「運が悪けりゃゴリラが泣くぞ」(1979年7月15日)
の続きです。

あつ子から聞いた話を、事務所でゴリラに聞かせている麻生。
ゴリラ「じゃ、美代ちゃん、その子の身代わりに?」
麻生「竹田あつ子と言うその娘には最近結婚話が持ち上がっていた。そのことを知った石田は、昔のことをバラすと脅迫してきたんだ。そこでだ、お前さんの彼女は、妹のように可愛がってるあつ子さんに代わって、自分が話をつける為に、何度か石田のところを訪れていたと言うわけだ」
ゴリラ「なんてバカなことを、俺に一言言ってくれれば……しかし何で彼女そのことを言わないんだ」
麻生「ことが公になるとな、結婚話と言うのは壊れてしまう。そこで、お前さんの彼女は自分で泥を被ろうとしているんだ」
ゴリラ「そうか、そうだったのか……いじらしいなぁ……うう」
美代子の気持ちを知って、感動して嗚咽するゴリラ。
ゴリラ「それにしても許せんのは石田って野郎だ、そんな奴、殺されて当然だ」
麻生「おいおい、刑事さんが物騒なこと言うんじゃないよ」
思わず苦笑する麻生。
ゴリラはそのことをすぐ城北署に知らせに行こうとするが、麻生が止める。
麻生「お前さんの彼女は、妹のような娘の秘密を守る為に、じっと耐えてるんだ。もし秘密がばれて、結婚話が壊れたら、一番悲しむのはお前さんの彼女じゃないのか? しかし、恋人の罪を軽くしたいと言うお前の気持ちも良く分かる。よし、一度彼女と会ってじっくりと話をしてみろ」

麻生のアドバイスに従い、ゴリラは城北署に美代子を訪ねる。
美代子「雄ちゃん!」
ゴリラ「美代ちゃん、俺にだけは本当のことを話してくれ」

美代子の申し立ては、弁護人を引き受けたらしい藤波の口から、麻生に伝えられる。
いつものようにカップラーメンを食べながら、
藤波「彼女、石田を殴ったことははっきりと認めていたよ」
麻生「殴った?」
藤波「ああ、石田と言うのは相当なワルでな、話をつけるどころか、彼女にまで手を出そうとしたそうだ」
麻生「彼女はその男を殴ったことは認めたと言いましたね? しかし、死んだかどうかは確かめていない。違いますか」
藤波「さすがだな、その通りだよ。それどころか、俺は彼女が殺したとは考えていない」
久美「どういうことですか」
藤波「つまりだ、大町美代子が石田に襲われ、思わず身を守る為に青銅の置物で石田を殴りつけた。そして石田が倒れるのを見て、気が動転して逃げ出した。当然、置物には彼女の指紋が残っている筈なんだが」
麻生「うん、ないと?」
藤波「かけらもな。彼女のだけじゃない、指紋と言う指紋は全て綺麗に拭き取られていたんだ」
久美「と言うことは、彼女が逃げた後に、誰か他の人が?」
麻生「それだ。そいつが5000万をかっぱらった」
ダーツが、石田の遊び仲間で安井と言う男が、事件当日、石田に金を借りに行くと話していたと言う情報を聞き込んでくる。早速、麻生と二人で安井を見付け出し、空き地の廃バスの中で安井を縛り付け、ダーツで脅して白状させる。安井は、美代子が出て行った後で部屋に入り、金目のものを物色していると、死んだと思っていた石田が意識を取り戻してしがみついてきたので、慌てて何度も置物を叩きつけて息の根を止めたのだった。
安井、石田殺しは吐いたが、5000万については何も知らないと言い張る。

ダーツがゴリラに電話して安井のことを知らせる。ゴリラはひとりで来て、安井の身柄を確保する。
と、川を跨いだ向こう岸に、麻生が立っていた。

さすがのゴリラも、麻生たちの厚情に、神妙な顔で深々とお辞儀するのだった。
もっとも、桂から知らされた城北署の連中がやってきて、手柄は城北署のものになるのだが。
それでも、安井の告白で、美代子は(傷害容疑は残っているが)釈放される。ゴリラは美代子と一緒に晴れ晴れとした顔で、城北署を後にする。
以下、ネタバレあり。 一方、麻生たちが気になるのは無論、5000万の行方だ。
麻生、トイレにこもって考え中。
そこへ、陸送の仕事で遠方へ行っているナビさんからユーコへの土産を、マンションの管理人(下川辰平)が持ってくる。つまり、今回、ナビさんは出てこないのだ。
管理人「お、模様替えしましたね」
ジュン「よくお気付きで」
管理人「そりゃもう、管理人と言うのは居住者のことについてはもうなんでも手に取るように……」

管理人の言葉が終わらないうちに、麻生がトイレから飛び出てくる。
麻生「分かった。5000万ネコババした奴が分かった」
ダーツ「誰?」
麻生「その前に、マンション殺人事件において第一発見者と言うのは、こりゃ誰だ?」
ユーコ「管理人でしょ」
麻生「しかり、して、居住者以外のもので、部屋の様子をもっともよく知っていると言うのは誰だ?」
麻生の言葉に、みんなの視線が管理人に向けられる。
ダーツ「じゃ、ネコババしたのは、あのクソジジイ!」
麻生「よし、勝負だ!」

その「クソジジイ」こと、石田のマンションの管理人・川原は、麻生の推理した通り、管理人詰所で、にたにたしながら大金を数えていた。
川原を演じているのは奥村公延さん。

そこへ現れる麻生たち三人。
麻生「随分貯め込んだな。どうするんだ、それ?」
ジュン「定期貯金なんか如何ですか」
ダーツ「いや、土地買ったら良いと思うんだよな。あ、国債なんてどう?」
ジュン「ここはやっぱり、手堅くバクチ!」
麻生「警察へ行って、余生を刑務所で送るか、それとも、この金を俺たちに渡すか」
麻生が管理人を脅していると、本来の持ち主である暴力団が登場。彼らも頭を働かせて、事件の謎を突き止めたらしい。
で、いつものように5000万の争奪戦が繰り広げられる。

暴力団が警察に捕まえられるのを尻目に、こっそり外へ出てくる三人。
ダーツ「どういうわけか、ポケットにこんなものが」
ジュン「粗品ですけど、うう~」
麻生「何故か、ああ~」
こっそり札束をちょろまかしてきた三人、笑いを噛み殺して喜ぶ。

そこへいつものパターンでゴリラが現れ、その金を没収する。
だが、ここからいつもと違い、
麻生「おい、おらっ、おい、貴様、恩と言うものを知らんのか」
ゴリラ
「すいません」 ジュン「毎回毎回一件落着みたいな顔で出て来やがって!」
麻生「義理と人情を取ったら、お前に何が残るんだ?」
と、逆にゴリラを威圧する。
ま、結局、
ゴリラ「それとこれとは別だ~逮捕する~」
と言うことになるのだが、三人は札束を取り戻し、一目散に逃げて行く。
しかし、次のシーンではみんなで溜息をついているので、最終的には、金は返したのだろう。
ゴリラから正式に依頼されたわけでもないので、今回も無報酬に終わったのだ。

藤波「一件落着、すべて無事に片付いたそうだな」
そんな気持ちも知らず、藤波と久美がにこやかな顔で登場。
麻生「片付くには片付きましたがね……」
ダーツ「例によって無報酬」
藤波「そうでもないぞ。城北署から報奨金を預ってきたぞ。感謝状もあるぞ」
藤波の言葉に色めき立つダーツたち。が、封筒の中身はたったの900円。
藤波「規定により民間人への報奨金は1000円だ」
ダーツ「900円じゃない」
麻生「100円は税金だ」 藤波「まぁ、そうしょげるな。今に良いことだってあるさ……おっ、そうだ久美ちゃん、我々もひとつ、例の奴を一緒にやってみようじゃないか」
久美「はい、皆さん整列、二列縦隊、回れ右、位置について」

久美の号令に従って、横に並ぶ6人。
麻生「せーのっ」
一同「俺たちは」

一同「天使だ!」
と、みんなで可愛くポーズを決めて大団円となるのだった。
今回は、随所に本格ミステリーっぽい会話が見られて、なかなか面白かった。