第17話「鉄人モンスの最後」(1984年5月4日)
前半の、テンタクル編の最終エピソードである。
度重なる敗北に、すっかり自信をなくしたテンタクルのドン、プロフェッサーK。鉄人モンスはそんなKを励まし、自らマシンマンと決着をつけると豪語する。
モンス「ドン、マシンマンを倒す秘策を授けて下さい」
K「分かった。これまでの戦闘シーンを再現せよ」
多面モニターで過去の戦闘シーンを凝視するK。
その天才的頭脳が出した秘策は、「マシンマンに光線銃と剣を抜かせるな、その前に一気にカタを付ければ勝てる!」と言う、かなりざっくりしたものだった。
モンスは戦闘アンドロイド・ジシャク男と二人で、とあるダムを襲撃する。マシンマンをおびき出す為だ。
一方、いつも平和な葉山家では、健と真紀、勝がお茶の時間を楽しんでいた。
しかも、明日は編集長の発案で、みんなでハイキングに行こうということになっていた。
真紀「健さんも行くわよね」
健「ああ」
真紀「じゃ、明日のお弁当何がいい?」
勝「おにぎり、サンドイッチ、鳥のカラアゲ、お菓子もたくさんだよ~」
真紀「任しといて、健さんは?」
健「勝君と同じでいいよ」←最低の答え
真紀「健さんとハイキングに行くなんて初めてねえ。楽しみだわ」
本当に嬉しくてしょうがない真紀。

そこへ編集長から電話。
真紀「編集長、明日のハイキングのお弁当はサンドイッチにしました。えっ鉄火丼?」
編集長「何をいっとるんだ? 鉄人が黒谷ダムを破壊しようとしている。現場へ飛べ!」
舞い上がってボケる真紀だが、その言葉にすぐ表情を引き締め、ダムへ向かう。
健も、真紀から聞いてドルフィンで一足早く現地へ飛ぶ。

マシンマンに変身してモンス、ジシャク男と戦うが、ジシャク男に磁力でワープスロットルを引っ張られたところを、モンスの剣で払い落とされる。その際、右手を負傷してしまう。
苦戦するが、ボールボーイが助けに来たので、モンスたちは一旦引き揚げる。
健はスペースコロニーに戻って右手の治療をし、モンスも、Kに更なるパワーアップを願い出る。
さすがに強靭なアイビー星人の健も、一晩では怪我は完治しない。

そこで、左手でも武器を扱えるように、夜を徹してトレーニングに励む。
Kも、その頃、徹夜でモンスの強化手術を行なっていた。

夜が明けてからも、健は、引き続きトレーニングの必要があると、ボールボーイに頼んでハイキングに行けなくなったと言う手紙を真紀のところへ届けて貰う。
真紀「折角楽しみにしてたのに、もう、つまんない!」
露骨にがっかりする真紀。それでも、勝の友人達もどやどやとやってきたので、編集部員たちと一緒にハイキングへ出掛ける。

同じ頃、モンスの改造手術も完了。
K「おお、我ながら惚れ惚れする。これならばマシンマンに負けはせぬ。しかし、徹夜の改造でいささか疲れた」
モンス「お体に障ります。お休み下さい」
K「うん、そうしよう」
と、Kは寝室へ下がる。
これが固い絆で結ばれた主従の最後の別れとなる……。
モンスはジシャク男に運転手に化けさせ、マシンマンのことを知っている筈の真紀たちの乗るバスをジャックさせ、マシンマンをもう一度おびき出そうとする。

ジシャク男は、ハイキングバスを人気のない場所まで運転し、崖っぷちに止める。
ジ「助かりたければ、マシンマンをここへ呼べ。お前たちの中にマシンマンを知っている者がいる筈だ」
亀「はいはい、分かりました。お呼びします。マシン……」
真紀「ダメ、亀太さん、これは罠よ、マシンマンを呼んじゃいけないのよ!」
ジ「マシンマンを呼ばなければ、このバスは落下し、お前たちは死ぬのだ」
ジシャク男はさっさとバスから降りる。
一緒にハイキングに来ていたボールボーイ、テレパシー回路で直ちにマシンマンに知らせる。
健はドルフィンで急行し、バスをまず安全なところへ運ぶ。

そして、岩場でモンスとの決戦が始まる。
ジシャク男は同士討ちであっさり倒される。
モンス、さすがにテンタクルの最高幹部、しかもパワーアップされたばかりで、マシンマンを大いに苦しめる。

マシンマン、右手が思うように動かず苦戦するが、途中から左手に持ち替え、変則的な状態で戦って、最後は必殺マシンサンダーでモンスを撃破する。
モンス「見事だ、マシンマン……」
これがモンスの最後の言葉だった。

オウムの「えらいこっちゃー!」と言う声に、Kが起き出してくる。
そして、鉄人モンスの死を知り、虚脱したように座り込む。

無事助け出された真紀たち、岩場でマシンマンを見て歓喜する。
が、例によってマシンマンのスクープ写真を撮り損ねて、真紀は泣きべそをかくのだった。可愛い……。

スペースコロニーでボールボーイと話す健。
健「鉄人は倒したが、テンタクルは壊滅したんだろうか?」
ボ「うーん、どうなんだろうねえ。でも、油断できないよ」
考えたら、健は、敵の親玉であるKとは会ったこともなければ、その存在すら知らないままなのだった。
そのK、何故かスペインの酒場にいた。
ナレ「マシンマンとの戦いに敗れたプロフェッサーKは、南スペインの港町へ流れてきた」
そう、悪の組織のボスが、最愛の幹部を失ったショックのあまり、海外へ傷心旅行へ行くと言う、特撮ヒーローモノとしては異例の展開となるのだ。これは、演じる天本英世氏が実際にスペイン旅行の為、一時番組から降板することになった為らしい。

ちなみにKの前で踊っているのが、20話から新しい敵オクトパスの女王として登場するレディーM(湖条千秋)である。彼女は、Kの姪なのだ。

そして、Kに酒を注ぐスキンヘッドの男が、同じくオクトパスの幹部として20話から登場するトンチンカン(大島宇三郎)なのだ。

K「ワシの胸は今、痛みと怒りに震えている。ワシは悲しみを乗り越える為、ひとまず旅に出た。だが、老兵は死なん。いつか必ずワシの嫌いな子供たちのところに戻り、また苦しめてやる。それまでマシンマン、お前とはお別れだ」
と言う訳で、これでテンタクル編は完結。