第27話「初恋泥棒にご用心」(1979年8月4日)
ファーストカットは、海水浴場。恒例の、慰安旅行のついでに撮影して来ました的エピソードかと期待が膨らむが、

果たして、期待を裏切らず、いきなりマリアの横乳が波に揉まれている!
ただ、今回の主役は彼女ではないので、彼女のビキニ姿はほとんど見られない。
そこはリゾート地と言うより、東京近郊の気軽に行ける小さな海水浴場、と言う「てい」らしい。

他にケイコ、トモコ、京介、四郎、そしてケイコの弟マサルも来ている。
浮き輪の中で溺れる器用なマサル。
もう一人、トモコの妹ユキと言う女の子も一緒だ。京介や四郎が競うように潜っては彼女にサザエなどの獲物を持ってくる。

楽しく遊び興じるバトルフィーバーの面々。マリアの油断したお腹がたまりません。
その隙だらけの様子を、サロメと黒仮面怪人が基地の中から羨ましそうにモニターしている。前回で、彼らがバトルフィーバーだと言うことは既にエゴスに知られてしまっている。
好戦的な怪人はすぐ攻撃しようとするが、サロメに止められ、今回の作戦の肝である、アンドロイドの作成に取りかかる。マネキンのような素材を機械に入れて操作すると、たちまち一人の美少年が誕生する。
ユキがひとり、磯で貝殻を拾っていると、どこからか笛の音が聞こえる。音のするほうへ行ってみると、その美少年が岩場に座って貝殻の笛を吹いていた。

二人はすぐに仲良くなる。
少年タケシは、自分の胸にかけていた子安貝のペンダントをユキにプレゼントする。
タケシ「とてもよく似合うよ」
ユキ「まあ」
タケシ「本当だよ」
ユキ「嬉しい、嬉しい!」
嬉しさのあまり、ピョンピョンその場を飛び跳ねるユキ。と、ペンダントが海に落ちてしまう。だが、タケシはすぐさま海に飛び込み、一瞬でペンダントを拾って戻ってくる。

ユキ「まあ!」
ユキは驚きはしたものの、怪しまず、かえって少年に対する憧れを強くするのだった。
ユキを演じているのは佐藤三千代さんで、かなりの美少女だ。
放送時点では既に夏休みと言うことで、次の場面では小さな森の中で蝉取りをしているユキとマサルの姿。マサルが木に登っている間に、ユキは再びあの笛の音を聞きつけ、タケシ少年と再会する。

ユキ「こんにちはーっ」
タケシ「やあ、君か」
ユキ「やっぱりあなただったのね」
タケシ、貝のペンダントを見て、「まだ持っていてくれたの?」
ユキ「これ、私の宝物!」
タケシ「ふふ、よし、スケッチしてやろう」
と、タケシは持っていたスケッチブックにさらさらさらとユキの肖像画を描いてくれる。
マサルがやってきて蝉取りを手伝ってくれとユキに言うが、すっかり恋の虜になっているユキに、マサルの言葉など届かない。ユキは自分のマンションへタケシを誘う。なかなか積極的である。
ユキが甲斐甲斐しくメロンなどを切っている間、タケシはキョロキョロと室内を見回し、鏡台を見て、
タケシ「君、口紅使うの? 子供の癖に」
ユキ「それ、お姉ちゃんのものよ」
タケシ「そうか、姉さんと二人暮らしだったね」
タケシは、こっそり口紅の中に発信機のようなものを仕込む。
完全にタケシにのぼせあがったユキ、彼に描いて貰った自分の肖像画をうっとりと見ている。

トモコ「ユキちゃん、ユキちゃん! この頃どうしたの? やけにぼんやりして」
見兼ねた姉が注意するが、
ユキ「お姉ちゃんだってなによー」
トモコ「何が?」
ユキ「口紅忘れたでしょ? 女性はね、財布は忘れても、化粧道具は忘れちゃいけないわ」
と、逆に注意される。
トモコ「生意気言っちゃって!」

それでも、言われたとおり、例の発信機付きの口紅をカバンに入れて、出勤するトモコ。
ちょうど、ケイコも出勤する為廊下へ出てくる。これで、トモコたちの隣の部屋に、ケイコたちが住んでいることが分かる。恐らく、防衛軍の関係者向けのマンションなのだろう。
発信機を頼りに、サロメは車で二人を尾行する。助手席にはタケシの姿があった。
発信機の反応は、二人が表向き勤めているスナック「ケニヤ」の中で途絶える。そこからバトルフィーバー基地へ秘密の通路を通って移動しているのだが、基地内からは電波が届かないようになっているのだろう。
今回のエゴスの動きは敏速で、直ちに黒仮面怪人と重火器で武装した戦闘員達がトラックで店の前に乗り付け、一気に突入する。例の、トイレの秘密の入り口からバトルフィーバー基地へ侵入する。

そんなことは知らないバトルフィーバーと、ケイコ、トモコ。事件もないのでコーヒーを飲んでくつろいでいる。
やがて敵の侵入を知らせる警報が鳴り響く。

四郎「エゴスだ、秘密通路を見付けられてしまった」
正夫「自動発射装置のスイッチを入れろ」
ケイコ「はいっ」
通路を行くエゴスに、自動射撃装置や防護シャッターが立ちはだかるが、彼らは重火器で防衛システムを次々と破壊して奥へ進む。
だが、正夫はあるスイッチを入れ、通路の壁を動かして、道を変え、エゴスを別のルートへ誘導する。

怪人たちはまんまと海岸の岩場へ連れ出されてしまう。引き返そうとしたところを、強化スーツを着たバトルフィーバーが攻撃する。怪人には逃げられたが、突撃部隊を全滅させる。
その後、トモコの口紅の中に発信機が仕込まれていたことが分かり、バトルフィーバーたちはユキのボーイフレンドのタケシが怪しいと睨む。しかし、京介たちが口を酸っぱくして説明しても、ユキはタケシの潔白を信じ込んでいた。
念の為、ユキが貰ったペンダントを検査してみたが、別に異常は見られなかった。
ユキは再びタケシ少年の笛の音に引き寄せられ、マンションを抜け出て小高い丘までやってくる。正夫たちはユキの後をつける。
タケシ「僕の上げたペンダントは?」
ユキ「いつも持ってるわ」
誇らしげに、ユキはペンダントを外してタケシに見せる。
タケシ「大事にしてくれてるんだね」
ユキ「言ったでしょう。私の宝物だって」
タケシ「いつまでも大事にしていて欲しい」
と、タケシは再び彼女の首にペンダントをかける。
そこへバトルフィーバーが駆けつける。タケシは突然本性を現わし、ユキを人質にしてバトルフィーバー基地の地図を要求するが、あえなく倒され、ガラクタの山に戻る。それを見たユキ、ショックのあまり気を失う。
ユキはバトルフィーバー基地へ運ばれ、保健室で横になって休んでいる。
今回のサロメの作戦は巧妙かつ狡猾で、実はユキとタケシが再会した時、隙を見てタケシにペンダントを時限爆弾入りのものとすり替えさせておいたのだ。一度調べたものなので、バトルフィーバーも全く気付かない。
しかし、九官鳥が爆薬の匂いがすると言って騒ぎ出した為、間一髪で爆弾に気付いて、ダストシュートから外部へ捨て、被害を免れる。
今回はそれまでに結構戦闘シーンがあったので、最後はいきなりペンタフォースを放って、基地の外にいた怪人を倒して終了。巨大ロボット戦もない。

エゴスによって純真な恋心を利用されたユキ。
それでも、京介に改めて貝のペンダントを貰い、笑顔を見せる。
ユキ「ありがとう」
京介「あっ、やっと笑ったね」
手をつないで海の中へ入って行く京介、トモコ、ユキの姿を映しつつ、幕。