第9話「パソコン逆転計画!」(1986年12月8日)
(2016年10月29日加筆訂正)
(2018年2月18日画像変更)
さて、今回紹介する9話は、管理人にとってはベスト3に入るエピソードです。画面に向かって「知るかっ」と吐き捨てないようにお願いします。
当時としてはハイカラ(笑)なパソコン通信をストーリーに組み入れ、さらに後年すっかり有名になるストーカーを登場させ、かつ、終盤まで誰が犯人なのか分からないミステリーとしての妙味に満ちた傑作である。

木枯らしの吹く夜、雄太(南渕一輝)は自分のパソコンから、ルリ(山本理沙)のパソコンに「いいもの」を送るから待っててくれと電話する。

どうせ猫の死体画像でも送ってくるんだろうと、とにかく情報を待つルリたちだったが、一向に反応がない。
ルリ「あのボケ、なにやってんのかね」

その雄太、パソコンが途中でハングアップして焦っていたが、やがてルリのではなく全然別のパソコンにつながって、誰かが女性にあてたラブレターのような文章が表示される。要するに、パソコン通信してたら混線しちゃった、と言うことである。
それには「僕は君に夢中だ 君のほほえみが僕のすべて ノッコ 君は僕のビーナス 僕から離れないでおくれ」などと記されていた。
雄太「ドキドキすんなぁ、人のラブレター盗み読むするなんて……」
翌朝、雄太はルリたちに
「他人のパソコンに侵入して情報を盗むことも可能だ」と豪語する。
ルリ「そんなのお前の頭でうまくいくわけないじゃんか」 いつものように冴え渡るルリの暴言。
ちなみに雄太が本当に送ろうとしていたのは、学園周辺の様々な店や施設の、どこが黒鳥学園の息がかかっているか、と言う特製マップだったらしい。

同じ日の朝、美術部の部長ノリコ(宿利千春)が、美術室のビーナス像が首を切られ、たらたらと血を流しているのを発見し、悲鳴を上げて大騒ぎとなる。
もっとも、血は赤インクに過ぎなかったが……。

他の生徒と一緒にユミ(仙道敦子)たちも駆けつける。
雄太「ひでぇ悪戯!」
ルリ「美しさを妬まれたのかしらね……」
雄太「いいね、おたくら、妬まれる心配なくて」
珍しく雄太が軽口を叩くが、
ルリ「刺すよ」 雄太「……」
即座にルリに凄まれる。
雄太は、ケイ(後藤恭子)が友人であるノリコのことを「ノッコ」と呼ぶのを聞いて、今回の事件が昨日の「ラブレター」と何か関連があるのではないかと考える。
放課後、仲良く並んで帰る三人娘。

ルリ「ところでさあ、雄太の奴どうしたのー?」
ケイ「なんだかぁ、様子が変だったけどぉ」
ユミ「ふーん、そう言えば今朝からなんか変だった」
ルリ「アイツの変なのは今に始まったことじゃないの」
ユミ「今はやりのパソコンフリークスね」
ケイ「なにそれ?」
ルリ「パソコン病患者のこと」
時代を感じさせるやりとりですな。

その夜、雄太はまた別のラブレターを受信する。
翌朝、プリントアウトしたその文章をユミたちに見せる。
今度は、「朝日を浴びて白い犬と散歩する君の姿 まるで空から舞い降りた天使のようだ エンジェルよ 君の心が欲しい」と言う内容。
ルリ「今度はエンジェルかよー」

ケイは、ビーナス宛のラブレターをノリコに見せ、何か心当たりはないかと尋ねるが、ノリコにも心当たりは全くないと言う。

そのうち、美術室の不気味な雰囲気になんとなく怯え、身を寄せ合う二人であった。
実は二人とも170前後あるんだよね。
放課後、雄太の部屋に集まって事件について語り合うユミたち。
話していると、再びパソコンが「ラブレター」を受信する。
送り主は、「エンジェルよ 君も他の女と同じなのか どうして僕を無視するんだ 絶対に許せない」と、エンジェルと呼ぶ女性に対しても激しい怒りを滾らせていた。
ルリ「でもエンジェルって誰なんだよーっ!」
雄太「手掛かりは白い犬、それだけだぜ」
ユミ「探し出さなきゃ! なんとしてでも」
ユミたちは、エンジェルに該当すると思われる北野ヨウコなる生徒を見付け出し、その家へ向かう。

だが、彼らが駆けつけた時には、既に、庭に入り込んだ何者かによって、ヨウコの愛犬がナタで惨殺されると言う事件が発生して大騒ぎになっていた。
どうやら、犯人は勝手に女性に恋をして、ラブレターを書き(ただパソコンに打つだけで相手に送るわけではない)、相手が振り向いてくれないと怒り狂って、さまざまな嫌がらせをしているようなのだ。
なお、ヨウコを演じるこの素人っぽい女性は、番組開始前に募集された「ミスセーラー服コンテスト」の優勝者で、遠矢佳雅里さんと言う人。「ミスセーラー服」なのに、何故かセーラー服姿では登場しないのだ。

犬殺しを見た後、どよ~んと凹みながら帰る四人。
ルリ「人間のすることじゃないよ」
雄太「ああ、あんな恐ろしいこと、誰が出来るってんだ」
ルリ「でもぉ犯人は彼女たちに恋をして失恋している……一体どうなってんのぉっ?」
その夜、またまた「ラブレター」が雄太のパソコンに届く。
今度の文面は、「君は僕のマドンナ 君のそばにずっといたい ソッと垣間見た胸の傷 その秘めた痛みを僕も一緒に分かち合いたい」であった。
「胸の傷」と聞いて、ユミは思わず自分の胸元を押さえる。彼女の胸にも、忘れようとしても忘れられない古傷があるのだ。

雄太「胸の傷って、ユミちゃんのことじゃないのか?」
ユミ「でも、一体誰が?」
雄太「ユミちゃんにも心当たりがないって言うのかい?」
ユミ、無言で首を振る。
相手の正体は不明だが、次に狙われるのはユミではないかと、緊張する面々。
一方、黒鳥学園では、校長たちがかつて事件を起こして服役していた豹藤と言う元教師の復職願いについて話し合っていた。

校長「豹藤史朗か……」
九条「復職だなんてそんな! また問題が起きたらどうするんですかっ! 私は許せない、こいつは昔ね、女生徒に次々乱暴して、恐ろしいことを起こしてるんだ!」
いつもと違って、妙に熱血教師めいた口ぶりで激しく反対する九条。
が、校長は意味ありげに笑うと、
校長「こいつは一歩間違えば殺人鬼だが……、使いようによっては役に立つ」
もっとも、彼らが豹藤を利用するより先に、ユミに成敗されてしまうのでその計画が実現することはなかった。そう、無論、豹藤こそ、「ラブレター」の送り主だったのだ。

さてユミたちは、被害者たちがよく利用していたと言う喫茶店で、そこの常連の男を、サングラスをかけているだけで怪しいと睨み、尾行する。
しかし、その男は結局単なるガードマンだったと判明し、捜査は行き詰る。
その夜、またまた「マドンナよ 君も他の雌豚どもと一緒だったのか どうして なぜ僕を無視するんだ 許せない 殺してやる!!」と言う更に激しい調子のメッセージが送られてくる。

ケイ「殺してやる……」
雄太「殺人鬼だよ、コイツは」
ルリ「ユミぃ、アンタ今日誰かを無視するようなことした?」
ユミ「いいえ、別に……」

だが、その時、遂にユミが真犯人に気付く。

昼間、あの喫茶店でユミがコーヒーをキャンセルした、あのウェイターではないかと。
ユミ「ウェイターよ」
ルリ「ウェイター?」
ユミ「……気にしたことはなかったけれども、あの男ならいつも私を見ていたはずだわ」
その後、豹藤が、ユミのクラスメイトをユミと間違えて地下道で切りつけると言う事件が起こる。
ユミたち反逆同盟はその知らせを受け、ついに立ち上がる。

そして、標的になっているユミが自ら囮になって、夜の町をふらふら歩く。で、まんまと豹藤は引っ張り出される。
そしていつもの戦闘シーンになるのだが、豹藤は二本の青竜刀を振り回したり、テレポーテーションしたり、三人を相手に善戦する。
が、最後はバンク映像で参加のミホ(中山美穂)にバラで目をふさがれ、遂に倒される。

ラスト、豹藤はドラム缶に入れられて晒し者にされ、黒鳥の生徒たちに好き放題言われ、いじめられる、かなり可愛そうな末路を辿る。
それを見ながら、

ルリ「パソコンだけが友達だったらしいよ、こいつ」
と、ポンポン肩を叩きながら雄太に囁く。
雄太は慌てて、
雄太「ユ、ユミちゃん、俺もうパソコンやめたからね!」

雄太の宣言に「本当かなぁ」と疑ってみせるケイが、とても可愛いのじゃい。
ま、こんな手抜きレビューではその面白さが半分も伝わってないと思うが、とにかく面白いエピソードで、自分は去年、20回くらいは繰り返し見たんじゃないかと思う。