獅子の瞳が輝いて「ウルトラマンレオ」第7話 前編

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　第7話「美しい男の意地」（1974年5月24日）
　巨大な球根のような体に、手足のついた独特のフォルムを有する怪獣ケンドロス、今日も今日とて宇宙空間から地球の様子を伺っていた。ケンドロスは以前より地球侵略を目論んでいたのだ。……なんで？　さぁ。

　そんなある日、ケンドロスは口から何かの物体を吐き出して、地球に送り込んだ。

　それは真っ直ぐ城南スポーツセンターの敷地に落ち、やがて陽光を浴びて美しい花を咲かせた。

　
　ちょうどそこへ、指導員の仕事を終えて汗だくになったゲンと百子さんが出てくる。
　蛇口の水を直接飲む百子さん。

　百子「あー、すっきりした」
　ゲン「お腹もすっきり空いちまった」
　百子「まぁ、ロマンチックじゃないわねえ」

　
　敷地の隅に咲くその花を見付けて、カオルが手に取る。
　ゲンは何気なくその花を見て、それが地球由来のものでないことを見抜き、すぐ捨てるようカオルに言う。当然カオルは嫌がる。ゲンとカオルの間に百子さんが割って入る。
　ゲン「その花を捨てさせるんだ！」
　百子「何故？」
　ゲン「何故って……」
　カオル「あたし、お父さんとお母さんの写真の前に差してあげようと思ったの」
　百子「そう、もういいのよ、行きなさい」

　
　ゲン「毒かも知れない」
　百子「オオトリさん、ほんとにロマンチックじゃないのね。その上、女の子の気持ちが全然分からないんだわ……女の子は誰でも花が好きよ。だから毒なんかないって直感で分かるわ。道端の花にも目を向けるような優しさがなければ、いくら強くてもダメだと思うな」
　百子さんからそれとなく批判されたあと、

　
　ダン「バカモン！」

　ダンから剛速球の罵声を浴びせられるゲン。とほほ。

　
　ダン「何故無理矢理にでもその花を取り上げ、処理しなかったんだ？」
　ゲン「宇宙からのものであると言うことは分かります。しかしそれが必ずしも害があるものかどうか……」
　ダン「ケンドロス星にある、剣輪草に似ている。成長しきると金属のように固くなる花だ。その花を武器に使う怪獣がいると聞いたことがある」
　カオルの気持ちを尊重したいゲンだったが、ダンはその花を処分するよう厳命する。

　
　そこへＭＡＣの女性隊員の……ええっと、……なんとか言う人が花束を持ってにこやかにダンに話しかける。
　なんとか「隊長、綺麗でしょ？」

　しかし、ダンは、「ゲン、来るんだ」と二人を完全無視。

　ま、タイミングが悪かった。

　ゲンは川沿いの道を走って、カオルの家へ急ぐ。
　だが、時既に遅し、カオルの机の上に飾ってあった剣輪草が突然回転し始め、ひとりでに浮かび上がる。窓を突き破って外へ出て、ちょうど来合わせた百子たちを威嚇したあと、空高く飛び去ってしまう。

　
　それを見たゲン、「レオーッ！」と、夕陽をバックに叫んでレオに変身する。そして花を追って空を飛ぶ。

　
　剣輪草は地球に飛来したケンドロスのところまで誘導されると、そのままケンドロスの頭部に差し込まれ、金属製の風車のような武器になる。

　それをぐるぐる回転させて風を起こし、やってきたレオを寄せ付けない。

　
　レオ、風圧に抗し切れず、見事にコケる。

　ケンドロスは、剣輪草のブーメラン状の花弁を次々と投げて、レオを猛撃する。レオ、思わずびびってよけてしまい、後方の発電所を破壊されてしまう。

　花弁をまともに受けて倒れるレオを、球体になったケンドロスが押し潰す。ダンひとりがマッキーで急行して援護した為、ケンドロスは退却し、レオはなんとか一命を拾う。

　
　夜9時を過ぎても帰らないゲンを、百子さんとカオル、トオルが心配そうに待っている。
　やがて、傷だらけのゲンがよろめきながら戻ってくる。
　百子「オオトリさん、しっかりして！」

　
　翌朝、ベッドに横たわり、百子さんに甲斐甲斐しく看病されているゲン。
　カオルも遅くまで付き添っていたのか、ゲンの体にもたれて眠っている。
　しかし、これだけしょっちゅう床に伏せるヒーローと言うのも珍しい。

　やがて目を覚ますゲン、そしてカオル。
　百子「オオトリさん、あの花と戦ったんでしょ？」
　カオル「ごめんなさい、あたしが言うこと聞かなかったもんだから」
　ゲン「百子さんも、カオルちゃんもちっとも悪くないんだよ。花が悪いんじゃない。花を操ってる怪獣がいるんだ」
　ゲンはベッドから出て、制服を着、百子さんたちが止めるのも聞かず、出動する。

　
　土手を意味もなく走っていたゲンを、ダンがクラクションを鳴らして呼び止める。
　ダン「乗れぇ！」

　ダン「レオが倒れたあと、怪獣は東北へ向かった。仙台地方に被害が続出している」
　ゲン「申し訳ありません」
　ダン「総出動したＭＡＣ機もすべて叩き落された」
　ゲン「まるで蝿ですね」

　ゲン「それは……」
　ダン「謝らんでもいい、言い訳も要らん」
　ゲン「仙台に飛びます」
　ダン「怪獣が花と合体する前なら、ＭＡＣでもやっつけることができたのにぃぃぃ」

　「無理だと思います」と言いたくてしょうがないゲンだったが、自重する。

　ダン「飛んでくる花弁をどうかわす？　自信はあるのか？」
　ゲン「……」
　黙りこくったゲンを乗せ、車はひたすら走り続ける。その向かう先は？

　つづく。