第8話「運が良ければ相続人」(1979年6月3日)
の続きです。
突然事務所に入ってきたのは、山根家のお手伝い、加納里子だった。
麻生「今変なこと言いましたね?」
里子「変なことなど言いません。この二人は遺産相続人ではないと申し上げたんです」
麻生「なんですって?」
里子「山根伊佐緒は私です」 
大木「どうかしてるんじゃねえか、この女、いったい何の証拠があって……いいか、伊佐緒ってのは、男の名前なんだぞ!」
里子「おじいちゃんが勝手に男だと思い込んだだけです」
麻生「どういうことかな」
里子「母が私の誕生をおじいちゃんに知らせたときに、性別を書き忘れたんです」
ナビ「なるほど、伊佐緒ってのは、女でもおかしくねえや」
大木「ちょっと待ってくださいよ、この女の言うこと信じるんですか?」
小谷「そうですよ、口からでまかせに決まってますよ!」
突然現れた女性に財産を攫われそうな展開に、猛抗議する大木たち。
しかし、大木役の俳優、どっかで見たことあるんだよなぁ。思い出せないや。
里子は動じず、波子(伝吉の娘、伊佐緒の母)が彼女を施設に預けた時に持たせた手紙がある、それと、伝吉宛の手紙の筆跡が同じの筈だと、確かな証拠の存在を主張する。
麻生は、とりあえず彼女を藤波弁護士のところへ連れて行く。

藤波「しかし、どうして孫だということを隠してお手伝いさんなんかになったんだね?」
里子「怖かったんです。ヤクザとの間に生まれたお前なんか孫じゃない、そう言われるのが怖かったんです。でも、私、おじいちゃんのそばにいたかった。たったひとりの肉親ですもの」
藤波「(伝吉が)死んだ時、どうして名乗り出なかった?」
里子「遺産なんか欲しくなかったし、お金目当てだと思われるのがイヤだったんです。でも、遺産に群がる人たちを見ているうちに、死んだおじいちゃんがかわいそうになって……」
切々と訴える里子の話に、思わず貰い泣きする久美子ちゃん。
藤波「一応筋は通ってるな」
久美子「先生、それじゃ里子さんが嘘を言ってると?」
藤波「そうは言っていない。問題は本物の手紙だ」
手回しの良い麻生、既にダーツとナビをその施設へ行かせ、問題の手紙を入手するよう命じていた。

だが、二人が施設を訪ねると、施設は二人組みの泥棒に入られた直後だった。
二人は里子の言う手紙を見せてくれるよう頼むが、園長は、その手紙だけが紛失していると告げる。
しかもどうやらその泥棒の人相風体が、大木と小谷に合致するようなのだ。
ダーツとナビは二人が里子が伊佐緒であると言う証拠の手紙を破棄するために泥棒に入ったのだと、二人を締め上げる。ちょうどそこへその窃盗事件を調べていた金沢とゴリラがやってきて、すったもんだの末、二人を逮捕する。
麻生は新妻署を訪れ、金沢から話を聞く。
金沢「手紙さえなくなれば、もう一度自分達にチャンスがかかる、それが動機です。手紙は焼き捨てたそうです」
麻生「自分達がニセモノだってことまでは?」
金沢「自白しました」
麻生は釈然としない顔付きのまま、事務所へ戻る。
事務所に戻ってからも考え込んでいた麻生、「山根伊佐緒(里子)、あれはニセモンだ!」と、突然叫ぶ。

麻生「つまりこうだ」
ナビ「ちょっと待ってくれ、小学校低学年にも分かるようにゆっくり説明してくれ」
麻生「いいか、大木と小谷は唯一の証拠である手紙を焼いた。そうすれば、もう一度自分達にチャンスが回ってくると、そう考えたからだ」
ナビ「分かる」
麻生「それが本当なら、どうしてだな、自分達がニセモノだと言うことまで簡単に吐いてしまったんだ?」 麻生は、里子もニセモノで、しかも大木や小谷と手を組んだのだと推理する。里子がほとんど望みのない二人に話を持ちかけ、協力してくれれば、無事遺産相続の暁には、大金を払うと言う約束をしたのではないかと。
ジュン「そうか、あいつらが手紙を焼き捨てたのは」
ダーツ「それが本物の証拠だったからじゃなくて」
ナビ「ニセモノだったからだなぁ!」
麻生は、大木たちが切り札として例の手紙のコピーを取っているに違いないと踏む。
当時はコピーサービスをしている店は少なかったので、麻生は大木たちの周囲の店を虱潰しにダーツたちに探させる。首尾よく、大木たちがコピーをした店が見付かり、しかも一度失敗したコピー用紙が残っていた。
その手紙の文面は、里子が書き写していたと言う文章と同じだったが、筆跡は波子の手紙とは別物だった。つまり、里子が施設に捨てられたのは事実だったが、その母親は波子ではなかったと言うことだ。
しかし、伝吉のお手伝いが、ちょうど伊佐緒と同じような過去の持ち主だったと言うのは、ちょっと都合が良過ぎる。
とにかく、手紙のコピーを見せられ、里子はあっさりニセモノだと白状する。
だが、麻生は3人ともニセモノだとなれば、20億が国庫に没収されてしまう。そうなれば探偵料が一銭も貰えなくなる。だったら、里子をあくまで本物だと押し通し、里子に20億を相続させ、約束どおり1千万円をゲットしようではないかと、麻生らしいことを考える。
1千万円は里子も含めた6人で山分けし、残りは施設へ寄付しようと。
ジュン「どうなら20億全部貰っちゃおうよ」
麻生「ダメ! とうとう現れなかった本物の伊佐緒、そして伊佐緒同様、両親のいない子供たち、お前たちも覚えがあるだろう! この子供たちがこの遺産の正当な相続人だ!」 まだぐちぐち言うナビたちに、
麻生「俺たちは泥棒か? 悪い奴からはいくらでも頂くが、それ以外の人からは探偵料しか貰わんのじゃなかったのか?」
里子も計画に乗る。麻生は、波子からの手紙に4才の伊佐緒の指紋が残っていて、それが里子の指紋と一致すれば本物だと証明できると言う。その為、里子の指紋からそれを縮小したハンコを作らせ、それを手紙に押して偽装すると言うことをやってしまう。
完全な詐欺師である。 ただ、ハンコじゃあ、うまく行かないと思うけどね……。
その指紋を見て、藤波はあっさり里子が伊佐緒だと認定する。

麻生たちは1千万ゲットだぜと喜ぶが、ここへ来て、里子が20億円は全て自分のものだと言い出す。
里子「悔しかったら警察にでも電話するのね。詐欺罪で捕まるのはあたしひとりじゃない。みんな一蓮托生よ」
ユーコ「1枚上手みたい」
ダーツ「そんな可愛い顔してさ、きついこと言わないでよ。せめて1千万くらい……」
ナビ「500万でもいいや、400、300、200、ええい面倒だ。100!」←プライドがない
里子「お断り

」
里子はさっさと立ち去ろうとするが、
麻生「詐欺罪で捕まるのは君ひとりだ。俺たちが詐欺を働いたと言う証拠があるか? ハンコ屋に行ったのは君ひとり、藤波さんの事務所に行ったのも君ひとりだ。俺たちが詐欺を働いたと言う証拠はどこにもないんだ」 と、逆襲する。
麻生「どうする? 警察に行くか、最初の約束どおり1千万を分けるか?」 凛々しいお顔だが、言ってることは死ぬほど情けない。
里子も折れて、20億を山分けしようと言い出す。だが、頑固な麻生は1千万しか受け取らないと断言する。
ところが、「それも出ないぜ」と、藤波弁護士の無情な一言。
この前に、久美子が遊びに来てゴキブリが出たと騒ぐシーンがあるのだが、その時、久美子はこっそり盗聴器を仕掛けておいたのだ。彼らの企みは全て筒抜けになっていたのだ。
弁護士の癖に盗聴すんなよ。 紆余曲折の末、20億円は国庫没収、麻生たちには1銭も入らない……。それどころか、ハンコ屋に口止め料として数万円支払っているし、それ以外にも諸経費がかかっているだろうから、完全な赤字である。

ヤケクソになったのか、一列になって「どうせ一度の人生さ~」と、主題歌を歌い出す麻生。みんなも続く。
「俺もあてにはしてないさ~してないさ~、あーあー♪」

「俺たちは、天使だ」
いつもの台詞は言うが、さすがに今回はがっくりしたのか、手を合わせるポーズは無し。
それにしても、大木役の俳優、どっかで見たことあるなぁ……(しつこいですか?)