「少女コマンドーいづみ」第6話 その1

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　第5話「伝説の悪！サソリ」（1987年12月10日）
　随分久しぶりだが、「少女コマンドーいづみ」のお時間です。

　5話までで、とりあえずいづみと「謎の組織」の直接対決は一区切り、6話～10話まで単発的なエピソードが続く。特にこの6話は、「謎の組織」とは全く関係のないストーリーとなっている。

　
　冒頭、早朝の東東京刑務所から出所してきたひとりの男、それを出迎える二人のチンピラ風の若者。

　サブ「兄貴ぃ」
　タツ「お疲れ様」
　早乙女「おお、お疲れ」

　ガタイは良いが、声の小さな男は早乙女哲治（福田健次）。
　サブ（右）を湯田邦晶、タツ（左）を久保寺健之がそれぞれ演じている。久保寺健之さんは、「不良少女とよばれて」で、西村朝男の腹心……名前忘れたけど……を、演じていた人だ。

　
　同時刻、晴海警察署の一室で、パソコンに向かっている若い婦警。今回初登場となる、むーちゃんこと武藤萌（加藤麻里）である。
　画面には、関東地方の地図が映し出されていた。
　と、派手なくしゃみがして、ニヤリとするむーちゃん。

　くしゃみの主は、藤原（地井武男）であった。
　藤原「おう、むーちゃん、おはよう、五条いづみのリストは見付かったか？」
　武藤「少なくとも、関東地区に五条いづみなんて言う犯罪者はいません！」
　藤原、いつの間にか消えていたいづみの犯罪記録をコンピューターの得意なむーちゃんに頼んで探してもらっているらしい。
　武藤「古い事件掘り返すより、昇進試験の準備した方が良いんじゃないですか？　厄年でヒラ刑事って藤原さんだけですよ」

　
　藤原「ふざけるなっ、刑事は犯罪者捕まえてナンボだよ！」
　藤原、そこでまた大きなくしゃみをしそうになるが、寸前でむーちゃんが鼻をつまみ、阻止する。
　武藤「分かってます。全国隈なく捜しときますから、風邪移さないで下さい」

　そのいづみ、依然、倉庫街の廃ビルのフロアに住んでいた。
　携帯コンロで作るお粥のような物と、携帯食糧のビスケットや乾パンが朝食のメニュー。これは研究所から逃げ出したときに持ち出したものだが、そろそろなくなりかけていた。

　
　ふと気付くと、いつの間にか入り込んでいた佐織がお粥をすくって食べていた。
　いづみ「あーっ！」
　佐織「これはなかなかいけます。もう少し砂糖が多い方がいいけど」
　いづみ、ムッとした顔でビスケットのかけらを口に放り込む。

　恵子も顔を出し、「いづみ、ちょっと付き合ってくれない？」と誘う。

　OPを挟み、恵子を先頭にずんずん歩いている三人娘。佐織がしきりにいづみに話しかけるが、さっきのことをまだ根に持っているのか、無視する。

　やがて、モノレールの高架の下を抜け、とあるビルに入っていく三人。

　
　恵子がいづみを連れてきたのは、意外にもこざっぱりしたアパートの一室だった。

　窓の外から、モノレールが走っていくのが見える。
　佐織「わーっ、きれいーっ」

　恵子「なんか、壁塗り替えたみたい、気に入った？」
　佐織「はいっ」

　佐織の返事に、がくっとする恵子。
　恵子「もう、恵子が気に入ったってしょうがないの！」
　佐織「いいなぁー、恵子先輩と同じで、表はひどいけど、中身は最高！」
　佐織の必殺「笑顔で毒舌」攻撃が炸裂する。恵子、佐織の頭を拳骨で叩く。

　
　恵子「いつまでも倉庫で寝起きする訳にはいかないでしょ？」
　ここは、恵子がいづみの為に用意した部屋だった。

　闇学中の会長である恵子には、それくらいのことは朝飯前なのだった。

　いづみ「でもぉ……」
　遠慮するいづみに、
　恵子「もうカワイソぶりっ子はやめようよ。いづみ、過去を取り戻したいんでしょう？　しっかりリハビリして青春を奪った奴らに見せ付けてやろうよ」

　恵子はいづみの手に鍵を押し付け、さっさと佐織と部屋を出て行く。

　
　ひとりきりになったいづみ、最終兵器と言われても根は普通の女の子、突然プレゼントされた真新しい部屋の中で、子供のようにはしゃぐ。可愛い……。

　しかし、ふと視線を転じると、

　
　カバンを忘れて取りに戻った恵子たちと目が合ってしまう。

　一瞬固まる両者。
　やがて恵子たちは引き攣った笑いを浮かべながら退散する。

　少し離れた歩道で、神妙な顔付きで話し合う二人。
　佐織「私たち、見てはいけないものを見てしまったんじゃあ？」
　恵子「今度いづみに会っても触れちゃダメだよ」
　佐織「はい」

　場面転じて、銀座ヨットハーバーと言うマリーナに、サブとタツが現れ、暴虐の限りを尽くしていた。と言っても、アクリル看板を踏み抜くだけだが。

　
　騒ぎを聞きつけ、店員・葉山が飛び出してくる。
　葉山を演じるのは子役の頃から活躍している安藤一人さん。本ブログでも、「バトルフィーバー」か何かで紹介したことがあるはずだ。

　葉山は闇学中の一員で、ガタイも良いのでサブとタツをたちまち制圧する。

　
　しかし、そこへ親分の早乙女が現れる。早乙女は凄まじい怪力で、葉山の頭を掴んで腕一本で持ち上げる。

　その腕にどこからか赤い物体が飛んできて、葉山を助ける。

　
　赤い物体は恵子の投げたバードコールだった。
　サブ「闇学中の恵子！」
　恵子「早乙女！」

　彼らは互いに顔見知りらしい。
　サブ「兄貴の目的は藤原だ。奴が姿を現わすまで、ウォーターフロントをぶっ潰し続ける！」

　
　対話の苦手な早乙女、サブの耳に口を近づけ、ごにょごにょ指示する。
　サブ、とても気が進まなそうだったが、早乙女に強く促され、不承不承伝える。
　サブ「兄貴は、電話番号をお聞きだ」

　恵子「ふざけんじゃないわよ！」
　早乙女、不器用にウィンクをする。
　早乙女たちが去った後、恵子と佐織はすぐ葉山に駆け寄る。

　
　恵子「タカシ、大丈夫？」
　葉山「ああ」
　佐織「あいつは？」
　恵子「ウォーターフロントで誰一人、闇学中も手も出せない凄い奴……藤原も終わりだねえ」

　
　その藤原、沢田署長に呼び出されていた。署長はこのシーンにしか登場しないが、番組がもっと続いていれば再登場の機会もあったかもしれない。演じるのは本郷直樹さん。

　署長「藤原さん、暫く休暇を取ったら如何です？」
　藤原「いやぁ冗談じゃないっすよ。今とてもそんな暇ねえんだ」
　だが、署長は厳然と、2週間の休暇を命じる。

　藤原の疑問に署長が答える前に、見掛けぬ男が藤原を探して入って来る。男が体の寸法を測りだしたのを見て、
　藤原「な、なんだよ、おい、俺ぇ服の仕立てなんか頼んでねえぞ」
　男「棺桶屋でございます。早乙女哲治様と言う方からの特注を受けまして……」
　藤原、カッとなって棺桶屋を廊下へ蹴り出す。

　
　藤原は、早乙女が予定より早く出所したことを署長から知らされる。
　藤原「なるほどね、休暇中に殺されれば、関わりがなくって良いって訳か。ったくもう、大学出のエリートはさすが、頭が切れますなぁ」

　事なかれ主義の署長の魂胆を見抜いた藤原、呆れ顔で出て行こうとするが、「休暇中は銃を返して下さいね」と釘を刺される。

　続く。