第5話「伝説の悪!サソリ」(1987年12月10日)
の、続きです。

署長室から出てきた藤原に、むーちゃんが話しかける。
武藤「隅から隅まで捜しましたけど、五条いづみなんて言う名前はありませんでした」
藤原「そう、なかった。はい、ありがとう。
見付かるまでやり直してください」
にこやかな声で冷たく宣告する藤原。
去っていく藤原の背中に、「くたばれ、万年ヒラ刑事!」とむーちゃんが毒づく。

藤原が振り向くと、むーちゃん、ニッコリ笑って手まで振って見せる。
出番は少ないが、加藤麻里さんが生き生きと演じるむーちゃんの存在はこの番組にとって貴重である。
彼女の笑顔をもっと見たかった……。
一方、石津は部下から藤原がいづみのことを嗅ぎ回っていることを即座に知らされる。石津は別に藤原に対してはアクションは動かないが、これによって警察のコンピューターネットワークも「謎の組織」の監視下にあることが分かる。
バーガー・イン・サキの奥では、恵子がいづみと佐織に早乙女のことを説明している。
恵子「早乙女哲治って奴のことなんだけど、いつもは無口だけど、一旦怒ると二の腕のサソリが赤く染まって、もう誰も止められなくなる。サソリの哲……ある日ぶらりとウォーターフロントにやってきて、あっという間にチンピラたちを従えてしまったの。弱気な警官は見て見ぬふりをしていたんだけど、それをあの藤原の奴、つまらない賭博容疑で無理矢理パクっちゃったの」 暴れまわる早乙女の姿と、パチンコ屋で玉を拾っているところを藤原に逮捕される早乙女の姿が描かれる。
しかし、弱気な警官て……。
だから、当然、早乙女は藤原のことを恨んでいるのだ。

葉山「そのとばっちりで店をめちゃくちゃにされたんじゃあ、たまんないっすよ」
葉山もそこにいて、氷嚢で顔を冷やしている。
祥子「コイツんところだけじゃないんです。藤原の担当する地区の店は軒並みやられてるんです!」
恵子「闇の学生中央委員会の大きな使命は、ウォーターフロントの秩序を守ること……でも、奴だけには手が出せない」 
アイ「このままじゃあ……」
喋ろうとするアイを押しのけ、
マーコ「このままじゃ闇学中の面目丸潰れッス!」

恵子「いづみ、あたしたちに手を貸して! あなたの力なら奴らをこの町から追い出せるわ」
単刀直入に切り出す恵子。
みんな期待を込めていづみの顔を見守るが、
いづみ「できないわ、私の力は、チンピラ同士の喧嘩には使えない!」 
恵子「チンピラ同士? 闇学中がチンピラだって言うの?」
いづみの言葉尻をとらえ、険しい顔でいづみに迫る恵子。
チンピラ呼ばわりされて祥子たちも穏やかならぬ顔付きになる。いづみも口を滑らせてしまったと悔やんだのではないかと思うが、ちょうどその時、表の方から大きな物音がして、この件はうやむやになる。

物音は、グラスの割れる音だった。
他でもない、早乙女の部下、サブとタツがバーガー・イン・サキに現れ、暴れまわっていたのだ。
ただし、この店は実際の店舗を借りて撮影しているので、あまり派手なアクションは出来ない。
サブとタツは相変わらず弱く、雇われ店長の健にあっさりぶちのめされる。

ヨットハーバーと同じく、二人の悲鳴を聞いて親分の早乙女が颯爽と登場。
健はビリヤードのキューで早乙女の胸板を叩くが、早乙女は涼しい顔をしている。
葉山と同じく、剛力で持ち上げられ、壁に投げ飛ばされる健。
騒ぎを聞きつけ、恵子たちも店に出てくる。

佐織「いづみさん、ほっとくんですか、あんな奴ほっといて悔しくないんですかぁ?」
佐織が訴えるが、いづみは目を伏せて無言。
しかし、他でもない仲間の健が目の前でボコボコにされているのに、いづみが助けようとしないのはちょっと不自然だ。
そこへ、藤原がふらっと入ってくる。
藤原「お前を逮捕する! ……ことはできねえんだ。俺は今休暇中でなぁ」
サブ「やっと現れやがったな」
藤原「いやいやいや、今日はやめとくぜぇ、俺とお前の問題に善良なお坊ちゃん、お嬢ちゃんたちを巻き込むのはイヤだからな」
背中を見せる藤原に対し、早乙女はうろたえたように「ま、待て!」と叫ぶ。早乙女のはっきりした台詞は、劇中、この一言だけである。
藤原「逃げるんじゃねえよ。男同士、プライドを賭けた勝負だ。場所変えようじゃねえか」
サブ「おい、警察手帳を置いていけ。それなら兄貴も条件を飲んでいいと仰ってるぜ」
早乙女から耳打ちされたサブが条件をつける。
藤原、最初は突っぱねるが、尚も店をめちゃくちゃにしようとする早乙女と、必死にやめさせようとする健を見比べた後、あっさり「くれてやるよ!」と警察手帳を放り投げる。
藤原「いいか、明日の朝6時、13番埠頭で勝負をつけてやる。それまで大事にしまっとけ、この野郎、シミでも付けてみろ、タダじゃおかねえぞ!」
藤原、そう言い捨てて店を出て行く。
その後、恵子たちは妙に盛り上がりながら奥の部屋に戻ってくる。
一度にたくさんのキャラが喋るので、正確になんと言ってるのか不明だが、女の子たちが騒いでいる様子がよく描けている。
マーコ「だから、だから、だから、だから! 藤原と早乙女が相討ちしてくれればいいわけよ、そうすれば、ウォーターフロントの問題なんて全て解決だよねえ」
恵子「言えてる言えてる」
アイ「福の神よ、サヨナラーってね!」 アイのお得意のギャグが炸裂し、一瞬静まり返る面々。
祥子「疫病神でしょうが!」
恵子&マーコ&佐織「ばぁ~~~かっ!」 アイ「恵子さんのイジワルぅ」

会話に加わらなかった健、振り向いて、
健「あんまり藤原のこと笑うなよ、奴、この店の為に男のプライド捨てたんだ。半端な奴じゃ出来ねえよ」 恵子「あいつ、かっこつけてるだけだよ~」
健「所詮、女にはわかんねえよ」
恵子、健を見て真顔になる。
健はひとり、部屋を出て行く。
夕日の中、健が空き地で酒瓶を並べて、それをキューで払い落としている。それで藤原に加勢するつもりなのだ。
それを面白そうに見ている恵子と佐織。
恵子「健ってほんと単純なんだから!」
佐織「ほんとですねえ~」

いづみもその場にいたが、何も言わない。今回、いづみの台詞がとても少ない。

BGMにA-JARI「長い夜」が流れる中、寮の部屋で早乙女の戦いに向けて特訓している藤原の姿。
手錠に紐をつけ、早乙女の手足に見立てた2本のビール瓶に向かって投げている。

いづみ、新しい部屋のベッドに座り、
(優し過ぎるよ、みんな……) 全編を通して、とても好きな台詞だ。
続く。