第9話「運が悪けりゃワンパターン」(1979年6月10日)
服部と言う不動産会社社長が、麻生事務所を訪れ、一枚の写真を見せて仕事の依頼をしている。

悪い女に引っ掛かって家出したと言う弟を探して欲しいと言うのが、服部の依頼だった。報酬は前金50万、成功すれば更に50万と、悪くない条件。
服部を演じるのは内田稔さんで、弟(ほんとは西山と言う男)を演じるのが山西道弘さん。

応接室に隣接する台所では、珍しくユーコがアジサンドを作っていて、久美子もいた。久美子がややわざとらしく持っているカールの袋、この作品ではちょいちょい出てくるアイテムだ。
麻生は必ず弟さんを見付け出して連れてくると断言するが、服部は居場所さえ教えてくれればいいのだと、歯切れが悪い。
久美子とユーコの会話で、どうやら久美子は事務所でバイトをしたいらしい。お金のこともあるが、探偵の仕事に興味があるのだろう。ユーコは出来上がったアジサンドを兄の藤波弁護士にと、久美子に渡す。
麻生「しかし弟さんは30才、随分分別のある年ですが、どうして連れ戻そうとなさるんですか」
服部「はぁ、まあ、それは家庭内の問題でして……」
ユーコから仕事の電話だと聞いて、喜び勇んで工場の階段を上がろうとしたナビ、派手に転んで足を怪我してしまう。で、久美ちゃんが、ナビの代わりにバイトとして念願の探偵の仕事をさせてもらえることになる。
ま、今回は久美ちゃんがメインの回と言って良かろう。

んで、ダーツとナビが、大胆な街頭ロケを敢行。通行人がガンガン見る。
久美「久しぶりに本格的なアルバイトだからね。あたしも頑張っちゃうわよ」
張り切る久美に比べ、ダーツはあまり気乗りしない様子。
ダーツ「ニクニマと久美ちゃんだったら、短足コンビで良いと思うんだけどなぁ」
ニクニマとは、肉体労働派二枚目の略でナビのことを指す。

久美「なんか言った?」
ダーツ「あー? ははははははっ」
久美「ははははっ、頑張ろうね!」
ダーツ「じゃじゃ馬相手じゃ身がもたねえぜ」
ダーツ、元気娘の久美が少し苦手らしい。
二人は3000円払って水商売の女性から弟と一緒に映っている女の情報を得る。
女は横浜にいるということで、二人は車で横浜へ。
ダーツ「ハマのことだったら、このダーツさんに任せといて頂戴よ!」
横浜の街を二人で走り回る。通行人がガンガン見る。
だが、飲み屋街で聞き込み調査をしていると、二人組のチンピラに因縁をつけられ、ダーツは駐車場でボコボコにされてしまう。二人はダーツの持っていた写真を破り裂いて立ち去る。

ダーツは麻生に電話で報告し、仕事を降りると弱音を吐く。
どうしてもバイトがしたい久美子は、コイン当てでやるか、やめるか決めようと持ちかける。
結果は久美の勝ちで、ダーツは渋々調査を続行する。ま、イカサマだったのだが。

電話の向こうの麻生は、その後、「依頼主を洗ってみるか」とジュンたちに話す。
ジュン「どーして?」
麻生「その一、服部が弟を探す理由と言うのがはっきりしない。その二、女の線を追っていたダーツと久美が狙われた。その三、調査費用の100万と言うのは服部側から言ってきた金額だが、弟を探すだけにしては大金過ぎる。つまりだ、この依頼にはきっと何か裏がある」
麻生は、ジュンと手分けして服部のことを調べることにする。
わざわざそんなことをするのは、無論、もっと儲けになるネタが転がっているかもしれないからだ。

麻生は服部の会社の正面にあるタバコ屋で、話を聞く。タバコ屋のおばちゃんを田中筆子さんが演じている。
お「さっきも刑事さんが来て、服部さんのことを色々と聞いてったよ」
麻生「えっ、どこの警察ですか」
お「新妻署って……あんたも刑事さん?」
麻生「ええ、私、麻生署です」
お「あ、そう……」
麻生「はぁっ?」

ダーツたちは、首尾よく女の勤め先を聞きだし、その店の近くの橋の上から見張っている。
ダーツ「折角横浜来たんだから、早いとこ仕事終わってさあ、山手の十番館でコーシーでも飲もうぜ」
久美「山手って顔してないわよ」
ダーツ「じゃあなんだよ、俺は下町か?」
久美「ドヤ街」
などとやってると、女がスナックから出てくるのが見えた。
二人は住所を突き止めるため、バスに乗った女を車で尾行する。
だが、途中、間に別の車が強引に割り込んできて、尾行の邪魔をする。それどころか、車をぶつけてきて、最後は土手の上から車ごと突き落とされる。無論、さっきのチンピラたちである。

二人は怪我もせず車から脱出するが、車は炎上してしまう。
久美「あー、あの車勿体無い!」
ダーツ「こうなったら徹底的にやってやろうじゃないかよ!」
新妻署では、桂や金沢たちが事件についてなにやら話し込んでいた。どうやら、服部のことを調べているらしい。そこへふらっと麻生が入ってくる。桂は珍しく自分から「コーヒーでも飲もう」と麻生を連れて行く。
麻生「おっ、ちょうどモカが飲みたかったんだ!」

が、謹直な桂のことなので、麻生が連れて行かれたのは喫茶店ではなく署内の食堂であった。
麻生「これモカか?」
桂「ああ、モカ!」
麻生「コーヒーには変わりないけどね」
桂は服部について情報の取引をしようと持ちかける。
麻生「弟の捜査を依頼された。女と一緒に姿を消してる」
桂「半年前に起きた銀行強盗事件を追ってるんだ。……セルフサービスだ。ゴミ箱に捨てといてくれ」

女はやがて停留所で降りる。
と、その後方から、何処で調達したのか、久美が自転車に乗ってやってくる。

途中でダーツを乗せ、カメラ近くまでノンストップで走る。
ダーツ「ぴったりマーク!」
久美「任せといて!」
ダーツ「凄い脚力!」
後編に続く。